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認知症末期の症状9つ|食べられない・寝てばかりは最期のサイン?余命と家族の対応

2026年9月28日
花井 敦由奈(介護福祉士 ケアマネジャー)
カテゴリー:
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認知症が進行した家族に「食べる量が減った」「一日中寝ている」「呼びかけても反応が少ない」といった変化が見られると、「末期なのでは」「最期が近いのでは」と不安になる方も多いでしょう。認知症の末期(重度)では、記憶や判断力だけでなく、歩く・座る・食べる・飲み込むといった身体機能も低下し、日常生活の多くで介助が必要になります。ただし、食べられない・眠る時間が急に増えたといった変化は、脱水・感染症・薬の影響などでも起こるため、「認知症が進んだから」と決めつけないことが大切です。

この記事では、末期の認知症に関する以下の項目について紹介します。

  • 認知症末期に見られやすい症状
  • 最期が近いときに見られることがある変化
  • 余命の考え方
  • 食事や傾眠への対応
  • 療養場所や老人ホーム選び

順に解説していきますので、ぜひ最後までご覧ください。

この記事でわかること
・認知症末期(重度)に見られやすい主な症状
・「末期」と「最期が近い状態」の違い
・食べられない
・寝てばかりのときに家族が確認したいこと
・余命や医療
・ケアについて考えるときのポイント
・認知症末期に対応できる老人ホームを選ぶ際の確認事項
先に確認したいこと
・急に食事や水分がとれなくなった、反応が明らかに悪くなった、発熱や息苦しさがある場合は、認知症の進行と決めつけず、主治医・訪問看護師・施設職員などへ早めに相談してください。
・末期の症状や経過には大きな個人差があり、症状だけで余命や死期を判断することはできません。

目次

認知症の末期とはどのような状態?

認知症の「末期」は、一般に認知機能と身体機能の低下が進み、一人で日常生活を送ることが難しくなった重度の段階を指して使われます。食事・排泄・着替え・移動などに全面的な介助が必要になり、言葉による意思疎通も難しくなることがあります。

認知症末期は日常生活のほぼすべてに介助が必要になる段階

重度になると、記憶障害や見当識障害(日時・場所・人物などが分からなくなる状態)だけでなく、話す・行動する・見分ける能力も著しく低下します。さらに筋力低下や活動量の減少、嚥下機能(飲み込む力)の低下などが重なることで、食事・ 排泄・清潔保持・体位の調整まで介助を必要とする場面が増えていきます。一方で、できることがすべて同時に失われるわけではありません。表情・視線・触れられたときの反応など、言葉以外の方法で意思や感情が表れることもあります。本人の反応をよく観察し、その人らしさや好みをできる限り尊重することが大切です。

「末期」と「終末期」「死が近い状態」は同じではない

認知症が重度になったからといって、ただちに数日以内に亡くなるわけではありません。重度の状態が続きながら、医療や介護を受けて生活する期間が長く続く方もいます。一方で、以下のような症状が見られるようになる場合もあります。

  • 食事や水分をほとんど摂れなくなる
  • 眠っている時間がさらに長くなる
  • 呼吸や循環の状態に変化が出る

これらは、人生の最終段階に近づいたときに見られることがある変化です(詳細は後述)。

末期までの経過や症状には個人差がある

進行の速さや現れる症状は、認知症の原因疾患・年齢・体力・合併症・生活環境などによって異なります。「この症状が出たら必ず末期」「末期になったら余命は何か月」と一律に判断することはできません。普段の状態からどのように変化したかを見ながら、主治医や介護職などと共有していくことが重要です。

認知症はどのように末期まで進行する?

認知症の経過は原因疾患によって異なりますが、検索上よく使われる「初期・中期・末期」という分け方で見ると、生活への支障が徐々に大きくなっていくイメージを持ちやすくなります。

段階見られやすい変化介助の目安
初期(軽度)最近の出来事を忘れる、同じ質問を繰り返す、予定や金銭管理でミスが増える複雑な手続きや予定管理などで見守り・支援が必要になる
中期(中等度)着替え・入浴・買い物などが一人では難しくなる。BPSDが目立つこともある日常生活の複数の場面で介助が必要になる
末期(重度)意思疎通、歩行、座位保持、食事・嚥下などが難しくなる生活のほぼすべてで介助が必要になる

参考:厚生労働省「認定調査員テキスト2009改訂版(令和6年4月版)(p.157)」

初期(軽度)に見られる主な症状

初期では、以下のような症状が見られます。

  • 最近の出来事を覚えにくくなる
  • 同じことを何度も尋ねる
  • 日時や予定を間違える

上記以外にも、料理・金銭管理・仕事など複数の手順が必要な作業でミスが増えることもあります。

中期(中等度)に見られる主な症状

中期になると、着替え・入浴・買い物・服薬管理など身の回りのことにも支援が必要になります。不安・興奮・徘徊・妄想などの行動・心理症状(BPSD)が見られる場合もあり、家族の介護負担が大きくなりやすい時期です。

末期(重度)に見られる主な症状

末期では、発語や理解力が低下し、意思疎通が難しくなることがあります。歩く・立つ・座った姿勢を保つといった動作も難しくなり、寝て過ごす時間が長くなります。食べたり飲んだりする能力も低下しやすく、誤嚥性肺炎や低栄養への注意が必要です。

認知症の種類によって進行の仕方は異なる

アルツハイマー型認知症は比較的ゆっくり進行することが多い一方、脳血管性認知症では脳梗塞や脳出血などをきっかけに段階的に症状が悪化することがあります。レビー小体型認知症では認知機能や注意力の変動、パーキンソン症状などが見られます。 末期に至るまでの経過には個人差が大きいため、診断名だけで将来の経過を決めつけないことが大切です。

参考:国立精神・神経医療研究センター「心の情報サイト 認知症の特徴」

認知症の症状全体について詳しく知りたい方は、YAYAの関連記事も参考にしてください:認知症の中核症状と周辺症状の関係について分かりやすく解説

【一覧】認知症末期に見られる主な症状9つ

認知症末期では、認知機能だけでなく身体機能にも変化が現れます。すべての方に同じ症状が出るわけではありませんが、主に次のような変化が見られます。

主な症状家族が気づきやすい変化
1. 意思疎通が難しくなる発語が減る、質問への返答が少ない、言葉の理解が難しくなる
2. 家族の認識が難しくなる名前が出ない、顔を見ても誰かわからないことがある
3. 歩行・座位保持が難しくなる立ち上がれない、座っていられない、寝て過ごす時間が増える
4. 食事・嚥下が難しくなる食事量が減る、むせる、口にため込む、飲み込みに時間がかかる
5. 日常生活の全面介助が必要になる排泄・着替え・食事などを一人で行うことが難しくなる
6. 筋肉のこわばり・拘縮手足を動かしにくい、関節が曲がったままになりやすい
7. 眠る時間が増える日中もうとうとする、覚醒している時間が短くなる
8. 体重減少・低栄養食べる量が減り、体重や筋肉量が落ちる
9. 肺炎などの感染症リスクが高まるむせ、発熱、咳、痰、元気がないなどの変化

参考:富士在宅診療所「認知症で寝てばかりの状態は死期が近い?終末期の変化と家族ができるケアを解説」

言葉が減り意思疎通が難しくなる

言葉を理解したり、自分の考えを言葉にしたりする力が低下し、会話のやり取りが難しくなることがあります。返事がなくても、表情や視線、手の動きなどから反応が読み取れる場合があります。短い言葉でゆっくり話しかけ、返答を急かさないようにしましょう。

家族や身近な人を認識することが難しくなる

記憶や認識する力の低下により、家族の名前が出てこない、顔を見ても誰かわからないといったことが起こります。認識できないことを責めたり、何度も正解を求めたりするのではなく、安心できる声のトーンや触れ方を意識することが大切です。

歩行や座位保持が難しくなり寝たきりになる

認知症の進行に加え、活動量の低下や筋力低下が重なることで、立ち上がる・歩く・座位を保つといった動作が難しくなります。転倒予防だけでなく、長時間同じ姿勢になることによる褥瘡や関節のこわばりにも注意が必要です。

食事量が減り食べ物や水分を飲み込みにくくなる

食べ物を認識する・口へ運ぶ・噛む・飲み込むという一連の動作が難しくなることがあります。嚥下機能が低下すると、むせや誤嚥のリスクも高まります。ただし、食べられない原因には口腔内の痛み・便秘・感染症・薬の影響など治療可能なものもあるため、原因の確認が重要です。

排泄・着替え・食事などに全面的な介助が必要になる

排泄・更衣・清潔保持・食事など、日常生活の多くを一人で行うことが難しくなります。介助の際もできる動作まで奪わず、本人のペースに合わせることが尊厳を守るうえで大切です。

筋肉のこわばりや拘縮が見られる

身体を動かす機会が減ると、筋肉や関節がこわばり、手足を動かしにくくなることがあります。無理に動かすと痛みにつながるため、姿勢や関節の状態は看護師、理学療法士などに相談しながら調整しましょう。

寝ている時間が増え呼びかけへの反応が少なくなる

活動量や覚醒時間が減り、日中も眠っている時間が長くなることがあります。ただし、急に眠り方が変わった場合は、脱水・感染症・薬の副作用・低血糖など別の原因が隠れている可能性もあります。

体重減少や低栄養が進む

食事量の減少や嚥下機能の低下、活動量の変化などに伴い、体重や筋肉量が減少することがあります。食事量だけでなく、体重の変化・尿量・口腔内の状態・発熱なども含めて確認し、医療・介護職へ共有しましょう。

誤嚥性肺炎などの感染症を起こしやすくなる

嚥下機能が低下すると、食べ物や唾液が気道に入る誤嚥が起こりやすくなります。高齢者では肺炎でも高熱が出ないことがあるため、咳や痰だけでなく、食欲低下・元気がない・呼吸が普段より速いといった変化にも注意が必要です。

誤嚥性肺炎の兆候や予防を詳しく知りたい方は、YAYAの関連記事もあわせてご覧ください。誤嚥性肺炎とは?症状や予防・治療方法を分かりやすく解説

認知症末期と「最期が近いとき」に見られる変化の違い

認知症の末期は、認知症が重度まで進行した状態を表す言葉として使われます。一方、「最期が近い状態」は、認知症の重症度だけでなく、全身の機能が低下して人生の最終段階に近づいている状態を指します。両者は重なることがありますが、同じ意味ではありません。

認知症末期で見られやすい変化人生の最終段階で見られることがある変化
意思疎通が難しい、歩けない、嚥下が難しい、全面介助が必要など食事・水分摂取がさらに減る、覚醒時間が短くなる、呼吸のリズムが変わる、尿量が減る、手足が冷たくなるなど
状態が長期間続く場合もある状態の変化が比較的短い期間で進む場合がある
症状だけで余命を判断できない複数の変化を医療者が総合して状態を判断する

参考:富士在宅診療所「老衰で亡くなる直前の兆候(サイン)」 老衰の進行過程と一般的な経過

食事や水分をほとんど摂れなくなることがある

全身状態が低下すると、食欲や飲み込む力がさらに弱くなり、少量しか口にできなくなることがあります。ただし、急に食べられなくなった場合には、感染症、口腔内の痛み、便秘、薬の影響などが原因の可能性もあるため、医療者への相談が必要です。

眠っている時間が長くなり反応が弱くなることがある

覚醒している時間が短くなり、呼びかけに対する反応が弱くなることがあります。急激な意識状態の変化は、認知症の自然な経過だけでは説明できないこともあるため、普段との違いを医療・介護職へ伝えましょう。

呼吸・尿量・手足の温度などに変化が見られることがある

人生の最終段階では、呼吸の速さやリズムが変わる、尿量が少なくなる、手足が冷たくなるなどの変化が見られることがあります。ただし、これらの変化の現れ方や時期には個人差があります。

症状だけで死期や余命を正確に判断することはできない

「食べられなくなったからあと何日」「寝てばかりだからもうすぐ」といった判断はできません。現在の状態、基礎疾患、感染症などの合併症、栄養・水分摂取、呼吸状態などを踏まえ、主治医や看護師から説明を受けることが重要です。

認知症末期の余命はどれくらい?

認知症末期の余命には大きな個人差があり、一般的な「平均余命」や「食べられなくなってからの期間」といった数字だけで、目の前の本人の経過を予測することはできません。認知症の種類や発症年齢、心臓・肺・腎臓などの持病、肺炎などの合併症、食事や水分の状態によっても異なります。

「末期」という言葉だけでは余命を決められない

認知症の重症度が高く、生活のすべてに介助が必要な状態でも、その状態で長く生活する方がいます。逆に、肺炎や心不全などの合併症をきっかけに、短期間で全身状態が悪化する場合もあります。大切なのは、一般的な数字ではなく本人の経過を継続的に評価することです。

食べられなくなっただけでも余命は判断できない

食事量が減ることは重要な変化ですが、原因によっては治療可能な場合もあります。国立長寿医療研究センターや健康長寿ネットでも、重度認知症で食べられない場合には、まず合併症や口腔内トラブル、薬剤など治療可能な原因がないか確認する重要性が示されています。

参考:国立長寿医療研究センター「認知症の人と上手に向き合うために」/健康長寿ネット「認知症の人のエンドオブライフ・ケア」

今後の見通しは主治医や看護師に確認する

「今はどのような状態なのか」「今後どのような変化が起こり得るのか」「急変時は誰に連絡するのか」を具体的に確認しておくと、家族が突然の変化に直面したときの不安を減らしやすくなります。

認知症末期で注意したい合併症・全身状態の悪化

認知症が進行すると、嚥下機能・活動量・栄養状態が低下し、肺炎や感染症などの合併症が起こりやすくなります。認知症の方の最期の経過には個人差があるため、「認知症の死因はこれ」と一つに決めるのではなく、起こりやすい問題を理解して早めに対応することが大切です。

誤嚥性肺炎などの肺炎

嚥下機能が低下すると、食べ物や唾液を誤嚥し、肺炎につながることがあります。繰り返す肺炎は体力を消耗させ、全身状態を悪化させる要因になります。

低栄養・脱水・身体機能の低下

食事や水分を十分にとれない状態が続くと、低栄養や脱水につながります。筋肉量が減ることでさらに活動性が低下し、褥瘡や感染症のリスクが高まることもあります。

尿路感染症などの感染症や持病の悪化

寝たきりや免疫力の低下により、尿路感染症や皮膚の感染症などが起こることがあります。また、心疾患や呼吸器疾患など、もともとの持病が全身状態に影響することもあります。

参考:日本終末期ケア協会「ターミナルケア(終末期医療)」ターミナル期に出現する症状の特徴

参考:富士在宅診療所「繰り返す尿路感染症」寝たきり患者さんに尿路感染症が多い理由

認知症末期で食べられない・飲み込めないときはどうする?

食事量が減ると、家族は「何とか食べてもらわなければ」と焦りやすくなります。しかし、まず必要なのは、食べられない原因を確認し、本人が安全に食べられる状態かを専門職と見極めることです。

食べられないときの確認ポイント
・突然食べなくなったのか、徐々に食事量が減ってきたのか
・むせ・咳・痰・発熱・息苦しさがないか
・口内炎・義歯の不具合・口の乾燥や痛みがないか
・便秘・脱水・薬の変更などがないか
・食べる姿勢や食事形態が現在の嚥下機能に合っているか

「認知症の進行だから」と決めつけず原因を確認する

重度認知症では、認知機能の低下そのものによって食べる動作が難しくなることがあります。一方で、肺炎・尿路感染症・口腔内の痛み・便秘・薬の副作用などでも食欲は低下します。急な変化ほど、治療可能な原因がないかを確認することが大切です。

むせ・発熱・脱水などがあれば医師や看護師へ相談する

食事中に強くむせる・食後に咳や痰が増える・発熱する・尿量が少ない・口の中が乾燥しているなどの変化がある場合は、主治医や看護師へ相談しましょう。

食事形態・姿勢・量は専門職と調整する

食べやすい食品・適切なとろみの程度・姿勢は、嚥下機能によって異なります。自己判断で刻み食やとろみを強くするのではなく、医師・看護師・言語聴覚士・管理栄養士などと相談して、その人に合った方法を検討しましょう。

無理に食べさせず本人の負担や苦痛にも配慮する

本人が強く拒否している場合や、むせが続く場合は、無理に食べさせると誤嚥や苦痛につながることがあります。「何をどこまで口から食べるか」は、本人の状態や希望、医療的な安全性を踏まえて検討しましょう。

口腔ケアを続ける

食事量が減っても、口腔内の乾燥や汚れは起こります。口の中を清潔に保つことは、本人の不快感を減らし、誤嚥性肺炎のリスクを抑えるうえでも重要です。

胃ろう・経管栄養・点滴は「本人にとって何が大切か」を軸に考える

口から十分に栄養や水分をとれなくなった場合、胃ろう・経鼻経管栄養・点滴などが検討されることがあります。どの方法にもメリットと負担があり、認知症の重症度だけで一律に選ぶものではありません。医学的な見通し、本人の価値観やこれまでの希望、家族の考えを医療・ケアチームと共有し、本人にとって最善の方針を考えます。

認知症末期で寝てばかりいるときはどうする?

認知症が重度になると、活動量の低下や体力の低下によって寝て過ごす時間が増えることがあります。しかし、「寝てばかり」という状態は認知症だけで起こるわけではありません。急に傾眠が強くなったときは、体調変化のサインとして確認が必要です。

認知症の進行によって覚醒時間が短くなることがある

活動量が減り、昼間もうとうとする時間が増えることがあります。起きている時間を無理に延ばすことよりも、本人が苦痛なく過ごせているかを確認することが大切です。

脱水・感染症・薬の影響など別の原因がないか確認する

眠気や反応低下は、脱水、感染症、低血糖、薬剤などによっても起こります。「昨日までは会話できていたのに急に起きない」といった変化は、認知症の自然な進行と決めつけず、医療者へ相談してください。

寝ている時間が長い場合は褥瘡や誤嚥にも注意する

同じ姿勢が長く続くと、皮膚に圧がかかり褥瘡のリスクが高まります。また、嚥下機能が低下している方では唾液を誤嚥することもあります。体位や寝具、口腔ケアなどは、介護職や看護師と相談しながら調整しましょう。

傾眠の原因や対処法は、YAYAの関連記事で詳しく解説しています:認知症になると寝てばかり?傾眠傾向の原因や対処法を解説

認知症末期で医師・看護師へ相談したほうがよい症状

末期の方はもともと食事量や活動量が少ないことがあり、「どこまでが普段の状態で、どこからが異変なのか」がわかりにくいことがあります。特に、以下のような急な変化があるときは、主治医・訪問看護師・施設の看護職などへ相談しましょう。

早めに医療・介護職へ共有したい変化
・急に食事や水分をほとんどとれなくなった
・急に眠り続けるようになり、呼びかけへの反応が明らかに悪い
・発熱、咳、痰、息苦しさなどがある
・食事のたびに強くむせる、飲み込めない
・痛みを訴えられなくても、顔をしかめる、呼吸が速い、身体を強くこわばらせるなど苦痛が疑われる

症状が急激・重篤な場合は、連絡先や救急対応について、あらかじめ主治医や施設と決めておくと安心です。

認知症末期を穏やかに過ごすために家族ができること

本人ができること・心地よいことをできるだけ残す

末期で介助量が増えても、本人のすべてを代わりに行う必要はありません。自分で握れる・目で追える・音楽を聞くと表情が変わるなど、その人に残っている力や心地よさを大切にします。

言葉にできない苦痛のサインを確認する

痛みや息苦しさを言葉で伝えられない場合でも、表情・呼吸・声・身体のこわばり・落ち着きのなさなどに変化が表れることがあります。普段と違う様子があれば医療・介護職と共有しましょう。

反応が少なくても穏やかに声をかける

反応が少ないときでも、本人に聞こえているかどうかを家族だけで判断することはできません。「返事をしてもらう」ことを目的にせず、名前を呼ぶ・今から行うケアを伝える・好きだった話題を短く話すなど、安心できる関わりを続けましょう。

家族だけで介護を抱え込まない

食事・排泄・体位調整・急変への対応まで家族だけで担うと、身体的・精神的な負担が大きくなります。在宅であればケアマネジャー・訪問診療・訪問看護・訪問介護などを組み合わせ、施設では看護・介護職に不安や希望を共有しましょう。

認知症末期の医療・延命治療について家族で考える

認知症が進行すると、本人が自分の希望を言葉で伝えることが難しくなる場合があります。だからこそ、本人の意思を確認できる段階から、どのような生活や医療を望むのかを家族や医療・ケアチームで共有しておくことが重要です。

ACP(人生会議)は本人が意思を伝えられる段階から行う

ACP(アドバンス・ケア・プランニング、人生会議)は、もしものときに望む医療やケア、大切にしたいことについて、本人・家族等・医療やケアの関係者が繰り返し話し合い、共有するプロセスです。厚生労働省も、本人の意思決定を基本とし、心身の状態によって意思が変わり得ることを踏まえて繰り返し話し合うことを示しています。

参考:厚生労働省「人生会議」ポータルサイト

本人の意思確認が難しい場合は、これまでの価値観や希望を手がかりにする

本人が意思を伝えられない場合には、以前に話していた希望、生活の中で大切にしてきたこと、本人らしい選択は何かを家族等と医療・ケアチームで共有します。特定の家族だけで結論を抱え込まず、チームで話し合うことが大切です。

胃ろう・点滴などの医療処置は医療チームと相談して決める

胃ろうや点滴などを行うかどうかは、「延命するか、しないか」という二択だけで考えるものではありません。期待できる効果と負担、現在の身体状態、本人の希望を確認し、方針を決めます。

延命治療の有無にかかわらず苦痛を和らげるケアを受けられる

積極的な延命治療を行わない場合でも、痛み・息苦しさ・不安・口の乾燥などの苦痛を和らげるケアは重要です。本人が少しでも穏やかに過ごせるよう、どのような対応が可能か医療・介護職に相談しましょう。

参考:厚生労働省「人生会議とは」

看取りや終末期医療については、YAYAの関連記事でも詳しく解説しています。看取りとは?看取り介護で大切なこと3選、看取る場所を解説 終末期医療(ターミナルケア)とは?ケア内容や費用を解説

認知症末期はどこで過ごす?療養・看取りの選択肢

療養場所は「どこが一番良いか」ではなく、以下の要素を踏まえて選びましょう。

  • 本人の希望
  • 必要な医療・介護
  • 家族が担える範囲
  • 急変時の対応
療養場所主な特徴確認したいこと
自宅住み慣れた環境で過ごしやすい。訪問診療・訪問看護・介護サービスを組み合わせる夜間・緊急時の連絡体制、家族の介護負担、看取りまで対応できる在宅医療体制
介護施設介護職による日常的な支援を受けられる。看取り対応は施設によって異なる看護体制、医療連携、食事・嚥下対応、医療処置の範囲、看取り方針
病院・医療施設医療的な管理や処置が必要な場合に適する治療方針、退院・転院の見通し、本人が希望する過ごし方との整合

認知症末期に対応できる老人ホームを選ぶポイント

「認知症対応可」と書かれている施設でも、重度認知症・嚥下障害・医療処置・看取りまで対応できるかは施設ごとに異なります。現在の状態だけでなく、今後状態が変化したときに住み続けられるかを確認しましょう。

看取りまで対応しているか確認する

看取りに対応しているかだけでなく、実際にどのような体制で行うのかを確認しましょう。例え看取りに対応していても、想定外に急変した場合は対応の範囲外と判断されるケースもあります。状態悪化時に退去や入院を求められる可能性があるのかも確認しましょう。

夜間を含む介護・看護体制を確認する

看護職員が24時間常駐しているのか、夜間はオンコール対応なのかなど、施設によって体制は異なります。急変時に誰が状態を確認し、医療職へ連絡するのかを具体的に聞いておきましょう。

訪問診療・協力医療機関との連携を確認する

定期的な訪問診療の有無、急変時の医師との連携、入院が必要になった場合の協力医療機関などを確認します。

嚥下障害や医療的ケアへの対応範囲を確認する

嚥下調整食・経管栄養・喀痰吸引など、必要になる可能性のあるケアへの対応可否を確認しましょう。「今は必要ないから」と後回しにせず、状態が変わった場合の対応を聞いておくことが重要です。

急変時・終末期の方針を共有できるか確認する

救急搬送の考え方・看取りへ移行する際の説明・家族への連絡方法など、急変時の流れを事前に確認します。本人・家族の希望を施設側と共有できる仕組みがあるかも重要なポイントです。

老人ホーム全般の選び方は、YAYAの関連記事も参考にしてください:老人ホームの選び方12のポイントを介護の専門家がわかりやすく解説

静岡県で重度認知症・看取り対応の老人ホームを探している方へ
・認知症が進行すると、施設によって「受け入れ可能な症状」「対応できる医療的ケア」「看取りの可否」が異なるため、条件だけで施設を比較するのが難しくなります。
・静岡老人ホーム紹介タウンYAYAでは、本人の身体状況や認知症の症状、ご家族の希望を確認しながら、条件に合う老人ホーム探しをサポートしています。相談から施設見学、入居まで無料で利用できます。

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認知症末期の症状に関するよくある質問

認知症末期になると寝てばかりになりますか?

認知症が重度になると活動量や覚醒時間が減り、寝て過ごす時間が増えることがあります。ただし、急に眠り続けるようになった場合は脱水・感染症・薬の影響など別の原因が潜んでいる場合があるため、普段と違う変化は医師や看護師へ相談しましょう。

認知症末期で食べなくなったら余命はどのくらいですか?

食べなくなったことだけで余命を判断することはできません。食べられない原因・飲水量・全身状態・合併症などによって経過は大きく異なります。今後の見通しは、本人を診ている主治医や看護師に確認してください。

認知症末期になると家族のこともわからなくなりますか?

重度になると、家族の顔や名前を認識することが難しくなる場合があります。ただし、反応の仕方には個人差があります。名前を答えられないからといって、家族の存在がまったく伝わっていないと決めつけず、安心できる声かけや関わりを続けましょう。

認知症末期でも声かけはしたほうがよいですか?

はい。本人がどこまで理解しているかは外見だけでは判断できません。返事を求めるのではなく、「おはよう」「今から身体を起こしますね」など短く穏やかな声かけを続けることは、尊厳を守るケアにもつながります。

認知症末期で急変することはありますか?

あります。誤嚥性肺炎・感染症・脱水・心疾患などが重なることで、短期間に状態が変化する場合があります。急変時の連絡先や救急搬送の希望について、主治医・施設・家族で事前に共有しておくと安心です。

まとめ|認知症末期の症状を理解し、本人に合ったケアを考えよう

認知症末期になると、心身機能に関して以下のような変化が見られるようになります。

  • 意思疎通が難しくなる
  • 歩行や座位保持ができなくなる
  • 食事や嚥下が難しくなる
  • 寝ている時間が増える

ただし、食べられない・反応が少ない・眠り続けるといった変化をすべて「末期だから」と考えるのは適切ではありません。感染症・脱水・口腔内のトラブル・薬の影響など治療や調整が可能な原因が隠れている場合があります。普段と違う変化があれば、主治医や看護師などに相談しましょう。

また、認知症が重度になってからの経過や余命には個人差があります。本人が大切にしてきたことや希望をできる限り尊重し、家族だけで抱え込まず、医療・介護の専門職と一緒に今後のケアを考えることが大切です。

在宅での介護が難しくなった場合や、重度認知症・看取りに対応できる施設を探したい場合は、早めに施設の受け入れ体制や医療連携を確認しておくと、選択肢を持ちやすくなります。

著者プロフィール

花井 敦由奈(介護福祉士 ケアマネジャー)
花井 敦由奈(介護福祉士 ケアマネジャー)
静岡市駿河区生まれ。大学卒業後、地元の介護事業会社に就職。小規模多機能型居宅介護、デイサービス、訪問介護の現場に従事し、介護福祉士の資格を取得する。訪問介護ではサービス提供責任者として様々な在宅介護の現場を経験。お客様やご家族様とコミュニケーションを図りながらニーズを探り、ケアマネジャーと連携を取りながら様々なケースに対応してきた。

監修者プロフィール

長濵 達也(介護福祉士)
長濵 達也(介護福祉士)
幼少期を浜松市で過ごす。新卒で保険業界に就職した後、2003年より介護業界へ転身。現場での介護業務を経験したのち、相談業務やケアプランの作成、施設全般の管理に携わる。その後、静岡を離れて全国各地で事業所のケア品質向上やコンプライアンスのサポート、新規施設の開設など幅広い業務を経験。現在は地元静岡に戻り、老人ホーム紹介サービス「YAYA」の相談員として勤務している。趣味はお酒とサッカー。

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