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「要支援」と「要介護」は一見似ていますが、実際には意味が異なります。簡単に言うと、必要な介護の程度に違いがあるのです。介護レベルで言えば、要支援の方が要介護よりも軽い状態です。
「要支援」とは、入浴や着替えなどの日常生活をほぼ自分でこなせるが、少しサポートが必要な状態を指します。要支援は1から2に分かれており、それぞれのレベルに応じた介護予防サービスを利用することができます。要支援1よりも要支援2の方がサポートの必要度が高くなります。
一方、「要介護」は、身体機能や認知機能が低下し、日常生活を自分でこなすのが難しい状態です。要介護度は1から5までに分かれており、数字が大きくなるほど介護の必要度が高まります。要介護と認定されると、本格的な介護サービスを受けられるようになります。
なお、要支援1よりも状態が良いと判断されると「自立」となり、その場合は介護サービスの対象外となります。
要支援と要介護の具体的な状態を紹介していきます。1人で生活できる場合や、どのくらい介助が必要かでレベルが分かれています。
要支援1は、1人で生活はできるが、日常の複雑な動作の一部に介助を必要とするレベルです。介助を必要としていても、適切な支援で介護予防ができます。
要支援2も1人で生活ができるが、要支援1と比べて介助レベルが上がります。同じく適切な支援で、介護予防ができる状態です。介助が必要となる時間が長くなる場合は、要支援2が該当します。
要介護1は、1人で生活できるレベルだが、要支援2と比べて運動機能や認知機能の低下がみられるレベルです。具体的なサービスは、通所介護での食事・入浴・リハビリ、訪問介護による食事や入浴の介助などがあります。
要介護2は、食事や排せつなど日常生活にも介助が必要な状態です。認知機能も要介護1と比べると低下しており、問題行動がみられる場合が該当します。要介護1と同様の介護サービスに加えて、訪問看護を受けることができます。
要介護3は、日常生活全体の介助が必要なレベルです。認知機能の低下により問題行動がみられ、徘徊や妄想など日常生活に支障をきたします。要介護3に認定されると、24時間体制の見守りが必要なため、特別養護老人ホームへの入所が可能となります。
要介護4は、要介護3と比べて認知力の低下がみられるレベルです。日常生活全般に介助が必要で、意思疎通が難しくなります。症状は重度となるため、自宅での介護に限界を感じはじめるでしょう。ケアマネージャーが介護施設への入所を勧めるレベルです。
要介護5は、介護なしでは生活ができないレベルです。寝たきりで意思疎通が完全にできないケースが含まれています。自力で体を起こすことが困難になり、定期的な床ずれ予防が必要です。食事や排せつも自力で行うことができず、嚥下障害があり誤嚥により肺炎リスクが高まります。
要支援2から要介護1に移行する際の主な要因は、認知機能の低下です。認知機能に問題がなければ、運動機能が低下していても要支援2のままです。ただし、運動機能の低下だけであっても、医師が短期間で状態が悪化する可能性があると判断した場合、要介護1に引き上げられることがあります。
要支援2は、適切なサポートを受けることで、将来的に介護が必要になるリスクを防ぐことができる状態を指します。逆に、サポートを受けても改善が見込めず、介護が必要になると判断された場合には、要介護1と認定されます。要介護1の状態でも、ある程度自立した生活は可能ですが、思考力や理解力の低下が見られ始める段階です。
介護度が上がると、受けられる介護サービスの内容が変わってくるため、要支援2で提供されるサービスで不足を感じた場合は、ケアマネージャーに早めに相談することが大切です。適切なサポートを受けることで、日常生活をより安心して送れるようにしましょう。
自立・要支援・要介護といった介護認定により、受けられるサービスが異なります。それぞれ、どのような介護サービスが使えるのか知識を深めておきましょう。
介護サービスで「自立」に該当する場合は、総合事業の介護予防と日常生活支援総合事業が受けられます。総合事業は、サービスを受けられる人の自立支援を目的としています。サービスは、市町村が中心となって多様な内容を提供しています。総合事業を受けるためには、要介護認定を受ける必要があるため、まずは申請が必要です。要介護認定を受けたのち、ケアマネージャーが適切なサービスを受けられるプランを作成します。総合事業で受けられるサービス内容は、要支援や要介護レベルにより異なります。例えば、訪問介護など居宅サービス、通所リハビリなどの介護予防サービス、特別養護老人ホームなどの施設サービスなどです。
要支援と認定されると、介護予防サービス・地域密着型介護予防サービス・総合事業が受けられます。介護予防サービスは、訪問看護や通所リハビリを通し、介護予防を目的としています。利用者が自力で生活できるよう支援をしながら、状態の悪化を防ぐためのサービスです。器具の貸し出しや、短期入所での指導管理も受けられます。地域密着型介護予防サービスは、小規模型の居宅介護が受けられます。住み慣れた地域でサービスを受けられるよう、地域の特性を生かしたサービスです。利用者が地域住民と触れ合いながら、スタッフや入居者との距離が近くなります。
要介護として認定を受けると、居宅サービス・地域密着型サービス・施設介護サービスが加わります。居宅サービスは、訪問介護・訪問看護など自宅で受けるサービスのことです。地域密着型サービスは、定期巡回・随時対応型訪問介護看護と夜間対応型訪問介護・小規模多機能やグループホームでの介護サービスが受けられます。施設サービスは、特別養護老人ホーム・介護老人保健施設・介護医療型医療施設への入所が可能です。特別養護老人ホームへの入所条件は、要介護3からです。要介護になると、要支援では受けられなかった夜間対応型訪問介護・定期巡回・臨時対応型訪問介護看護・看護小規模多機能型居宅介護など、サービスの利用が可能となります。
要支援・要介護の介護度により、支給限度額が変わります。介護度は、非該当から介護5まで8段階に分けられ、それぞれ1ヶ月あたりの支給額が変わります。症状が軽ければ支給額が安くなり、症状が重ければ支給額の増額が可能です。非該当の場合は、1か月あたりの支給額が0円です。要支援1になると月ごとに50,320円になり、要支援は月105,310円に増額されます。要介護では、要介護1から以下の額です。
支給限度額とは、要支援や要介護で受けられる介護保険サービスの限度額のことです。上限以内の金額で、介護サービスが受けられます。該当するサービスは、在宅サービス・地域密着型サービス・特定福祉用具の購入・住宅改修費です。なお、ケアプランを作成する費用は、市区町村が負担するため、利用者の負担はありません。
家族に介護が必要なら、まずは市区町村に相談してください。ケアマネージャーがケアプランを作成し、適切な介護が受けられるよう対応してくれます。利用できるサービスは、要支援と要介護で異なるため注意してください。介護サービスを利用する方や家族は、大まかな知識を取り入れておくと安心でしょう。わからないことがあればケアマネージャーになんでも相談できるため、まずは利用の相談から始めてみてはどうでしょうか。
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