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認知症予防のための運動|有酸素運動・筋トレ・バランス改善

2024年10月24日
増田 高茂(社会保険労務士 介護支援専門員 介護福祉士 第二種衛生管理者)
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運動による認知症予防の効果

認知症は、運動によって発症をある程度予防できます。海外の研究によると、まったく運動をしない高齢者と適度な運動を生活習慣に取り入れている高齢者とでは、後者のほうが発症リスクが低下したのです。適度な運動は、認知症予防に加え生活習慣病の改善にも結び付くメリットがあります。糖尿病をはじめとする生活習慣病も、認知症の発症リスクを高めるため、日々の生活に適度な運動を取り入れて少しでも予防しましょう。認知症予防として取り入れるべき運動は、有酸素運動と無酸素運動の両方です。有酸素運動とは、ウォーキングやランニングのような、軽く息が上がる程度の運動で、無酸素運動は筋トレが代表的です。有酸素運動は、血行の改善により脳の働きを活性化する効果が見込め、無酸素運動は感覚神経の働きを改善します。どちらの運動も認知症予防に効果的です。

認知症予防 無理なく運動するための注意点

運動習慣のない方や、足腰の弱っている高齢者が認知症の予防だといきなりムリな運動をしてしまうのは厳禁です。膝や腰などを傷めてしまい、予防どころではなくなってしまうからです。そのため、いきなりキツイ運動を始めるのではなく、軽く体を動かすことから始めてみましょう。運動を始める前には、ストレッチで体をほぐしてあげることも忘れないでください。また、運動中にはたくさん汗をかくため、適度なタイミングで水分を補給しましょう。ナトリウムや糖質も同時に摂取できるスポーツ飲料がおすすめです。足腰の弱っている方の場合、運動中に転倒してしまうおそれがあります。骨がもろくなっている方なら、骨折するおそれもあるため注意が必要です。また、認知症や生活習慣病を予防するには、運動を生活の中へ組み込み継続することも大切です。

認知症予防 運動の具体例

軽く息が弾む程度の有酸素運動と、一気に力を解放する無酸素運動、どちらも認知症予防に有効です。有酸素運動ならウォーキングやランニング、無酸素運動なら筋トレがおすすめです。どちらの運動も、慣れていないうちはムリをしないよう注意してください。万が一に備えて、最初のうちは誰かに付き添ってもらうのもよいかもしれません。最初は短時間からはじめ、少しずつ体を動かす時間を延ばしていきましょう。

認知症予防に有効な運動①有酸素運動

有酸素運動は、脂肪燃焼効果があることでも知られています。そのため、ダイエットしている方にも人気があり、日々の生活に取り入れている方も少なくありません。酸素を体内に取りこみながら、少なめの負荷をかけつつ行う運動を有酸素運動と呼びます。無酸素運動は短時間で行うことが多いのですが、有酸素運動はある程度時間をかけて行うケースがほとんどです。代表的な有酸素運動の種目としては、ウォーキングやランニング、縄跳び、踏み台昇降運動などが挙げられます。高齢の方で、認知症や生活習慣病予防として取り組む場合には、負荷がもっとも少ないウォーキングから始めることをおすすめします。有酸素運動には、脂肪燃焼や心肺機能の向上、基礎代謝のアップなどさまざまな効果が期待できます。認知症を予防するだけでなく、体力の増強にもつながるため、ぜひ日常生活の中に取り込んでみましょう。実際に行うときのポイントとしては、軽く息が弾む程度の負荷をかけることが挙げられます。息が切れて動けなくなるほどの負荷をかけては、有酸素運動ではなく無酸素運動となってしまうため注意してください。運動習慣がまったくない方なら、まずは散歩をしてみましょう。それで問題なければ、次は速足のウォーキングにチャレンジしてください。最初は10分程度から始め、少しずつ20分、30分と時間を延ばしていきましょう。夏場のような暑い時期に行うときは、汗をたくさんかくため適度に水分補給も行ってください。ペットボトルを携帯できるツールもあるため、入手しておくとウォーキング中の水分補給が容易です。

認知症予防に有効な運動②筋トレ

無酸素運動とは、瞬間的に力を込める運動を指します。短距離走や筋トレなどが該当し、パンチを打つ、キックをするといった格闘技の動きも無酸素運動に分類できます。筋トレはレジスタンス運動とも呼ばれ、筋肉の肥大化や筋力アップを目的として行われます。認知症や生活習慣病予防においても、筋トレはおすすめのメニューなので、有酸素運動と併せて取り組んでみましょう。筋トレには、器具を使わない自重トレーニングと、器具を使用するトレーニングの2種類があります。高齢の方で、普段あまり運動しない方なら、まずは自重トレーニングから始めてみましょう。腕立て伏せや腹筋運動、スクワットなどが代表的な自重トレーニングです。筋トレを行うときは、少々キツイと感じるくらいの負荷をかけるのが基本です。また、トレーニング中には、筋肉のどこに負荷がかかっているのかをきちんと意識しながら行いましょう。正しいフォームで行わないとケガの原因になるため、できれば鏡の前でチェックしながら行うことをおすすめします。さらに本格的なトレーニングにチャレンジしたいのなら、器具を使ってみましょう。ダンベルやバーベルなど、ウエイトを使用したトレーニングが一般的です。手軽に始めたいのなら、スポーツジムやトレーニングジムを利用すると必要な器具やマシンがそろっています。有酸素運動は毎日行っても問題ありませんが、筋トレのような無酸素運動は2~3日間隔で行いましょう。筋トレを行うと筋肉痛になりますが、この期間は筋肉が修復を続けています。そこで負荷をかけてしまうと、筋繊維にダメージを与えてしまうのです。再開するのは筋肉痛が収まってからにしてください。

認知症予防に有効な運動③バランス改善運動

脳の機能が低下していると、バランス感覚が狂いやすくなります。そのため、有酸素運動や無酸素運動と併せて、バランス改善のトレーニングを行うのもおすすめです。バランス感覚を改善できれば、転倒リスクを軽減できるメリットがあります。バランス改善のトレーニングとしては、一直線歩行が挙げられます。まっすぐに引かれた線の上を歩くトレーニングで、簡単に取り組めることがメリットです。車の少ない駐車場のような、安全で白線のある場所で取り組んでみましょう。自宅の廊下に、養生テープをまっすぐ貼ってその上を歩くのもよいかもしれません。近所で、安全にトレーニングできる場所が見つからないのなら、この方法がおすすめです。ほかのトレーニングとしては、片足立ちが有効です。直立した状態からどちらか一方の足を上げ、その状態で10秒ほどキープします。なるべくバランスが崩れないようにしましょう。こちらも手軽に始められるトレーニングです。

認知症予防 適度に体を動かす運動をしよう

認知症や生活習慣病を予防するため、日々の生活に運動を取り入れてみましょう。適度に体を動かす習慣をつければ、健康的になれるだけでなく心もリフレッシュできます。運動を通じて、新たな仲間が見つかるかもしれません。ここでもお伝えしましたが、高齢の方が運動を始めるにあたり注意すべきは、無理をしないことです。健康や認知症予防のために行う運動で、ケガをしてしまえば元も子もありません。無理せず、適度な負荷と頻度で取り組んでください。

著者プロフィール

増田 高茂(社会保険労務士 介護支援専門員 介護福祉士 第二種衛生管理者)
増田 高茂(社会保険労務士 介護支援専門員 介護福祉士 第二種衛生管理者)
多くの介護事業所の管理者を歴任。小規模多機能・夜間対応型訪問介護などの立ち上げに携わり、特定施設やサ高住の施設長も務めた。社会保険労務士試験にも合格し、介護保険をはじめ社会保険全般に専門知識を有する。現在は、介護保険のコンプライアンス部門の責任者として、活躍中。

監修者プロフィール

奥川 敦史(認知症介護実践者研修修了)
奥川 敦史(認知症介護実践者研修修了)
静岡市駿河区生まれ。2003年より介護事業運営会社にて訪問入浴の現場業務に関わる傍ら、新規事業所開設の申請や品質管理業務といった運営本部の業務に関わる。その後もグループホーム、デイサービス、サ高住の施設長といった現場業務の他、人事、総務など老人ホーム運営業務全般に携わってきた。また、運営本部の入居相談窓口担当としてのキャリアも長く、様々なケースの相談事例に対応してきた。趣味は家族での動物園巡り。

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