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移動介助|室内用車椅子を効果的に使う方法

2024年8月1日
増田 高茂(社会保険労務士 介護支援専門員 介護福祉士 第二種衛生管理者)
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車椅子とは

介護や看護の現場で必要不可欠な車椅子。車椅子は、その名前が示す通り、椅子に車輪がついており、移動を楽にしてくれる便利な道具です。病院や博物館で車椅子を利用している人を見かけたことがあるかもしれません。

理想的には、車椅子は室内用と屋外用に分けて使用することが望ましいです。それぞれの用途に応じた車椅子を選ぶことで、利用者の快適さと安全性が向上します。

このコンテンツでは、車椅子の種類や使い方について詳しく紹介しています。車椅子の選び方や使用方法を理解することで、介護や看護の現場での活用がさらに効果的になるでしょう。

室内用車椅子について

室内用の車椅子と屋外用の車椅子には明確な区分はありませんが、それぞれの用途に応じた特性があります。室内用の車椅子でも、道や天候が良ければ問題なく外出に使うことができます。ただし、室内用の車椅子は狭い家屋でも動かしやすいように軽量化されており、一般的には約15kg程度と女性や高齢者でも扱いやすい重さになっています。

室内用車椅子の特徴として、主輪の前後に小さな補助輪がついている6輪タイプがあります。このタイプはコンパクトで、狭い室内でも曲がりやすく設計されています。また、手や足の力がまだ衰えていない高齢者には、フットレストを外して足でこぐことができる低床タイプの車椅子がおすすめです。手足を使うことで身体機能を維持する効果があり、補助輪があるため後方にのけぞる事故も起こりにくいという利点があります。

車椅子の選び方は、家屋の広さや日常の移動ルートによって異なります。用途に合った車椅子を選ぶことで、利用者の快適さと安全性を確保することができます。また、室内と屋外で車椅子を使い分けることで、高齢者の足腰の維持にも効果的です。適切な車椅子を選ぶことで、日常生活がより快適で安全なものになります。

室内用車椅子の効果的な活用方法

室内用車椅子の使い方は、体の状態や障害等によっても違います。室内用車椅子を効果的に使う方法を紹介します。

ベッドから一人で車椅子に移乗するとき
ベッドから介助により室内用車椅子に移乗するとき

ベッドから室内用車椅子への移乗は、移動介助の場面で頻繁に発生します。まず、移乗するための環境を整えましょう。ベッドから車椅子に移動する前に、車椅子を斜め横に配置し、ベッドから50~60cmほど離れた位置に台を置きます。次に、車椅子のフットサポートを上げ、レッグサポートを外します。また、アームサポートとサイドガードを上げておきます。

かがんで台に手を押しながら立ち上がることで、車椅子に座ることができます。自分で移動する場合も、まずベッドに浅く座り、足底がしっかり床についていることを確認してから、室内用車椅子に移乗しましょう。この手順を守ることで、安全かつスムーズな移乗が可能となります。

介助でベッドから車椅子に移乗する際の手順は、次の通りです。まず、介助者が利用者の体を支え、ベッドの高さを適切に調節します。利用者の姿勢が安定していることを確認したら、肩甲骨を支え、体を密着させます。片手で体を支えながら、支えた側に重心を移動させ、臀部を浮かせるようにして前に出します。

立ち上がるときは、臀部が膝よりも少し上に位置するようにすると、立ち上がりやすくなります。次に、車椅子に近い方の軸足の延長線上に介助者の足を置き、車椅子から遠い方の足は、両者の膝が重なるように配置します。この姿勢を保ちながら、介助者と利用者が一緒に回転するようにして、ゆっくりと車椅子に移乗します。

トイレでの車椅子介助のとき

トイレで室内用車椅子から便座に移乗する場合は、まず車椅子で浅座りになります。車椅子は前傾した時に壁に当たらないように注意して便座に近づけます。トイレにある横の手すりを押すようにして立ち上がって、縦に持ち換えてしっかりと握りましょう。介助者は斜め前方から支えます。便座に座る方向に回転してズボンと下着を下ろし、ゆっくりと座りましょう。姿勢が安定したことを確認してから扉やカーテンを閉めます。安全を確保するために離れてはいけない場合は、そばを離れないようにしてください。

屋外での車椅子について

屋外用の車椅子は、屋外での移動を考慮して設計されています。車輪が溝に入り込みにくく、段差でも動きやすいタイプを選びましょう。特に、利用者が自分でこいで進める自走用車椅子は、安定感があり段差を乗り越えやすいものを選ぶことが重要です。自走用車椅子は駆動輪(後輪)が大きいため、でこぼこ道や坂道、階段に強く、長時間の使用でも比較的疲れにくいという特徴があります。

自走が難しい方でも、自走式の車椅子を介助用として使用するのが一般的です。このタイプの車椅子は大きくて重いという難点がありますが、2つに折りたためば普通車のトランクにも収まるため、屋外での使用には最適です。選ぶ際には、車に乗せる頻度や、自宅での保管場所を考慮することをおすすめします。これにより、利用者のニーズに最適な車椅子を選ぶことができます。

外出前に用意すること

屋外用の車椅子を使うときには外出前の準備が必要になります。外出する前に用意することをまとめました。

外出前の介護者の準備

車椅子での外出を考えるとき、車椅子利用者の準備だけでなく、介護者の準備も重要です。まず、両手が使える状態にすることが大切です。ハンドバッグやショルダーバッグは車椅子を動かすときに邪魔になるため、容量が大きくて両手が自由になるリュックサックを使用しましょう。リュックの中には、水筒、帽子、手袋、排せつケアセット、着替え、タオルなどを入れておくと便利です。

また、車椅子を介助する際には、緊急連絡用の携帯電話やスマートフォンを必ず持ちましょう。介助中にかがむこともあるため、ポケットは極力使わず、ネックストラップを活用するとよいです。さらに、介助を安全に行うためには、動きやすい服装と、滑りにくく歩きやすい靴を選ぶことが重要です。

外出時の乗用者の服装

車椅子に乗る人の服装は、気温や天候を考慮して選びましょう。雨の日に外出する場合は、車椅子用のカッパを使用するのが便利です。市販の車椅子用カッパを利用するほか、大きめのカッパを車椅子に合わせてカットして使う方法もあります。

外出時にはトイレの利用も考慮し、脱ぎ着しやすい服装を選ぶことが大切です。また、車椅子に乗っている人は押している人よりも寒さを感じやすいので、気温の変化に対応できるよう、ひざ掛けなどを用意しておくと安心です。

外出前の屋外用車椅子チェック

車椅子で外出するときには、必ず車椅子のチェックを行います。車椅子にトラブルがあれば大きな事故の原因にもなるので、毎回点検するように癖をつけましょう。車椅子でチェックするポイントはブレーキが利くかどうか、タイヤの空気圧、キャスターや車輪の動きがスムーズかどうかです。また座面のクッションが薄くなると乗っている人に負担がかかります。座面には1枚もののしっかりしたクッションを敷きましょう。車椅子のクッションや目立つ汚れがないかどうかも、併せてチェックしておきましょう。

屋外用車椅子の効果的な活用方法

誰でも簡単に使えるように思われがちな車椅子ですが、使いこなすためにはテクニックが必要です。効果的な活用方法を紹介します。

走行中の注意点

車椅子で走行するときには、介助者は車椅子の真後ろに立って、グリップをしっかり握ります。乗っている人はアームサポートを握って足はフットサポートにのせておきましょう。介助者は、フットレストに足が乗っているかを時々前に回って確認しましょう。また、手や福、ひざ掛けを車輪に巻き込まないように注意しましょう。両肘は、アームレストより外側に出てはいけません。また車椅子はいきなり動かすのではなく、動かす前には必ず声を掛けます。車椅子を押す速さはこれでいいかどうか、常に乗る人に尋ねましょう。走行中は前後左右に注意しながらゆっくりと押してください。乗り降りや車いすから離れる時は、必ずブレーキをかけましょう。

段差を越える際の操作

外出中に困るのは、ちょっとした段差です。車椅子で段差を越えるときには、段差に対して車椅子を正面に向けます。介助者はグリップを押し下げながら、ティッピングレバーを片足で踏んで、前輪を浮かせましょう。バランスを保ちながら車椅子を前進させて、ゆっくり前輪を段差に乗せます。最後に後輪を押し上げます。20㎝くらいの段差なら、楽に超えることが出来ます。段差を降りるときには車椅子を後ろ向きにして後輪から降ろします。ティッピングレバーを踏んで、前輪を浮かせてからゆっくり下がって乗っている人の足が段差にぶつからないように前輪を下ろしましょう。

理想的な車椅子とは

車椅子を使用する環境や利用者の身体状態によって、最適な車椅子は異なります。理想的な車椅子とは、利用者や環境に合わせて選ぶことができる車椅子です。車椅子には、すでに組み立てられているスタンダードタイプのものや、座面の高さや車輪のサイズ、座幅を選べるモジュールタイプのものがあります。モジュールタイプの車椅子は、グリップの高さや車輪の位置を調整できたり、アームレスト(肘掛け)やフットレスト(足を乗せる部分)を外したりすることができます。

モジュールタイプの車椅子は、利用者の体型や障害に合わせて調整できるため、外出時に最適な選択肢の一つです。オーダーメイドよりもリーズナブルで、利便性も高いです。また、自走できない人向けの車椅子も様々な種類があります。介助用車椅子は、駆動輪が小さくハンドリム(手でこぐための後輪に付いている外側のリング)がないため、小型で軽量です。

さらに、ティルト機能付き車椅子は、バックレスト(背もたれ)とシートの角度を変えずに後ろに倒すことができ、リクライニング式車椅子はバックレストが長く、寝たまま後ろに傾斜することができます。これにより、要介護度が高い方でも快適に外出し、生活を楽しむことができるでしょう。

このように、車椅子は利用者のニーズに合わせて多種多様な選択肢があり、最適なものを選ぶことで生活の質を向上させることができます。

車椅子は用途に合わせて購入するのが理想

車椅子は必ずしも高価で多機能なものが最適とは限りません。選ぶ際には、どのような場面で、どのような用途で使用するのかをしっかりシミュレーションすることが重要です。例えば、室内での使用を主とするのか、旅行や散歩用にするのかによって、適した車椅子は異なります。また、車椅子に乗る人だけでなく、介助者にとっても使いやすいかどうかを検討することも大切です。家庭それぞれのニーズに合った車椅子を選ぶことで、より快適な介護が実現します。

しかし、適切な車椅子を用意できたとしても、在宅での介護が次第に難しくなることがあります。介護の負担が増す中で、家族が適切なケアを提供し続けることが困難になる場合も少なくありません。特に介護の負担が大きくなると、精神的・肉体的な疲労が蓄積し、家族全員にとって大きなストレスとなることがあります。

このような状況になった時には、老人ホームへの入居を検討することを強くおすすめします。老人ホームでは、専門的なケアと安全な環境が整っており、施設のスタッフが24時間体制で利用者の健康と安全を見守ります。これにより、高齢者が安心して生活できるようサポートされ、家族の負担も軽減されます。老人ホームへの入居によって、高齢者自身もより良い生活を送ることができます。

もし在宅介護が限界に近づいていると感じたら、静岡老人ホーム紹介タウンYAYAにぜひお問い合わせください。各施設の見学や入居相談を随時受け付けておりますので、どうぞお気軽にご相談ください。皆様の心からの安心と快適な生活をサポートするために、私たちは全力でお手伝いいたします。

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著者プロフィール

増田 高茂(社会保険労務士 介護支援専門員 介護福祉士 第二種衛生管理者)
増田 高茂(社会保険労務士 介護支援専門員 介護福祉士 第二種衛生管理者)
多くの介護事業所の管理者を歴任。小規模多機能・夜間対応型訪問介護などの立ち上げに携わり、特定施設やサ高住の施設長も務めた。社会保険労務士試験にも合格し、介護保険をはじめ社会保険全般に専門知識を有する。現在は、介護保険のコンプライアンス部門の責任者として、活躍中。

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