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高齢者にとって肺炎は非常に恐ろしい病気です。高齢者の死因の多くが肺炎に関連しており、インフルエンザの合併症として肺炎が発生することもよく知られています。肺炎はさまざまな病気の合併症として起こる可能性があり、さらに新型肺炎などの感染症も世界的に増加しているため、肺炎への不安が高まっています。加えて、高齢者は熱や咳、たんといった典型的な肺炎の症状が出にくく、体調不良程度にしか感じないことも多いため、肺炎の発見が遅れがちです。肺炎は進行が速いため、早期発見ができないと命に関わるリスクが高まります。
肺炎になると、直接の肺の症状が出る前にあらゆる症状が起こります。それは、一般的な風邪にありがちな症状や、単なる体調不良と思ってしまうような症状もあり、肺炎の症状として見逃しやすいものばかりです。肺炎を少しでも早く発見するために、これらの症状について知っておくと安心でしょう。
肺炎の症状として、高熱があります。高熱というと、一般的に38度を超えたものであり、介護者も放置することはないでしょう。しかし、高齢者の場合、肺炎の高熱が出にくく、微熱程度ということがあります。微熱ということもあり、少し体調が悪いのかな?というくらいの判断をしてしまいやすく、このことが肺炎の発見を遅らせてしまう結果となるようです。肺炎に限らず、高齢者は高熱が出にくく、だらだらと微熱が続くことが多いとされています。あらゆる病気でこの傾向があるので、高齢者の病気は意外と発見しにくいのです。
肺炎のもう一つの原因として、食欲不振があります。ただ、高齢者の方の多くは普段からそこまで多くの量を食べませんし、加齢による味覚の低下によるものや、口腔内のトラブルなどあらゆる理由で食欲がなくなることがあります。そのため、普段から意識していないと、なかなか気づきにくいかもしれません。しかし、肺炎の大事なサインの一つですので、日ごろの食べる量をある程度把握しておき、いつもよりも食べる量が少ないといった場合には注意して見てみましょう。
肺炎の兆候として表れやすいのが、元気がないということです。これは、病気全般にも言えることですが、肺炎のあらゆる症状(発熱や食欲不振など)により、どうしても顔色が悪く、体調が悪く見えるということです。あらゆる症状と附随して起こってくる症状に元気がないというものがあるので、どうしても見逃しやすいですし、介護者は食欲がないのだから元気がないのだろうと判断をしてしまいがちです。体調が良くないのでは?というときは、高齢者の体調についてメモを取るようにし、肺炎に限らず病気の兆候を見のがさなさないようにしましょう。
肺炎の兆候として、呼吸数の増加があります。脈拍数には普段から注意がいきますが、呼吸数の増加については注意がいきにくいことは、残念ながらよくあることかもしれません。肺に炎症が起きてくると、発熱します。微熱程度であっても、体内の酸素消費が増えるため、不足する酸素を補うためにどうしても呼吸数が増えるのです。このような流れで呼吸数が増えるため、呼吸数というのは肺炎の兆候として表れやすいことが分かります。普段の呼吸数を知っておくことが大切でしょう。
肺炎にはさまざまな種類があるので、原因や症状にも違いがあります。高齢者は肺炎になりやすいため、介護者は肺炎について知っておくと、肺炎を初期症状の段階で見つけることができるかもしれません。
ウイルス性肺炎とは、ウイルスが原因となって起こる肺炎のことです。インフルエンザウイルスやRSウイルス、ヒトメタニューモウイルスなどが代表的であり、症状としては咳や呼吸困難などがあります。このほかに、麻疹ウイルスや水痘帯状疱疹ウイルスなどの合併症として発症することもあり、皮疹や中枢神経障害など全身にあらゆる症状を引き起こします。原因ウイルスに対する効果的な治療薬がある場合は、その薬を使って治療するのが一般的です。
細菌性肺炎とは、細菌を原因として起こる肺炎であり、肺胞にまで細菌が到達しているものを指します。細菌が気道を通って侵入することが一般的ですが、まれに血液の循環を介することもあるようです。細菌性肺炎のとしては、発熱、咳、膿性の痰が見られ、さらに胸痛が起こることも。胸痛がある場合は、胸膜へ炎症が広がっていることを示し、さらに呼吸数や脈拍の増加が見られます。軽症で通院が可能な場合は通院治療を、中等度以上の場合は入院し、入院治療が必要です。
過敏性肺炎とは、病原体が原因ではない肺炎のことであり、アレルギー性疾患の側面があります。有機物の粉塵や化学物質を繰り返し吸い込んだことにより起こり、肺胞や細気管支の内部や周辺に炎症が起こるものです。アレルギー性物質としては、トリコスポロンと呼ばれるカビが多く、夏に見られやすいのが特徴的。症状は乾いた咳や息切れ、呼吸困難、発熱などであり、治療法としてはアレルギーを起こす環境から遠ざかるのが効果的です。入院期間中は症状が落ち着いていて、退院すると症状が出るということがよくあります。
肺の間質組織の繊維化が起こる病気であり、さらに病気が進行して肺線維症になることもあります。この病気の多くが原因不明であり、治療も難しいと言われています。一般的な肺炎とは病状が違うことも特徴的であり、肺活量が落ち、酸素の吸収効率も悪くなるので、息苦しさを感じ、咳が出たりします。さらに、病気が進行すると肺全体の機能が落ちるため、血液中の酸素が不足し、日常生活にも支障をきたす、いわゆる呼吸不全になることも。症状はたんが出ない乾いた咳が特徴的。息切れに関しては初期の場合は軽度ですが、病気が進行すると日常生活が困難なほどになります。治療は薬物治療や酸素療法を行います。
口から食道に入るべきものが、気管に入ってしまうことを誤嚥と言いますが、その際に細菌も気道に入ってしまうことで生じる肺炎を、誤嚥性肺炎と言います。飲み込む力が弱くなっている高齢者には起こりやすい肺炎であり、高齢者の口の中は清潔ではないことも多いので、誤嚥をすると細菌も気管に入りやすいようです。症状は風邪のような症状であり、熱が出て、呼吸が苦しくなる、激しい咳が出る、黄色いたんが出るのが一般的。治療は抗菌薬などを用いた薬物療法がおこなわれます。
新型コロナウイルスによる肺炎を指します。このウイルスは、急速に症状が悪化し、死に至ることもある深刻な病気です。特に高齢者は免疫力が低いため、感染リスクが高く、重症化や死亡するリスクも若い世代に比べて非常に高いとされています。感染経路は飛沫感染や接触感染が主ですが、現在ではウイルスの性質が多く解明され、対策が進んでいます。
ワクチンの普及により、多くの人が重症化を防ぐことができるようになりました。また、治療薬も開発され、世界中で使用されています。これにより、新型コロナウイルス感染症に対する対応が大きく進化しました。しかし、完全な収束には至っておらず、変異株の出現などもあり、引き続き注意が必要な状況です。
高齢者は免疫力が低いため、どうしても肺炎にかかりやすくなります。また、一般的な肺炎の症状と比べても、高齢者の場合はその症状が目立たず、病気が進行してから気づくことが多いのです。早期に肺炎を発見するためには、介護者がある程度の知識を持ち、わずかな体調の変化にも気を配ることが大切です。
自宅で高齢者を介護している場合、介護者が最も近くでその変化に気づける存在です。高齢者は自分で症状を伝えるのが難しいことも多いため、あなたの気付きが肺炎の早期発見につながることを願っています。日々の小さなサインを見逃さず、大切なご家族を守りましょう。
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