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高齢者要注意、インフルエンザの症状と予防の対策

2024年10月5日
伊藤 麻梨子(介護職員初任者研修 修了)
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インフルエンザの症状について

インフルエンザの主な症状は発熱です。発熱といっても、微熱程度というのは稀であり、多くが38度以上の熱が急激に出ます。なかには40度を超える熱が出るという人もいるため、注意が必要な感染症です。このほか全身症状である全身倦怠感、食欲不振をはじめとし、関節痛、筋肉痛、頭痛が起きますが、症状には個人差もあります。インフルエンザは、高齢者や妊婦、乳幼児は特に注意が必要な病気です。

インフルエンザが重症化しやすい人

インフルエンザが重症化しやすいのは、基本的に免疫力が落ちている人です。高齢者や妊婦、乳幼児がこの条件にあてはまります。さらに、持病がある人は重症化しやすく、そのなかでも特に重症化しやすい疾患も分かっています。下記の持病があるという人は特に注意が必要です。

・呼吸器疾患(気管支喘息や気管支拡張症)
・心疾患(狭心症や弁膜症、心筋症)
・糖尿病、高脂血症、痛風
・腎臓疾患(腎不全や腎炎)
・ステロイドを内服している人(免疫機能不全)

高齢者であり、持病があるという場合は、インフルエンザが重症化しやすいので、予防に努めましょう。介護者が率先して、インフルエンザの予防について知識を広げることが、重症化を防ぐことになります。

注意したいインフルエンザとの合併症

インフルエンザで注意したいのは、インフルエンザそのものの症状である高熱よりも、合併症だと言われています。インフルエンザで亡くなる人のほとんどは、合併症によるものだからです。そのなかでも特に注意したい合併症が肺炎です。インフルエンザの死因の90%以上が肺炎によるものです。肺炎になると、高熱や息苦しさ、胸痛、咳やたんが出るというような症状が起きます。インフルエンザ肺炎というものがあり、これはインフルエンザ発症後3日以内に急激に進行し、一般的に熱が下がると言われている発症後4日目以降も高熱や呼吸困難、チアノーゼ、血痰が出ることもあります。このほかに、二次性細菌性肺炎という肺炎があります。この肺炎は、インフルエンザの症状が治まったあとに起こる肺炎であり、発熱、咳、膿のような痰、悪寒や咳、呼吸困難、多呼吸、頻脈が見られるというものです。

インフルエンザの感染経路

インフルエンザの感染経路は大きく分けて2つあり、接触感染と飛沫感染です。空気感染についても、否定できないとされています。今回は、接触感染と飛沫感染について説明するので、高齢者をインフルエンザから守るために、参考にしてください。

インフルエンザの感染経路①接触感染

接触感染とは、インフルエンザウイルスがついた手で、目、鼻、口などに触れれば感染するというものです。私たちはあらゆる場所で他人が触れたものに触れたり、その手で自分のバッグを持ったり、無意識に顔を触ったりしているもの。このような行動により、接触感染を引き起こします。特に公共の場のドアノブや手すりなどは多くの人が触っており、接触感染しやすいでしょう。家庭内ではドアノブから感染することが多いと言われています。一般的に、インフルエンザウイルスの飛沫が付着した洋服などでは、ウイルスは2~8時間生存すると言われています。温度や湿度が低い条件になれば、さらに長い間ウイルスが生存されると言われており、接触感染でインフルエンザに感染する可能性は高いでしょう。

インフルエンザの感染経路②飛沫感染

飛沫感染とは、インフルエンザにかかっている人の咳やくしゃみのしぶきを吸い込むことで感染するというもの。飛沫感染を防ぐには、患者と2メートル以上離れることが大切と言われています。インフルエンザに感染するパターンとして多いのが、飛沫感染によるものです。飛沫感染を防ぐために、インフルエンザの流行時にはマスクを付けることが推奨され、正しくマスクを付ければ、かなりの確率で飛沫感染を防ぐことができます。また、インフルエンザウイルスに感染している人が1回くしゃみをすることで約200万個、1回の咳をすると約10万個もの小粒子が飛び散り、このなかにインフルエンザウイルスが含まれており、目や鼻、ときとして目からもウイルスが侵入すると言われています。

インフルエンザの予防法と治療法

インフルエンザには予防法があり、同時に治療法も確立されています。予防法は高齢者をインフルエンザウイルスから守るために必要ですし、もし罹患してしまったとしても、重症化しないため予防接種が有効です。同時に治療法についても確認していきましょう。

インフルエンザ予防接種(ワクチン)

インフルエンザの予防接種をすることによって、全体的な発症を約50~60%減らし、高齢者の死亡リスクを約80%減らすことができると言われています。予防接種をしても、インフルエンザに罹患することは当然あるのですが、もし罹患したとしても、重症化を防ぐだけではなく、発症期間を短くすることができます。このことから、予防接種はインフルエンザの重症化を防ぐためには有効であり、特に高齢者はインフルエンザが原因で死亡する割合が高いことから考えても、実施しておきたい予防法であることは間違いありません。予防接種に関しては、自治体からの助成があったり、なかには無料で受けられたりするという場合もあるので、お住まいの地域の支援状況をチェックしてみるといいでしょう。

抗インフルエンザ薬

抗インフルエンザ薬にはさまざまあり、現在使われているのは、「ノイラミニダーゼ阻害薬」と呼ばれるものです。このノイラミニダーゼ阻害薬として代表的なのが、「タミフル」や「リレンザ」でしょう。タミフルは内服薬であり、リレンザは吸入薬という違いはありますが、どちらもインフルエンザに罹患した際に処方される薬として有名です。一般的に、インフルエンザと診断された際に、これらの薬を使うことによって発熱数を減らす効果があり、同時に重症化を防ぐ効果もあると言われています。また、2018年には、「エンドヌクレアーゼ阻害薬」という薬も承認され、「ゾフルーザ」という内服薬も処方されるようになりました。この薬はこれまで処方されていたタミフルのように5日間の服用は必要なく、1回だけの服用で済むというメリットがあります。

インフルエンザで高齢者は死亡することがある

インフルエンザは気管支炎や肺炎を合併すると命の危険となることもありますし、特に高齢者は重症化しやすく、同時に死亡率も高いことが分かっています。高齢者はどうしても抵抗力が低く、インフルエンザに罹患すると長引く可能性も高いです。高齢者の置かれている状況によっても違いますが、自宅で介護されている場合、介護者が外からインフルエンザウイルスを持ち込んでしまうことが多く、家族内でインフルエンザに罹患してしまうというケースもあるようです。インフルエンザワクチンの予防接種を受けることで、発熱の日数を減らす効果があり、同時に重症化を防ぐ効果もあります。さらに手洗いやうがいなど基本的なことをしっかり実践することで、インフルエンザの予防につながります。このことからも分かるように、まずはインフルエンザワクチンの予防接種を受けることが大切であり、高齢者だけではなく、介護者も受けると安心でしょう。

著者プロフィール

伊藤 麻梨子(介護職員初任者研修 修了)
伊藤 麻梨子(介護職員初任者研修 修了)
静岡市葵区生まれ。11年間自宅で祖母の介護をした後、総合病院の医事課に勤務。院内の患者情報の調整等の業務に従事。その後介護の資格を取得し、介護事業所に勤務。それぞれの家庭の介護の状況や在宅介護の難しさを改めて認識。理想とする老人ホームは施設の安心感と自宅の心地よさを兼ねた施設。趣味は花を育てること、自宅菜園、DIY

監修者プロフィール

増田 高茂(社会保険労務士 介護支援専門員 介護福祉士 第二種衛生管理者)
増田 高茂(社会保険労務士 介護支援専門員 介護福祉士 第二種衛生管理者)
多くの介護事業所の管理者を歴任。小規模多機能・夜間対応型訪問介護などの立ち上げに携わり、特定施設やサ高住の施設長も務めた。社会保険労務士試験にも合格し、介護保険をはじめ社会保険全般に専門知識を有する。現在は、介護保険のコンプライアンス部門の責任者として、活躍中。

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