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養護老人ホームとは、さまざまな理由により、自立した生活を送れなくなった高齢者を対象にした施設です。一般的に、老人ホームと聞くと多くの方は特別養護老人ホームをイメージするかもしれませんが、さまざまな部分に違いがあります。特別養護老人ホームとの違いは、後述するためそちらに目を通してください。養護老人ホームは、自立した生活を送れなくなった高齢者へ、一時的な住まいを提供するために存在します。たとえば、職を失い経済的に困窮している方や、病気で働けなくなったなど、日常生活が困難になった方を受け入れる施設です。そのため、経済的な問題がなくなった、病気が完治し働けるようになった、となれば施設を退居しなくてはなりません。あくまで、利用者の社会復帰や自立をサポートするための福祉施設となっています。
養護老人ホームは誰でも入所できる施設ではなく、条件が定められていることを覚えておきましょう。原則65歳以上の高齢者を対象としており、なおかつ自立した生活を送れなくなった方が入所できます。ケガや病気をしている、面倒を見てくれる親族が誰もいない、収入がなく生活を送れないなどが当てはまります。自立した生活が困難な方を対象としていますが、日常生活を送るだけの機能を有さない方は対象外です。つまり、介護が必要な方は入所できません。具体的には、要介護1以上の認定を受けている方は、養護老人ホームへ入所できないこととなっています。なお、利用できるのは一定期間で、問題が解決したら退所しなくてはなりません。先述したように、あくまで一時的に利用できる施設となっています。
養護老人ホームはケアハウスやグループホーム、サービス付き高齢者向け住宅などに比べ、提供しているサービスは多くありません。イメージ的には、一般的な賃貸アパートやマンションなどへ入居するような感じです。食事は提供してもらえますが、洗濯や掃除などの家事は、原則自身で行います。介護施設ではないため、基本的には自立した生活を送らなければいけません。もちろん、ケガや病気などで家事が難しい方は、スタッフによるサポートを受けることが可能です。施設には生活相談員が在籍しているため、さまざまな相談ができます。社会復帰に関する相談はもちろん、金銭的な悩みを聞いてもらうこともできます。具体的なサービス内容は施設により異なりますが、一般的には上記の内容が多いです。
名前が似ているため混同してしまう方が多いようですが、さまざまな部分に違いがあります。まず、養護老人ホームは介護を必要としない方が利用できる施設ですが、特別養護老人ホームは要介護3以上の方が入居できる施設です。そのため、施設でもさまざまな介護サービスが提供されています。特別養護老人ホームは介護サービスを提供しているため、利用者は料金を払います。一方、養護老人ホームは無料で利用できるケースもあり、必ずしも費用が発生するわけではありません。前年度の収入により費用が大きく変わるため、所得がほとんどなかった方は、低料金、もしくは無料で利用できる可能性が高いです。入居のしやすさにも違いがあります。特別養護老人ホームは介護施設の中でも比較的費用が低く抑えられているため、入居希望者が多く、申し込みしても入居できないケースが少なくありません。一方、養護老人ホームは居室に空きが多く、スムーズに入所できるケースがほとんどです。
養護老人ホームの利用に必要な費用は、老人福祉法で定められている費用徴収基準に基づいて決まります。他の福祉施設のように、養護老人ホームは初期費用はかからず月額の利用料金のみ支払うスタイルです。具体的な費用は、利用者の前年度における収入で決まります。たとえば、0~270,000円なら月々の費用は0円で、270,001~280,000円なら1,000円、といった具合です。高くても月額14万円以内と定められています。
養護老人ホームは、費用の低さがもっとも大きなメリットです。前年度の収入により費用が変わるため、場合によっては無料になることもあります。食事の提供もしてもらえるため、経済的に困窮していた方にとっては、大きなメリットだと感じられるでしょう。養護老人ホームでは、入居者と交流できるレクリェーションイベントも開催しています。日常的に他の入居者と交流できるため、寂しい思いをすることもありません。ただ、入所したくてもできないケースがあるのはデメリットです。入所できるかどうかは、自治体が審査のうえ判断するため、審査に通らなければ入所はできません。また、養護老人ホームはあくまで一時しのぎ的な施設であるため、抱えていた問題が解決すれば退所する必要があるのもデメリットといえるでしょう。
まずは、住民票のあるエリアの自治体に問い合わせをしましょう。役所の窓口や、電話で問い合わせをしてください。申し込みまでする場合には、必ず自治体の窓口まで足を運ばなくてはなりません。自治体の窓口で、入所に関する説明を受けます。入所の流れは、説明を受けた後申し込みをして、自治体の職員による面談、調査などが無事終われば入所です。自治体により、入所までの流れにやや違いがあるかもしれないため、まずは問い合わせることをおすすめします。
介護をしてもらえる施設ではないものの、高齢者の自立と社会復帰をサポートしてくれる養護老人ホームは、魅力的な福祉施設です。さまざまな理由で生活が立ち行かなくなったとき、養護老人ホームへの入所も検討してみましょう。養護老人ホームなら、金銭的な問題を抱えていても入所できる可能性があります。事実、生活に困窮している方の、セーフティーネットとしても養護老人ホームは機能しています。「養護老人ホームに入るなんて恥ずかしい」とは思わず、再び社会復帰するためにも活用してみてはいかがでしょうか。
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