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移動介助|玄関における段差の解消と庭から出入りする方法

2024年8月1日
増田 高茂(社会保険労務士 介護支援専門員 介護福祉士 第二種衛生管理者)
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玄関はシンプルに設計する

家の出入り口となる玄関は、移動介助の基本となる場所です。移動介助とは、日常生活に伴う「移動」の介助となるため、生活の質を左右する重要なポイントとなります。特に玄関は、散歩に出かけたり、通院したりと日常的に使う場所なので、高齢者が気持ちよく使えることが大切となるでしょう。出入りが苦にならない、シンプルな玄関が望ましいです。

靴を履く場合

何気なく靴を履く動作も、高齢者にとっては動きやすい環境が求められます。移動介助が必要な高齢者でも、自分で靴を履いたり脱いだりできると感じられるような環境を整えることが重要です。玄関の環境整備では、手すりの設置や段差解消がポイントとなります。

靴を履く際には体が不安定になるため、支えとなる手すりが必要です。飾り棚や壁に手をついて体を支えている高齢者も多いでしょう。玄関に手すりを設置することで、靴の脱着の際に体を支え、安定感を提供します。これにより、転倒リスクが下がり、足腰への負担も軽減されます。

また、高い段差がある玄関は、足台や踏み台を使用して解消することが大切です。段差が高い玄関は高齢者にとってリスクとなるため、踏み台を使って安全に出入りできるようにしましょう。適切なサポートを提供することで、高齢者が自立して快適に生活できる環境を作ることができます。

車椅子を使う場合

車椅子を使用する場合、玄関での移動介助をスムーズにするためのリフォームを検討してください。デイサービスの利用や散歩、ショッピングに出かける際に、玄関から車椅子に乗った高齢者を連れ出すのは大変なことが多いです。車椅子はわずかな段差でも越えるのが難しく、高齢者を乗せたまま一人で移動介助を行うのは困難な場合があります。

玄関の段差に応じた対策が必要です。40cm程度の低い段差には取り外し可能なスロープや固定スロープを使用し、40〜200cmの高い段差には、固定スロープや昇降リフトを設置します。具体的には、10cmの段差を上がるためには60cmのスロープが必要です。これにより、高齢者が安全かつ快適に移動できる環境を整えることができます。

適切なリフォームを行うことで、車椅子を使用する高齢者の外出が楽になり、介助者の負担も軽減されます。玄関の段差対策をしっかりと行い、安全で快適な移動をサポートしましょう。

庭から出入りする方法

高齢者の移動介助にはある程度の広さが必要です。特に玄関の段差が大きい場合は段差を解消するためにもある程度のスペースが必要となります。もし、玄関周りのスペースが十分ではない場合、または玄関を使っての出入りが不便な場合は、庭から出入りする方法を検討してみてください。

スロープを活用した方法

移動介助は介護に慣れた看護師でも腰痛などのトラブルに悩まされる重労働なので、スムーズに移動できる環境を整えましょう。庭から出入りする場合には、スロープを活用する方法があります。基本的に家は地面よりも高く作るため、庭から出入りする場合も玄関同様にスロープを設ける事例は多いです。

スロープを設置する際に大切なこと

自宅の庭からの移動介助を想定してスロープを設置する際は、安全性や使い勝手を考えた設計を行います。スロープ設置には勾配や幅などの国で定められた基準があります。そのため、庭に車椅子移動のためのスロープを設置する場合は、バリアフリー法に則った設計が必要です。バリアフリー法には建築物移動等円滑化誘導基準が設けられているので、実際の自宅のスペースに基準を満たすスロープが作れるかを専門家に調べてもらいましょう。高低差が大きい場合には、スロープも長くなります。長いスロープの設置が難しい場合は、スロープの途中で折り返しを作るなどの工夫が必要でしょう。安全・安心に使えるスロープを作るための、素材・幅・勾配について詳しくご紹介します。

素材

庭からのスロープに使われる素材は様々です。コンクリートやレンガ、タイルや石材などがあり、それぞれ価格や使い心地が異なります。車椅子で利用することを目的としたスロープなら、雨などで濡れた際も滑りにくい素材選びをしましょう。タイルや石材などの中には、水に濡れると滑りやすくなるものもあるため気を付けてください。また、コンクリートを選ぶ場合には表面をザラザラに仕上げる刷毛びきがおすすめです。最近は、デザイン性が良くて滑りにくい素材も開発されているので、バリアフリー工事が得意な施工会社に相談してみると安心でしょう。

車椅子での移動介助に使うスロープの幅は、100cm以上が安全です。JIS規格で車椅子の幅は決まっていて、手動式車椅子の幅は630mm以下、電動車椅子の幅は700mm以下となっています。そのため、スロープの幅は基本的には90cm以上あれば十分なものの、手の位置など余裕を持たせたい場合は120cm程度を確保することをおすすめします。また、スロープが途中でカーブしている場合は、内輪差を考えた幅が必要です。スロープ内で車椅子を回転させる場合、幅150cm程度の水平な場所を設けてください。さらに、スロープが長い場合にも安全性を考えて踊り場を設置しましょう。高さ75cm毎に踊り場を設置することが望ましいとされています。

勾配

車椅子で使用するスロープの勾配については法律で定められています。高齢者や身障者が利用しやすい施設を推進する基準法であるハートビル法では、段差とスロープの長さが定義されていて、介助者がある場合と無い場合でスロープの長さは異なります。自力走行できるスロープは段差の高さの約12倍の長さ、介助者が車椅子を無理なく押せるスロープは段差の高さの約6倍の長さが目安です。ちなみに、介助者が車椅子を押せる限界のスロープの長さは、段差の高さの4倍の長さとなります。つまり、庭からのアプローチで介助者がいる場合、段差が30cmならスロープの長さは1m80cmが目安です。ただし、直接道路に飛び出さないために道路に面した部分には平坦部が必要で、家からスロープに入る部分にも平坦部が必要となります。

車椅子での在宅介護が難しくなったら

在宅介護では、玄関や庭の段差解消とスロープの設置が非常に重要です。しかし、これらの対策を行っても在宅での介護が難しくなることがあります。車椅子を使用する高齢者の移動介助は、家族にとって大きな負担となりがちです。介護の負担が増え、家族だけでの対応が困難になった場合には、老人ホームへの入居を検討することを強くおすすめします。

老人ホームでは、専門的なケアと安全な環境が整っており、高齢者が安心して快適に生活できるようサポートされています。24時間体制でのケアにより、家族の負担も大幅に軽減され、安心して任せることができます。老人ホームへの入居は、高齢者がより良い生活を送るための一つの選択肢として非常に有効です。

もし在宅介護が限界に近づいていると感じたら、専門家のアドバイスを受けて最適な施設を見つけてください。静岡老人ホーム紹介タウンYAYAでは、見学や相談を随時受け付けておりますので、お気軽にお問い合わせください。皆様の安心と快適な生活をサポートするために、私たちは全力でお手伝いいたします。どうぞ、お気軽にご相談ください。

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著者プロフィール

増田 高茂(社会保険労務士 介護支援専門員 介護福祉士 第二種衛生管理者)
増田 高茂(社会保険労務士 介護支援専門員 介護福祉士 第二種衛生管理者)
多くの介護事業所の管理者を歴任。小規模多機能・夜間対応型訪問介護などの立ち上げに携わり、特定施設やサ高住の施設長も務めた。社会保険労務士試験にも合格し、介護保険をはじめ社会保険全般に専門知識を有する。現在は、介護保険のコンプライアンス部門の責任者として、活躍中。

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