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ポータブルトイレの種類・使い方について解説

2024年8月11日
増田 高茂(社会保険労務士 介護支援専門員 介護福祉士 第二種衛生管理者)
カテゴリー:
介護お役立ち情報

病気や怪我、転倒の可能性などでトイレまで行くことが難しくなったときは、ポータブルトイレの活用がおすすめです。ポータブルトイレは持ち運びができる簡易ので、に必要な時だけセッティングして使用できる便利なトイレです。今回は、トイレに行くのが難しい・トイレ介助の負担を軽減したいという方におすすめなポータブルトイレについて、以下のようにご紹介していきます。

  • ポータブルトイレとは
  • ポータブルトイレの種類
  • ポータブルトイレの使い方
  • ポータブルトイレ選びのポイント
  • おすすめなポータブルトイレ

この記事を最後まで読めば、最適なポータブルトイレの見つけ方が分かります。

ポータブルトイレとは

ポータブルトイレとは、その名の通りポータブル(持ち運び)が可能なトイレです。トイレまで行くことが大変な方によく利用されるており、介護の現場では非常に良く使われる福祉用具の1つです。介護保険制度では「特定福祉用具販売」というサービスの対象となっており、事業所の指定を受けた店舗であれば実質1~3割の自己負担で購入することが可能です。

ポータブルトイレの種類

一言にポータブルトイレといっても、機能や材質によって様々な商品があります。例えば、以下のようなポータブルトイレがあります。

  • 下水管や上水菅と繋ぐ水洗機能や温水洗浄機能が付いているもの
  • 消臭機能が付いているもの
  • 木製で家具に馴染むデザインのもの
  • 安定性を重視した重量のあるもの
  • 立ち上がりのしやすさに配慮した高さのもの など

ポータブルトイレは様々な機能や種類があるので、使う人や介助する人の目的に合わせた商品を選択することが大切です。

ポータブルトイレの使い方

ポータブルトイレの基本的な使い方は、乗り移りしやすい位置にトイレを設置することです。ほとんどの場合は寝室で使う場合が多いので、ベッドの近くに設置されます。使用後はポータブルトイレ内のバケツに排泄物が溜まっていきます(水洗タイプを除く)。排泄物が溜まるバケツがいっぱいになる前にトイレに流し、バケツをきれいに洗浄して再度ポータブルトイレにセットします。

バケツを洗浄するタイミングは、臭いや衛生面を考え使用のたびに行うのが理想です。しかし排泄のたびに洗浄するのは介護者にも負担となります。特に一般家庭の場合は夜間連続使用し、朝に一括廃棄・洗浄する場合が大半です。この章では、ポータブルトイレの使い方について以下3つのポイントをご紹介していきます。

  • 自分で排泄が可能な場合
  • 介助が必要な場合
  • 排泄物の処理方法

自分で排泄が可能な場合

トイレまで自力で歩いていくのは不安があるけど、排泄の動作は安定している人の場合の使い方をご紹介します。

以下の手順で行いましょう。

  1. ベッド(布団)から起き上がり、立ち上がる前に手を伸ばしてポータブルトイレの蓋を開ける
  2. ベッド(布団)から立ち上がる
  3. ポータブルトイレの方に体を向ける
  4. ズボンやパンツを下す
  5. ポータブルトイレに座って排泄する
  6. 拭き取ってペーパーをバケツの中に捨てる
  7. 立ち上がってズボンを上げる
  8. ベッドに戻る
  9. ポータブルトイレの蓋を閉める

意外とポータブルトイレの蓋を開け閉めするときにバランスを崩す恐れがあるので、立った状態で行う動作を極力減らすことが安全な排泄動作のポイントです。衛生面と臭いの拡散を考え、使用後は必ず蓋を閉めるようにしましょう。

介助が必要な場合

トイレの動作に介助が必要な場合の使い方をご紹介します。介助が必要な場合は、ポータブルトイレの設置場所に注意します。自分でトイレ動作が出来る場合は本人が乗り移りやすい位置に置いてよいのですが、介助が必要な場合は介助者が本人を移乗させやすい位置に設置することがポイントになります。

ポータブルトイレの介助を行う場合は、以下の手順で行いましょう。

  1. ポータブルトイレの蓋を開け、位置が適切か確認する
  2. 電動ベッドの場合は、ベッドの高さをポータブルトイレの座面に合わせる
  3. ポータブルトイレの蓋を開ける
  4. 本人を起こしてベッドの下に足を下ろして座った状態(端座位)にする
  5. 手すりやポータブルトイレの肘掛け等に掴まっていただき、立ち上がりを介助する
  6. ポータブルトイレの方に体の向きを変え、支持物に掴まってもらったままズボンとパンツを下す
  7. ポータブルトイレに移乗させ、排泄が終わるのを待つ
  8. 本人から拭き取ってもらう(本人ができなければ介助する)
  9. 立ち上がってもらい、支持物に掴まってもらった状態でズボンとパンツを上げる
  10. ベッドへの移乗を介助し、休んでもらう。
  11. ポータブルトイレの蓋を閉める

ポータブルトイレでの排泄を介助する際は、本人の転倒やベッドからの転落を防ぐことを一番に考えます。要介助者から目を離す場合は極力本人が安定した状態で行いしょう。また、介助をする際は要介助者の状態に合わせて内容を変更します。自分でできる動作は自分でやっていただくようにし、うまくできない部分や不安定な部分のみを手伝います。

排泄物の処理方法

ポータブルトイレの使用にあたり、排泄物の処理方法は重要なポイントです。排泄物の匂いが部屋にこもりますと不快になりますし、長時間放置することは衛生的にもよくありません。「いつまでも排泄物が部屋の中にある」という心理的嫌悪感にも配慮する必要があります。生活の質(QOL)の維持のためにも、排泄物は適切に処理しましょう。

処理方法としては主に以下の2つの方法があります。

  1. 自宅のトイレに排泄物を流して洗浄する
  2. 排泄物を固める薬剤や消臭剤を使用する

トイレに流す方法が最もお金がかからず衛生面でも有利です。しかし排泄のたびにトイレに流しに行くことは負担になりますし、本人が処理する場合は重くなったバケツを何回も持ち歩くので転倒の危険性も高まります。ある程度バケツ内に排泄物が溜まってから処理する場合が多いので、消臭剤を使用して臭いを抑えたり凝固剤を使用して処理を簡単にしたりする方法が有効になります。

ポータブルトイレ選びのポイント

ポータルトイレには機能や種類があるので、使用者の状態にあった商品を選ぶことが重要です。ここでは、ポータルトイレの選び方について以下3つのポイントをご紹介していきます。

  • 安定感がある
  • 高さ調整が可能
  • 肘掛けが外せる

安定感がある

ポータブルトイレを購入する際は、安定感がある物を選びましょう。ポータブルトイレが必要になる程足腰が弱っている方の場合、乗り移る際の体重を支え切れずにポータブルトイレごとひっくり返ったり転倒したりしてしまう危険があるからです。

一般的な樹脂製のポータブルトイレは軽くて動かしやすい半面、体重が重い方や体格が大きい方が使用するときに不安定さを感じる場合があります。一方で、木製のトイレは重量があるので安定感がある分、持ち運びが大変になります。樹脂製でも安定感を重視した幅広タイプや重量がある商品もあります。ポータブルトイレに乗り移る際の思わぬ事故を予防するためにも、安定感がある商品を選びましょう。

高さ調節が可能

ポータブルトイレからの立ち上がりやすさを確保するためには、適切な座面高の商品を選ぶことが必要になります。「立ち上がりやすさ」は自力で排泄する場合だけでなく、介助が必要な場合も使いやすさに関わってくるからです。

一般的に、座面が高ければその分立ち上がりやすくなると言われています。ただしあまりに座面が高いと不安定になるので、バランスを崩してポータブルトイレから転落してしまう危険性も生まれます。ポータブルトイレの中には高さ調整ができない商品もあるので、使う人に合わせた高さに調整できるタイプを選ぶことが重要です。

肘掛けが外せる

ポータブルトイレへ乗り移るときに介助が必要な場合は、肘掛けを外せる商品を選択しましょう。ベッドとポータブルトイレ間の移乗の際に体や腕が引っかかり、思わぬ事故の原因となる可能性にもなるからです。

肘掛けは座った姿勢を保つ助けになったり、移乗時に手すりの代わりになったりします。しかし乗り移る際に引っかかって転んでしまえば本末転倒です。特に移乗時に介助が必要な場合の事故を予防するためにも、取り外し可能なタイプが有効です。一旦外した場合は必ず元に戻し、抜け防止のロックをかけておくように気を付けることも大切です。

より快適な生活にするために

ここまでは、ポータブルトイレの概要や商品選定時のポイントについてご紹介してきました。

  • ポータブルトイレとは持ち運びが可能なトイレのことであり、トイレに行くことが大変な場合に使用する
  • ポータブルトイレには、水洗や温水洗浄便座機能が付いたものや家具に馴染む木製の物、消臭機能が付いたものなど様々な商品がある
  • ポータブルトイレはベッドの脇に置き、使用後は速やかにバケツ内の排泄物を処理するのが基本
  • ポータブルトイレは安定感があり、高さ調整と肘掛けの取り外しができる物を選ぶとよい

これらの情報が、少しでも皆様のお役に立てば幸いです。最後までご覧いただき、ありがとうございました。

著者プロフィール

増田 高茂(社会保険労務士 介護支援専門員 介護福祉士 第二種衛生管理者)
増田 高茂(社会保険労務士 介護支援専門員 介護福祉士 第二種衛生管理者)
多くの介護事業所の管理者を歴任。小規模多機能・夜間対応型訪問介護などの立ち上げに携わり、特定施設やサ高住の施設長も務めた。社会保険労務士試験にも合格し、介護保険をはじめ社会保険全般に専門知識を有する。現在は、介護保険のコンプライアンス部門の責任者として、活躍中。

監修者プロフィール

奥川 敦史(認知症介護実践者研修修了)
奥川 敦史(認知症介護実践者研修修了)
静岡市駿河区生まれ。2003年より介護事業運営会社にて訪問入浴の現場業務に関わる傍ら、新規事業所開設の申請や品質管理業務といった運営本部の業務に関わる。その後もグループホーム、デイサービス、サ高住の施設長といった現場業務の他、人事、総務など老人ホーム運営業務全般に携わってきた。また、運営本部の入居相談窓口担当としてのキャリアも長く、様々なケースの相談事例に対応してきた。趣味は家族での動物園巡り。

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