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親が突然倒れると、必然的に入院費が必要になります。倒れた原因となる病気によっては、高額になることも少なくありません。入院期間が長引けば、それだけ費用がかかることになります。こちらでは、入院にかかる費用や医療保険でカバーできる項目を解説します。経済面をサポートするさまざまな制度も紹介するため、あわせて参考にしてください。
入院費には、医療費だけでなく、食費や日用品、ベッド代といったさまざまな費用が含まれます。生命保険文化センターの調査では、入院時の自己負担費用について以下のような結果が出ています。
直近の入院時の負担費用 | |
金額 | 割合(単位:%) |
5万円未満 | 7.6 |
5~10万円未満 | 25.7 |
10~20万円未満 | 30.6 |
20~30万円未満 | 13.3 |
30~50万円未満 | 11.7 |
50~100万円未満 | 8.4 |
100万円以上 | 2.7 |
※高額療養費制度を利用した人及び利用しなかった人(適用外含む)の直近の入院時の自己負担費用の平均は20.8万円
また、自己負担費用額は入院日数が長くなるほど高くなり、61日以上入院した場合の平均額は60.9万円です。1日あたりの平均額は23,300円になるともいわれ、その額は決して低くはないことが分かります。入院費の財源には、63.4%の人が生命保険を利用し、預貯金が38.2%、家族の収入が15.3%と続きます。さきほどの表に記載された入院費は、入院に必要な生活用品の購入費や家族の交通費も合わせた額です。つまり、入院が長期的になるほど生活用品の購入費用や交通費がかさむので入院費用も高くなると考えられるでしょう。さらに、入院理由となる疾病によっても費用は異なります。公益社団法人全日本病院協会の調査によると、急性心筋梗塞や脳梗塞といった重症度が高い病気ほど治療費も高くなる傾向にあります。実際に負担する入院費はそれらの1~3割になるとはいえ、かなりの金額が必要だといえるでしょう。
病名 | 金額 |
急性心筋梗塞 | 1,784,414円 |
脳梗塞 | 1,542,822円 |
胃がん(胃の悪性新生物) | 946,748円 |
気管支がんおよび肺がん (気管支および肺の悪性新生物) | 778,162円 |
乳がん(乳房の悪性新生物) | 742,024円 |
肺炎 | 723,499円 |
糖尿病 | 653,530円 |
胃潰瘍 | 643,663円 |
喘息 | 367,281円 |
心筋梗塞や脳梗塞など、ここに記載されている多くの病気は、高齢者の発症リスクも高い病気です。退院後は後遺症が残る可能性もあります。突然の病のリスクが高い高齢者こそ、日頃からの備えが必要になってくるといえるでしょう。
参考:生命保険文化センター「令和元年度生活保障に関する調査」
参考:公益社団法人全日本病院協会「医療費(重症度別)」
入院費には、公的医療保険でカバーされるものとされないものがあります。公的医療保険でカバーされるのは、病気やケガへの直接的な治療費です。具体的には、診察や投薬、治療といった医療サービスにあたります。自己負担額は、原則として費用の3割です。就学前の子どもは2割、70歳以上75歳未満の被保険者の場合は、所得に応じて2~3割を負担します。また、75歳以上の後期高齢者医療制度の被保険者は、所属に応じて1~3割負担と定められています。
公的医療保険でカバーされないのは、治療に直接的に関わらない範囲です。具体的には、以下の項目が対象外となります。
入院中には、病状に応じた食事が提供されますが、これらは公的医療保険の対象外です。また、入院中に必要な衣類や日用品も保険でカバーされません。
さらに、面会や病状説明のために家族が病院を訪れる際、交通費がかかることがありますが、この費用も公的医療保険の範囲外です。
入院費を押し上げる要因として差額ベッド代があります。個室や少人数部屋を希望した場合に請求されますが、これは患者が希望した場合にのみ発生します。病院側が個室での治療を必要と判断した場合や、大部屋に空きがない場合には、差額ベッド代はかかりません。
また、生命保険の手続きには診断書や証明書が必要になることもありますので、準備しておきましょう。
高額療養費制度には、医療費の上限額が設けられています。入院の支払いが難しかったり、費用費負担を抑えたかったりする人の心強い味方となる制度です。1回の支払額は通常の1~3割負担ですが、月の上限額を超えた額は2、3か月後に返還される仕組みです。自己負担の上限額は、所得や年齢に応じて決定されます。また、高額療養費制度の対象となるのは、前述した公的医療保険の適応項目です。それ以外のものは、制度の対象外となるため注意しましょう。また、高額療養費制度と似た制度としてあげられるのが「限度額適用認定証」です。限度額適用認定証を取得し病院で提示すると、窓口の支払額が自己負担上限額まで制限されます。高額療養費制度のように、あらかじめ上限額以上の費用を支払う必要がありません。
さらに、払いすぎた医療費が戻るまでの間、当座の資金として利用できる貸付制度もあります。「高額療養貸付制度」と呼ばれ、払い戻される金額の8~9割相当の金額を無利子で貸付する制度です。医療費が戻ってくるまでの生活が苦しい場合は、貸付制度も視野に入れると良いでしょう。
貸付制度を利用しても支払いが難しいと言う場合は「高額療養費委任払い」を利用できます。これは、保険者から医療機関へと、払いすぎた医療費を直接支払う仕組みです。患者側は通常の金額を支払えば良いため、費用負担を軽減できます。高額療養費委任払いを利用したいときは、保険者と医療機関とが協定を締結する必要があります。自分だけの意思では利用できないため、まずは病院の会計窓口に相談してみましょう。
複数の方法を利用しても支払いが困難だという場合は、病院側に分割払いの相談をするのもおすすめです。退院後の生活もふまえ、地域の福祉機関への相談も検討してみましょう。
入院費には、公的医療保険でカバーできないさまざまな費用が存在します。入院中には、身の回りの生活用品や日用品が必要になり、これらの費用は自己負担となります。さらに、家族が病院に通う際の交通費も考慮しなければなりません。特に入院が長期化すると、こうした費用は増加し、結果的に家計に大きな負担をかけることになります。退院後の生活にも影響が出る可能性が高く、これが精神的な不安を引き起こす要因となることもあるでしょう。
このような事態に備えるためには、親が元気なうちから「もしも」に対する準備が重要です。特に入院費用や介護費用について、事前にしっかりと検討しておくことが求められます。具体的には、介護保険の利用や、必要な生活用品のリストを作成しておくことが有効です。また、家族間でのコミュニケーションを密にし、今後の生活について話し合うことで、安心感を高めることもできます。
将来の不安を軽減するためには、早めに対策を講じておくことが大切です。具体的なプランを立てておくことで、万が一の事態に直面した際にも冷静に対応できるでしょう。しっかりとした準備が、心の余裕を生むことにつながります。
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