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若年性認知症は、65歳未満の現役世代で発症するため、日常生活や仕事に大きな影響がでます。若年性認知症になるとどのような症状が出るのか、若年性認知症になりやすい人はどんな人かを知っておくことで、早期発見・予防ができます。今回は、長年介護施設で高齢者の方と接した経験も踏まえ、若年性認知症について詳しく解説します。
目次
若年性認知症とは、65歳未満で発症する病気です。認知症を発症したときの年齢が若いために「若年性」という名前がつけられおり、進行が早いのが特徴です。ただし、発症時に現役世代であることが多いために、日常生活や社会生活に影響が及ぶことがあります。また、子どもが自立していない場合などは、家族にも影響が及ぶことがあるでしょう。そのため、若年性認知症になりやすい人とはどのような人なのかを理解をして、予防することが大切です。
若年性認知症は2009年の時点で約37,800人の患者数が報告されています。平均発症年齢は51.3歳で、働き盛りのときに診断を受けることが特徴です。なお、若年性認知症は女性よりも男性が多いという点にも注目することができるでしょう。高齢者の認知症は女性患者のほうが男性患者よりも多く、認知症全体の約64%が女性と報告されています。
若年性認知症と高齢者の認知症には、症状に違いはありません。年齢が65歳未満で診断された方は若年性認知症という診断名が付きます。ただ、現役世代で発症するため、仕事がうまくいかなかったり、イライラしたりするので病院に行ってもうつ病や更年期障害と診断される場合もあるため、認知症と診断されるまでに時間がかかるケースがあります。
若年性認知症になりやすい人の特徴・なりにくい人の特徴として、以下の10項目があげられます。自分には関係のないと思っている20代、30代の方々も、10項目の中から1項目でも多く改善すれば、これからの長い人生にかならず益することが多いと考えられます。
肥満は心臓の負担となり、高脂血症を誘発して動脈硬化を促進することにつながります。また、膝関節の負担増加から膝の痛みを誘発します。
職場や家庭内・経済的な問題のある方は、ストレスを感じることが多い為、ストレスをためないように気をつけましょう。
大きな病気をするということは遺伝を除いて、普段の生活が大きく関係してきます。健康に気を付けていない人は大病になりやすいです。
たばこは健康に大きくかかわっています。たばこを吸う人より、吸わない人のほうが健康です。
深酒で塩分を過剰に摂取してしまった、破目をはずすなど、健康に悪いことばかりです。
自分はまだ若いと思っている人は、若い人と同じようにさまざまな物事に対する興味や関心が強く、また意欲が盛んであることから、脳は常に新しい刺激に対応していることにもなります。
血管の老化により、成人病や老年病の代表といえる狭心症、心筋梗塞、脳梗塞、脳出血が起こります。脳の血管が若ければ、脳血管障害にはなりません。
例外もありますが、長寿には遺伝が関係している可能性があります。
運動は、足腰を鍛えるのみではなく、脳の血流を増やし、脳の新陳代謝を盛んにすることになり、老化予防、ぼけ防止につながります。
文章を書くということは、脳にとって有意義な活動であり、脳の老化を遅くし、ぼけを防ぐのに必要と考えられています。
若年性認知症は、血管性認知症やアルツハイマー病、頭部外傷後遺症、前頭側頭型認知症、アルコール性認知症、レビー小体型認知症などが原因として挙げられます。特に脳血管性認知症とアルツハイマー病が多いとされています。
脳血管性認知症は、脳梗塞や脳出血から引き起こされることがあるので、血管が詰まりやすいような食生活や生活習慣は避けるようにします。例えば動物性脂肪が多く含まれている食事や塩分の強い食事は避け、太り過ぎないように注意し、たばこは吸わないことも大切です。ストレスをためないように意識することも、脳血管性認知症の予防につなげることができるでしょう。
アルツハイマー病は、アミロイドβという老廃物が神経細胞の周辺に蓄積することや、神経細胞の内部で重要な動きを担うタウタンパク質が変性して起こります。最初にダメージを受けるのが、記憶をつかさどる「海馬」と呼ばれる部分で、ここから徐々に大脳皮質(神経細胞の層)全体が死滅・脱落し、脳全体が委縮します。ごくまれに遺伝性のものがある為、家族や親族にアルツハイマー病の方がいる場合は注意をすることが必要です。
前頭側頭型認知症は脳が部分的に委縮していく病気です。前頭葉または側頭葉前方が委縮しはじめ、進行すると両方が委縮していきます。症状としては、言葉がわからない、人物がわからない、同じ行動を繰り返すなど委縮する部位によって症状が異なってきます。自分に対して抑制が効かなくなったり、お金を払わずにお店の物を持って行ったり、交通違反を繰り返したりする等、社会性が欠如する場合は前頭側頭型認知症の疑いがあります。
レビー小体型認知症はアルツハイマー型認知症に続き2番目に多い認知症です。中枢神経系や自律神経系に異常なたんぱく質が出現します。このたんぱく質をレビー小体といいます。レビー小体型認知症は特殊な症状があり、幻覚を見たり、パーキンソン症状のような筋肉の硬直がみられたりすることがあります。
若年性認知症は進行が早く、放置しておくと短期間で重症化する恐れがあります。若年性認知症に見られる症状を紹介しますので、該当する認知症症状が見られるときは早めに医療機関を受診するようにしましょう。若年性認知症を発症すると、認知機能の低下によるさまざまな症状がでてきます。例えばもの忘れを頻繁にするようになったり、計算ミスが増えたり、思っている言葉が出てこなくなったりすることもあるでしょう。
そして、若年性認知症が進行していくと、症状も徐々に悪化することがあります。例として、もの忘れが深刻化すると、夕食を食べても食べたという出来事を忘れ、何度でも食事をしようとしたりします。また、今までできていたことやルールがわからなくなることがあります。話したり、読んだり、書いたりすることができなくなることもあるでしょう。その他にも、運転中に車を止める方法が分からなくなったり、標識の意味が分からなくなったりすることもあります。
中核症状とは、脳細胞がダメージを受け、脳本来の働きが低下するために起こります。主に次のようなものがあります。
周辺症状(BPSD)とは、中核症状による不自由さや性格、環境などが複雑に絡み合って起こる症状です。精神的、身体的に様々な症状があり、多言・多動、暴力・暴言、不安・焦燥、幻覚・妄想、せん妄、徘徊、介護拒否、尿や便の失禁・弄便(便をいじる行為)、不潔行為、憂鬱、睡眠・覚醒障害、昼夜逆転などがあります。周辺症状はすべての人に見られるわけではありませんが、強く出る場合は、家族などの介護者を困らせます。
若年性認知症はご本人も周りの方にとってもこんなに早く認知症になると思っていなかったというケースが多いです。診断を受けた後は仕事や家族、治療のことなど環境を整える必要があるため、早期対応ができるのであればそれに越したことはありません。ここからは、実際に若年性認知症はどのように診断され、どのような治療法があるのかを解説していきます。
若年性認知症の診断には、まず、家族への問診があります。聞かれる内容は、①生活歴②家族構成③既往症④生活習慣⑤日常生活⑥現在の状態などで、あらかじめ準備しておきます。次に本人への問診があります。記憶力や知的能力をみる簡単な心理検査が行われます。ここで認知症が疑われると、原因となる病気を探すために血液や脳の検査を行います。
若年性認知症の根本的な治療というのは確立されていないのが現状です。しかし、進行の早い若年性認知症は、早期診断と早期治療によって改善する場合があるとされています。治療には、薬物治療と非薬物療法があります。認知症の症状である記憶障害や知的障害の進行を緩和することができる薬が開発されており、日本でも処方できるものが増えています。非薬物治療では、生活習慣や環境を整えながらリハビリをしていくといくことで認知症の症状を軽減させる治療を行います。
若年性認知症は進行が早い病気です。もし、家族の中で若年性認知症と思われる症状が出る方がいたら、専門家に相談をすることが大切です。また、公的サービスが整いつつあるので、若年性認知症だったらどうしよう…と不安を抱え込みすぎないようにしましょう。まずは、市区町村の担当窓口に相談してみましょう。発見が早ければ、若年性認知症の進行を遅らせることができ、今後の家族の支援の仕方について対策を考えていくことができるでしょう。
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