静岡県の老人ホーム・介護施設情報サイト
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年齢を重ねるにつれ、肌の状態は大きく変化します。見た目や肌質が変化するだけではなく、皮膚のかゆみや乾燥、痛みなどを生じるようになるケースも少なくありません。高齢者の皮膚に乾燥など、どのようなことが起きているのか、正しく理解しておきましょう。
老人性皮膚掻痒症は、50代以上の男性によく見られます。加齢に伴う肌の乾燥が主な原因といわれていて、強いかゆみを感じることも大きな特徴です。老化により肌が本来もつバリア機能が低下し、些細な刺激にも敏感に反応してしまうためかゆみを感じてしまいます。肌の乾燥やかゆみだけで済むのならまだしも、人によっては痛みを生じてしまうこともあります。これは、かゆみの生じた部分を爪などで強くかきむしってしまい、痛くなってしまうためです。かゆいからと爪でかきむしってしまうと、傷ついた皮膚に湿疹ができてしまい、余計に症状が悪化してしまいます。そのため、かゆくても肌を爪でかきむしるのはNGです。
入浴時に、石鹸やボディソープなどで洗いすぎてしまうと、必要な皮脂まで洗い流してしまいます。皮膚の皮脂は、肌を守り潤いを保つためにも存在しています。洗い流してしまうと、乾燥しやすくなりかゆみの原因となってしまいます。こうした理由から、入浴時に石鹸などで洗いすぎてしまうのはNGです。使用する石鹸やボディソープも、できるだけ洗浄力の強すぎないものを選びましょう。また、洗うときに力を入れすぎてしまうのもNGです。ゴシゴシと肌をこすってしまうことで、乾燥やかゆみの原因になってしまうのです。刺激の強すぎない石鹸やボディソープを選び、やわらかいタオルなどで洗い、乾燥を防ぎましょう。
アルコールを飲むと、肌にかゆみを生じることがあります。同様に、香辛料を多く使用した料理もかゆみの原因になることがあるため、注意が必要です。もし介護をしている高齢者が肌にかゆみを訴えているなら、食生活を見直してみることをおすすめします。日常的にアルコール飲料や香辛料を多く含む料理を摂取していないか確認してみましょう。思い当たる点があるなら、食生活の改善が必要です。
アルコールや香辛料を控えるだけでなく、栄養バランスのとれた食事を心がけることが大切です。特に高齢者にとっては、栄養バランスが健康に直結しますので、介護者がしっかりとチェックしてあげてください。日常の食事から健康を支えることで、肌のかゆみの予防だけでなく、全体的な健康状態の維持にもつながります。
部屋を適温に保つのはもちろん大事ですが、湿度にも気を配りましょう。部屋の湿度が低すぎると、皮膚の乾燥を招いてしまいます。冬季やエアコンを使用する環境下では、肌の乾燥を招きやすいため注意が必要です。必要に応じて、加湿器の導入を検討してください。石油ストーブの上に、水を入れたヤカンを置いて加湿する手もありますが、高齢の方がいる家ではリスクも考えられます。安全面を考えても、加湿器のほうがおすすめです。また、日ごろから、適時加湿を行うのも大切なポイントです。肌が乾燥しないよう、こまめな加湿を心がけましょう。また、保湿クリームを選ぶときは、肌質に合ったものを選ぶことも大切です。
化学繊維の服を着たとき、チクチクと刺激を感じたことはありませんか?化学繊維は、皮膚に刺激を与えてしまうため、それがかゆみの原因となることがあります。もし、化学繊維の肌着を使用しているのなら、肌に優しい綿に変えてみましょう。肌着の素材だけでなく、サイズも重要です。肌着のサイズが合っていないと、必要以上に体を締め付けてしまい、かゆみの原因になってしまいます。高齢家族の肌着を、家族や介護者が購入しているのなら、定期的にサイズが合っているかどうか確認することをおすすめします。
高齢者によく見られる皮膚疾患としては、疥癬や帯状疱疹、床ずれなどが挙げられます。発症する原因や具体的な症状、対策を把握しておきましょう。
「かいせん」と読みます。ヒゼンダニと呼ばれるダニが皮膚に寄生することで発症する皮膚の疾患で、人から人への感染も起こります。感染を防ぐためにも、早期の発見と治療が必要です。疥癬の主な症状としては、強いかゆみが挙げられます。かゆみが原因で、不眠に陥ってしまうケースもあるため注意してください。また、手首や手の平、指の間などには、疥癬トンネルと呼ばれる皮疹ができてしまうこともあります。疥癬を防ぐには、日ごろから入念に手洗いをし、洗い終わったあとはしっかりと水分を拭き取ることです。家族に介護が必要な高齢者がいる場合、かゆみを生じていないか、日ごろからチェックしてあげましょう。
帯状疱疹ウイルスによって発症します。風邪などにより、体の免疫力が低下しているときに発症しやすい病気です。高齢の方は、体力と免疫力が低下していることが多く、帯状疱疹を発症することが少なくありません。肌にブツブツができてしまうのが代表的な症状です。赤い発疹が現れ、発熱やリンパの腫れなどを伴うこともあります。発疹ができたあとは、水泡が現れます。強い痛みとかゆみを生じることも多く、人によっては不眠になってしまうことも。発症したときは、すぐ医療機関で診察を受けましょう。予防するには、免疫力を低下させないことが何より大切です。栄養バランスの整った食事とたっぷりの睡眠をとり、規則正しい生活を送りましょう。
「じょくそう」と読みます。一般的には、床ずれと呼ばれることが多く、体の一部へ持続的に圧力がかかることで生じます。同じ体勢で長時間寝ているときや栄養不良、湿潤などが原因で 褥瘡ができやすくなります。初期段階では、患部に赤みがさしている程度ですが、進行するとただれや水ぶくれなどが確認でき、痛みも生じるため注意が必要です。酷くなると、 褥瘡が皮下脂肪に達し、細菌への感染や神経組織の浸食なども起こります。寝たきりの要介護者は、同じ姿勢で寝続けることが多いため、 褥瘡ができやすい状態となっています。こまめに姿勢を変えてあげることを心がけましょう。短期間で悪化することもあるため、早めに医療機関で相談してください。
高齢者が皮膚の乾燥や異常を訴えた場合、まずは症状を確認し、すぐに医療機関へ相談することをおすすめします。「大したことはない」と放置すると、症状が悪化する恐れがあります。皮膚の異常を防ぐためには、介護者が日常的に観察を怠らないことが重要です。最初はわずかな赤みでも、大きな皮膚疾患に進行する可能性があるため、素人判断せず必ず医師に相談してください。
また、高齢者の中には、皮膚の異常を訴えない方もいます。中には我慢している方や異常に気づいていない方もいるでしょう。日常的に乾燥していないか、かゆいところがないか、皮膚に異常がないかを介護者が確認することが大切です。肌の保湿が必要な場合、本人ができないなら介護者がサポートしてあげましょう。日々のケアを通じて、高齢者の健康を守りましょう。
老人ホームにおける皮膚乾燥対策は、入居者の健康と快適な生活を支えるために非常に重要です。特に高齢者は皮膚の保湿能力が低下しやすく、乾燥からくるかゆみや感染症のリスクが高まります。そこで、老人ホームではさまざまな対策が講じられています。
まず、日々の保湿ケアが徹底されています。入浴後や洗顔後には、保湿クリームやローションを塗ることで皮膚の水分を保持し、乾燥を防ぎます。また、室内の湿度管理も欠かせません。加湿器の使用や定期的な換気によって適切な湿度を保ち、乾燥を防ぐ環境を整えています。
次に、栄養管理も重視されています。ビタミンAやE、オメガ3脂肪酸など、皮膚の健康に必要な栄養素を含むバランスの取れた食事を提供することで、内側からの健康をサポートします。また、定期的な水分補給を促し、脱水を防ぐことも重要です。水分をしっかり摂ることで、皮膚の潤いを保つことができます。
生活習慣の改善も重要な対策の一つです。例えば、長時間の熱いお湯での入浴は避け、ぬるま湯で短時間の入浴を推奨しています。さらに、入浴後にはすぐに保湿ケアを行い、皮膚の乾燥を予防します。また、乾燥しやすい季節には、綿やシルクなどの肌に優しい素材の衣類を選ぶことで、皮膚への刺激を減らします。
環境対策としては、室内の温度管理が挙げられます。エアコンや暖房の過度な使用を避け、適度な室温を保つことで皮膚の乾燥を防ぎます。さらに、定期的な換気によって室内の空気を清潔に保ち、乾燥を防ぐことも行われています。
医療ケアも欠かせません。定期的に皮膚科医の診察を受けることで、適切な治療やアドバイスを受けることができます。また、皮膚の状態に応じて個別のケアプランを作成し、適切な対策を講じることが重要です。
これらの総合的な対策によって、老人ホームでは皮膚乾燥から入居者を守り、健康で快適な生活を提供しています。日々のケアと環境の整備が、高齢者の生活の質を向上させるために重要な役割を果たしています。
もしご家族やご自身が皮膚の乾燥に悩まされているなら、老人ホームへの入居を検討されてはいかがでしょうか。専門的なケアと安心できる環境が整っている老人ホームなら、皮膚の健康を保ちつつ、充実した生活を送ることができます。老人ホームの入居は、安心と快適な生活を提供するための最良の選択肢の一つです。
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