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ご家族の徘徊対策におすすめな福祉用具・介護用品

2024年8月12日
奥川 敦史(認知症介護実践者研修修了)
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徘徊とは、認知症の行動や心理状態のひとつで、家から外に出てあてもなくうろうろと歩き回る行動のことを指します。周囲の方からすると、意味もなく歩き回っているように思えるかもしれませんが、本人にとっては理由や原因があって歩き回っているのです。しかし、周囲の方が知らないうちに遠方まで移動してしまうため、身元不明人として発見されたり事故にあったりするほか、季節によっては脱水症状や熱中症、低体温症など生死に関わる危険もあり、大きな社会問題になっています。また、徘徊するご家族を抱える方にとっても、大きな負担となっています。

そこで今回は、徘徊が大変になってきたご家族を抱える方におすすめの、徘徊対策に使える福祉用具や介護用品をご紹介します。

徘徊対策グッズ1 徘徊感知器

徘徊感知器は、徘徊を感知し、ご家族に知らせてくれる機器です。徘徊の初期兆候である「ベッドから下りた」や「部屋から出る」といった動作を感知してくれるため、転倒によるケガも予防できます。徘徊感知器には、起床検知型をはじめ、外出検知型や携帯型など、三つの種類があります。

徘徊感知器を選ぶときはここをチェック

徘徊対策におすすめの福祉用具を種類別に使い方をご紹介すると、起床検知型は、ベッドの上や床にセンサーを設置し、ベッドから離れるなどの動きを感知したらご家族にチャイムやランプでお知らせします。外出検知型は、玄関やドアにセンサーを設置し、ドアの前を横切ったりドアの開閉したりなどの動きを感知したら知らせてくれます。携帯型は、小型の徘徊感知器を身につけた方が、センサーの近くを通過すると知らせてくれます。ご家族の適応するシーンに合わせた徘徊感知器を選ぶことが重要です。

対策法1.本人が気づきにくいデザインを選ぶ

認知症の方の中には、慣れない機器に不安を抱き、感知器を取り外してしまうことがあります。携帯型の徘徊感知器は、お守りや財布にも入るサイズのため、本人の気づかないうちに感知器を身につけることができますのでおすすめです。またコンセントを使用するものは、気づかないうちに抜かれないよう注意が必要です。

対策法2.効果的な場所に設置する

徘徊感知器は、ベッドや玄関などさまざまな場所に設置できます。転倒を予防したい際には、起床検知型の徘徊感知器をベッドの横に設置するのがおすすめです。また外出するタイミングを知りたい際には、外出検知型の徘徊感知器を玄関に設置するのがおすすめです。どこに設置すればもっとも徘徊対策できるのか、ご家族でよく相談することが重要です。

対策法3.本人が驚かない通知方法を選ぶ

徘徊を知らせる方法には、チャイムやランプ、メロディなど徘徊検知器によって異なります。認知症の方によっては、音や光に驚いてしまうケースもあるため、通知方法は事前によく確認しておくことが重要です。

赤外線センサー

それぞれの徘徊感知器に搭載されている赤外線センサーは、非接触で動きを感知します。起き上がりや離床、徘徊などを検知し、無線で知らせてくれます。ベッドやドアなど、行動パターンに応じてベッドやドアなどに設置が可能なもの、音や文字、振動などで通知が受け取れる受信機とセットになっているものなどがあります。

徘徊対策グッズ2 身元証明

徘徊での心配事として、自分の居場所が分からない、誰であるか分からず伝えることができないなどの理由で行方不明になることです。徘徊先での行方不明の対策としては、身元証明グッズがあります。

ネームタグ・ブレスレット

自分の名前や連絡先を刻印できるネームタグやブレスレットがおすすめです。軽量のものが多く、高齢者でも違和感なく装着が可能です。徘徊先で発見された場合には、ネームタグやブレスレットに刻印された連絡先をもとに自宅へ帰ることができます。

QRコード付き迷子札

身元証明を身につけて歩くことに抵抗を感じる場合には、QRコードをつけた迷子札がおすすめです。カバンやズボンのベルトなどに手軽につけることができるとともに、一目見ただけでは名前や住所などは分かりません。スマートフォンなどでQRコードを読み取ることで、身元の確認が可能です。

徘徊対策グッズ3 ドアロック

徘徊での心配事としてその他にも、徘徊が心配で鍵をかけるけれど、すぐに開けられてしまうということがあります。徘徊での鍵の対策としては、鍵を工夫することです。

両面シリンダー錠

両面シリンダー錠とは、ドアの外側と内側の両方に鍵穴(シリンダー)があるものです。家の内側からも鍵で施錠できますので、ドアを開けるときには専用の鍵を使う必要があります。

サムターン

サムターンとは、ドアの室内側についている、錠の開け閉めを行うために使う「つまみ」のことです。このつまみを鍵式に取り換えることで、内側からドアを開かないようにすることができます。サムターンは取り外し可能なため、徘徊の心配がある際にのみ取り付けることも可能です。ご家族が眠る夜間や不在時の徘徊の予防におすすめです。

補助錠

補助錠とは、メインで使用する鍵とは別に取り付ける鍵です。徘徊予防はもちろんのこと、防犯目的にもおすすめです。窓の溝に設置するものや窓用のシリンダー錠に設置するものなどがあります。

徘徊が発生したときの心得

徘徊感知器をはじめ、身元証明グッチやドアロックなどさまざまな徘徊の対策を施したとしても、ご家族の徘徊を完全に防止することにつながらないケースもあります。万が一徘徊が発生した場合は、ご家族だけで解決しようとせずに、警察や地域包括支援センター、利用している介護サービス事業所など、周囲の手を借りながら早急に対応することが重要です。

警察に連絡する

認知症を患うご家族を持つ方の中には、ご本人が行方不明になった場合においても、ご家族だけで解決しようすることがあります。しかし結果的に、発見が遅れてしまうこともにもなります。ご家族が行方不明になった際には、早急に警察に連絡し協力を依頼することが重要です。

担当ケアマネジャーに報告する

介護サービスを利用している場合は、担当のケアマネジャーに報告し、捜索にあたり気をつけることやしなければならないことなどを確認します。介護サービスを利用していない場合には、地域包括支援センターへ連絡します。

関連記事:認知症の徘徊対策とは?原因や対処法をわかりやすく解説

家族の徘徊でお困りの方は、徘徊対策グッズを活用しよう

今回は、徘徊が大変になってきたご家族を抱える方におすすめの、徘徊対策に使える福祉用具や介護用品をご紹介しました。認知症の方の徘徊は、行方不明や事故、病気など、生死に関わる危険につながります。

大切なご家族と日々の行動を見守る方のためにも、徘徊感知器や身元証明グッズ、ドアロックなどの徘徊対策として福祉用具や介護用品を上手に取り入れるとともに、徘徊の原因に合わせた対応を心がけましょう。

著者プロフィール

奥川 敦史(認知症介護実践者研修修了)
奥川 敦史(認知症介護実践者研修修了)
静岡市駿河区生まれ。2003年より介護事業運営会社にて訪問入浴の現場業務に関わる傍ら、新規事業所開設の申請や品質管理業務といった運営本部の業務に関わる。その後もグループホーム、デイサービス、サ高住の施設長といった現場業務の他、人事、総務など老人ホーム運営業務全般に携わってきた。また、運営本部の入居相談窓口担当としてのキャリアも長く、様々なケースの相談事例に対応してきた。趣味は家族での動物園巡り。

監修者プロフィール

増田 高茂(社会保険労務士 介護支援専門員 介護福祉士 第二種衛生管理者)
増田 高茂(社会保険労務士 介護支援専門員 介護福祉士 第二種衛生管理者)
多くの介護事業所の管理者を歴任。小規模多機能・夜間対応型訪問介護などの立ち上げに携わり、特定施設やサ高住の施設長も務めた。社会保険労務士試験にも合格し、介護保険をはじめ社会保険全般に専門知識を有する。現在は、介護保険のコンプライアンス部門の責任者として、活躍中。

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