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認知症予防のための知的刺激トレーニング(脳トレ)を紹介

2024年9月24日
東海林 さおり(看護師)
カテゴリー:
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知的刺激トレーニング(脳トレ)による認知機能向上の効果

認知症予防には、身体や頭を動かすことが効果的だといわれています。そのため、認知症予防の一環として、頭を使う脳トレや体を使うウォーキングなどを生活の中に取り入れている方は多くいます。

頭と体を別々に動かすのも良いですが、実は同時に使えばより高い予防効果を見込めることをご存じでしょうか。2つのことを同時に行うことにより、認知機能向上の効果が期待できるのです。これが、デュアルタスクと呼ばれる手法です。デュアルタスクとは、2つのことを同時にこなす運動手法で、脳の情報処理能力や遂行能力を高める効果が期待できます。そのため、認知症予防としてデュアルタスクトレーニングを取り入れている方は年々増えています。

また、指先を器用に動かすゲームでは、脳の広い範囲を活性化する効果が見込めます。じゃんけんや指相撲など、指を使ったゲームも、脳トレとして取り入れれば楽しく認知症予防ができるでしょう。ゲームとして楽しみながら取り組める脳トレは、家族や友人など気心の知れた人と一緒に行うことで、さらに効果が期待できます。会話やコミュニケーションが活発になるため、脳の機能が必然的に使われるからです。

知的刺激トレーニング(脳トレ)を行う際の注意点

知的刺激トレーニング(脳トレ)を日々の生活に取り入れるのは、認知症予防の効果が期待できますが、いくつか注意点があります。

認知症の方が意欲的に取り組めなくては意味がないため、ゲームを取り入れる際もなるべく難易度の低いものにしましょう。ゲームの難易度があまりにも高すぎると、認知症の方が難しすぎると感じてしまい、意欲を失ってしまうかもしれません。楽しくない、難しくてできないと思われてしまうと、それ以降取り組んでもらえなくなります。

また、人によっては簡単なゲームができず、「できなくなっていることを自覚してしまいツライ」と感じる方もいます。このような方に、無理強いしてしまうと余計に意欲を失ってしまうでしょう。あくまで、認知症の方が楽しく意欲的に取り組むことで効果が期待できるのです。これらの注意点を踏まえて取り組みを始めましょう。

知的刺激トレーニング(脳トレ)の具体例

認知症予防のため、具体的にどのような運動を取り入れればよいのでしょうか。

先述したようなデュアルタスクトレーニングやゲーム以外にも、日常生活で取り組めるものもあります。ここでは、認知症予防に効果的な運動の具体例をいくつかピックアップしました。

頭と体を同時に使う(デュアルタスク)

デュアルタスクトレーニングは、認知症予防の効果が見込めると注目を集めている方法です。実際、軽度認知障害の方がデュアルタスクトレーニングを一定期間行った結果、脳の萎縮や記憶力が改善したといわれています。デュアルタスクトレーニングは、2つのことを同時に行うのがポイントです。一度に別々のことをしようとすると、人の脳は混乱してしまい、整理するため活発に働き始めるのです。これが、デュアルタスクが認知機能向上に効果的といわれる理由です。

よく知られるデュアルタスクトレーニングのひとつに、指の体操が挙げられます。両手の指先を合わせた状態で、親指を離して10回ほど指を回しましょう。次に、人差し指から小指に向かって順番に離しながら同じように回します。テレビを観ながら行う方法もあります。テレビを観ながら、右手を上下に動かし、左手は前後にスライドさせましょう。途中で、右手と左手の動作を変えても問題ありません。テレビをしっかり楽しみながら行うのがコツです。また、洗濯ものを干しながら、1人でしりとりをするのもおすすめです。洗濯ものを洗濯かごから取る動きを繰り返しながら、頭の中でしりとりをしてみましょう。体も適度に動かせるため筋力アップ効果も見込めます。

ゲーム

一般的なカードゲームやボードゲームを楽しむだけでも、脳を使うため認知機能の向上効果は見込めます。トランプやウノなどのほか、将棋やオセロ、チェス、ボードゲームなどなら、家族や友人と楽しみながら認知機能の向上が図れます。

もっと手軽かつ、効果的な脳トレとして取り組みたいのなら、後出しじゃんけんはいかがでしょうか。一般的なじゃんけんは、同時に手を出しますが、後出しじゃんけんでは1人が後出しします。まず相手がパーを出したとしたら、何を出せば勝てるかを一瞬で考え、チョキを出すといった具合です。普通のじゃんけんは運任せの勝負ですが、後出しじゃんけんは頭の回転がものをいうゲームなのです。自分が負けるパターンでも挑戦してみましょう。相手が先にグーを出したなら、負けるにはチョキを出すことになります。うっかりパーを出して、勝たないよう注意してください。一般的なじゃんけんとは勝ち負けの判断が反対になるため、素早く頭を回転させなければなりません。

日常の中のトレーニング

日常生活の中に自然な形で取り込める脳トレとしては、料理が挙げられます。料理は頭と体どちらも使うため、デュアルタスクトレーニングとしての効果も期待できます。下処理から食材のカット、調理と段取りよく進めなければいけないため、よい脳トレとなるでしょう。

ただし、普段から料理をしている方なら問題ありませんが、認知機能が低下している方で日常的に料理をしない方だと、注意が必要です。調理では包丁のような刃物や、火を使用するためケガをしてしまうリスクがあります。十分注意しながら取り組みましょう。

掃除や洗濯といった家事も、適度な運動です。特に掃除は、立ち座りが多いため下半身の筋肉をしっかりと使えます。ほどよい筋トレにもなるため、認知機能の向上を図ると同時に体力アップの効果も期待できます。ほかにも、ちょっとした工夫で日常生活に運動を取り入れられます。日々の生活の中で、積極的に頭と体を使う工夫をしてみましょう。

その他のトレーニング

絵を描くことも、脳トレとして適しています。絵は趣味にもできるため、興味がある方はぜひ取り組んでみましょう。自宅で絵を描くのもよいですが、近所の公園や山、湖などで描けば気分転換にもなります。感性が磨かれ、集中力の向上効果も期待できるでしょう。

楽器の演奏もおすすめです。音楽が好きな方なら、新たな趣味として楽器の演奏を始めてみませんか? 楽器に年齢は関係ありません。高齢になってから、ドラムやエレキギターにチャレンジする方もたくさんいます。楽器演奏は、曲の構成を頭で考える必要があり、指先も器用に動かすため、効果的な脳トレができます。

ほかにも、編み物や工作など、さまざまな脳トレが挙げられますが、基本は自分が楽しめるものを選ぶことです。楽しみながら取り組めることなら継続しやすいため、より効果的な脳トレができるでしょう。

脳トレで認知機能を向上させよう

認知機能向上のため、日々の生活にゲームやデュアルタスクトレーニングを取りこんでみましょう。体と頭を同時に使える運動なら、認知機能向上を図りつつ健康的な体も手に入れられます。こうした運動やゲームは、継続することが何より大切です。認知症の方が楽しみながら、なおかつ飽きずに続けられるゲームなどを見つけてみましょう。

著者プロフィール

東海林 さおり(看護師)
東海林 さおり(看護師)
看護師資格修得後、病棟勤務・透析クリニック・精神科で『患者さん一人ひとりに寄り添う看護』の実践を心掛けてきた。また看護師長の経験を活かし現在はナーススーパーバイザーとして看護師からの相談や調整などの看護管理に取り組んでいる。

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