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親の認知症に悩む家族の方へ、認知症の親とコミュニケーションする際に大切な3つのこと

2024年12月26日
竹花 渉(介護福祉士)
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ご飯を食べたのに「まだ?」という方への対応

認知症を患っている方の中には、ご飯を食べたのにまだ食べていないと訴える人もいます。このようなとき、どのように対処してよいのかわからない方は多いのではないでしょうか。さまざまな対応が考えられますが、以下代表的な対処法をピックアップしました。

準備中だと伝える

「ご飯まだ?」と伝えてくる認知症の方は、実際に空腹でアピールしているわけではありません。もちろん、お腹が空いて「ご飯まだ?」と聞いてくることもあるかもしれませんが、食事からそれほど時間が経っていないのなら、食べたこと自体を忘れているケースがほとんどです。そのため、「今準備中だからもう少し待ってね」といった具合に対応すれば、本人は納得し、そのまま忘れてくれる可能性があります。

もう一度ご飯を提供する

すでに食事を終えていても、再度ご飯を提供することにより、納得してくれる可能性があります。食事したばかりなら食べられないかもしれませんが、本人の気持ちが納得するため、対処法としてはアリです。なお、提供するときはなるべく量を少なくしたほうがよいでしょう。

代替物を出す

同じ分量の食事を提供してしまうと、食べることでカロリーオーバーとなるおそれがあります。塩分のとりすぎも懸念されるため、代替物を用意するのもひとつの手です。饅頭やお菓子などでもよいですが、やはりカロリーが気になります。トータルでの摂取カロリーも考えて提供することを忘れないでください。最近では、糖質ゼロで美味しいお菓子もあるため、そのようなものを選ぶとよいかもしれません。

同調する

食べたことを忘れているだけなら、とりあえずその場で同調してあげると納得してくれる可能性があります。「ご飯まだ?」といわれたとき、「ごめんね、そういえばまだだったね」といった具合です。「今から準備するから待っててね」のように、さも食事をとっていないような対応をすることで、それ以上のアピールを防ぐ効果が期待できます。

自分の住まいにいるのに「帰る」という方への対応

これも、認知症の患者にはよく見られる症状のひとつです。自宅で過ごしているにも拘わらず、「帰る」と口にするケースもあれば、「仕事へ行かなきゃ」と徘徊を始めようとすることもあります。以下、自宅にいるのに「帰る」という方への対処法をまとめました。

言葉でひきとめる

できるだけ、相手が納得できるような言葉で引き止めることが大切になります。「一緒にご飯を食べていけばどう?」といった具合です。「明日帰れば?」というのは逆効果となるおそれがあるため、注意が必要です。本人は、帰らなければいけないと思っているため、帰ると口にしています。明日でもいいのでは、といった提案は反感を招いてしまうおそれがあるため注意してください。

その方の頼りにしている人に登場してもらう

その方が頼りにしている人がいるのなら、連絡をとってみるのもひとつの手です。その人に連絡して「〇〇さんがもう少しで来てくれるみたいだから、一緒に待っていようか」といった感じです。自分が頼りにしている人が来てくれることで、認知症の方が安心してくれる可能性があります。徘徊を防ぎ、なおかつ約束を守ることで信頼関係をより強固なものにできるメリットがあります。

実際に外出してタイミングを見てさりげなく誘導する

とりあえず外出することで、本人が納得する可能性があります。このような方は、無理に引き止めるのではなく、外出させて様子を見ながら自宅へ誘導しましょう。1人で長時間外へ放置してしまうのはさすがに危険であるため、近くで見守ってください。周りを見てきょろきょろし始めるタイミングで声をかけ、自宅に誘導します。

実際に外出して帰るきっかけを作る

たとえば、外で一緒に買い物をして、「そういえば今日は〇〇さんが来るから、今から家で食事を作ろうか」と提案するようなことが挙げられます。何かしら帰るきっかけを作ってあげれば、意外と聞いてくれる可能性はあります。

どうやったら説得できるか試す

認知症の方を説得するのは簡単なことではありません。しかし、説得できないからと放置もできないため、どのようにすれば説得できるのか、いろいろと試してみましょう。日常的なコミュニケーションの中で、さまざまな言葉をかけ、どうすれば説得できるのかを見極めてください。なお、よい人間関係が構築できていれば、安易に説得に応じてくれることがあります。日ごろから、よい人間関係を築けるよう努めてください。

お金に執着する方への対応

まず、現金や通帳を家族がしっかりと管理することが大前提です。それだけでは、「自分のお金がなくなった」「全部使ってしまったのでは」と不安になる可能性があるため、安心してもらうことが大切です。「最近物騒だから、お金と通帳は私がきちんと管理しているからね」と、安心できる言葉をかけてあげましょう。日ごろから、こまめに伝えることが大切です。

納得してもらうために大切な3つのこと

認知症であっても大切にしたいことは次の3つです。

  • 本人の意思で選択してもらう
  • 選択できる環境を整える
  • 周囲の人が確認して見届ける

判断力は低下しているものの、家族や周りの人の意見を押し付けてしまうと今後のコミュニケーションに支障が出る可能性があります。最終的に本人の意思で選択できるように、家族が中心となり環境を整えていきましょう。そしてどんな選択でも、周りが温かく見届ける気持ちも大事です。

認知症の親の在宅介護で限界がきたら老人ホーム探しを始めてみましょう

認知症の親を在宅で介護していると、日々の対応に追われ、心身ともに疲れを感じることがあるでしょう。ご飯を食べたことを忘れてしまったり、自宅にいるのに「帰る」と言い出したりする親に対して、どうすればよいのかと悩むことも多いかもしれません。あなたができる限りの工夫を凝らし、最善を尽くしていることは間違いありません。しかし、それでも限界を感じる瞬間が訪れることもあります。

そんな時、自分を責める必要はありません。在宅での介護が難しくなったと感じたら、無理をせず、老人ホーム入居という選択肢を検討してみてください。老人ホームでは、専門的なケアを提供するスタッフが24時間体制でサポートしてくれます。あなたが安心して、そして親御さんが安全に過ごせる環境を整えることができるのです。

早めに入居を検討することで、心の余裕を持ち、親御さんとの大切な時間をより豊かに過ごせるかもしれません。介護を続けることの大切さと同時に、あなた自身の心身の健康も大切にしてください。あなたが健康であることが、親御さんの幸せにもつながるのです。どうか一人で抱え込まず、必要なサポートを得るための選択肢として、老人ホームを検討してみてください。

グループホームは、認知症患者専用の施設なので、認知症の高齢者が安心して暮らすことができます。少人数での共同生活を送りながら、認知症について理解のある専門スタッフが24時間体制でケアを行い、家庭的な雰囲気の中で自立を支援します。認知症の進行を緩やかにする効果も期待できるため、ご家族にとっても安心です。入居には、65歳以上で要支援2以上の認定が必要ですが、今後の生活をより豊かにする選択肢として、ぜひ前向きに考えてみてください。

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著者プロフィール

竹花 渉(介護福祉士)
竹花 渉(介護福祉士)
富士宮市生まれ。大学を卒業後、地元静岡県に戻り介護事業会社に就職。グループホーム、サービス付き高齢者向け住宅、デイサービス等の現場経験を経て介護福祉士を取得。富士市内のデイサービスの管理者としても従事してきた。現場業務のみならず売上管理や様々なケースのお客様対応、スタッフとのコミュニケーションなどを経験し、施設運営のノウハウを身につけてきた。

監修者プロフィール

増田 高茂(社会保険労務士 介護支援専門員 介護福祉士 第二種衛生管理者)
増田 高茂(社会保険労務士 介護支援専門員 介護福祉士 第二種衛生管理者)
多くの介護事業所の管理者を歴任。小規模多機能・夜間対応型訪問介護などの立ち上げに携わり、特定施設やサ高住の施設長も務めた。社会保険労務士試験にも合格し、介護保険をはじめ社会保険全般に専門知識を有する。現在は、介護保険のコンプライアンス部門の責任者として、活躍中。

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