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排泄ケアの負担を軽減する自動排泄処理装置とは?

2024年10月9日
増田 高茂(社会保険労務士 介護支援専門員 介護福祉士 第二種衛生管理者)
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介護お役立ち情報

自動排泄処理装置とは

自動排泄処理装置とは、文字とおり自動的に排泄物を処理できる装置です。福祉用具のひとつであり、レシーバーで受け止めた排泄物をタンクへ自動的に送ってくれます。排泄物の吸引だけでなく、洗浄や乾燥まで行ってくれるのも特徴です。自動排泄処理装置は、寝たきりで動けない方が使うべき福祉用具です。また、自力で排泄ができない方、排泄の意思をうまく伝えられない要介護者などにも適しています。排泄介護の負担を軽減したい介護者にとっても、メリットを感じられる福祉用具です。

自動排泄処理装置はどんな悩みを解決することができるのか

自動排泄処理装置が解決する悩みは以下の3点です。

自動排泄処理装置は局部周辺を衛生的に保てる

寝たきりの要介護者の場合、介護用のオムツを着用しているケースも珍しくありません。排泄物が布団やマットレスなどに漏れてしまうことは防げますが、こまめにケアしてあげないと、皮膚が炎症を起こしてしまうおそれがあります。自動排泄処理装置の中には、排泄物の吸引から局部の洗浄まで行ってくれるタイプもあります。このような製品なら、排泄後に局部をキレイに洗浄してくれるため、皮膚刺激や炎症による痛みを軽減できるでしょう。局部周辺を衛生的に保てるため、利用者も快適に過ごせます。

自動排泄処理装置利用者のストレスを軽減できる

介護を受けている方の中には、介護者に対し常に申し訳ない気持ちを抱いている方もいます。そのため、尿意や便意をもよおしても、気をつかってしまい言い出せないことが少なくありません。特に、早朝や夜間の時間帯なら、介護者への気づかいから言い出せないことは想像に難くないでしょう。自動排泄処理装置を導入すれば、このような問題は解消します。介護者への気づかいも必要なくなるため、ストレスを軽減できるでしょう。また、なるべく尿意をもよおさないようにと水分の摂取を控えていた方も、気兼ねなく水分を補給できます。

自動排泄処理装置による介護者の負担軽減

排泄ケアの負担に悩まされている介護者は少なくありません。身体的なつらさはもちろんですが、精神的にも苦しく、大きなストレスを感じている方は多いのです。早朝や深夜にケアが必要になることもあり、介護者の仕事や私生活にかげを落としてしまうことも珍しくありません。このような介護者の負担を軽減するにも、自動排泄処理装置の導入は必要です。洗浄から乾燥まで行ってくれる製品を導入すれば、介護者が排泄ケアをこまめに行うことはなくなります。深夜や早朝に起こされることもないため、大幅に負担を軽減できるでしょう。

自動排泄処理装置の利用時における注意点

自動排泄処理装置利用時の注意点を3つ挙げました。

自動排泄処理装置の作動時の音が大きい

製品によって差がありますが、基本的に自動排泄処理装置の多くは作動時に大きな音がします。そのため、神経質な方なら、音が気になってしまうかもしれません。利用者のすぐそばで介護者や家族が寝ているようなケースでは、自動排泄処理装置の作動音で目が覚めてしまう可能性もあります。静音性は製品によって異なるため、可能であるなら利用前に確認することをおすすめします。自動排泄処理装置を実際に試せないなら、詳しい業者や介護の専門家に相談したうえで導入する装置を決めましょう。

自動排泄処理装置では吸引がうまくできない場合もある

身体の傾き具合によって、うまく排泄物を吸引できないことがあります。これは、製品によって差があるようなので、やはり事前に確認しておくと安心です。横向きで寝る方に対応できない製品も多いため、注意しましょう。身体の傾きや横向きに寝る方に対応できる製品もありますが、必然的にレシーバーが大きくなってしまいます。そのため、利用者によっては不快さを訴えるかもしれません。

自動排泄処理装置を使用するタイミングに注意

自動排泄処理装置は、その気になれば24時間使用できます。しかし、常時使用するとなると、利用者はその間ずっとレシーバーを装着しなくてはなりません。レシーバー装着時には寝返りがしにくく、体位変換もしにくいため、利用者のストレスにつながってしまいます。完全に寝たきりで、意識もほとんどない方なら、常時使用もひとつの選択肢ですが、そうでないなら使用時間を決めましょう。例えば、夜間だけ、自宅に介護者がいないときだけなどです。介護を必要とする方も、できることは自分でしなければなりません。それがリハビリにもなるため、自動排泄処理装置の使用もできる限り最小限に留めましょう。

ライフスタイルに合った自動排泄処理装置を選ぼう

自動排泄処理装置の導入により、利用者は快適な日常を送れるメリットがあります。自動排泄処理装置とは何かこの記事を読んでご理解いただけた方も多いのではないでしょうか。排泄物の付着による皮膚の炎症も回避できるため、寝たきりの高齢者、要介護者がいるご家庭におすすめの福祉用具です。また、介護者の介護負担を大きく軽減してくれるのもメリットといえるでしょう。この機会に導入を検討してみてはいかがでしょうか。

著者プロフィール

増田 高茂(社会保険労務士 介護支援専門員 介護福祉士 第二種衛生管理者)
増田 高茂(社会保険労務士 介護支援専門員 介護福祉士 第二種衛生管理者)
多くの介護事業所の管理者を歴任。小規模多機能・夜間対応型訪問介護などの立ち上げに携わり、特定施設やサ高住の施設長も務めた。社会保険労務士試験にも合格し、介護保険をはじめ社会保険全般に専門知識を有する。現在は、介護保険のコンプライアンス部門の責任者として、活躍中。

監修者プロフィール

花井 敦由奈(介護福祉士)
花井 敦由奈(介護福祉士)
静岡市駿河区生まれ。大学卒業後、地元の介護事業会社に就職。小規模多機能型居宅介護、デイサービス、訪問介護の現場に従事し、介護福祉士の資格を取得する。訪問介護ではサービス提供責任者として様々な在宅介護の現場を経験。お客様やご家族様とコミュニケーションを図りながらニーズを探り、ケアマネジャーと連携を取りながら様々なケースに対応してきた。

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