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介護のプロが教える!老人ホームと介護保険の上手な利用方法

2026年5月11日
伊藤 麻梨子(介護職員初任者研修 修了)
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一言で老人ホームと言っても、たくさん種類があるのをご存じでしょうか。どの施設にも介護保険制度が適用されるわけではなく、実は介護サービスを受けるためには別途契約が必要になる施設も多数存在します。いざ老人ホーム探しが必要になったときに、どの施設を選べばいいのか悩んでしまう方も多いでしょう。そこで、この記事では多種多様な老人ホームの種類や特徴、施設の選び方などについて徹底解説していきます。

目次

介護保険制度とは?知っておきたい基本の仕組み

介護保険制度は、2000年に始まりました。2000年以前、介護が必要になったときは行政が必要なサービスを判断して事業所へ割り振る「措置制度」という仕組みでした。それに対し、介護保険制度は「介護の社会化」と「契約主義」が特徴です。社会全体で介護問題を支えつつ、利用者側にはサービス内容や利用したいサービス事業所を選択できるようになりました。その財源は、主に被保険者となる40歳以上の方の保険料と国・自治体等の公費で、保険料と公費それぞれ50%ずつ負担する仕組みになっています。保険者(運営主体)は市区町村等です。介護が必要になった人は要介護認定を申請し、要支援1・2、要介護1~5の区分に応じて、さまざまなサービスを1割~3割の自己負担で利用できます。残りの7~9割が介護保険から支払われる仕組みです。

どんなサービスがある?在宅サービスと施設サービス

介護保険制度上のサービスは、全部で54サービスと多種多様で、以下の3類型に分かれています。

  • 居宅サービス(主に在宅の方に向けたサービス)
  • 施設サービス(入所系のサービス)
  • 地域密着型サービス(地域に根差した小規模なサービスで、在宅系と施設系が混在)

これから介護保険制度に触れる方に向けて、分かりやすく在宅系サービスと施設系サービスに割り振ると、以下の表のとおりとなります。

【介護保険サービス概要一覧】

  • 在宅サービス一覧
サービス名概要
居宅介護支援ケアマネジメント(ケアプラン作成やサービス調整等)を行う
訪問介護自宅に訪問して身体介護や家事援助等を行う
夜間対応型訪問介護夜間に特化した定期巡回・随時対応の訪問介護
定期巡回・随時対応型訪問介護看護定期巡回と随時対応を組み合わせた訪問介護
訪問入浴自宅に専門的な設備を持ち込んで入浴介助を行う
訪問看護自宅に訪問して看護サービスやリハビリを行う
訪問リハビリテーション自宅に訪問し、医師の計画に基づくリハビリを行う
通所介護施設に通って介護サービスを受ける
地域密着型通所介護定員18名以下の小規模な通所介護
療養通所介護医療や重度認知症に特化した小規模な通所介護
認知症対応型通所介護認知症に特化した通所介護
通所リハビリテーション施設に通い、医師の指示に基づくリハビリテーションを受ける
短期入所生活介護短期間施設に入所し、介護を受ける
短期入所療養介護短期間施設に入所し、介護やリハビリを受ける
福祉用具貸与購入すると高額な福祉用具をレンタルする
特定福祉用具販売レンタルにそぐわない入浴・排泄等に関する福祉用具や、比較的安価な福祉用具を購入した際に公費負担分を還付
住宅改修自宅を指定の内容に沿ってバリアフリー化した場合に公費負担分を還付
小規模多機能型居宅介護ケアマネジメント・訪問・通所・泊りのサービスを一体的に提供
看護小規模多機能型居宅介護
(複合型サービス)
小規模多機能型居宅介護に訪問看護の機能をプラスしたサービス
在宅サービス一覧
  • 施設サービス一覧
介護老人福祉施設
(特別養護老人ホーム・特養)
「終の棲家」としての機能を持つ生活施設
地域密着型介護老人福祉施設入居者生活介護
(通称:ミニ特養)
定員29名以下の小規模な特別養護老人ホーム
介護老人保健施設
(老健)
主に在宅復帰を目的とした方を対象にした入所系のリハビリ施設で、比較的医療面に強い
介護医療院医療依存度の高い方や重度の認知症患者を対象にした入所施設
特定施設入居者生活介護
(特定施設)
民間の老人ホームのうち介護サービスが内包されている入所施設
地域密着型特定施設入居者生活介護定員29名以下の小規模な特定施設
認知症対応型共同生活介護
(グループホーム)
認知症患者に特化した小規模で家庭的な入所施設
施設サービス一覧

老人ホームのそれぞれの特徴と介護保険施設との関係

老人ホームには、安価な公的施設から超高級な民間施設まで、実に幅広い種類の施設があります。分かりやすく分類すると、以下の4種類に分けることができます。

  1. 介護保険が適用される民間施設(介護保険制度の指定を受けた民間施設)
  2. 介護保険が適用されない民間施設(介護保険制度の指定対象外の施設)
  3. 介護保険制度が適用される公的施設(介護保険制度の指定を受けた公的施設)
  4. 介護保険制度が適用されない公的施設(介護保険制度の指定対象外の施設)

これら4種類の施設の特徴や具体的な施設の種類について、詳しくご紹介します。

【民間施設】介護保険が適用される施設

名称概要
介護付き有料老人ホーム24時間の介護体制があると認められた有料老人ホーム。詳細は後述。
一部のサービス付き高齢者向け住宅有料老人ホームとしての基準を満たしているサ高住の場合、介護保険制度上の「特定施設入居者生活介護」の指定を受けて直接介護サービスを提供できるようになる。
認知症対応型共同生活介護
(グループホーム)
認知症の診断がある要支援2以上の方を対象にした入所施設。1ユニット9人までの小規模なグループで、日常生活の延長線上にあるアットホームな生活を送れるのが特徴。

【民間施設】介護保険が適用されない施設

民間施設には、介護保険が適用されない施設があります。介護保険制度上は原則在宅とみなされるため、介護が必要になっても別途介護サービス事業所と契約することによって生活を継続できる施設が多いです。

名称概要
住宅型有料老人ホーム有料老人ホームのうち、要介護者でも対応しているホーム。詳細は後述。
健康型有料老人ホーム有料老人ホームのうち、原則日常生活上の行為が自立している方を対象にしたホーム。介護サービスが必要になった場合、原則退去を求められる。
サービス付き高齢者向け住宅バリアフリー構造の賃貸住宅として登録された施設。安否確認と生活相談サービスの提供が義務付けられているが、施設の運営方針によってその他のサービスが付帯されている場合もある。介護が必要になっても外部の介護サービスを利用しながら暮らすことが可能。
シニア向け分譲マンション一般的にエレベーターやフラット構造等によって、身体機能が衰えた方でも安心して自立した生活を送れる工夫がされている点が特徴。介護施設というよりマンションなので、外部サービスが利用できる。
生活の自由度が高いが、他の施設と比べて高額。

【公的施設】介護保険が適用される施設

介護保険制度に基づく介護サービスを提供できる公的施設は、以下の4種類です。

名称概要
介護老人福祉施設
(特別養護老人ホーム)
「終の棲家」としての機能を持つ。居室タイプによって料金が異なる。安価かつ看取りまで対応でき、設備も整っているが、医療ケアの面は考慮が必要。
介護老人保健施設リハビリによって在宅復帰を目指すことを目的とした施設。原則長期入所はできないが、在宅復帰が困難な場合は看取りまで対応する施設もある。医師が常駐しているため、比較的医療面も強い。
介護医療院長期療養可能な医療体制と生活施設としての機能を併せ持った施設で、医療依存度が高い方でも安心して入居できる。他の公的施設と比べて数が少ない。
一部のケアハウスや養護老人ホーム後述する軽費老人ホームやケアハウスの中で、「特定施設入居者生活介護」としての指定を受けて介護付きと認められた施設。
【公的施設】介護保険が適用される施設一覧

【公的施設】介護保険が適用されない施設

公的施設は介護サービスが付帯しているのが原則ですが、以下の公的施設の場合は介護サービス付きの施設ではないため、要介護者への支援に限界がある場合があります。

名称概要
養護老人ホーム「無年金・低所得による経済的な困窮」「身寄りがない」「虐待を受けている」といった住環境にある方が対象。措置制度対象の施設のため、
他の施設と違って入居者は市区町村が決定する。
軽費老人ホーム(ケアハウス)自立生活に不安がある60歳以上の方が、低額な費用で入居できる施設。食事提供や緊急対応などの生活支援を受けられる。外部サービスも利用できるが、基本的には自立度が高い方が対象。
生活支援ハウス65歳以上で自立した生活に不安があり、環境上の理由などにより居宅での生活が困難な方が対象。生活習慣の確立や自立の促進を図るための施設。食事提供や相談援助などの生活支援が受けられる。酷暑や厳冬の時期に一時避難的に利用する場合もある。
【公的施設】介護保険が適用されない施設一覧

介護施設ごとに特徴やサービス内容が異なるため、入居先選びだけでなく、施設で働くスタッフ側の視点を知ることも参考になります。施設ごとの職場環境や特徴については、「介護施設の種類まとめ|キャリア選択で知っておきたい職場の特徴と選び方」も参考になります。

【種類別】有料老人ホームで介護保険はどこまで使える?費用も解説

老人ホームの中でも、特に仕組みが複雑なのが有料老人ホームです。有料老人ホームには、以下の3種類があります。

  • 介護付き有料老人ホーム
  • 住宅型有料老人ホーム
  • 健康型有料老人ホーム

中でも「介護付き」と「住宅型」は違いが分かりにくく、施設選びの際の課題となっています。
そこで、「介護付き」と「住宅型」の有料老人ホームに注目して詳しく解説していきます。

「介護付き」の場合:施設内で提供されるサービスに適用

介護付き有料老人ホームは、「特定施設入居者生活介護」という介護サービス事業所の指定を受けた有料老人ホームを指します。ホームのスタッフが直接支援可能な体制があると認められることで、24時間切れ目のない介護を提供できるのが特徴です。イメージとしては、有料老人ホームとしての自由度が高い生活に特別養護老人ホームに近い介護機能を加えた施設と表現するのが適しているでしょう。

要介護度別の自己負担額の目安(月額)

一般的な介護付き有料老人ホームにおける料金の目安は、以下の通りです。

要介護度介護サービス費
基本月額(円)
家賃(円)管理費(円)食費(円)合計(円)
要支援15,490100.00030.00050.000185.490
要支援29,390100.00030.00050.000189.390
要介護116.260100.00030.00050.000196.260
要介護218.270100.00030.00050.000198.270
要介護320.370100.00030.00050.000200.320
要介護422.320100.00030.00050.000202.320
要介護524.390100.00030.00050.000204.390
要介護度別の自己負担額の目安(月額)

※自己負担1割、地域区分「その他」の場合

※1ヶ月=30日で計算

なお、介護サービス費にはサービス内容や人員体制に応じた各種加算が算定されるため、詳細は施設ごとに異なります。また居住費・食費・管理費についても、施設の立地や設備の充実度等によって大きく変わります。さらに、施設によっては入居時に数十万~数千万の入居一時金が設定されている場合もあります。

「住宅型」の場合:サービスを組み合わせて利用

住宅型有料老人ホームの場合、必要に応じて外部の居宅サービス事業所と契約する必要があります。そのため、「訪問介護」「訪問看護」「通所介護」等の介護サービス事業所を同一建物(敷地)内や近隣に併設し、入居者の利便性や施設の収益性の両立を図っているホームが多くなっています。なお、有料老人ホーム側が入居を条件に自社のサービスを強制的に利用させることは、法律で固く禁じられています。

居宅 サービスの上限額と自己負担額について

住宅型有料老人ホームに入所している方に介護が必要になった場合は、施設入居に関する費用と介護サービス利用料が別々に発生することになります。そのため、公的な介護保険施設と比較すると高い傾向にあります。施設入居に関する費用は立地や設備の充実度によって大きな幅があります。介護サービスを利用する場合は、基本的に要介護度別に設定された利用上限額の中に納まるように利用します。要介護度別の利用上限額は、以下の通りです。

要介護度利用上限額利用上限額
(自己負担分)
要支援150,320円5,032円
要支援2105,310円10,531円
要介護1167,650円16,765円
要介護2197,050円19,705円
要介護3270,480円27,048円
要介護4309,380円30,938円
要介護5362,170円36,217円
要介護度別の利用上限額一覧

※自己負担1割、地域区分「その他」の場合

注意!介護保険が適用されない共通の費

「介護付き」と「住宅型」の有料老人ホームに共通している部分として、以下の費用は介護保険制度の適用外となっています。

  • 家賃・管理費・食費
  • 日常生活費や上乗せサービス費

家賃・管理費・食費

家賃・管理費・食費は、施設の立地条件や施設・サービスの充実度によって大きく異なります。特養などの介護保険施設は家賃と食費に公的な助成がありますが、有料老人ホームの場合は対象外です。これが公的施設に比べて民間施設が高額である理由の1つとなっています。なお、管理費とは、設備の維持・人件費・共有部分の使用費・事務費等に充てられています。

日常生活費や上乗せサービス

日常生活に必要な物品に対する費用は、介護保険の対象外で実費となります。
また、介護保険サービスだけで賄いきれない介護の手間に対応した分の費用として、上乗せサービス費が追加で請求される場合もあります。そもそも介護保険サービスだけでは足りない分の費用ですので、当然介護保険対象外となります。

介護保険を利用するまでの5つのステップ【申請からサービス開始まで】

老人ホームに入所するためには、基本的に要介護認定を受けて介護保険を利用できる状態になっていることが条件になります。そこで、介護保険を利用するまでの流れを5つのステップに分けてご紹介します。

ステップ1:地域包括支援センターや市区町村の窓口へ相談

介護が必要になったと感じたら、まずは公的な機関に相談しましょう。概ね中学校区ごとに設置されている「地域包括支援センター」や、住民票のある市区町村の介護保険担当課が窓口となります。地域包括支援センターは、社会福祉士・主任介護支援専門員・保健師などの専門職が配置されており、地域の高齢者の困りごとに総合的に対応してくれる機関です。自治体が直接運営している場合と、社会福祉法人等に委託している場合があり、公的な機関なので安心して相談できます。

ステップ2:要介護認定の申請

要介護認定の申請は、住民票のある市区町村の担当窓口にて行います。申請書等の必要な書類を揃えて提出します。本人や家族が窓口を訪れて申請することが難しい場合は、地域包括支援センターや居宅介護支援事業所のケアマネジャー等に代行申請を依頼することもできます。

ステップ3:訪問調査と主治医意見書

申請が受理された後は、認定調査員による訪問調査と主治医意見書の作成が必要になります。訪問調査は、市区町村の方から連絡が来るのを待ちましょう。適切な認定結果が得られるように、調査には普段介護している家族等が立ち会うことをおすすめします。また、主治医意見書については申請書に記載された主治医へ市区町村側が作成を依頼することになります。定期的に受診していない場合は、医療機関から受診するように呼び出される場合もあります。元々主治医がいない場合は、申請時に市区町村へ確認が必要です。

ステップ4:認定結果の通知

 認定結果は、申請日から概ね1ヶ月以内に本人へ通知するように定められています。 認定結果が届いたら、以下の項目を確認しましょう。なお、介護認定は申請した日にさかのぼって有効となります。
  • 要介護状態区分等
  • 認定の有効期間
  • 認定審査会の意見及びサービスの種類の指定

なお、「非該当」と認定された場合でも、別の要件を満たすことで「訪問介護」や「通所介護」に似た介護予防に関するサービスを利用できる場合があります。

ステップ5:ケアマネジャーとケアプランの作成

認定結果が通知されたら、認定された要介護度に応じた相談機関に連絡し、ケアプラン作成について依頼しましょう。ケアプラン作成を依頼する窓口は、要介護度によって以下の通りとなります。

要介護度ケアプラン作成の窓口
非該当
要支援1~2
● 住民票がある地域を担当する地域包括支援センター
● 「介護予防支援」の指定を受けた居宅介護支援事業所
のいずれか
要介護1~5居宅介護支援事業所

費用負担をさらに軽減!知って得する制度

介護保険サービスの自己負担額が高額になった場合の負担を軽減する制度です。ひと月に支払った利用者負担(1〜3割)の合計額が、所得区分に応じて設定されている上限額を超えた分について、申請することで払い戻しを受けられる仕組みです。上限額は世帯単位で設定され、一般的な所得世帯では月額44,400円となっています。なお、以下の費用は高額介護サービス費の対象外です。

  • 食費、居住費、日常生活費
  • 福祉用具購入費の自己負担分
  • 支給限度額を超えて利用した分の利用料

原則として、サービス利用後に市区町村から支給申請の案内が届くため、それに従って申請を行うと払い戻しを受けられます。一度申請すれば、以降は自動的に上限を超えた分が払い戻されるようになります。

高額医療・高額介護合算制度

高額療養費や高額介護サービス費の支給を受けても、なお残る世帯全体の年間自己負担額をさらに軽減することが目的です。
所定の期間内にかかった医療費と介護費の自己負担額を合算し、所得や年齢に応じた年間自己負担限度額を超えた場合に、その超過分が払い戻されます。支給額は、医療費と介護費の負担割合に応じて按分され、医療保険と介護保険の両方から支給されます。手続きは、基準日(7月31日)時点の医療保険の窓口に、市区町村から交付される「自己負担額証明書」を添えて申請することになります。

社会福祉法人等による利用者負担軽減制度

低所得で特に生計が困難な方を対象に、介護保険サービスの利用促進を図ることを目的とした制度です。社会福祉法人等がその社会的な役割として、利用者負担額を軽減するものです。
対象となるのは、原則として市町村民税が世帯非課税であり、かつ年間収入や預貯金などの資産が一定の基準額以下であるなど、生計困難であると市町村が認定した方です。例えば、年間収入が単身世帯で150万円以下、預貯金等が単身世帯で350万円以下といった要件があります。また、生活保護受給者も対象に含まれます。
軽減の対象となる費用は、介護保険サービスの利用者負担(1割負担分など)のほか、介護老人福祉施設(特養)等を利用する際の食費や居住費(滞在費)も含まれます。
軽減の割合は、原則として利用者負担額の4分の1です。サービスを受けるためには、市町村に申請して「軽減確認証」の交付を受け、それを事業所に提示する必要があります。

後悔しない老人ホーム選びのポイント【プロの視点】

老人ホーム選びで失敗しないためのポイントは、本人の心身状態と希望を最優先することです。加えて費用面・施設の環境・スタッフの質・家族としての利便性など、多角的な視点から総合的に確認することが重要になります。ここでは、専門家として特に重視すべき3つのポイントをご紹介します。

ポイント1:本人の状態と希望に合った施設タイプを選ぶ

ここまでご紹介してきた通り、老人ホームにはそれぞれ特徴があり、対象となる方の状態像が異なります。また、施設によってメリット・デメリットも存在します。まず、入居を検討している本人の介護依存度や、医療ケア(褥瘡、胃ろう、インスリン、透析など)の必要性、そして生活における希望(自由な外出、自室での調理、イベントの有無、終末期の過ごし方)を明確にしましょう。施設タイプを間違えると、必要な介護が受けられなかったり、不要なサービスに費用を払うことになったりします。後悔しないよう、本人の現在の状態と将来の変化を見据え、担当のケアマネジャーや施設の担当者とも相談しながら検討しましょう。

ポイント2:費用シミュレーションで長期的な資金計画を立てる

老人ホームの費用は、初期費用である入居一時金(0円~数千万円)と、毎月かかる月額費用(家賃、食費、管理費、介護費用など)に分かれます。特に重要なのが月額費用で、「将来的な介護依存度の増悪」によってどう変動するかをシミュレーションしましょう。資金計画では、年金収入と貯蓄額を基に「施設への入居期間」の設定が重要です。初期費用無料でも月々の費用が増える場合があるため、複数のプランを比較し、総額と長期的な視点で余裕を持った計画を立てましょう。

ポイント3:必ず複数の施設を見学し、雰囲気とスタッフの対応を確認する

資料だけでは施設の「質」や「雰囲気」はわかりません。複数の施設を見学し、比較検討することが大切です。特に、以下について確認しましょう。

  • スタッフの対応::挨拶、笑顔、丁寧さ、質問への真摯な姿勢。
  • 入居者同士の交流::レクリエーションや共有スペース等での活気。
  • 清潔感と匂い:共用スペースや居室、トイレなどの管理体制。

見学時は、普段提供されている食事の試食やレクリエーション参加も有効です。入居後の自分の生活が具体的にイメージできるかが、後悔しない施設選びの決め手になります。

まとめ:最適な選択で、家族みんなが安心できる暮らしへ

老人ホームには、介護保険が適用される公的施設(特養、老健など)と、民間施設(有料老人ホーム、サ高住など)があり、サービス内容や費用体系が大きく異なります。特に有料老人ホームでは、「介護付き」は施設内の介護サービスが定額で、「住宅型」は外部サービスを別途契約し、介護依存度が上がると費用が増加する点に注意が必要です。
後悔しない施設選びのポイントは、以下の3点です。

  1. 本人の要介護度・医療ニーズ・希望に合った施設タイプを選ぶ。
  2. 長期的な視点で費用シミュレーションを行い、資金計画を立てる。
  3. 複数の施設を見学し、スタッフの質や施設の雰囲気を直接確認する。

また、費用負担を軽減するため、高額介護サービス費や、特定入所者介護サービス費(補足給付)といった制度の活用も重要です。
後悔しない施設選びは、本人の生活の質を担保できるだけでなく、家族みんなが安心できる暮らしにつながります。この記事が、少しでも施設探しに悩んでいる方の参考になれば幸いです。最後までご覧いただき、ありがとうございました。

著者プロフィール

伊藤 麻梨子(介護職員初任者研修 修了)
伊藤 麻梨子(介護職員初任者研修 修了)
静岡市葵区生まれ。11年間自宅で祖母の介護をした後、総合病院の医事課に勤務。院内の患者情報の調整等の業務に従事。その後介護の資格を取得し、介護事業所に勤務。それぞれの家庭の介護の状況や在宅介護の難しさを改めて認識。理想とする老人ホームは施設の安心感と自宅の心地よさを兼ねた施設。趣味は花を育てること、自宅菜園、DIY

監修者プロフィール

長濵 達也(介護福祉士)
長濵 達也(介護福祉士)
幼少期を浜松市で過ごす。新卒で保険業界に就職した後、2003年より介護業界へ転身。現場での介護業務を経験したのち、相談業務やケアプランの作成、施設全般の管理に携わる。その後、静岡を離れて全国各地で事業所のケア品質向上やコンプライアンスのサポート、新規施設の開設など幅広い業務を経験。現在は地元静岡に戻り、老人ホーム紹介サービス「YAYA」の相談員として勤務している。趣味はお酒とサッカー。

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