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認知症について、間違った知識を持っている方は少なくありません。
たとえば、「認知症になると何もかもわからなくなる」「人間性が失われる」と思っている方も多いようですが、これは誤りです。認知症になっても、本人の心はきちんと生きていることを家族は理解してください。認知症でよく見られる症状のひとつが、物わすれです。過去の体験やできごとを忘れてしまう一方で、習得した技能は体と脳が覚えている、といったことは珍しくありません。そのため、過去の記憶をなくしても、ピアノを演奏できたり、絵を上手に描けたりといったことがあります。
認知症になったからといって、心がすべてを忘れてしまうわけではありません。家族が誤った知識をもったまま接してしまうと、大切な家族を傷つけてしまうおそれもあります。まずは、認知症に関する正しい知識を身につけましょう。
認知症と診断された結果を、なかなか受け入れられない方もいるかもしれません。おそらく、多くの方は信じたくない、ウソだと言ってほしい、そう考えてしまうのではないでしょうか。ここでは、認知症患者の家族がたどる4つの心理ステップをお伝えします。
多くの認知症患者の家族は、高齢の家族が物忘れがひどくなったり、会話がうまくいかなくなったことをきっかけに、医療機関で診断を受けることを決意します。しかし、認知症と診断されると、認知症患者の家族は大きな戸惑いを感じることがよくあります。心の中で「認知症ではないはず」と期待している場合が多いため、その期待が裏切られたとき、混乱や不安が一気に押し寄せてきます。
さらに、診断結果を聞いた瞬間に、認知症患者の家族は現実を否定したくなることがよくあります。「そんなはずはない」「身内に認知症の人はいない」「何かの間違いだ」と、医師からの確かな診断を前にしても、認めたくないという気持ちが強くなりがちです。現実を受け入れるには時間がかかり、認知症患者の家族にとって、診断後の対応や心の整理は非常に大きな課題となります。
戸惑いと否定の感情が過ぎ去ると、次に多くの認知症患者の家族は、頭と心の混乱を感じ始めます。「どうしてこんなことになったのか」「なぜうちの家族がこんな目に遭うのか」といった疑問が浮かび、やがて怒りや拒絶といった感情が湧きあがることがあります。ごく最近まで普通に生活していた家族が、認知症と診断されたという現実を前に、混乱してしまうのは当然の反応かもしれません。
怒りの感情が湧きあがるのも無理はありませんが、ここで認知症患者の家族が気をつけるべきことがあります。もっともショックを受けているのは、他ならぬ認知症と診断された本人であるということです。家族が混乱し、怒りを抱えていると、認知症患者本人は「自分のせいで家族がこんなにも混乱し、苦しんでいる」と自らを責めてしまうことがあります。そのような状況で、本人がさらに悲しむことは避けたいですよね。
家族として支えたいという気持ちがあるからこそ、混乱や怒りに飲み込まれず、大切な家族のために冷静に対応することが重要です。
この段階まで進むと、多くの認知症患者の家族は、心が次第に落ち着きを取り戻してきます。「認知症でも家族であることに変わりはない、これからも大切な家族である」と、前向きに受け止められるようになるのです。ただし、人によってはうまく気持ちを整理できず、あきらめの感情が湧いてしまうこともあります。特に、認知症に対して誤った知識を持っている場合、そのような心理状態に陥りやすい傾向があります。
たとえば、「認知症になると自分が誰か分からなくなる」「コミュニケーションがとれなくなる」といった誤解を抱えている人も少なくありません。このような誤った認識があると、「これまでのように家族として接することができなくなるかもしれない」とネガティブな考えに陥りやすく、結果的にあきらめの感情を抱いてしまうことがあるのです。
認知症患者の家族が、認知症になった現実を含め、すべてを受け入れる段階に至ると、戸惑いや怒り、あきらめといった感情は次第に薄れ、認知症になった家族を支えながら、これからどのように共に生きていくかを前向きに考えられるようになります。これまで、大切な家族が認知症になったことを受け入れられず、苦しい日々が続いたかもしれませんが、この段階までくれば、ひとまず安心です。家族とともに未来を見据えられるようになり、ネガティブな感情も和らいでいきます。
もちろん、すべての認知症患者の家族がこの受容のステップにスムーズにたどり着けるわけではありません。人によっては、長い間家族の認知症を受け入れられず、苦しい時間を過ごすこともあるでしょう。しかし、いつか必ず受け入れる時が訪れます。同じ場所に立ち止まらず、家族と共に新たな未来を探る勇気を持ちましょう。
認知症患者には、共通する特徴があることをご存じでしょうか。それを理解できていれば、認知症を患った家族への対応の仕方が見えてきます。認知症患者に共通する特徴を把握し、接し方の参考にしてください。
記憶障害は、認知症患者にもっともよく見られる症状のひとつです。本人が新しいことを覚えたとしても、そのことすらすぐに忘れてしまいます。数分前、数日前に覚えたばかりのことでも、まったく覚えていないケースもあります。たとえば、ゴミ出しの曜日が変わったことを教えたとしても、認知症患者は覚えられないことが多いため注意が必要です。スマホや家電の使い方なども、そのときは覚えていたとしても時間を置かずに忘れてしまうことが多々あります。新しいことを覚えてもらうときには、何度も繰り返すことが大切です。また、一度にいろいろなことを教えるのではなく、ひとつずつ覚えてもらうよう心がけましょう。言葉だけで伝えるのではなく、イラストにする、体で覚えるなど、工夫次第で覚えてもらえる可能性が高くなります。また、たとえすぐに忘れてしまったとしても、怒るのは厳禁です。病気だということを理解しましょう。
認知症における記憶障害では、記憶が現在から過去にさかのぼって忘れていきます。記憶が過去にタイムスリップしてしまい、現在のことがわからなくなることも珍しくありません。たとえば、家族の顔を忘れてしまうのはよくある話です。夫や妻の顔、兄弟姉妹の顔を忘れてしまい、まるで初めて会ったかのようなリアクションをしてしまいます。ただ、このようなときでも、過去の写真や映像を見せると、自分の家族であることを認識できるケースが多いのです。これは、すなわち記憶が過去にタイムスリップしているということです。若いころの家族の姿は覚えているのに、現在の姿を忘れてしまっているのです。このような場合に、否定したり怒ったりするのではなく、きちんと受け入れてあげましょう。家族としては寂しいかもしれませんが、本人は決して家族のこと忘れているわけではないのです。
こうした認知症の症状は、家族に見せることがほとんどです。友人や知人に対してはしっかりとした態度で接することが多く、認知症といっても信じてもらえないことも。一方、家族には記憶障害をはじめとする、さまざまな症状を見せます。信頼している人にこそ、強い症状を見せることがわかっています。「どうして家族を苦しめるようなことを…」と思った方もいるかもしれませんが、家族を苦しめたいわけではありません。家族を心から信頼し、安心しているからこそこうした症状が強く現れるのだといわれています。
認知症の親を在宅で介護していると、日々の対応に追われ、心身ともに疲れを感じることは少なくありません。親がご飯を食べたことを忘れてしまったり、自宅にいるのに「帰る」と言い出したりするたびに、どうすれば良いのか悩んでしまうこともあるでしょう。あなたは、日々工夫を凝らし、最善を尽くしているに違いありません。それでも、限界を感じる瞬間が訪れることは、決して珍しいことではないのです。
もし、その限界が見えてきたなら、自分を責める必要はありません。在宅での介護が難しくなったと感じたときこそ、老人ホーム入居という選択肢を前向きに考えてみてください。老人ホームでは、専門知識を持つスタッフが24時間体制でケアを提供し、親御さんが安心して過ごせる環境を整えています。そのため、あなた自身も心の負担を軽減し、安心して介護のサポートを受けられるのです。
老人ホームを早めに検討することで、心に余裕を持ち、親御さんとの貴重な時間をより深く、豊かに過ごせるかもしれません。あなたが健康で心身ともに健やかであることが、親御さんの幸福にも繋がります。介護に全力を注ぐことは大切ですが、同時に、自分自身の健康を守ることも忘れないでください。抱え込みすぎず、必要なサポートを得るための選択肢として、ぜひ老人ホームを検討してみてください。
特にグループホームは、認知症の高齢者が家庭的な雰囲気の中で安心して生活できる温かみのある施設です。少人数での共同生活を送りながら、24時間体制で専門スタッフによるケアが行われ、自立をサポートします。さらに、グループホームでは認知症の進行を遅らせる効果も期待でき、家族にとっても大きな安心材料となります。入居には、65歳以上で要支援2以上の認定が必要ですが、親御さんとのこれからの生活をより豊かにするための選択肢として、ぜひ前向きにご検討ください。
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