静岡県の老人ホーム・介護施設情報サイト

ホーム >  介護お役立ち情報 >  介護用品 > 介護保険でレンタルできる福祉用具 行動範囲を広げられる歩行器

介護お役立ち情報

介護保険でレンタルできる福祉用具 行動範囲を広げられる歩行器

2024年10月30日
増田 高茂(社会保険労務士 介護支援専門員 介護福祉士 第二種衛生管理者)
カテゴリー:
介護お役立ち情報

歩行器はどんな状態のときに使うべきか

福祉用具の歩行器とは、利用者の歩行をサポートしてくれるアイテムです。4本の杖と手すりが体を支える設計で、自ら動かしながら歩行をします。歩行器が必要な方は、主に足腰が弱い方や不自由な方です。高齢になると、老化により足腰の筋肉が衰え、歩行が困難となることが珍しくありません。このような方に歩行器は適しています。また、脳卒中や脊髄損傷などによる麻痺、下肢に外傷がある方、杖での歩行では不安定になってしまう方などが歩行器を用いています。

歩行器はどんな悩みを解決することができるのか

歩行中の転倒リスク

足腰が弱っている方や麻痺がある方などは、歩行中に転倒してしまうリスクがあります。転倒による打撲や骨折、酷いケースでは脳挫傷を引き起こすおそれもあるのです。このような方の、歩行中における転倒リスクを軽減してくれます。歩行器は、利用者の体をしっかりと支えられる設計を採用しているため、歩行時の姿勢が安定します。仮に転倒しそうになっても、歩行器につかまることができれば、体へのダメージを最小限に抑えられる。転倒リスクが軽減するため、介護者や家族が安心できるのもメリットです。

歩行訓練ができる

寝たきりやリハビリから、杖歩行へ移行する段階では歩行訓練を行うのが一般的です。しかし、高齢者の中には、体を思うように動かせない苛立ちと、転倒のリスクなどから歩行訓練に乗り気でないケースも見受けられます。歩行器は、杖歩行へ移行するときの歩行訓練に用いられています。歩行器は安定性が高いため、安全に歩行訓練を行えるのが魅力です。歩行器のメリットや安全性をきちんと教えてあげれば、きっと納得してもらえるでしょう。

活動範囲が広がる

歩行器を使えば、自分の足でいろいろな場所へ行けるため、活動範囲が広がります。1人で行動できるため、高齢者や要介護者のストレス発散効果が期待できるのです。また、その気になれば1人で外出もできるため、家族や介護者の負担軽減にもつながります。高齢者や要介護者の中には、歩行が困難との理由で自宅に閉じこもってしまう方も少なくありません。その結果、寝たきりになり、生きる意欲を失ってしまうことも考えられます。歩行器を利用すれば、活動範囲を広げられ、自らの意思でいろいろな場所に行けるため、高齢者の引きこもり防止効果も期待できるのです。

歩行器の利用時における注意点

歩行器がはまりそうな場所は避ける

歩行器の多くは、4本の脚で利用者の体を支える設計を採用しています。アスファルトやコンクリートなど、きちんと舗装されている道なら問題ありませんが、未舗装の道では歩行器の脚がはまってしまい動けなくなるおそれがあります。未舗装の道は、雨が降ると路面が著しくぬかるみます。その上を歩行器で通ろうとすると、十中八九脚がはまり動けなくなります。健常者なら、泥や砂にはまった脚を抜くこともできるでしょうが、高齢者や足腰の不自由な方には困難です。こうした理由から、歩行器を使って外出するときは、原則舗装された乾いた道を選んで歩きましょう。未舗装のぬかるんだ道は、歩行器がはまるだけでなく転倒リスクも高まります。

坂道に注意する

利用者の歩行をサポートしてくれる歩行器ですが、坂道で利用するときは注意が必要です。歩行器を使って坂道を歩こうとすると、利用者の体ごと傾いてしまい、転倒してしまうリスクがあるからです。勾配のゆるい坂なら問題ありませんが、勾配のきつい坂になると、転倒リスクが高まります。前向きに転ぶ、もしくは後ろ向きに転倒するといったことも考えられるため、できる限り坂道は避け平坦な道を歩きましょう。また、自宅の玄関アプローチをスロープにしている場合にも、同様に注意が必要です。介護者や家族の協力をあおぎましょう。

歩き方をきちんと学ぶ

歩行器にもいくつかの種類があり、それぞれ使い方がやや異なります。歩行器の種類に合わせ、歩き方を学んだうえで利用しましょう。たとえば、固定型と呼ばれるタイプなら、歩行器のバーをしっかりと握り、持ちあげて前に出しながら体を少しずつ移動させます。交互型と呼ばれるタイプは、左右のフレームを交互に動かしながら歩行します。右のアームを前に出したら左足を一歩進め、左アームを前に出したら右足を進める、といった具合です。事前にきちんと使い方を学び、訓練したうえで外出時に利用しましょう。

歩行器の種類と選び方

固定型歩行器

固定型は、バーを掴んで全体を持ちあげ、前に動かしながら移動するタイプの歩行器です。安定性は抜群ですが、どうしても移動スピードが遅くなってしまうため、外出時の使用には向きません。屋内で使いたい方や、移動範囲が極めて狭い方などに適しています。また、このタイプは両手で歩行器をしっかりと持ちあげる必要があるため、ある程度腕力が必要です。そのため、腕力の衰えている方にはあまり適していません。

交互型歩行器

左右のフレームを個別に動かしながら、前へ移動するタイプの歩行器です。このタイプは、固定型のように歩行器自体を持ち上げる必要がないため、腕力が衰えている方にも扱えます。また、持ち上げずに移動できるため、より安定性に優れているのも特徴です。こうした理由から、腕力の衰えている方に適した歩行器といえるでしょう。固定型を試したものの、思うように操作できないといった方は、交互型が向いています。また、固定型に比べ移動スピードは速いため、広範囲を移動する方にも適しています。

前輪・四輪型歩行器

前輪型は、前方の脚2つに車輪が備わったもので、四輪型は4つの脚にキャスターが備わっています。前輪やキャスターが搭載されているため、他の歩行器と比べて移動スピードを速められることが特徴です。一方で、きちんと制御できないと、衝突や転倒といったリスクが生じるため、注意が必要です。きちんと歩行器をコントロールする力があり、なおかつ広範囲を移動する方に適した歩行器といえるでしょう。

まとめ

福祉用具の歩行器を導入すれば、介護を必要とされる方の行動範囲を広げられます。自分で歩行できるため、自立した生活も送れるようになるでしょう。介護者や家族の負担を軽減できるメリットもあります。ここでご紹介したように、歩行器にも複数の種類があり、それぞれに特徴があります。利用者の身体状況や行動範囲なども踏まえつつ、ベストなものを選びましょう。

著者プロフィール

増田 高茂(社会保険労務士 介護支援専門員 介護福祉士 第二種衛生管理者)
増田 高茂(社会保険労務士 介護支援専門員 介護福祉士 第二種衛生管理者)
多くの介護事業所の管理者を歴任。小規模多機能・夜間対応型訪問介護などの立ち上げに携わり、特定施設やサ高住の施設長も務めた。社会保険労務士試験にも合格し、介護保険をはじめ社会保険全般に専門知識を有する。現在は、介護保険のコンプライアンス部門の責任者として、活躍中。

監修者プロフィール

竹花 渉(介護福祉士)
竹花 渉(介護福祉士)
富士宮市生まれ。大学を卒業後、地元静岡県に戻り介護事業会社に就職。グループホーム、サービス付き高齢者向け住宅、デイサービス等の現場経験を経て介護福祉士を取得。富士市内のデイサービスの管理者としても従事してきた。現場業務のみならず売上管理や様々なケースのお客様対応、スタッフとのコミュニケーションなどを経験し、施設運営のノウハウを身につけてきた。

関連記事