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高齢者の体重減少は、単なる加齢によるものだけではありません。病気や薬の副作用・低栄養・認知症・うつ・口腔機能の低下・一人暮らしによる食生活の乱れなど、さまざまな原因が複雑に絡み合って起こっている可能性があります。さらなる体力低下や介護状態の悪化に至らないようにするためには、「年のせいだから」と体重減少を見過ごさないようにすることが重要です。
【この記事で分かること】
短期間での体重減少・食欲低下・ふらつき・転倒などは、高齢者の状態変化を知らせる重要なサインです。決して放置せず、かかりつけ医や地域包括支援センターへ早めに相談することが大切です。

高齢者が痩せてしまう原因は、医療面・生活面・心理面など多岐にわたります。「病気なのか、それとも年齢のせいなのか」を早期に見極めるためにも、まずはどのような原因が考えられるのかを把握しておきましょう。
【体重減少の原因一覧表】
| 原因 | 起こりやすい状況 | 家族が確認すること |
| 生活面 | 加齢による食事・活動量の低下 | 食欲や社会活動の状況など |
| 医療面 | 病気や薬の副作用 | 食欲低下・吐き気・味覚変化など |
| 心理面 | 認知症やうつによる食事量低下 | 食事の用意できているか・食べ残しが増えていないか |
| 身体機能面 | 口腔機能や飲み込む力の低下 | むせ込み、食べこぼし、噛みにくさ |
| 環境面 | 孤食による食生活の乱れ | 冷蔵庫・買い物・ゴミ出し・台所の様子 |
加齢による身体機能低下に伴い、基礎代謝や日中の活動量が落ちるため、体が必要とするエネルギー量は減少します。併せて食欲も低下しやすくなり、結果として食事の摂取量が減って体重減少につながることがあります。
【加齢による体重減少の背景と注意点】
胃腸などの消化器疾患・がん・糖尿病・甲状腺疾患といった病気が原因で体重が減少しているケースもあります。また、高齢者は複数の薬を服用していることが多いため、副作用によって食欲低下や吐き気、味覚変化が引き起こされている場合もあります。急な体重減少に加えて、他に気になる症状がある場合は、自己判断で薬を減らさず、早めに主治医や薬剤師へ相談することが重要です。複数の医療機関にかかっている場合は、薬を処方してもらう薬局を一か所に定めると、管理や相談がしやすくなります(かかりつけ薬局)。
認知症の進行により、「食事をしたこと自体を忘れる」「調理の手順がわからなくなる」「何度も同じものばかり購入する、何を買おうとしたのか分からなくなる」といった症状が現れ、結果的に食事量の減少につながることがあります。このような生活機能の低下によって頻繁な見守りが必要になった場合でも、支援の必要性は高まります。また、高齢期特有の喪失感や孤立感からうつ状態になり、食欲や食事に対する意欲が極端に低下するケースもあります。家族としては「食事を自力で用意できているか」「食べ残しが増えていないか」を定期的に確認することが大切です。
食べる意欲はあっても、実際には食べにくくなっていることが原因で体重が減ることもあります。具体的には、以下のような原因が考えられます。
上記のような症状があると、無意識に食べる量や噛みごたえのある食材を避けるようになります。食べにくい状態が続くと低栄養に直結するため、日々の口腔ケアを見直し、歯科受診や食事のやわらかさ・形状(食形態)の調整を検討する必要があります。
一人暮らしの高齢者は、買い物や調理の負担から、パンや麺類などの簡単な食事で済ませる傾向があり、栄養が偏りやすくなります。また、高齢者に限った話ではありませんが、一人で食事をする「孤食」も食欲の低下を招く一因となります。離れて暮らす家族からは見えにくい課題ですが、帰省や訪問の際には「冷蔵庫の中の食材が偏っていないか」「ゴミ出しができているか」「台所が使われている形跡があるか」を確認しましょう。

高齢者の体重減少においては、「病院に行くべきか」「少し様子を見てよいか」を判断する目安を知っておくことが大切です。体重の数字だけでなく、以下のような日々の変化にも注意を払いましょう。
【危険な体重減少のチェックリスト】
上記に加え、急な体重減少や発熱・痛み・便通異常がある場合は早めに受診することも大切です。
本人がダイエットなどの意図的な減量をしていないにもかかわらず、「6か月間で2kg以上」体重が減少した場合は注意が必要です。これは、心身の活力が低下する「フレイル(虚弱)」の重要なサインとされています。急激な体重減少は病気が潜んでいる可能性もあるため、放置せずに原因を確認することが大切です。
※参考:公益財団法人長寿科学振興財団 健康長寿ネット「フレイルの診断」日本版フレイル基準(J-CHS基準)
高齢者の場合、BMI(体格指数)が低いと低栄養や筋力低下のリスクが高まります。厚生労働省では、高齢者についての目標値をBMI21.5~24.9と設定しています。また、20以下を低栄養傾向の目安として注意喚起しています。ただし、BMIの数値だけで判断するのではなく、体重の推移や毎日の食事量、体調の変化とあわせて確認することが重要です。
※参考:厚生労働省「健康日本21アクション支援システム ~健康づくりサポートネット~」
【BMIの計算式】
BMI=体重(㎏)÷身長(m)÷身長(m)
例:70(㎏)÷1.7(m)÷1.7(m)=24.22
【身長別・BMI22の体重目安】
145cm:約46.3kg
150cm:約49.5kg
155cm:約52.9kg
160cm:約56.3kg
体重の減少に加えて、以下のようなサインが見られる場合は、低栄養やサルコペニア(筋肉減少症)、フレイルへと進行している恐れがあります。さらに放置すると要介護状態になって在宅生活が困難となるリスクがあるので、早期に対策することが重要になります。
【体重以外に見るべきサイン】
親と同居している方はもちろんですが、それ以外の場合でも実家を訪れた際に、上記のポイントに注目して親の行動を観察してみましょう。
数週間などのごく短期間で急激に体重が落ちた場合や、体重減少に加えて発熱・強い腹痛・長引く下痢や便秘・血便・強いだるさなどが伴う場合は、重大な疾患が隠れている可能性があります。素人判断や一部のネット情報を参照して「年のせいだから」と様子を見るのは危険です。少しでも迷いや不安を感じたら、すぐにかかりつけ医に受診・相談するようにしましょう。

高齢者の体重減少を防ぐには、食事・運動・口腔ケア・生活リズムなど、生活全般を俯瞰しながら見直すことが大切です。無理に食べさせるのではなく、本人の状態に合わせて工夫しましょう。 特におすすめの対策を、以下にまとめました。
【体重減少予防・改善が期待できる対策一覧】
| 対策 | 具体例 | 注意点 |
| エネルギーとたんぱく質を摂る | 高カロリー・高たんぱくな食材を取り入れる | 食事制限がある場合は事前に相談 |
| 補食・間食 | 間食にヨーグルト、チーズ、栄養補助飲料を飲む | 3度の食事に影響が出ないタイミングで取り入れる |
| 食形態の工夫 | 食材を細かく刻む、やわらかく煮る、とろみをつける | 誤嚥の恐れがある場合は専門職に相談 |
| 無理のない運動 | 散歩、椅子での軽い体操 | 転倒リスクに配慮し、無理のない範囲で行う |
| 口腔ケア | 毎食後の歯磨き、口腔体操 | 歯科受診も検討 |
では、それぞれの対策について詳しくご紹介していきます。
一度にたくさんの量を食べられなくなった場合は、少量でも効率よくエネルギー(カロリー)とたんぱく質を摂取できる食事が重要です。例えば、以下のような食材が有効です。
これらを毎日の食事に少しずつ取り入れることがおすすめです。ただし、腎臓病や糖尿病などの持病がある場合、たんぱく質やエネルギーの摂取を医師から制限されているケースがあります。その際は、必ずかかりつけ医や管理栄養士などの専門家に相談してから実施しましょう。
1回の食事では摂取量の確保が難しい場合は、補食(間食)を用いて栄養素を補う方法が効果的です。おやつ感覚で本人の好みのものを摂取するでもよいですが、特にこだわりがない場合は、以下のような食品がよいでしょう。
これらは調理の手間がなく、食欲がない時でも口当たりが良く食べやすいためおすすめです。ただし、間食をしすぎて3食の食事量が減っては元も子もありません。食事の妨げにならないよう、無理のない量やタイミングで摂り入れましょう。
噛む力や飲み込む力が弱くなっている場合は、食事そのものが本人にとって負担になるだけでなく、最悪の場合は誤嚥して窒息したり肺炎を起こしてしまったりする危険性もあります。そのため、以下のように食材の形態を変える工夫が必要です。
なお、食事中にむせることが増えたり、原因不明の発熱があったりする場合は、誤嚥している可能性があります。嚙みにくさや飲み込みにくさを感じている場合は、自己判断せず医師や歯科医師、言語聴覚士などの専門職へ相談してください。どこに相談したらいいかわからない場合は、「嚥下障害」の治療に対応した医療機関を探してみるのもよいでしょう。
体重の減少を防ぎ、健康を維持するには、食事だけでなく筋肉量を落とさないための運動も欠かせません。筋力が低下すると運動機能が損なわれてしまいます。悪循環を断つためにも、軽い運動で筋力維持を目指すことは非常に重要です。
無理なくできる運動の例は、以下の通りです。
本人の体調に合わせて、毎日少しずつ体を動かす習慣をつけましょう。ただし、すでに足元にふらつきがあるなど転倒のリスクがある場合は要注意です。万が一転倒して骨折などの大けがを負ってしまえば、一時的に寝たきりとなって大幅に心身機能が低下する恐れがあります。決して無理をさせないよう注意し、不安がある場合は最寄りの地域包括支援センターに相談し、介護予防教室や介護保険サービスの活用も検討しましょう。
口腔内の清潔さ・自歯の維持・入れ歯の手入れは、噛む力と飲み込む力に大きな影響を与えるため、食事量に直結します。そのため、口腔機能を維持することが非常に重要です。日々の歯磨きや入れ歯の手入れ、定期的な歯科受診がポイントになります。
以下の一つでも当てはまる場合は、口腔機能が衰えているサインですので、早めに対策を検討しましょう。

親が痩せてきたと感じたら、日々の生活状況を注意深く観察することが重要です。体重や食事だけでなく、買い物・調理・服薬・通院・生活リズムといった生活全体が回っているかを確認しましょう。
【家族が確認しておきたいチェックリスト】
上記のチェックリストのポイントについて、ご紹介します。
日々の食事・睡眠・便通・活動量の様子や体重の増減を記録しておくと、受診時や介護相談の際に正確な状況を伝えることができます。
【簡易チェック表の例】
| 記録項目 | 内容 | 備考 |
| 日付 | 〇月〇日(〇) | |
| 体重 | 〇〇㎏ | 定期測定の頻度を決める 急激な増減に着目 |
| 食事量 | 朝:主食〇割・副食〇割 昼:主食〇割・副食〇割 夕:主食〇割・副食〇割 | 主食とおかず、どちらを残したのかがポイント |
| 水分摂取量 | コップ〇杯/〇〇ml | 脱水の指標になる |
| 体調・症状 | 良・普通・悪 体温(〇〇.〇) 血圧(〇〇〇/〇〇) 脈拍( ) 痛いところ( ) | 具体的な症状や痛みがある部位なども記入しておく |
| 便通 | あり:(普通・硬便・軟便・水様便) なし:(最終排便:〇/〇) | どのくらい出ていないのかが重要 |
| 睡眠 | 良・普通・不良 | 睡眠の質が日中活動に直結する |
| 活動量 | 外出した外出しないが起きていた寝ていた | 活動が少ない日が続くのは要注意 |
簡単なノートやカレンダーにメモする程度でも構いませんし、公開されている健康管理アプリを活用する方法もあります。多少の手間はありますが、これらの記録があると医師やケアマネジャーが状況を的確に把握しやすくなります。
親の家を訪問した際は、台所や冷蔵庫の様子をチェックしましょう。特に一人暮らしの親の場合は普段の様子を見ることが難しいため、冷蔵庫チェックが異変に気付く有効な手段となります。訪問時に確認したい内容は、以下の通りです。
これらのサインは、買い物に行く体力が落ちている、または調理をする意欲が低下している証拠です。在宅での生活サポートを検討する重要な基準となるでしょう。
一人きりで食べる「孤食」は、食事の楽しみを奪い、食欲低下の原因になります。可能であれば、週末に家族揃って食事をする、親の好物を作って一緒に食卓を囲むといった機会を増やしましょう。会話をしながら食事を楽しむ雰囲気作りがポイントです。また、一緒に食事ができない日でも、電話で会話をしながら食事を促すなど、コミュニケーションを通じた情緒的なサポートも大きな助けになります。
薬の飲み忘れや、自己判断による通院の中断がないかを確認してください。お薬手帳を手掛かりに残っている薬の種類や量を見て、残薬の数が多ければ適切に服用できていないことになります。適切に服薬できていない場合に加え、複数の医療機関から処方された薬を重複して飲んでしまい、副作用で食欲が落ちているケースもあります。残薬が大量にある場合や、気になる副作用の症状がある場合は、かかりつけ医や薬剤師に必ず相談してください。大切なのは、自己判断で服薬中止をしないことです。
家族だけで毎日の食事の準備や見守りを続けることに過度な負担を感じたり、出来ることの限界を感じたりした場合は、外部の在宅サービスの利用を検討しましょう。一定の要件を満たして要介護(要支援)認定を受ければ介護保険サービスが利用できます。仮に認定の対象にならない場合でも自費サービス(インフォーマルサービス)を活用する方法もあります。特に有効な在宅サービスには、以下のようなものがあります。
これらの介護保険サービスや自治体の支援をうまく活用するためには、専門職への相談が必要です。まずは地域の高齢者に関する総合相談窓口である、地域包括支援センターを訪れてみるのがよいでしょう。

体重減少の原因は幅広いため、どこに相談すべきか迷うこともあるでしょう。症状や状況を整理し、適切な医療機関や介護窓口を頼ることがポイントです。相談窓口が分からず困ったときは、以下の相談先一覧表を参考にしてみてください。
【相談先一覧表】
| 相談先 | 相談する内容 | 向いているケース |
| かかりつけ医 | 体重減少・全般的な体調不良 | まず最初に相談したい場合 |
| 内科・老年内科・消化器内科 | 腹痛・胃腸の不調・極端な食欲不振 | 具体的な症状がはっきりしている場合 |
| 歯科・耳鼻咽喉科・嚥下外来 | 噛めない、飲み込みにくい、むせる | 口腔内に関するトラブルや誤嚥の不安がある場合 |
| 地域包括支援センター | 生活不安、介護サービスの利用 | 食事管理や生活支援が必要な場合 |
原因がはっきりわからない体重減少があった場合、まずは親の普段の健康状態を最もよく知っている「かかりつけ医」に相談するのがおすすめです。受診の際は家族が同行し、以下の内容を伝えるとスムーズです。
具体的な症状がある場合は、それに応じた専門の診療科を受診します。どこを受診したらいいか分からない場合は、かかりつけ医に相談して紹介状を書いてもらう方法もあります。症状ごとの診療科は、以下の通りです。
ただし、これらはあくまで例示です。受診先に迷った場合は、自ら判断せずにかかりつけ医に指示を仰ぎ、適切な専門科を紹介してもらいましょう。
「硬いものが噛めなくなった」「入れ歯が当たって痛い」という場合は歯科を受診し、早めに治療や入れ歯の調整を行いましょう。また、食事中によくむせる、飲み込みにくさを感じる場合は、嚥下機能の低下が疑われます。誤嚥性肺炎を防ぐためにも、嚥下機能の評価を行っている歯科や耳鼻咽喉科などへ相談し、適切な指導を受けることが大切です。嚥下外来をかかげた医療機関であれば専門的な検査を受けることもできるため、覚えておくとよいでしょう。
医療的な問題だけでなく、「一人暮らしで食事が作れなくなった」「日中の見守りが必要になった」といった生活・介護に関する不安は、お住まいの自治体の地域包括支援センターに相談してください。地域包括支援センターは、概ね中学校区ごとに1か所設置されており、センターごとに管轄している地域が異なっています。ご自身の地域を担当するセンターが分からない場合は、自治体の介護保険担当窓口に問い合わせるとよいでしょう。すでに要介護(要支援)認定を受けている場合は、担当のケアマネジャーに現状の体重減少や生活の悩みを伝え、配食サービスや訪問介護などのプラン見直しをお願いしましょう。在宅サービスの利用だけでフォローすることが困難になれば、次に老人ホームへの入居が視野に入ることになります。老人ホームを探す場合は、担当のケアマネジャーや老人ホーム紹介窓口に相談するのがおすすめです。

在宅でのサポート体制に限界を感じたときは、老人ホームや介護施設への入居が選択肢となります。体重減少は、在宅生活の限界や環境見直しのタイミングを知らせる重要なサインでもあります。
【施設検討の判断基準チェックリスト】
高齢の親の栄養状態を管理し、毎日欠かさず薬を飲ませることは、同居家族にとっても大きな負担となります。家族が日中仕事で不在がちであったり、本人自身で管理ができなくなったりしている場合は、24時間体制で見守りや食事提供を受けられる施設環境への移行を検討する時期かもしれません。施設を検討するにあたって罪悪感を感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、思い切って専門家にお願いすることがお互いの生活の質向上につながることもあります。すぐに条件に合う施設が見つかるとは限らないので、早めの情報収集が家族の安心につながります。
一人暮らしの親が、買い物に行く体力がなくなり、火の元の管理や調理が安全に行えなくなっている場合は、栄養失調や事故のリスクが高まります。まずは住み慣れた自宅での生活が継続できるよう、在宅サービスを導入しましょう。訪問介護や配食サービスなどの在宅サービスを導入しても生活リズムが整わない、あるいは孤独感が強く食事が進まないような場合は、安全な食環境が保障された住まいへの見直しが必要です。
体重減少とともに筋力が著しく低下(サルコペニア・フレイルの進行)し、家の中でのつまずきや転倒、ふらつきが頻発している場合は、重大な骨折につながる危険があります。一度低下した身体機能が回復・向上するのは簡単なことではありません。段差の多い自宅での生活が安全面で難しくなった場合は、バリアフリー環境が整い、必要な介護を受けられる老人ホームを検討する必要があります。早めに医療・介護の専門職の方へ相談することがおすすめです。
病気や骨折の治療で入院した際、食事量や体力が十分に回復しきらないうちに退院を迫られるケースが増えています。近年の医療提供体制の変化により、急性期の治療が終わると想定よりも早く退院が決定することがあり、家族が「この状態で自宅での生活は無理ではないか」と戸惑う場面もあります。もし退院後の在宅生活や見守り体制を整えるのが難しいと感じたら、まずは病院のソーシャルワーカー(医療相談員)に相談してみましょう。在宅復帰に向けたリハビリを行う介護老人保健施設や、長期間安心して過ごせる老人ホームへの入居など、現在の状況に適した選択肢を一緒に整理することができます。

最後に、よく寄せられる体重減少に関する質問にお答えします。ご家族への対応の参考にしてみてください。
特別なダイエットなどをしていないのに、「6か月間で2kg以上」体重が減った場合は、心身が衰えるフレイル(虚弱)のサインである可能性が高いため注意が必要です。また、短期間で急激に体重が落ちた場合や、ふらつき、発熱、痛みなどの症状が伴う場合は、早めに医療機関を受診してください。
※参考:国立研究開発法人国立長寿医療研究センター「改定日本版CHS基準(J-CHS基準)」
高齢の方で、食事はしっかり摂れているのに体重が落ちてきている場合は、以下のような原因が考えられます。
これらの原因の特定には医学的な判断が伴うため、自己判断するのではなく、早めにかかりつけ医や専門医に相談することがおすすめです。
一度にたくさん食べられない場合は、少量でも効率よくエネルギーとたんぱく質を補える以下のような食品がおすすめです。
ただし、持病で食事制限がある場合は、必ず医師や管理栄養士に相談してください。
まずは親の家を訪れた際に、「冷蔵庫の中身(傷んだものはないか)」「買い物やゴミ出しができているか」「薬の飲み忘れがないか」を確認してください。食事回数が減っていたり、生活リズムが崩れている場合は、専門職による対処が必要なサインです。
地域包括支援センターやかかりつけ医・ケアマネジャーへ相談し、在宅サービスの利用を含めた支援体制を整えましょう。
「高齢の親が痩せてきたときに家族が確認・サポートしたいこと」の章でご紹介している【家族が確認しておきたいチェックリスト】も参考にしてみてください。

高齢者の体重減少は、単なる加齢による変化だけでなく、病気・薬の副作用・低栄養・口腔機能の低下、そして一人暮らしによる生活環境の変化など、さまざまな要因が絡み合って起こります。体重の減少やふらつきといったサインに気づいたら、「年のせいだから」と放置せず、早めにかかりつけ医や地域包括支援センターへ相談することが大切です。家族が日々の食事量や生活の様子を確認し、適切なサポートにつなげましょう。もし、在宅での食事管理や見守りに限界を感じて不安になったときは、老人ホームや介護施設に関する情報収集も一つの選択肢としてご検討ください。
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