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介護お役立ち情報

認知症が進行 要介護者との正しい付き合い方

2024年10月9日
竹花 渉(介護福祉士)
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認知症が進行しても、患者である前に一人の人間である

認知症は、認知機能が低下し、日常生活全般に支障が出てくる状態です。認知症の進行が進むと話が伝わらなかったり、会話ができなかったりします。そんな姿を見ると、どうしても1人の人というより「認知症を患ってしまった方」と捉えてしまうかもしれません。しかし、認知症が進行した人と接するためには一人の人間であるということを理解し、どのように心に寄り添えばいいのか考えなければいけません。どのように接していくことが大切なのか紹介します。

認知症が進行した時①個々が大切にしていることに目を向ける

目の前にいる人を、認知症が進行した人とだけ認識してしまうとそれぞれの価値観や考え方の違いに気づけません。認知症が進行してもそれぞれ個々に大切にしていることがあり、一人ひとり得意なことや苦手なことがあります。表に現れて進行が進んでいる症状だけでなく、その根底にどのような気持ちがあるのかを知ることで、一人ひとりに合った対処法を見つけることができるでしょう。

認知症が進行した時②少しのリスクも時には必要

認知症が進行すると、日常生活すべてに支障があるものと思い込む人は少なくありません。しかし、認知症の進行や、個人差によって可能なことは違います。基本的に介護現場ではリスク回避が優先されています。しかし、必ずしもリスクを回避すれば要介護者(認知症の方々)が快適に過ごせるわけではありません。家から全くでなければ転倒やトラブル、事故からは守ることはできます。しかし、リスクを避けるあまりに本人ができることをやめさせてしまえば、認知機能の低下が進んで認知症の進行が進むこともあります。本人ができることや、やりたいという意欲があるものに関しては、ある程度のリスクを取ってもさせてあげる事をおすすめします。例えば、買い物はさまざまな商品が並ぶスーパーや商店街は歩いているだけでも楽しめます。ワクワクすることによって脳のさまざまな部分が活性化します。また、外出すると気温や匂いなど五感も刺激されるでしょう。買い物ができれば家族の役に立ち、人に喜ばれる嬉しさ、意欲、自信を育むきっかけにもなります。

認知症が進行した時③介護者と利用者の対等な関係づくり

介護者は利用者にとって頼れるパートナーです。しかし、介護者が言っていることが正しい、こうであるべきだという考えは必ずしも正しいわけではありません。ただ相手の言うことを受け入れるだけでは、コミュニケーションは一方通行です。認知症が進行してしまった人が自分の意見を周りの家族や介護職員に伝えるためには、気になることや怖いもの、不安を口に出せる雰囲気が大切です。十分に信頼関係を築いて、お互いに腹を割って話せるようになることが目標です。

認知症が進行した時④介護者の都合ばかり優先しない

普段生活していれば用事を抱えていたり、時間に追われていたりすることもあるでしょう。「あまり介護に手間がかかっては困る」というのも、介護者の本音です。しかし、「困る」という介護者の都合だけで、ケアを決めてしまうことは避けるようにしてください。介護の現場でやり方が決まっているものには理由があります。例えば、他の作業があるからと、食事介助の時間に次々に食事を口に押し込んでいけば、嚥下困難でトラブルに発展するかもしれません。介護者の都合ばかりを優先せずに、その介助をなぜ行うのか考えて行動するということが、安全かつ適切に介護を行うためには不可欠です。

認知症が進行したら、日頃の人間関係が重要

認知症のケアは介護者と介護利用者の関係作りからスタートします。認知症が進行した人は、症状に対する不安や周囲への恐怖を抱えています。親子であっても、年が離れていても自分の弱い姿は人に見られたくないと感じるのが自然です。人間関係が良くないと、素直に助けを求められず、より孤独になってしまうでしょう。どうしても介護者と介護を受ける側には上下関係が生じてしまうことがあります。また、一生懸命に介護に取り組む人ほど、思ったように上手くいかなくて、要介護者につらく当たってしまうこともあるでしょう。

大切なのは、介護を受ける人、認知症が進行している人の心に寄り添って、同じ目線に立つことです。生活や人生をより楽しむために、パートナーとしてサポートできる存在が理想です。

認知症が進行した時、家族以上に本人が悩み苦しんでいる

認知症は周囲の人間はもちろん、認知症と診断された本人も辛い思いをしています。思考力や判断力が低下すれば、自分がどうしてここにいるのか、目の前にいるのが誰なのかわからない状態になり緊張や恐怖を抱えてしまうことがあります。「いつ帰れるの?」「迎えはまだ?」といった言葉は不安や恐怖の現れです。そのような場合は、認知症が進行しているからと言ってまずは否定をしないことがポイントです。相手の言うことや気持ちを受け止めて、共感してください。

認知症が進行しても、一瞬一瞬を大切に生きるために今できることを考えよう

認知症の要介護者にとって、80代や90代になっても日々の生活は大切な時間です。年齢を重ねると、やりたいことを諦めてしまいがちですが、その結果、「あれがしてみたかった」、「こうしておきたかった」という後悔や未練を抱くことが多くなります。もちろん、健康状態や身体的な制限から、全ての願いを叶えることは難しいかもしれません。しかし、だからと言って無理だと決めつけてしまうと、要介護者の心には後悔や悲しみが残ってしまいます。介護者としては、その人の気持ちに寄り添い、可能な限り望みを実現できるように努めることが重要です。

たとえ小さな願いであっても、その人にとっては大きな意味を持つことがあります。例えば、庭の花を見たい、お気に入りの料理を食べたい、昔の写真をもう一度見たいといった簡単なことでも、心に安らぎを与えることができるのです。こうした小さな希望を叶えることで、本人にとっての「生きる喜び」や「楽しみ」が増し、精神的な安定にもつながります。認知症の進行により、記憶が薄れていく中でも、その瞬間の幸せを感じてもらえることが、介護者にとっての大きなやりがいとなるでしょう。

さらに、認知症の進行度に応じて、その人の行動や反応も変化します。初期の段階では、比較的多くのことを自分でできるかもしれませんが、進行が進むと、身の回りのことを一人でこなすのが難しくなることも多いです。そのため、介護者はその時々の状況に応じたサポートを行う必要があります。過去の習慣や趣味を大切にし、その人が持つ個性を尊重しながら、できる範囲でその人らしい生活を支援していくことが求められます。

また、認知症の要介護者は、自分自身の意志をうまく伝えられないことが増えてきます。このような場合でも、表情や態度、言葉の端々に表れる感情や願いを読み取り、可能な限りその気持ちを尊重することが重要です。「無理だから」、「できないから」と決めつけるのではなく、できることを探し、その人の心に寄り添う姿勢が大切です。

介護者自身も日々の介護に追われ、精神的・肉体的な負担を感じることが多いかもしれません。しかし、要介護者が持つ小さな願いを叶えることで、介護者自身も充実感や達成感を得られることが少なくありません。共に過ごす時間が、より良いものとなるよう、できる限りの配慮を忘れずに対応することが大切です。

結論として、認知症の要介護者にとって、日々の生活は非常に貴重なものです。年齢や病気が進行する中でも、本人の意志や願いを大切にし、できる限りその希望を叶えることで、残りの人生を豊かに過ごす手助けをしましょう。介護者としては、その人の立場に立ち、心に寄り添う姿勢を常に持ち続けることが必要です。それが、要介護者だけでなく、介護者自身の心の安らぎにもつながるのです。

認知症が進行したとき…認知症の方が入居できる施設を検討してみよう

認知症の介護は、家族にとって本当に大変なことです。毎日のケアに加え、思いがけない行動や会話の中で、どう対応すればよいか悩むことも多いでしょう。愛する家族が少しずつ変わっていく姿を見るのは、心苦しく感じるかもしれません。しかし、ひとりで抱え込まないでください。認知症の方が安心して過ごせる環境を提供するグループホームのような施設があります。これらの施設では、専門的なケアを受けられるだけでなく、日常生活のリズムに合わせた柔軟なサポートが受けられます。あなたが一人で頑張る必要はありません。家族を大切に思う気持ちはそのままに、専門の施設を検討することが、ご自身や大切な家族にとって最善の選択かもしれません。悩んでいる今こそ、グループホームのような「認知症の方が入居できる施設」を考えてみてはいかがでしょうか。

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介護の限界を感じる前に、専門家や専門施設に相談することも重要です。静岡老人ホーム紹介タウンYAYAでは、見学や相談も随時受け付けておりますので、どうぞお気軽にお問い合わせください。大切なご家族が安心して生活できるよう、私たちのサポートをぜひご活用いただければ幸いです。

著者プロフィール

竹花 渉(介護福祉士)
竹花 渉(介護福祉士)
富士宮市生まれ。大学を卒業後、地元静岡県に戻り介護事業会社に就職。グループホーム、サービス付き高齢者向け住宅、デイサービス等の現場経験を経て介護福祉士を取得。富士市内のデイサービスの管理者としても従事してきた。現場業務のみならず売上管理や様々なケースのお客様対応、スタッフとのコミュニケーションなどを経験し、施設運営のノウハウを身につけてきた。

監修者プロフィール

増田 高茂(社会保険労務士 介護支援専門員 介護福祉士 第二種衛生管理者)
増田 高茂(社会保険労務士 介護支援専門員 介護福祉士 第二種衛生管理者)
多くの介護事業所の管理者を歴任。小規模多機能・夜間対応型訪問介護などの立ち上げに携わり、特定施設やサ高住の施設長も務めた。社会保険労務士試験にも合格し、介護保険をはじめ社会保険全般に専門知識を有する。現在は、介護保険のコンプライアンス部門の責任者として、活躍中。

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