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パートナーや両親、祖父母など身近な人のおしゃべりが止まらないことが気になったときはありませんか?時と場合や相手のことを考えず一方的に話し続ける状態は、認知症の可能性があります。普段からよく話すおしゃべり好きな人の場合はいつものことと思いがちですが、他の認知症の症状はないかチェックしておくのがおすすめです。今回は、認知症でおしゃべり好きな人との上手な付き合い方について、以下の通りご紹介していきます。
この記事を読めば、認知症の主な原因・症状・対処法の他、おしゃべり好きな認知症の人におすすめプレゼントが分かります。ぜひ、最後までご覧ください。
目次
認知症とは、元々正常であった脳が病気や外傷などの影響で障害され、認知機能が低下した状態のことを言います。認知症を引き起こす原因となる病気はたくさんありますが、中でも脳が委縮する「アルツハイマー病」や血流が遮断されることで脳の一部が損傷する「脳梗塞」・「脳出血」などが有名です。一般的には、認知症は原因となる病気や脳が障害される部位、症状によって次の4つに分類されます。
認知症の種類 | 原因 |
アルツハイマー型認知症 | アルツハイマー病によって脳全体が萎縮 |
脳血管性認知症 | 脳梗塞、脳出血、クモ膜下出血 等 |
レビー小体型認知症 | レビー小体という脳内物質の異常な増加 |
前頭側頭型認知症 | 脳の一部(前頭葉と側頭葉)が病的に委縮する |
認知症はあくまで脳の異常な変化によって引き起こされる症状の総称なので、原因となる病気や脳のどの部分が機能低下を起こしているかによって症状が異なります。また、認知症の症状は脳の病気だけでなくストレスやその人の暮らす環境、性格なども影響して症状が悪化する場合もあります。
認知症には中核症状と行動・心理症状(周辺症状)があります。中核症状とは、認知症を患う多くの方に共通した症状です。記憶障害や理解力・判断力の低下、見当識障害(時間や場所の見当をつける能力)、実行機能障害(物事を順序だてて実行する能力)といったものがあります。それに対し行動・心理症状(周辺症状)とは、中核症状の影響によって認知症患者が生活環境や周囲の状況の変化に対応できないことによって生じる2次的症状です。中核症状と比較すると、認知症の種類や患者自身の生活背景や環境因子によって症状に個人差があることが特徴です。この章では、主な行動・心理症状(周辺症状)である症状の例についてご紹介してきます。
話が止まらないだけでなく、何度も同じ話を初めて言うようにしゃべる症状です。認知症で記憶障害があると話したこと自体を忘れるため、くり返し同じことを話し続けます。うまく対処しないと会話の無限ループに陥ります。例えば話題がA→C→B→Aと移り変わる「話の内容が脈絡なく変化する」「話にまとまりがない」ような状態も含みます。
認知症になると感情のコントロールが難しくなる場合があります。「現在自分が置かれている状況が理解できない」、「相手から怒られているように感じる」、「相手から危害を加えられると感じ恐怖する」といった誤解により、怒りの感情に繋がってしまいます。また、本来であれば怒りを抑えないといけないような状況でも理性が働かず、感情をあらわにしてしまうのです。
壁に掛けられた服や天井のシミが人のように見えてしまう「幻視」のほか、誰かが話しかけてくるように感じる「幻聴」などがあります。「誰かから監視されている」と恐怖していたり、誰もいないところに向かって話しかけていたりするのは幻視・幻聴が原因である場合が多いです。幻視はレビー小体型認知症に多く、幻聴はアルツハイマー型認知症に多く見られると言われています。
中核症状である見当識障害や記憶障害が影響し、今いる場所や目的地の場所や方向感覚が分からなくなってしまうために起きるのが「徘徊」です。例えば、実際に今いる場所が自宅だったとしても「ここは自宅ではない」と誤解し、自身が頭の中に思い描いている自宅のイメージにあう景色を探して歩き回っているうちに道に迷ってしまいます。人によっては屋内でトイレを探して歩き回っていたり、探しているうちにどこに行こうとしていたのかを忘れてしまったりする症状もあります。本人なりの目的を達成するための行動なので、一度止めても何度もくり返してしまいます。
認知症には、記憶障害が引き起こす思い込みで「お金を盗まれた」「悪口を言われた」などと被害を訴える症状があります(被害妄想・作話)。本人の中で周囲への不満や自分の認知症への不安がある場合に、自分の中では解決できずどうしようもなくなった結果、妄想という形で表に現れた状態です。
認知症による行動・心理症状が見られる場合、原因や背景を探りながら症状に合った対処方法を検討することが重要です。あらかじめ退所方法を知っておくと心に余裕が持てるため、本人と周りの人の負担が軽くなります。
話したことを忘れてくり返し同じ話が止まらない場合、聞く側は面倒そうな態度をとってはいけません。別の話題を振り、本人の関心を他にずらしましょう。「さっき聞いた」と言ったところで本人はすでに忘れています。いくら指摘しても相手が感情的になるだけです。音声認識人形などの会話の相手をするアイテムを使い、興味をそちらに向けさせるという方法もあります。
本人が認知症の症状に苦しさやわずらわしさを感じると、つい感情的になってしまいます。本人が集中できる趣味や楽しみを見つけていただくことで気分転換を図ることを提案しましょう。寂しさが根底にある場合もありますが、やたらと慰めることはかえって逆効果です。違うことに気持ちを向けさせることポイントです。
本人が「誰かがいる」など恐怖を感じる場合、見守っているため大丈夫と伝えて安心していただけるようにします。幻視や幻聴とはいえ、本人の中では実際に起きたり感じたりしていることです。本人の感情を否定することはせず、「あなたが感じていることは分かった、でも自分もいるから安心ですよ」ということを伝えることが大切です。
一旦外に出てしまって帰り道がわからない場合、本人ではどうしようもありません。服やバッグ、杖など、外出時に身に着ける物へ連絡先を書いておき、気づいた人から連絡をもらえる工夫をします。多くの自治体では徘徊のリスクがある高齢者の情報を顔写真と共に事前に登録しておき、緊急時速やかに対応できるような行政サービスを行っています。最寄りの地域包括支援センターが窓口となっている場合が多いので、相談してみるとよいでしょう。また、介護保険制度の「福祉用具貸与」では、認知症による徘徊を感知して介護者に知らせる「認知症老人徘徊感知器」という器具のレンタルも可能です。本人が帰ってきても強く叱らず温かく迎え入れ、いざという時のために近隣の人には家族が徘徊の恐れがあると伝えたり、先ほどご紹介したサービスを利用したりして事前に対策をしておきましょう。
お金を盗まれたと言うときは一緒に探し、本人の気持ちを落ち着かせます。仮にあなたが見つけたとしても、「あったよ」と本人に持って行ってはいけません。今度は「バツが悪くて返そうとしたでしょ」と更なる被害妄想に繋がってしまう恐れがあります。先にあなたが見つけたときは、本人が見付けられるように「あっちを探してみてくれませんか」などと依頼してさりげなく誘導することがコツです。ひと段落して冷静になった後、「大事な物は身に着けるよう伝える」「置き場所を決める」「管理を信頼できる家族に依頼する」などの工夫を本人と一緒に話し合いましょう。
おしゃべりが止まらない人は話したことを忘れる以外に、あることないこと思いつくままに話してしまうケースもあります。まじめに聞いてあとから確認しても本人は忘れており、聞いた側がストレスを抱えるケースもあるでしょう。おしゃべりが止まらない人の対応は、上手に相づちを打ちながら聞き流すことです。途中で内容を否定すると怒ってしまい逆効果になることもあります。話したいだけ話すと落ち着く、または話し疲れて終わることも多いです。聞く人も毎回長時間付き合っていては疲れてしまうため、「あとでゆっくり聞かせて下さい」等とやんわり言って、時間や気持ちに余裕のあるときに対応するのがよいでしょう。また音声認識人形を活用して、家族や周りの人以外にも会話で発散する方法もあるので試してみましょう。
ここまでは、認知症の原因や症状、有効な対処方法について下記のとおりご紹介してきました。
これらの情報が、少しでも読者の皆様のお役に立てれば幸いです。最後までご覧いただき、ありがとうございました。
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