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寝たきり老人の介護に疲れた家族が知っておきたい施設探しのポイント

2025年5月2日
奥川 敦史(認知症介護実践者研修修了)
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寝たきりとは?その定義と原因を知ろう

寝たきりとは?その定義と原因を知ろう

一般的に、「寝たきり」とは自分一人では身動きが取れず寝たままの状態になっていることをイメージする方が多いでしょう。この印象は間違っておらず、身体機能の低下によって自力では行動できない状態を指します。その原因は病気・怪我・老衰などで、寝たきりのままにしておくとさまざまなリスクがあります。まずは寝たきりの定義や原因、リスクについて詳しくご紹介します。

寝たきり状態とはどのようなものか

寝たきり状態とは、さまざまな原因によって生じる身心機能の低下により、自力で起き上がったり、座ったり、移動したりすることが困難な状態のことをいいます。食事・入浴・排泄・更衣といった普段我々が普通にしている行動のほとんどがベッド上で行われているイメージです。常時かつ全面的な介護を必要となります。介護保険サービスを利用するために必要な全7段階の要介護認定では、ほとんどのケースで要介護4以上が該当し、最重度に分類されています。また、厚生労働省が示している「障害高齢者の日常生活自立度(寝たきり度)」という判定基準では、主にランクC(1日中ベッド上で過ごし、排泄、食事、着替えにおいて介助を要する)が寝たきり状態を示しています。

寝たきりになる主な原因

寝たきりに至る原因は、疾病・怪我・老衰(衰弱)などさまざまです。複数の要因が組み合わされて寝たきりになることもあります。例えば、脳血管疾患(脳梗塞や脳出血など)による後遺症や、認知症の重度化による意欲低下・行動障害が挙げられます。また、転倒等による骨折(特に大腿骨など)で、一時的に動けなくなった際に筋力や意欲が低下し、そのまま動けなくなるときもあります。手術や治療で改善しても、痛みや再転倒への恐怖心から活動が著しく低下し、結果的に寝たきりに繋がります。さらには、加齢による心身の衰弱も活動性を制限するため、寝たきりの一因となりえます。これ以外にも、変形性膝関節症・パーキンソン病・がん・糖尿病などさまざまな病気の症状や治療の影響で身体活動を困難にし、寝たきりの原因となることがあります。病気や手術後の長期安静が、意図せず筋力低下(廃用症候群)を招くことも影響します。急病で突然寝たきりになってしまうケースもありますが、どちらかと言えば複数の要因が重なって生じた悪循環により、徐々に寝たきりになることの方が多いでしょう。

寝たきりがもたらすリスク

寝たきり状態をそのままにしておくと、心身にとってさまざまなリスクをもたらします。特に気を付けたいのが、誤嚥(ムセ込み)・廃用症候群・褥瘡・排泄・認知症悪化の問題です。まず、寝ている時間が増えると徐々にベッドから起こしても姿勢が崩れることが増えるようになります。そうすると飲食をしたときに食道ではなく気道に入ってしまい(誤嚥)、重篤な誤嚥性肺炎になって命にかかわるケースもあります。また、体を動かす機会が失われることで筋肉の萎縮・関節の拘縮・骨密度の低下などがおきるだけでなく、意欲が低下して悪循環が生まれます(廃用症候群)。そして、ベッドで寝ている時間が長くなると、体の重みで皮膚が長時間圧迫され血流が悪くなり、皮膚や組織が壊死する「褥瘡(じょくそう)」が発生します。褥瘡が悪化すると傷口から感染し、敗血症のような重篤な状態になる危険があります。さらに、排泄や認知症の問題も深刻です。ベッド上での生活は、外部からの刺激が少なくなりがちで、人との交流も減るため、認知症の進行を早めます。それに伴って活動低下による便秘や、筋力低下・意思疎通困難による失禁(尿・便)が起こりやすくなります。おむつ使用時は、こまめな交換と陰部の清潔ケアを怠ると、皮膚トラブルや尿路感染症の原因となるため、注意が必要です。これらのリスクはお互いが悪影響を及ぼし合う関係性にあり、要介護者の生活の質(QOL)に非常に大きな影を落とします。リスクを減らすためには、寝たきりになるための悪循環を断ち切る予防的なケアが非常に重要です。

家族による在宅介護の注意点

家族による在宅介護の注意点

在宅で家族が中心となって寝たきり状態の方を介護する場合は、いろいろな負担がのしかかります。体への負担やストレスよりも介護を優先してしまうことが続くと、介護者自身が健康を崩すだけでなく、最悪の場合は共倒れや介護殺人というような事件にまで発展する危険があります。専門家ではない家族が在宅で介護する際の注意点を、3つのポイントに絞ってご紹介します。

身体的・精神的な負担

在宅介護を行う家族には、身体的・精神的な負担が生じます。身体面では、重度な身体介護を繰り返すことによる腰痛・関節痛や疲労、夜間の対応による慢性的な睡眠不足などが考えられます。また、精神面では24時間体制の緊張感、将来への不安、介護中心の生活による社会的孤立感、自分の時間が持てないストレスなどが重くのしかかります。 身体的・精神的負担が蓄積すれば、「介護疲れ」や「介護うつ」などに繋がり、介護者自身が心身の健康を損ねてしまう危険性があります。負担を軽減するためには、無理せず介護保険サービスなどを利用して負担軽減を図ることが重要です。

介護離職や共倒れリスク

過去、「自分の親は自分で見る」「嫁に介護を任せる」といった考え方が主流でした。しかし現在、在宅介護の負担が増えることで生じる「介護離職」や「共倒れ」を社会問題として捉えることが一般的になっています。介護離職は、介護者の収入減・キャリア中断・社会との断絶などにより、介護者自身の将来に影を落とします。また、介護者が疲弊し心身の不調をきたすと、要介護者と共に生活が破綻する「共倒れ」の危険も増大します。在宅で寝たきりの方を介護する際は、一人で抱え込まず、外部の専門家に相談しながら適切なサービスを利用して心身の負担を軽減することが極めて重要です。

訪問介護・デイサービスだけでは足りないケースとは?

寝たきり状態になると、食事・排泄・更衣など24時間体制での重介護が必要となります。そのため、一日のうちごく短時間である訪問介護や、日中帯の6~8時間程度が中心であるデイサービスだけではサービスが足りないと感じることが増えます。例え要介護4以上の認定を受けていたとしても、際限なく介護保険サービスを安価で利用できるわけではありません。上限額を超えると全額自己負担となり、非常に高額となってしまうことから、最終的には介護者が足りない分を介護せざるを得なくなります。 このように、いくら介護保険サービスをフルに使ったとしても、いずれは在宅介護に限界を感じる時が来るでしょう。そんなときは、無理せず寝たきり状態の方でも入所できる老人ホームへの入所を検討しましょう。希望してもすぐに入所できるとは限らないため、少しでも辛さを感じた時点から情報収集や申し込みをしておくことがおすすめです。

寝たきりでも入居できる老人ホームの種類

寝たきりでも入居できる老人ホームの種類

老人ホームには利用者の心身状態や予算に合わせた多種多様な施設があります。ただし、全ての老人ホームが寝たきりの方に対応しているわけではありません。そのなかで、実際に寝たきりでも入所できるおすすめの施設は、以下の3種類です。

  • 介護付き有料老人ホーム
  • 医療対応型の住宅型有料老人ホーム
  • 特別養護老人ホーム

これらおすすめの3施設について、どのような点が寝たきりの方におすすめなのか解説します。

介護付き有料老人ホーム

介護付き有料老人ホームは、民間老人ホームの中で「特定施設入居者生活介護」という介護保険サービスを提供することを認められた有料老人ホームです。コンセプトに応じた多種多様なサービスや充実した設備と、24時間身体介護を受けられる充実した介護サービスが共存していることが特徴です。住宅型有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅は、人員配置や設備などの基準が最低限しか決められていません。ただし、介護付き有料老人ホームは介護保険法によってお墨付きを得た、れっきとした介護施設です。看護職員の配置も義務付けられていることから、医療面でも支援が必要になる寝たきり高齢者でも安心です。民間の老人ホームならではの自由度と、介護保険制度によって重度の要介護状態の方への対応が担保されている点が、おすすめの理由です。

医療対応型の住宅型有料老人ホーム

寝たきり状態になると医療的な支援の必要性が増え、医療機関との連携や褥瘡の処置・痰吸引等といった医療ケアが必要になります。そこでおすすめなのが、医療支援に特化した住宅型有料老人ホームです。比較的安価な介護保険の入所系サービスは必要最低限の体制になっていることもあり、看取りケア(介護中心の終末期支援)は対応していてもターミナルケア(医療ケア中心の終末期支援)には対応できない施設があるのも事実です。その一方、住宅型有料老人ホームは、施設の方針による運営の自由度が高く、要介護者に適した介護保険サービスや、保険外サービスを組み合わせて利用できるのが特徴であり、中には医療ケアに特化した施設も存在しています。費用面よりも医療ケアの充実を優先する場合は、医療対応型の住宅型有料老人ホームが重要な選択肢となるでしょう。

特別養護老人ホーム

特別養護老人ホームは、原則要介護3以上の方が入所可能な介護保険施設です。自治体や社会福祉法人が運営している公的な施設で、所得に応じた減免を受けることができます。費用が安いことや看取りケアにも対応し、寝たきりの方でも安心して預けられる人員や設備が整っている点が魅力です。その一方で、人気の高さから全国的に入居難易度が高い点がデメリットです。ただ、近年は入所系施設の多様化・地方の過疎化・入所者の高齢化による回転率の上昇等によって、以前よりも待機時間が短縮傾向にあるのも事実です。特別養護老人ホームは、寝たきりの方でも十分に対応できる介護保険施設です。以前は年単位の待機が必要な状況でしたが、近年は待機期間も短縮傾向にあります。施設によっては、併設されているショートステイを長期利用しながら待機できるところもあるので、担当のケアマネジャーと相談しながら探してみるとよいでしょう。

施設選びのポイント|寝たきりの方に適した条件とは?

施設選びのポイント|寝たきりの方に適した条件とは?

寝たきり状態に対応した施設を選ぶ際のポイントは、以下の3つです。

  • 医療対応が可能か
  • 終身利用が可能か
  • 家族との距離・面会のしやすさ

寝たきりの方は24時間体制の手厚い支援が必要となり、終末期の対応も視野に入ります。自然と施設に足を運ぶ機会が増えるため、施設と家族の距離や面会のしやすさも重要になります。 この章では、寝たきりの方の入所施設を探すポイントを解説します。

医療対応が可能か

寝たきりになると、褥瘡・肺炎・尿路感染などの合併症を起こしやすく、持病が悪化して体調が急変するリスクも高まります。そのため、医療ケアや医療機関との連携に優れた施設を選ぶことが重要です。寝たきりの方は痰吸引・経管栄養・インスリン注射・点滴・酸素吸入といった医療処置が日常的に必要になる場合があります。容体が急変した際に、迅速かつ適切な対応ができる医療連携体制が整っていれば、本人・家族にとっていざというときの安心につながります。医療面の支援の充実は、健康維持と安全な生活のために極めて重要な要素です。以上の理由から、医療ケアの充実は施設選びの重要ポイントとなるでしょう。

終身利用が可能か

寝たきりの状態は長期にわたることが多く、将来的に医療依存度が高まったり、介護度が重くなったりする可能性があります。そのため、どのような心身状態になっても安心して生活を継続できる「終身利用可」の施設の中で、どこまで医療的ケアに対応できるかを確認しておくことが重要です。状態の変化に対応できない施設の場合は、身体機能の低下や認知症の重度化によって退去を求められ、新たな施設を探さなければならなくなるリスクがあります。単に施設探しだけでなく、ようやく慣れた施設やスタッフから離れざるを得なくなることは、寝たきりの高齢者にとって大きなストレスとなるでしょう。なかには住環境が変わったショックで心身機能が低下することもあります。終身利用可能な施設であれば、環境変化のストレスから解放され、看取りまで含めた総合的な支援を受けられる安心感を得られます。住み慣れた場所で最期まで過ごせることは、施設選びの重要な要素の一つです。

家族との距離・面会しやすさ

自分で動いて出かけることが困難な寝たきりの方にとって、ご家族との面会は孤独感を和らげ、精神的な支えとなる非常に大切な時間です。そのため、家族が足を運びやすい距離にある施設を探すことはポイントのひとつです。新型コロナウイルス感染拡大による行動制限が緩和されたとしても、介護施設の場合、まだまだ一定の面会制限が敷かれている施設も多いです。施設が自宅から近く、面会時間や方法(予約の要否、オンライン面会の可否など)に柔軟性があれば、ご家族は時間的・身体的・経済的な負担を感じにくく、頻繁に訪問しやすくなるでしょう。 ご家族が気軽に訪れられる環境は、ご本人の安心感や生活の質(QOL)の向上に繋がります。また、ご家族が日常的な様子やケアの状況を把握しやすくなり、施設スタッフとのコミュニケーションや連携も円滑になるため、施設選びの重要な要素となります。

費用を安くするためには

施設入所にかかる費用は、在宅介護の時よりも高額になる傾向にあります。本人の年金で賄いきれないときは介護者が負担しがちですが、できるだけ持ち出しはせず本人夫婦の財産で支払う方法を考えましょう。子ども世代が親の介護費用を負担すると、子ども世代自身の生活に影響が出るリスクがあるからです。持ち出しなく介護費用を捻出するためには、減免制度や還付金制度を活用したり、本人の住宅を活用して得た収入を費用に充てたりする方法がおすすめです。具体的には、以下のような方法があります。

  • 障害者控除を利用し、所得控除額を増やす
  • 医療費控除を利用する
  • 本人夫婦が住民税非課税の場合、世帯分離をする
  • 各種減免・助成制度を利用する
  • 住宅に関する制度(リバースモーゲージ・リースバック等)を利用する
  • 生活保護の受給を検討する

特に、各自治体では住民税非課税世帯に対する給付・減免・助成の制度が充実しています。その多くが「申請主義」をとっているため、本来対象であっても申請しない限り制度を利用できません。施設費用の予算が厳しいと感じたときは、自治体の窓口や最寄りの地域包括支援センターへ、各種減免制度等について問い合わせてみるとよいでしょう。なお、生活保護は費用削減に非常に有効な一方で、対象になるためには厳しい条件を満たす必要があります。

寝たきりの家族がいる方へ伝えたいこと

寝たきりの家族がいる方へ伝えたいこと

まず、自宅で寝たきりの方を介護している皆さんに、敬意を表します。仮に介護福祉士やケアマネジャーの資格を持っている専門家でも、自宅で重度の方を介護することは簡単ではありません。介護保険サービス・地域の行政サービス・その他有料サービスだけでなく、親せきや近所の方にも協力を仰ぎながら、無理せず自分のペースで介護することが重要です。

一人で抱え込まず、相談することが第一歩

介護している親が寝たきり状態になると、さまざまな思いが頭をよぎります。

  • 「寝たきりの親の介護がつらい」
  • 「寝たきりで意思疎通ができない、どうすれば…」
  • 「寝たきりの親を施設に入れるのは罪悪感がある」

など、さまざまな想いや葛藤で、悩んでしまう方もいるでしょう。困ったときは、自治体の相談窓口や最寄りの地域包括支援センターに相談することがおすすめです。重要なのは、一人で抱え込まないことです。はじめは不安や恥ずかしさもあるでしょうが、きっとあなたを支えてくれるサポーターが見つかるはずです。

寝たきりなど重度な方の入居相談は、YAYAにお任せください

最後に、寝たきりをはじめとする重度要介護者が入居できる老人ホームをお探しの方に、「静岡老人ホーム紹介タウンYAYA」をご紹介します。YAYAでは、静岡県内在住の専門相談員がご家族の状況をヒアリングし、県内在住ならではの土地勘も活かした最適な老人ホームをご提案しています。希望する条件の施設をご案内するだけでなく、見学にも同行して施設選びを徹底サポートいたします。施設選びにお悩みの際は、ぜひ一度「静岡老人ホーム紹介タウンYAYA」にお問い合わせください。皆さまからのご連絡を、心よりお待ちしております。

0120-116-507
営業時間 9:00~18:00(土日祝も可)
ご来店での相談は事前にご予約ください。

著者プロフィール

奥川 敦史(認知症介護実践者研修修了)
奥川 敦史(認知症介護実践者研修修了)
静岡市駿河区生まれ。2003年より介護事業運営会社にて訪問入浴の現場業務に関わる傍ら、新規事業所開設の申請や品質管理業務といった運営本部の業務に関わる。その後もグループホーム、デイサービス、サ高住の施設長といった現場業務の他、人事、総務など老人ホーム運営業務全般に携わってきた。また、運営本部の入居相談窓口担当としてのキャリアも長く、様々なケースの相談事例に対応してきた。趣味は家族での動物園巡り。

監修者プロフィール

増田 高茂(社会保険労務士 介護支援専門員 介護福祉士 第二種衛生管理者)
増田 高茂(社会保険労務士 介護支援専門員 介護福祉士 第二種衛生管理者)
多くの介護事業所の管理者を歴任。小規模多機能・夜間対応型訪問介護などの立ち上げに携わり、特定施設やサ高住の施設長も務めた。社会保険労務士試験にも合格し、介護保険をはじめ社会保険全般に専門知識を有する。現在は、介護保険のコンプライアンス部門の責任者として、活躍中。

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