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老人ホームは、病院とは設備や職員体制が異なるため、どこまで医療的なケアが受けられるのか、どんな病気なら対処できるのか疑問に思う方も多いのではないでしょうか。実は、老人ホームには様々な種類があり、特徴や役割が異なるため、同じ病気でも受け入れの可否が変わってくる可能性があります。本記事では、病気の治療をしながら暮らすご高齢の方が、安心して過ごせる老人ホーム選びを考える上で知っておきたい情報をまとめて解説していきます。
「老人ホーム」には、公的な施設と民間の施設とがあり、さらにさまざまな種類があります。施設の外見からは分かりにくいですが、施設の目的や特徴、職員配置などは老人ホームの種類ごとに異なり、どのような人が利用できるのかも変わってきます。
そのため、老人ホームの入居を検討する際には、それぞれの施設の特徴や入居対象者をよく理解し、状態や希望に合う場所かどうかを確認して申し込むことが大切です。
施設の種類ごとの入居条件は、細かな部分も含めると多くなるため、詳しくはそれぞれの施設での説明を受けて把握することになります。ただ、どの施設でも問われるような基本条件については、あらかじめ知っておくと便利です。
老人ホームでは、入居時の年齢が基本条件の1つになっています。
まず、介護保険法に基づく公的な入居施設である、特別養護老人ホームや介護老人保健施設、介護療養型医療施設については、介護保険法の第1号被保険者である65歳以上が対象となります。
そして、第2号被保険者である40歳~64歳の方に関しても、法令に定められる特定疾病によって介護が必要であると判断された場合には、入居対象となります。
認知症の方が入居できるグループホームや有料老人ホームなどの他の施設でも、基本的には65歳以上の方を対象としているケースが多いです。
一方、お元気で自立した生活を送っている方が入居できるような、住宅型の有料老人ホーム等では、「おおむね60歳以上」など、年齢条件について細かな定めを設けていないところもあります。
老人ホームでは、入居される方の状況や状態に合った適切なサービスが提供できるように、入居条件の1つに要介護度の有無やそのレベルについて定められています。まずは、それぞれの要介護度の条件を見てみましょう。
老人ホームの種類 | 要介護度 |
特別養護老人ホーム | 原則要介護3以上 ※特別な事情がある場合は要介護1・2も可能 |
介護老人保健施設 | 要介護1以上 |
介護療養型医療施設 | 要介護1以上 |
認知症対応型共同生活介護(グループホーム) | 要支援2、要介護1以上 |
有料老人ホーム | 自立~要介護5まで ※施設により異なる |
このように、老人ホームの多くは、介護が必要になった人を受け入れるという側面があり、一部の施設をのぞき、要介護認定を受けて要介護度が出ている方を対象とすることが多いです。そのため、まだ要介護認定を受けていない方は、申請をして、「介護度」がはっきりしないと入居できる施設の絞り込みが難しいでしょう。
要介護認定の申請は、市区町村役場の介護保険課やお近くの居宅介護支援事業所、在宅介護支援センター等から行うことができます。
介護度は、調査員による調査の結果やかかりつけ医の意見書をもとに、全国一律の方法で一次判定が行われ、その後介護認定審査会の二次判定を経て決定します。
高齢になると、病気の治療をしながら暮らす人も珍しくありません。定期的に通院をして検査を受けたり、病気の進行度によって適切な治療を選択したり、日々の薬の管理や処置など、自分の病気と付き合いながら暮らしている方はとても多いです。そのため、老人ホームでも、必要に応じて医療のケアが受けられることや、万が一の時にどの程度までサポートしてもらえるのかは重要なポイントです。それぞれの施設の、医療面でのサポート体制について確認しておきましょう。
有料老人ホームは、基本的な人員配置や設備要件などの決まりはありますが、定められたサービス以外にも多様なサービスを展開しているところも多く、それぞれの個性や特色が分かりやすい施設でもあります。
まず理解しておきたいのが、有料老人ホームには「介護付き」「住宅型」「健康型」の3種類があるということです。
そして、それぞれ特徴や設備、入居者の暮らし方、医療面でのサポートなどは異なります。
| 介護付き | 住宅型 | 健康型 |
特徴 | 介護度に応じ必要な介護サービスが受けられる | 在宅時と同様に必要な介護サービスを選択しながら暮らす | 自立レベルの高齢者が快適な住まいと設備で余生を楽しむ |
介護度 | 主に要介護1~ | 施設による | 自立レベル |
病気のサポート | 協力契約にある病院医師との連携、定期的な受診サポート、看護師による健康管理 | 近隣の病院と連携している場合が多く、定期受診や緊急時の受け入れ体制は期待できる | 基本的には自分でかかりつけ医を受診する |
認知症の受け入れ | 重度の方でも受け入れ可能なところも多い | 重度の場合は受け入れ困難と判断されることが多い | 認知症の方の入居は難しい可能性がある |
看取り対応 | 対応可能なところも多い | 施設による | 難しい |
月額料金の相場 | 15万円~30万円程度 | 9万円~20万円程度(別途介護サービス費用等あり) | 12万円~40万円程度 |
有料老人ホームは、それぞれの施設に特色があり、多様なサービスを展開しています。介護の必要度によって、適切な施設が異なる点も特徴で、元気で自立している方は「健康型」、介護の必要度が高い方は「介護付き」といったように、目的に合わせて選ぶことができます。
介護付き有料老人ホームの場合、医療機関との協力契約を結ぶことが定められているため、協力医療機関から定期的に医師の往診があり、必要に応じて受診サポートを受けることが可能です。また、看護師の配置もあるため、日中の健康管理については看護師がサポートを行います。
有料老人ホームへの入居には、一時金の支払いが発生する場合もあり、設備が豪華だったり好立地の場所だったりすると費用が高額になる傾向にあります。しかし、快適な環境で余生をのびのびと暮らしたい人にとっては、ほどよく他者と触れあいながら楽しく生活できる、安心感のある施設ではないでしょうか。
特別養護老人ホームは、原則要介護3以上の、自宅での生活が困難な方を入居対象としています。そのため、他の介護施設に比べると、全体的に要介護度の高い人が多いという特徴があります。
当然ながら、ご自身で薬の管理をしたり、健康管理をしたりすることが難しい状態の方も多いです。
しかし、老人ホームはあくまでも生活の場であり、治療の場ではありません。病気が慢性化している状態であれば入居は可能ですが、入院治療が必要な状態であると判断された場合は施設内での対応が難しくなるでしょう。
また、怪我の処置を頻繁に行わなければならない、夜間に医療行為が生じる可能性が高いなど、医療依存度の高い人についても、入居が難しいと判断される可能性があります。
介護老人保健施設は、医師の配置が義務付けられており、看護師やリハビリスタッフといった医療従事者の配置も厚い点が特徴です。
病院と自宅の中間施設という位置付けであり、リハビリをして家庭復帰を目指すことも役割の1つにあることから、短期的な入居施設として利用する方も多いです。 医師による健康管理がサービスに含まれているため、ある程度の治療や医療は施設内で受けることができます。しかし、病院ほどの専門的な設備はないため、施設医師が病院での治療が適切と判断した場合には、入居対象外となることもあります。
老人ホームで対応可能な病気
老人ホームでは、具体的にどのような病気に対処できるのか、持病を抱えている方にとってはとても重要なポイントになるでしょう。ここからは、病気ごとに老人ホームが対応可能かどうか、解説していきます。
糖尿病がある人は、その進行度によって治療内容が変わり、施設でのサポート内容も変わります。例えば、以下のようなサポートが必要になるでしょう。
糖尿病のコントロールが日々の内服だけで様子が見れる程度であれば、多くの老人ホームでの対応が可能です。また、カロリー制限が必要な方の糖尿病食についても、ほぼ対応可能でしょう。インシュリン注射が必要な方については、その時間帯や頻度によって、対応可能かどうか変わってくる場合があります。なぜなら、インシュリン注射や血糖測定については、医療行為にあたり、介護士が行えない行為だからです。老人ホームに入居している場合、インシュリン注射を行えるのは本人、看護師、医師のみとなります。職員体制によって、医師や看護師が不在の時間帯にインシュリン注射が必要な場合は、受け入れが困難と判断されるでしょう。ただし、介護士しかいなくても、介護士が声をかけてあげることはできます。声掛けのサポートがあれば、利用者さん本人が注射できるという状況であれば、受け入れの可否も変わってくるかもしれません。
高血圧症のある方にとって、日々の血圧測定で状況を把握し対処することは、とても重要になります。老人ホームでは、熱や脈拍、血圧などの健康チェックは看護師だけでなく介護士も行える行為であり、必要に応じて毎日計測することも可能です。また、血圧のおくすりを処方されている方は、飲み忘れのないようにサポートを受けたり、定期的な受診を受けたりして、状態の悪化予防をしながら暮らすこともできます。
認知症がある方は、落ち着ける環境で専門的なケアが受けられるかどうかが大切なポイントとなります。認知症は、進行性の病気です。はじめのうちは症状が軽くても、ちょっとしたきっかけや老化、他の病気などによって、進行したり、これまで見られなかった症状が出てくることも珍しくありません。そのため、老人ホーム選びでは、認知症のケアがどこまでできるのか、専門的な知識や経験をもつスタッフが充実しているかどうかもよく確認しましょう。自宅から施設へと、環境が変わるだけで認知症の方は混乱することも珍しくありません。できれば、大きな施設でたくさんの人が出入りするような施設よりも、こじんまりとした集団でケアを行う「ユニットケア」を実践する施設の方が、落ち着いた生活を送りやすいでしょう。施設で認知症のことを熟知したスタッフが関わり、栄養バランスのとれた食事をとり、水分をしっかり摂取し、適度な運動をすることで、規則的な暮らしが送れ、認知症の症状が緩和したというケースもたくさんあります。また、認知症の方が老人ホームという社会に出て、介護士の適切な促しによって毎日の暮らしの中で役割を見つけ、サポートを受けながら生き生きと暮らしているケースも多いです。
入居中に病気が発生した場合の対応
高齢になると、いつ新しい病気が見つかるか分からないという不安もあるでしょう。お元気に暮らしていた方が、突然体調を崩す可能性も考えられます。そうした時に、どこまでのサポートが受けられるのか、確認しておくことも大切です。基本的に、多くの老人ホームでは、緊急性のある病気の場合は医師の指示によって救急車を呼んだり、病院を受診したりするサポートが受けられます。受診の結果によって、その後の医療ケアが施設で継続できるかどうかは、その都度判断されることとなるでしょう。近場にご家族がいて、すぐに駆けつけることができる場合は、ご家族の同行を求められることもあります。それは、医療の方針について本人や家族の同意が必要となった時に、施設のスタッフでは決めかねることもあるからです。いずれにしても、緊急時の受診に関しては、できるだけ早いタイミングで対処し、ご家族へ連絡が行われるのが通例ですが、入居前にしっかりと確認されることをおすすめします。
長期的に入居できる老人ホームに入っている間に、入院が必要となった場合、また退院時には戻れるのか不安に思うでしょう。結論から言うと、施設によっては入院が決まった段階で退所扱いになるところもあります。制度上、入院中は入居費が請求できない決まりになっている老人保健施設などは、たとえ利用者が希望したとしても、ベッドを空けて待つことが難しいのが現状です。もちろん、退院のタイミングで病院と連携をはかり、スムーズに再入所できるようサポートしてくれるところが多いため、安心してください。有料老人ホームのような民間施設では、短期間の入院であれば荷物はそのまま居室に残し、退院後にまだ戻ることも可能です。その間も費用は発生しますが、どのくらいの期間待ってもらえるのかは施設により異なるため確認しましょう。
もし病気が悪化して、これ以上のサポートができないと施設側から判断された場合、退去を促されるケースも考えられます。
例えば、夜間に看護師の配置がない施設で、夜間に痰を吸引しなければならない方がいた場合、ご本人の命に関わる問題です。もし、病状の悪化により今利用している施設での対応が難しくなった場合は、十分なケアが受けられる施設を紹介してもらうことが可能です。多くの場合、施設間の連携によって、スムーズに転居できるようサポートされていますので、安心してください。
老人ホームは病院ではないため、医療面での不安が拭いきれない方もいるでしょう。もし万が一のことがあったら、もし急に病気が悪化したらと、不安になる気持ちも理解できます。
そんな不安を解消するために、老人ホームと医療機関がどのような方法で連携を図っているのか確認しておきましょう。
日々の健康管理は看護師が中心となって行います。協力医療機関との連携体制によっては、医師が定期的に往診してくれる場合もあります。定期受診や毎年の健康診断など、施設側のサポートが受けられるケースも多いです。救急対応が可能な医療機関と協力体制をとるのが通例であり、緊急時も安心です。
非常勤医師による定期的な診察や、かかりつけ医への受診のサポートが受けられます。もし状態に変化があった時は、非常勤医師やかかりつけ医への連絡を行ったり、緊急時には救急車を手配して対処します。
施設医師が入居中は主治医となります。入居中の日々の健康管理は、施設医師が行い、急な状態の変化があった時は、必要に応じて医療機関への受診や救急車の手配を行います。施設内で対処が可能と判断される病気については、施設医師による治療が行われます。
定期的にかかりつけ医への受診サポートが受けられます。緊急時には、協力医療機関へ連絡をして、対処してもらえるような体制が整っています。
日々の健康管理は看護師が中心となって行います。協力医療機関との連携体制によっては、医師が定期的に往診してくれる場合もあります。定期受診や毎年の健康診断など、施設側のサポートが受けられるケースも多いです。救急対応が可能な医療機関と協力体制をとるのが通例であり、緊急時も安心です。
バイタルチェックや顔色、活気、食欲などの日々の様子は、介護士や看護師がその変化に気づけるように日々観察しています。服薬管理をはじめとする日々の健康管理は看護師が中心となって行いますが、介護士が色々と携わる中で心配なことがあれば、常時看護師と連携してサポートしていますので、利用者は誰にでも不安点を相談できます。
医師の判断を要する状態の時は、看護師や介護士が連携をはかり指示を受けるのが通例です。施設によっては、夜間でも医師に連絡がとれる体制をとっており、必要に応じて緊急対応も行われます。
状態が急変した時はどのように対処されるのか、夜間に異常があった時はどうなるのか、きちんと確認しておくと安心です。
ご高齢の方は、ご自身の病気と向き合いながら暮らしている方も多く、またいつ新たな病気が発覚するか分からないという不安もあるでしょう。老人ホームでどの程度医療面のケアが受けられるのかは、施設の種類ごとに異なり、さらに同じ種類の施設でも職員体制によって受け入れ体制が変わります。施設選びをする際は、施設ごとの特徴をよく理解し、万が一の時のことまで想定して選ぶことが安心感につながります。
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