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血圧が家庭用の血圧計で135/85mmHg、診察室血圧で140/90mmHg以上になると高血圧と診断されます。高血圧と診断されると脳梗塞や心筋梗塞などの病気になるリスクが上昇します。このリスクは血圧の値と危険因子によってリスクの高さが変わってきます。
危険因子がない方
65歳以上男性、脂質異常症、喫煙のいずれかに該当する方
脳心血管症既往、非弁膜症性心房細動、糖尿病、たんぱく尿のある慢性腎臓病のいずれかに該当する方。また、リスク第2層の危険因子が3つ以上ある方
高血圧と診断されたら治療を開始していきますが、治療方法は血圧の値によって変わってきます。治療方法は大きく分けて非薬物療法と薬物療法に分けられます。高血圧(140/90以上)と診断された方はで高リスクに分類される方が薬物療法に該当します。もちろん、同時に非薬物療法を行いますので、ほとんどの方は非薬物療法に取り組む必要があります。非薬物療法とは生活習慣を修正することを指し、食事、運動、睡眠、飲酒、喫煙等を修正することで降圧を目指す治療法です。薬物療法とは高血圧のタイプや年齢、合併症などに合わせて降圧薬や利尿薬を服用して血圧コントロールをしていく治療法です。
高血圧と診断されると治療に取り組むことになりますが、具体的にどれくらいの数値まで下げる必要があるのでしょうか。日本高血圧学会が示したガイドラインに、年齢が合併症別の基準が示されています。
高血圧で高リスクと診断されると薬物療法が始まります。では、どのようなお薬を使いながら血圧のコントロールをしていくのでしょうか。高血圧の方の目的は血圧を下げることです。血圧を下げるための薬を「降圧薬」と言います。降圧薬には血管を広げて血圧を下げる薬と血流量を減らして血圧を下げる薬の2種類に分けられます。
血圧を上げる物質やホルモンを抑えることで、血管を広げて血圧を下げていきます。
血圧を上がってしまうメカニズムとして動脈の血管壁にカルシウムイオンが流れ込み、細胞が収縮して血管が細くなるという状態があります。カルシウム拮抗薬は、カルシウムイオンが流れ込んでしまう血管壁の穴に入り細胞を収縮させる原因となるカルシウムイオンの流入を防ぎます。流入を防ぐことで血管の収縮を抑え、血液が通る道の太さを確保し、血圧を下げることになります。カルシウム拮抗薬は血圧を下げるために血管を拡張します。そのため、副作用として、血行不良による症状などが起こる場合があります。
具体的には
などが挙げられます。
RA系とは血管収縮、血圧上昇までに起こる各段階に作用する薬です。
腎臓から分泌されるレニンというホルモンの働きを抑制します。血中のアンデオテンシンノーゲンを分解する働きがあります。
ACEとはアンジオテンシン変換酵素のことで、アンジオテンシンとは血圧上昇作用を持つ生理活性物質です。このアンデオテンシンの働きを抑制します。
アンデオテンシンⅡが1型受容体と結合することで血管が収縮し血圧が上昇します。ARBはアンデオテンシンⅡが細胞に取り込まれ結合するのを防ぐ働きをします。
血液中の水分が増えると血液の量が増え、血圧が上がります。利尿薬は体内の水分だけでなく、塩分の排泄も促すので、血圧を下げる働きがあります。
利尿薬は腎臓への働き方によって主に3つのタイプがあります。
患者さんの症状に合わせて処方されます。利尿薬を服用していると脱水症状のようなものが現れ、低カリウム血症、高カリウム血症、高血糖、高尿酸血症などの副作用が現れる場合があります。定期的に血液検査をし、異常がないか確認することが必要です。
高血圧治療ガイドラインでβ遮断薬は高血圧治療の第一選択薬から外れています。しかし、高血圧治療に使わなくなったわけではありません。β遮断薬とは興奮状態の時になるとノルアドレナリンという神経物質が分泌され、心臓の働きを活発にし、血圧や脈拍が上がります。β遮断薬はノルアドレナリンが心臓にあるβ遮断薬に取り込まれるのを防ぎ心臓の働きを抑え、血圧を下げるお薬です。興奮状態を鎮めることで家庭や職場のストレスによる高血圧を抑える効果が期待できる一方で、心拍数が減るため徐脈になることがあり不整脈の方には使えません。また、気管支を収縮させる場合があるため喘息持ちの方には使用が推奨されません。
α遮断薬はβ遮断薬と似たメカニズムで血圧を低下させます。β遮断薬は心臓にある受容体にノルアドレナリンが取り込まれるのを防ぐのに対して、α遮断薬は血管にある受容体にノルアドレナリンを取り込まれることを防ぐお薬です。血管を広げて末梢神経の収縮を防ぐので血流の流れがスムーズになり、血圧をさげます。副作用は比較的少ないお薬ですが、めまいや立ち眩み、動悸などの症状が出ることがあります。
降圧薬は他の食べ物や薬によっては効果が弱まってしまったり、逆に濃度が高くなったりしてしまうものがあり、注意が必要です。薬についてはお薬手帳を見せたうえで処方してもらうためリスクを回避することができますが、食事については正しい知識をもっておかないとうっかり食べてしまうことがあります。代表的にはグレープフルーツです。グレープフルーツはカルシウム拮抗薬の効果を増強する働きあり、副作用がでやすくなることがあります。カルシウム拮抗薬と相性が悪い食べ物はスウィーティー・ダイダイ・ブンタン・夏みかんなどのフラノクマリンが含まれるものです。α遮断薬のような中枢性交感神経抑制薬はタンパク質の多い食品を摂取することで降圧薬の吸収を阻害する働きがあります。肉、魚、卵、大豆などの過剰摂取には注意が必要です。また、血管を拡張するRA系やカルシウム拮抗薬、α遮断薬は亜鉛を多く含む食品で頭痛や頻脈などの副作用が増強される作業があります。具体的にはレバーやカキ、ホタテなどです。
高血圧と診断されて薬物療法を開始する方は合併症へのリスクも高い方です。血圧改善していくために、医師の指示はもちろん、ご自身の正しい知識をつけることで生活習慣も併せ改善していきましょう。