静岡県の老人ホーム・介護施設情報サイト

まずはお気軽にお電話下さい!
ホーム >  介護お役立ち情報 >  高齢者の病気 > 高齢者の膝が悪くなってしまった原因と症状について

介護お役立ち情報

高齢者の膝が悪くなってしまった原因と症状について

2024年8月30日
竹花 渉(介護福祉士)
カテゴリー:
介護お役立ち情報

立ち上がる・座る・歩き始めるなど、体を動かすとき膝が悪いと感じる方もいるのではないでしょうか。高齢になると足腰が弱くなりがちですが、膝関節の痛みの発生もそのひとつです。今回は、以下の内容についてご紹介していきます。

  • 高齢者の膝が悪くなる原因
  • 変形性膝関節症の特徴・症状
  • 日常生活での心がけポイント

この記事を読めば、膝が悪くなる原因から快適に外出するためのアイテムまでが分かります。ぜひ、最後までご覧ください。

高齢者の膝が悪くなる原因

年齢を重ねて膝が痛んできた場合、以下のような病気が原因である可能性があります。

  • 変形性膝関節症
  • 半月板損傷
  • 関節リウマチ

この章では、膝痛の原因となる3つの症状についてご紹介していきます。

変形性膝関節症

変形性膝関節症とは、関節軟骨や半月板といったクッションの役割を果たす部分が年齢とともにすり減り、痛みを引き起こす病気です。高齢者に多く、かなり多くの方がこの症状により支援が必要になっている病気であり、厚生労働省が定める16の特定疾病にも指定されています。変形膝関節症について、詳しくは次の章でご紹介します。

半月板損傷

半月板損傷とは、膝関節の中にある半月板という軟骨がすり減ったり傷ついたりすることで膝に痛みが生じたり、関節稼働時にひっかかりを感じたりする病気です。若い方がスポーツで膝を怪我したときになる病気だと思われがちですが、実は加齢による半月板のすり減りも原因になります。高齢者が放置すると歩けなくなるほど痛みが増すだけでなく、変形性膝関節症の原因にもなってしまいます。

関節リウマチ

リウマチは、全身の骨や筋肉で炎症が起き痛みやこわばりが現れる病気を指します。そのうち、症状が関節をメインに現れた場合に関節リウマチと呼びます。慢性関節リウマチは、厚生労働省が定める16の特定疾病のひとつに指定されています。

高齢者の変形性膝関節症の特徴・症状

高齢者が膝痛を訴える理由の多くは、先ほどご紹介した変形性膝関節症であると言われています。ここでは、変形性膝関節症の特徴・症状を簡単に説明します。症状に思い当たる方は、早めに整形外科を受診し適切な治療を受けましょう。

変形性膝関節症の特徴

変形性膝関節症は高齢の女性に多く、肥満も原因のひとつと言われています。加齢とともに膝の軟骨がすり減ったことにより痛みを生じ、症状が悪化すると膝関節が変形してしまいます。治療は運動や投薬で症状を和らげる保存療法が中心ですが、症状が悪化した場合は手術を行う場合もあります。しかし、基本的にすり減った軟骨は再生できないため、膝の痛みとは一生付き合うことになるでしょう。なお、変形性膝関節症が両膝に現れ、膝関節が変形するまで悪化してしまった場合は厚生労働省が定める特定疾病の対象となります。

※特定疾病とは:介護保険制度は通常65歳以上にならないと認定を受けられません。しかしこの特定疾病に該当すると診断を受けた場合、40歳以上で医療保険証の交付を受けている人であれば介護保険に認定を受けることができるようになります。

変形性膝関節症の症状

変形性膝関節症の主な症状は、膝に痛みが生じ水が溜まることです。初期の頃は歩き初めや立ち上がりの際に膝に痛みを感じる程度ですが、次第に階段昇降や正座等で床に直接座ることが難しくなり、最終的には痛みによって立っていることすら難しくなってしまいます。かなり進行すると膝がO脚のようになり、服の上からでも分かる程変形してしまいます。膝の曲げ伸ばしが難しくなるので歩きづらくなり、日常生活支障をきたします。

日常生活での心がけポイント

膝の痛みがあると日常生活に辛さを感じてしまいますが、対策方法知ることで快適な毎日を取り戻せる可能性があります。この章では、普段の生活の中で実施できる膝の痛み対策を紹介します。

  • 肥満を防ぐ
  • サポーターをつける
  • 外出時に膝が痛いときは車椅子を活用
  • 痛みのないときはウォーキングや体操を
  • 入浴や温水プールで泳ぐ

できるものから始めてみてください。

肥満を防ぐ

体重は膝への負荷に直結するため、食生活を見直して肥満を防ぎましょう。例えば体重が3kg増えると膝への負荷は3倍の9kg増になり、膝の痛みや症状の悪化を招きます。

サポーターをつける

サポーターは関節を支える筋肉を助ける効果があるため、装着することによって痛みの軽減が期待できます。寒い時期は保温効果もあるので、寒さにより増強する痛みを緩和します。ただしサポーターを常時つけたままにして生活していると、周辺筋肉が衰えてしまって最終的に逆効果になりかねません。サポーターの装着は痛みが強いときだけにしましょう。

外出時に膝が痛いときは車椅子を活用

膝の変形が深刻になると、痛みによって杖をついて歩くことも困難になります。痛みで歩けないときは無理せず車椅子を活用しましょう。痛みを押して無理に外出することを続けると、次第に外出自体が負担となって逆効果になってしまいます。外出は気分転換だけでなく、日常にはない刺激を受けることで認知機能の低下防止効果も期待されています。介護保険制度では基本的に要介護2以上にならないと車椅子をレンタルすることはできませんが、市町村が定める特別な条件に合致すれば要支援1~要介護1の軽度者でも利用できる場合があります。なお、最近では外出先のお店で車椅子を無料貸し出ししている場合もあるので、外出前に確認してみるとよいでしょう。

痛みのないときはウォーキングや体操

膝が悪い人も、痛みの引いたときは適度なウォーキングをして、足腰の筋力維持に努めましょう。1日30分、週3回を目安にスタートし、歩くときはかかとから着地して膝が軽く曲がる程度の歩幅にします。有酸素運動は、膝の痛み軽減に非常におすすめです。しかし変形性膝関節症によって痛みがある場合、ランニングは関節に負担がかかるため控えましょう。走りたい場合でも早歩きのウォーキング程度にとどめ、痛みを少しでも感じたときは中断します。痛みがあるのに無理をして歩くことは逆効果になるので、要注意です。

入浴や温水プールで泳ぐ

入浴や温水プールで泳ぐことは、慢性的な膝の痛みに有効であるといわれています。温めて血行を改善することによって新陳代謝が促進され、関節や筋肉の鎮痛効果が期待できるからです。入浴は慢性的な痛みの緩和や予防に役立ち、温水プールでの運動は膝を温めつつ水の浮力で膝への負荷を軽減した運動ができます。ウォーキングよりも膝への負担が軽く、全身の筋力維持にもつながる方法です。

より快適な生活にするために

加齢に伴って生じる膝の痛みと原因について、以下のポイントをご紹介してきました。

  • 膝痛の原因は変形性膝関節症である場合が多く、半月板損傷や関節リウマチの可能性もある
  • 変形性膝関節症は、悪化すると膝が変形して歩けないほど痛くなる
  • 膝痛と付き合うポイントは、体重管理・適度な運動と関節の保温・関節への過度な負荷を避けること

立つ・座る・歩くなどの動作がしづらい、痛いと感じる場合、膝が悪くなり変形性膝関節症になっているかもしれません。悪化を防ぐためにも早めに受診し、適切な治療を受けることが大切です。痛みが辛く外出が困難と思えば、車椅子があると快適なお出かけが叶います。膝の痛みが気になり始めたときは、車椅子の準備も早めに検討すると、いざというときに便利です。最後までご覧いただき、ありがとうございました。

著者プロフィール

竹花 渉(介護福祉士)
竹花 渉(介護福祉士)
富士宮市生まれ。大学を卒業後、地元静岡県に戻り介護事業会社に就職。グループホーム、サービス付き高齢者向け住宅、デイサービス等の現場経験を経て介護福祉士を取得。富士市内のデイサービスの管理者としても従事してきた。現場業務のみならず売上管理や様々なケースのお客様対応、スタッフとのコミュニケーションなどを経験し、施設運営のノウハウを身につけてきた。

監修者プロフィール

増田 高茂(社会保険労務士 介護支援専門員 介護福祉士 第二種衛生管理者)
増田 高茂(社会保険労務士 介護支援専門員 介護福祉士 第二種衛生管理者)
多くの介護事業所の管理者を歴任。小規模多機能・夜間対応型訪問介護などの立ち上げに携わり、特定施設やサ高住の施設長も務めた。社会保険労務士試験にも合格し、介護保険をはじめ社会保険全般に専門知識を有する。現在は、介護保険のコンプライアンス部門の責任者として、活躍中。

関連記事