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家族が認知症と診断されたとき、「あと何年一緒に過ごせるのだろう」「認知症になると寿命は短くなるのか」と不安になる方もいるでしょう。認知症発症後の余命には大きな個人差があり、年齢・認知症の種類・身体機能・合併症などによって変わります。とある調査では、認知症原因疾患の大半を占めるアルツハイマー型認知症の場合、診断後の平均生存期間は5.66年でした。
参考:政府広報オンライン「知っておきたい認知症の基本 認知症の主な種類」
ただし、認知症患者の寿命については、介護や医療の質・生活環境などによって大きく変動する可能性もあります。
この記事では、認知症の寿命・平均余命の考え方、種類や年齢による違い、寿命に影響する要因、進行後に起こりやすい身体変化、家族が今から準備できることを解説します。
| 先に結論 ・認知症と診断された後の生存期間には、個人差があります。 ・診断時の年齢が若いほど診断後の生存期間は長い傾向があり、年齢は余命を考えるうえで大きな要因です。 ・「認知症の種類」だけで寿命を決めることはできません。心疾患・糖尿病・肺炎・転倒など身体の健康状態も重要です。 ・余命の数字だけにとらわれず、本人の希望・介護体制・住まい・医療の方針を早めに話し合うことが大切です。 |
目次

「認知症の寿命」を調べる際は、「発症からの期間」と「診断からの期間」を区別する必要があります。認知症は症状が始まってから診断までに時間がかかることがあるため、研究によって起点が異なり、数字にも幅があります。
公益財団法人長寿科学振興財団が公開している情報によると、英国で行われた研究によって認知症患者の平均生存期間が4.5年だったことが分かっています。また、アルツハイマー病521例の追跡調査では、診断後の生存期間は男性4.2年、女性5.7年だったそうです。さらに予後に影響を与える要因には、年齢や性別だけでなく、患者の心身機能や合併症の状況も含まれることが示されました。このことから、認知症患者の平均寿命には個人差があることが分かります。2025年に公表されたシステマティックレビュー・メタ解析では、認知症の診断時点からの生存期間中央値は4.8年(研究間の四分位範囲4.0~6.0年)でした。対象は数百万人規模ですが、平均値ではなく「さまざまな人をまとめた研究結果」であり、個人の余命をそのまま当てはめることはできません。
認知症が重度になると余命に直結する
同じ研究では、認知症患者の死亡率は一般的な高齢者よりも高くなることが分かっています。特にアルツハイマー型認知症では、重度の場合肺炎での死亡が多くなります。また、重度認知症患者が半年以内に死亡する確率は24.7%であり、肺炎・発熱・摂食障害を起こした患者の半年以内の死亡率は、それぞれ46.7%、44.5%、36.8%と高くなっています。このことから、認知症の症状が進行すると余命に大きくかかわることが分かります。
参考:公益財団法人長寿科学振興財団「認知症の人のエンドオブライフ・ケア」認知症高齢者の予後と死亡原因
| 平均余命を見るときの注意点 ・「平均4.5年」と言われても、5年後に必ず亡くなるという意味ではありません。 ・認知症の種類や進行度によっても予後には差が出るため、診断が早かった人ほど「診断後の期間」は長く見えやすいため、発症年齢・診断年齢とともにの違いを考慮する必要があります。 ・主治医でも個人の正確な寿命を予測することはできません。現在の身体状態や合併症を含めて見通しを確認しましょう。 |

認知症は一つの病気ではなく、さまざまな原因疾患によって起こります。病型によって進行の仕方や併発しやすい身体症状が異なるため、生存期間にも差がみられる研究があります。ただし、年齢や合併症などの影響も大きく、病型だけで個人の寿命を判断することはできません。
参考:医療法人丹沢病院「認知症とは?4つの種類の特徴を一覧で分かりやすく解説」4種類の認知症の特徴一覧
海外の研究では、血管性認知症やレビー小体型認知症で生存期間が短い傾向を示す報告がありますが、研究対象・診断方法・年齢構成によって結果は異なります。個人の見通しは主治医に確認してください。

高齢で診断された方ほど、診断後の生存期間は短い傾向があります。これは認知症だけでなく、年齢に伴う身体機能や他の病気の影響も受けるためです。
認知症があっても、寿命に直接影響するのは肺炎・心疾患・脳卒中など別の病気であることがあります。持病を適切に管理することは、生活の質を保つうえでも重要です。
歩く力や食べる力が低下すると、転倒・活動量低下・低栄養・誤嚥などのリスクが高まります。認知機能だけでなく身体機能を一緒に見ることが重要です。
認知症が進行すると飲み込みが難しくなることがあり、低栄養や誤嚥性肺炎のリスクが高まります。むせ・体重減少・食事時間の延長などの変化を早めに共有しましょう。
認知症患者の健康を維持するためには、以下のポイントについて支援体制を整えましょう。
上記を意識することは体調維持にもつながり、穏やかな生活を続けるために役立つでしょう。

認知症は軽度・中等度・重度へ進行していくことがありますが、「初期ならあと何年」「末期ならあと何年」と段階ごとの余命を一律に示すことはできません。進行速度には大きな個人差があり、原因疾患によっても経過が異なります。
| 段階 | 見られやすい状態 | 家族が考えたいこと |
| 初期(軽度) | 物忘れ、予定・金銭管理のミスなど | 診断や治療・運転やお金・将来の希望を本人と話す |
| 中期(中等度) | 着替え・入浴・服薬・外出などで介助が増える | 介護保険サービス・見守り・在宅介護の継続可能性を検討 |
| 末期(重度) | 意思疎通、歩行、食事・嚥下などが難しくなる | 医療や看取りの方針・24時間の介護体制・療養場所を検討 |
認知症が進行して寝ている時間が増えた場合の考え方は、YAYAの関連記事でも詳しく解説しています:認知症になると寝てばかり?傾眠傾向の原因や対処法を解説

認知症が進行すると、認知機能とともに身体機能も低下ます。肺炎・感染症・栄養状態の悪化などが余命に影響することがあります。死因は人によって異なるため、「認知症だからこの原因で亡くなる」と決めつけることはできません。
嚥下機能が低下すると、食べ物や唾液が気道へ入る誤嚥が起こりやすくなります。むせ、咳、痰、発熱だけでなく、食欲低下や元気がないといった変化で肺炎が見つかることもあります。
寝たきりや活動量の低下、食事・水分摂取量の減少が重なると、尿路感染症・褥瘡(床ずれ)からの感染、脱水、低栄養などが起こりやすくなります。普段と違う状態があれば、認知症の進行と決めつけず医療者へ相談しましょう。
認知症になると、注意力や判断力の低下・歩行障害・薬の影響などが重なって転倒リスクが高くなります。骨折による入院をきっかけに活動量が低下して認知機能がさらに低下する悪循環に陥るリスクもあります。住環境の調整や薬の見直しを含めた予防が大切です。

安全面に配慮しながら、着替え・家事・散歩など本人ができる活動は続けてもらいましょう。過度過な介助を避け、自分でできることを続けてもらうと、生活の中で身体を動かす機会を保つことにつながります。
高血圧や糖尿病などの管理、薬の副作用の確認、口腔ケア、体重や食事量の確認などは、認知症が進んだ後も重要です。急な状態変化には治療可能な原因が隠れている場合があります。
本人が楽しめる会話・趣味・散歩・デイサービスなどを利用し、社会とのつながりを保ちます。「認知症を治すため」ではなく、生活の楽しみや身体活動を維持する視点で続けることが大切です。
介護者の睡眠不足や疲労が続くと、在宅介護そのものを継続できなくなる恐れがあります。ショートステイ、デイサービス、訪問介護などを利用し、家族の休息を確保しましょう。

将来の医療やケアについて、家族・医療・介護職と繰り返し話し合うプロセスがACPです。具体的には、以下のようなことについて話し合います。
誰でも想いは揺れ動き、変化します。一度決めた内容を固定するのではなく、状態や気持ちの変化に合わせて見直しましょう。
認知症の進行に伴い介護量が増える可能性があります。在宅介護を続ける場合も、将来施設へ入居する可能性を考慮し、元気なうちから費用・場所・受けられるケアを確認しておくと選択肢を持ちやすくなります。
施設選びの基本はこちら:老人ホームの選び方12のポイントを介護の専門家がわかりやすく解説
判断能力が低下すると、銀行取引・不動産売却・各種契約などが難しくなることがあります。本人に判断能力がある段階で、資産状況・代理人制度(任意代理人契約、成年後見制度)・家族信託などについて必要に応じて専門家へ相談します。
受診・介護・金銭管理・緊急時対応を特定の家族だけに集中させず、できる範囲で役割を分担しましょう。近隣の家族が日常的な介護や身元引受人を担当し、遠方の家族は主介護者の休息確保や金銭面での支援を担当するなど、住んでいる場所に応じた分担も考えられます。

認知症のある人は、同年齢の認知症がない人と比べて生存期間が短い傾向を示す研究があります。ただし、診断年齢や認知症の原因疾患・合併症・身体機能などによる差が大きく、個人の寿命を一律には判断できません。
一部の研究では平均4.5年という結果が示されていますが、個別性が強い傾向にあります。心配なことがあれば、主治医や認知症の専門医に相談するとよいでしょう。
研究によって幅があります。アルツハイマー型は他の一部の認知症より長い生存期間を示す傾向があります。ただし個人差が大きいため、年数だけで将来を判断しないことが大切です。
「末期=1~2年」とは限りません。摂食機能・身体機能、誤嚥性肺炎などの合併症などによって変化します。まずは、現在の状態について主治医へ見通しを確認してください。

認知症の診断後の平均余命については、およそ4.5年前後という研究がありますが、診断時年齢や認知症の原因疾患、身体状態によって大きく異なります。平均値は将来を考える参考にはなっても、本人の寿命を決める数字ではありません。
大切なのは、持病・食事内容・嚥下・活動量・転倒など身体全体の健康を支えながら、本人がどのように暮らしたいかを家族全体で共有・支援することです。介護依存度が重くなってから慌てないよう、医療・介護サービスや住まいについても早めに情報収集しておきましょう。
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