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ささいな体調の変化から、重篤な病気を早期発見できることがあります。また、ちょっとした不調を見逃すことで、深刻な症状に発展することもあるでしょう。この記事では高齢者の発熱から分かることや発熱を放置するとどうなるかについて解説しています。発熱時の対応についても紹介しますのでぜひ参考にしてください。
目次
高齢者は微熱でも注意が必要です。若い人と同じ感覚で体温だけを見ていると、体調の変化を見逃してしまうことがあります。加齢により症状がはっきり出にくいため、平熱との差や日常の様子をあわせて確認することが重要です。高齢者における微熱の基本的な考え方のポイントを解説します。
・高齢者の平熱はどのくらい?成人と違う体温の特徴
・何度からが「微熱」?判断の目安
・なぜ高齢者は症状が出にくい?家族や介護者の観察が重要な理由
それぞれ詳しくみていきましょう。
高齢者の体温は、一般的な成人よりも低めになる傾向があります。[1]加齢によって基礎代謝や体温調節機能が低下するため、36℃台前後でも平熱という人は少なくありません。そのため「37℃未満だから問題ない」と判断するのは適切ではない場合があります。たとえば、普段35.8℃前後の方が36.8℃まで上がっている場合、数値だけ見れば平熱範囲でも、本人にとっては体調の変化です。このように高齢者では「体温がいつもより高い」という変化そのものが重要なサインになります。一般の成人と高齢者の体温の目安とポイントを表にまとめました。
参考:高齢者の温熱生理|日本衣服学会誌 Vol.50 No.1
| 区分 | 体温の傾向 | みるべきポイント |
| 一般成人 | 36.0~37.0℃前後 | 体温の高さ(数値) |
| 高齢者 | 一般成人よりやや低めの傾向 | 平熱との差 |
日頃から平熱を把握しておくことで、小さな変化に気づきやすくなります。体温は「数値」だけでなく「その人にとってどうか」で判断することが大切です。また、体温の変化に加え、食事量や活気の低下など、普段との違いを総合的にみるようにしましょう。
微熱は37.0〜37.5℃程度とされることが一般的ですが、高齢者はこの基準だけで判断するのは不十分です。平熱が低い人では、37℃に満たなくても体調不良のサインである可能性があります。一方で、平熱がやや高めの人では37℃台でも普段通りの状態というケースもあります。このように、高齢者の微熱は「数値」ではなく「平熱との差」で見る視点が重要です。
| ポイント | 一般的な目安 | 高齢者での見方 |
| 微熱の基準 | 37.0~37.5℃程度 | 平熱より0.5~1.0℃上昇しているか |
| 判断方法 | 数値を基準に判断 | 個人差・普段との違いを重視 |
高齢者の場合は、体温の数値だけで軽いと判断せず、違和感がある場合は早めに受診を検討することが安心につながります。
高齢者は免疫機能の低下により、感染症にかかっても高熱や強い咳などの典型的な症状が現れにくいことがあります。そのため、微熱だけが続き、重症化するまで気づかれないケースもあるのが事実です。体温だけでなく日常生活の変化を観察することが重要となり、本人が不調をうまく伝えられない場合は特に、周囲の気づきが早期対応につながります。
【体温以外に観察したいポイント】
これらの変化は、感染症や体調不良の初期サインである可能性があります。高齢者の健康管理では、普段との違いに気づく視点が欠かせません。
参考:高齢者の感染症の診かた・考え方|国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院

高齢者の微熱の原因はさまざまですが、特に注意したいのは感染症です。高齢者では症状が軽く見えても、実際には肺炎や尿路感染症などが隠れていることがあります。一方で、慢性的な病気や生活要因が関係している場合もあります。高齢者の微熱が考えられる原因として挙げられるのは次の3つです。
原因①:感染症
原因②:感染症以外の病気
原因③:病気以外の要因
それぞれ詳しく解説します。
高齢者の微熱でまず疑うのは、感染症です。肺炎や尿路感染症は、微熱だけで始まることもあり、見逃すと重症化につながるおそれがあります。若い人のように高熱や強い症状が出にくいため「軽そうだから大丈夫」と判断しないことが重要です。ここからは、微熱が出やすい代表的な感染症を解説します。
風邪やインフルエンザは、比較的身近な感染症であり、高齢者の微熱の原因としてもよく見られます。のどの痛み、鼻水、せき、だるさなどが一般的な症状ですが、高齢者ではこれらが軽く、はっきりしないこともあります。特に注意したいのは、体温があまり上がらないケースです。若い人では高熱が出るインフルエンザでも、高齢者では微熱程度にとどまることがあります。そのため、体温だけで軽症と判断するのは適切ではありません。 また、流行状況によっては新型コロナウイルスなどの可能性も考慮されるため、必要に応じて検査が行われることもあります。微熱とあわせて体調の変化がある場合は、無理をせず受診を検討することが重要です。
高齢者では、肺炎が微熱から始まることがあり、注意が必要な原因の一つです。誤嚥性肺炎の場合、食事中のむせや飲み込みにくさ、痰の増加などがヒントになることがありますが、咳や発熱が目立たないケースもあります。また、新型コロナウイルス感染症を含め、肺炎全般で共通するのは「元気がない」「食欲が落ちている」といった全身状態の変化が先に現れることがある点です。見た目には軽い不調でも、体の中では炎症が進んでいる可能性があります。
【見逃したくないサイン】
これらが複数当てはまる場合は、早めの受診が重要です。肺炎は進行すると急激に悪化することもあるため「いつもと違う」と感じた時点での対応が大切です。
尿路感染症は、高齢者の微熱の原因として多く見られます。若い人では排尿時の痛みや頻尿といった症状が出やすい一方で、高齢者ではこれらがはっきりしない場合も。その代わりに、尿のにおいや色の変化、回数の増減に加え「ぼんやりしている」「元気がない」といった全身の変化として現れることがあります。認知症のある方や、おむつを使用している方では症状の訴えが難しく、見逃されやすい点に注意が必要です。 介護者が気づくためには、日々の様子を観察することが欠かせません。排尿の変化や普段との違いに気づいた場合は、早めに医療機関へ相談しましょう。
微熱が長く続く場合には、頻度は高くないものの、ほかの感染症が隠れている可能性もあります。たとえば心内膜炎や結核などは、初期には目立った症状が少なく、微熱やだるさだけが続くことがあります。こうした感染症では、体重減少や慢性的な疲労感などが徐々に現れることが特徴です。急激な悪化は少ないものの、気づかないまま進行するケースもあります。そのため、数週間単位で微熱が続いている場合や、明らかな原因が見当たらない場合は、詳しい検査が必要になることがあります。「長引いている」という点自体が重要なサインとなるため、早めに医療機関で相談することが望ましいです。
微熱の原因は感染症だけではなく、ほかの病気が関係している場合もあります。頻度としては多くありませんが、微熱が長期間続くときには一つの可能性として考える必要があります。たとえば、悪性腫瘍や自己免疫疾患、甲状腺の異常などでは、微熱とともに体重減少やだるさ、関節の痛みなどがみられることがあります。ただし、これらは必ずしも当てはまるわけではなく、症状だけで判断することはできません。重要なのは「長引く微熱には何か隠れているかもしれない」と認識し、医療機関で原因を調べることです。過度に不安になる必要はありませんが、放置しない姿勢が大切です。
微熱が長期間続く場合、可能性の一つとして悪性腫瘍(がん)が関係していることもあります。特に、原因がはっきりしない微熱に加えて、体重減少や食欲低下、だるさが続く場合は注意が必要です。ただし、微熱があるからといって必ずがんというわけではありません。過度に不安になる必要はありませんが、長引く場合には医療機関で相談することが重要です。自己判断で様子を見続けるのではなく「気になる状態が続いている」という段階で受診することが、安心につながります。
膠原病や関節リウマチなどの自己免疫疾患でも、微熱が続くことがあります。これらの病気では、体の免疫が自分自身を攻撃してしまうため、炎症が起こりやすくなるのが特徴です。具体的には、関節の痛みや朝のこわばり、発疹などがみられることがあります。ただし高齢者では症状がはっきりしないこともあり、自己判断は難しいケースがあります。気になる変化がある場合は、早めに医療機関に相談しましょう。
参考:自己免疫疾患|独立研究開発法人 国立成育医療研究センター
甲状腺機能亢進症は、体の代謝が過剰に高まることで、微熱のような状態が続くことがあります。あわせて、動悸、汗をかきやすい、体重減少などの症状が見られることも。高齢者では、こうした典型的な症状がそろわないこともあり「なんとなく調子が悪い」といったあいまいな不調として現れるケースがあります。頻度の高い原因ではありませんが、微熱が長く続き、ほかにも体の変化がある場合には、原因の一つとして検討されます。医療機関での検査によって判断されるため、気になる場合は相談しましょう。
参考:甲状腺の病気|働く女性の心とからだ応援サイト(厚生労働省)
微熱がある状態は、必ずしも病気とは限らず、生活環境や体の状態によって起こることもあります。代表的な要因としては、脱水や薬の影響、生活リズムの乱れやストレスなどが挙げられます。ただし、これらの要因であると自己判断するのは避けましょう。微熱が続く場合は受診せずに決めつけず、必要に応じて医師に相談することが大切です。
薬の影響によって発熱が起こる薬剤熱も、微熱が続く原因の一つです。新しく薬を飲み始めたあとや、複数の薬を併用している場合に起こることがあります。特徴としては、ほかに明確な原因が見当たらないまま発熱が続く点が挙げられます。ただし、自己判断で薬を中断するのは危険です。持病の治療に影響が出る可能性もあるため、必ず医師や薬剤師に相談してください。受診時には、現在服用している薬の内容を正確に伝えることが重要です。お薬手帳を持参すると、スムーズに確認してもらえます。
脱水も、高齢者の微熱や体調不良の原因として見逃せません。体内の水分が不足すると体温調節がうまくいかなくなり、微熱やだるさが出ることがあります。高齢者は喉の渇きを感じにくく、自覚のないまま水分不足になるケースが少なくありません。また、夏場だけでなく冬でも暖房による乾燥のため脱水が起こることがあります。
【飲水量チェックのポイント】
日常的に水分補給を意識することが予防につながりますが、微熱が続く場合は脱水だと決めつけず、医療機関での確認が大切です。
生活リズムの乱れやストレスによって、自律神経のバランスが崩れ、微熱のような状態が続くこともあります。ただし、高齢者の場合はまず感染症や身体の病気を優先的に考えることが重要です。「ストレスのせいかもしれない」と自己判断するのではなく、原因を一つずつ確認していくことが大切です。気になる状態が続く場合は、医療機関に相談するようにしましょう。

微熱が続くときは、体温だけで判断せず、全身の状態をあわせて見ることが大切です。特に高齢者では、食事や水分の摂取状況、呼吸の状態、意識の変化などが受診の判断材料になります。迷った場合は無理に様子を見続けず、早めに相談することが安心につながります。この章では、以下のポイントを整理します。
それぞれ詳しくみていきましょう。
微熱がある場合は、体温だけでなくほかの症状をあわせて確認することが重要です。高齢者では、体温の上昇よりも先に全身状態の変化が現れることがあるためです。
【チェックしたい主な症状】
これらの症状が一つでも見られる場合は、何らかの体調不良が隠れている可能性があります。複数当てはまる場合や、普段と明らかに違う様子がある場合は、早めの受診を検討することが大切です。
次のような症状が見られる場合は、緊急性が高い可能性があるため、速やかに医療機関の受診を検討してください。
迷う場合は自己判断で様子を見続けるのではなく、救急受診も含めて早めの対応が重要です。
受診先に迷う場合は、まずかかりつけ医や一般内科を受診するのが基本です。これまでの健康状態や持病を把握している医師であれば、より適切な判断につながります。症状に応じて、必要であれば呼吸器内科や泌尿器科などの専門科へ紹介されるでしょう。また、夜間や休日などすぐに受診できない場合は、地域の救急相談窓口や電話相談を活用する方法もあります。迷ったときに相談できる手段を知っておくと安心です。
受診時には、症状の経過や生活の変化を具体的に伝えることで、診断がスムーズになります。あらかじめ情報を整理しておくと安心です。
【受診前メモの例】
これらを簡単にメモして持参すると、医師が状況を正確に把握でき、適切な診断や治療につながりやすくなります。

高齢者の微熱は、病気だけでなく日常生活の環境が影響していることもあります。食事や水分、見守り体制が不十分な場合、小さな体調変化に気づくのが遅れやすいことから、繰り返す微熱を予防するには、生活全体を見直す視点も重要です。ここからは、日常で意識したいポイントを次のように整理します。
詳しい内容をみていきましょう。
高齢者は、食事量や水分摂取が不足すると体力や免疫力が低下し、体調を崩しやすくなります。さらに、口腔内の環境が悪化すると細菌が増えやすく、誤嚥性肺炎のリスクも高まります。日々の食事や水分補給、口腔ケアは、健康維持に直結する重要な要素です。これらが不十分な状態が続くと、微熱やだるさといった不調として現れることがあります。
【日常で意識したいポイント】
毎日の積み重ねが体調の安定につながるため、無理のない範囲で継続することが大切です。
参考:感染症治療ガイドラインー呼吸器感染症ー|一般社団法人日本感染症学会
一人暮らしの高齢者では、体調の変化に気づく人が周囲にいないため、小さな不調が見過ごされやすくなります。微熱や食欲低下、水分不足なども、本人が自覚しにくい場合や、そのまま様子を見てしまうケースもあるでしょう。また、家族が遠方に住んでいる場合は、日常の変化を把握するのが難しく、異変の発見が遅れることもあります。そのため、定期的な連絡や訪問、見守りサービスの活用などにより、日常の変化を把握できる体制を整えることが重要です。早期に気づく仕組みが安心につながります。
体調管理に不安がある場合は、介護サービスの活用も有効な選択肢です。訪問介護やデイサービス、訪問看護などを利用することで、日常生活のサポートだけでなく、体調変化の早期発見にもつながります。在宅で活用できる介護サービスの例をまとめました。
| サービス名 | できること |
| 訪問介護 | 食事・排泄などの生活支援 |
| デイサービス | 日中の見守りや機能訓練など |
| 訪問看護 | 健康管理や医療的ケア |
在宅での生活を続けながら安心を確保するためにも、状況に応じてこうしたサービスの活用を検討することが大切です。

高齢者が微熱や体調不良を繰り返す場合、医療機関の受診だけでなく、日常的な見守りや生活支援の体制を見直すことも重要です。特に在宅での対応に限界を感じる場合は、老人ホームや介護施設といった選択肢を検討することで、本人・家族ともに安心できる環境づくりにつながります。施設検討の目安となるケースは、以下のとおりです。
それぞれのケースを詳しく紹介します。
高齢者の体調は日々変化するため、体温や食事量の変化を継続的に見守る必要があります。特に、微熱が続いたり、食欲にムラがあったりする場合は、日常的なチェックが重要です。しかし、家族だけで毎日の体調を細かく把握するのは難しいことも少なくありません。仕事や距離の問題などで、十分な見守りができない場合もあります。 そのような場合、施設では日々の健康状態を記録し、変化に早く気づける体制が整っているため安心です。体調のわずかな変化にも対応しやすく、重症化の予防につながります。
食事中にむせることが増えたり、飲み込みにくさが見られたりする場合は、誤嚥のリスクが高まっているサインです。誤嚥は肺炎の原因にもなるため、日常的な食事サポートが重要になります。在宅では、食事形態の調整や見守り、口腔ケアを継続するのが負担になることもあるでしょう。一方、施設ではこうしたサポートが日常的に行われており、安心して食事ができる環境が整っています。
【施設で期待できる支援の例】
誤嚥リスクがある場合は、日々の積み重ねが体調維持につながるため、適切な支援体制を整えることが重要です。
高齢者の健康管理を家族だけで担うことは、時間的・精神的な負担が大きくなることがあります。仕事との両立や遠距離での見守り、夜間対応などが重なると、無理が生じやすくなるでしょう。こうした状況では、無理に抱え込むのではなく、外部の支援を取り入れることが重要です。施設の利用は、本人の安全確保だけでなく、家族の負担軽減にもつながります。介護は長期にわたることが多いため、無理のない体制づくりが欠かせません。限界を感じたときは早めに相談し、最適な選択肢を検討することが安心につながります。

ここからは、高齢者の微熱について、よくある質問に対してポイントを整理します。
一般的には37度台は微熱とされることが多いですが、高齢者の場合は平熱との差で判断することが重要です。もともと平熱が低い方であれば、37度に満たなくても体調不良のサインである可能性があります。数値だけでなく、普段との違いをあわせて確認することが大切です。
微熱が数日続いている場合や、元気がない、食事や水分がとれない、せきや息苦しさがあるといった症状を伴う場合は、受診を検討することが望ましいです。迷うときは早めに医療機関へ相談しましょう。
高齢者では、発熱の程度に関わらず、先に全身状態の変化が現れることがあります。微熱があっても症状が強く出ない一方で、感染症や脱水などが原因で、だるさや活動量の低下が目立つケースもあります。また、体温が大きく上がらなくても体に負担がかかっていることは少なくありません。「元気がない」という変化は、体調不良の重要なサインとして捉えることが大切です。
高齢者では、肺炎であっても高熱が出ず、微熱や食欲低下、息苦しさ、ぼんやりするなどの症状だけが見られる場合があります。そのため、熱が低いからといって安心せず、全身状態の変化をあわせて確認することが重要です。

高齢者の微熱は、体の異変を知らせる重要なサインである場合があります。体温の数値だけで判断せず、日常の変化や全身状態をあわせて確認することが大切です。微熱が続くときは無理に様子を見続けず、早めに医療機関へ相談することが安心につながります。また、日常的な見守りや生活支援に不安がある場合は、介護サービスや住まいの見直しも選択肢の一つです。無理のない体制を整えながら、安心して生活できる環境づくりを考えていきましょう。
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