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超高齢化とともに問題としてあげられるのは「高齢者の虐待」です。テレビやニュースなどで、実際に虐待が起こった例を耳にする方も多いのではないでしょうか。高齢者の虐待は施設で発生すると思われがちですが、実際には在宅での件数が多いのが特徴です。こちらの記事では、高齢者の虐待の気付きのサインや、防止のためのポイントについて解説していきます。
目次
超高齢化が進む現代社会で、高齢者の虐待は年々増加傾向にあります。厚生労働省の調査によると、要介護施設事業者による虐待件数は644件。26年度の300件と比較すると、その数は倍以上まで増加しているのです。また、養護者による虐待件数はさらに多く、令和元年度には16,928件の虐待が報告されています。
前述したように、高齢者を介護している家族や親族、同居人による虐待件数は年間16,000件以上にのぼります。この背景には、在宅で生活する高齢者の増加が関係していると考えられます。介護士やケアマネジャーなど、介護や福祉に携わる専門家は、高齢者の身体状況や養護者の態度から虐待を察知し、適切な対応をとる必要があります。
例えば、通所介護に訪れる利用者の身体にアザや傷がある場合は、「身体的虐待」が疑われます。また、訪問介護で養護者が介護に関与する意思を見せない場合、「介護放棄(ネグレクト)」が疑われます。さらに、養護者が常に怒鳴ったり、利用者の前で暴言を吐いたりする場合は、「心理的虐待」が疑われます。失禁を放置している形跡があれば、「性的虐待」の可能性もあります。そして、正当な理由なく高齢者に金銭を与えない養護者は、「経済的虐待」を行っている恐れがあります。
高齢者の虐待は、高齢者が示すいくつかのサインによって判断できるケースもあります。「身体的虐待」「心理的虐待」「性的虐待」「経済的虐待」「介護放棄(ネグレクト)」それぞれの虐待のサインについて確認していきましょう。
高齢者が身体的虐待を受けている場合には、身体にあるアザや傷から暴力行為を疑うことができます。「通所介護を利用している利用者さんの体にアザがある」「訪問介護で更衣を介助した際、身体に縛られたあとを見つけた」というときには、介護士はケアマネジャーに相談しなくてはいけません。また、暴力への不安から「家にいたくない」「蹴られる」といった声が本人からあがるケースもあります。何かを聞かれるたびに家族の顔色をうかがう場合にも、身体的虐待の可能性が疑われるでしょう。状況によっては、警察や救急に連絡したり、利用者さん本人を緊急避難させたりする対応が求められます。
高齢者を怒鳴りつけたり、威圧的な態度で威嚇したりする心理的虐待は、家族のストレスが原因で起こりやすい行為です。特に、認知症の方の介護では、同じ話を毎日されたり昼夜逆転したりすることが、介護疲れの要因となります。介護と仕事を両立している方にとっては、在宅精神的・身体的にも負担の大きなものとなるでしょう。心理的虐待を受けている高齢者には、よく泣いたり、投げやりな態度をとったりするサインが見られます。身体的なサインとしては、食欲不振や過食、拒食が現れる場合もあります。常に心理的虐待を受けている高齢者にとって、不満やつらさを口に出すことは難しいものです。そのため、介護や福祉の専門職が、さまざまなサインを総合的に判断する必要があります。
本人との間で合意が形成されていない性的な行為やその強要は、「性的虐待」にあたります。例えば排泄を失敗した罰として、下半身を裸にする行為も性的虐待にあたるものです。性的虐待を受けている高齢者のサインとして考えられるのが、肛門や生殖器の出血や傷です。また、座った状態や歩行が不自然なほか、困難な場合にも虐待を疑わなくてはいけません。性的虐待を受けたショックから、突然入浴やトイレの介助を拒否するケースもあります。
日常生活に必要な金銭を理由なく制限したり、本人の財産を無断で売却したりする行為は「経済的虐待」にあたります。経済的虐待が進むと、本人に必要な受診や介護サービスへの支払いが滞り、生活の質自体が低下する恐れもあります。「預貯金がなくなっている」「年金を子どもに取り上げられる」と本人から訴えがある場合には、介護士はケアマネジャーを通し、家族に事実関係を確認しなくてはいけません。状況に応じて、専門職の介入が必要となるケースもあるでしょう。利用者さんの衣食住にお金がかけられていないと思われたり、本人が急に現金を持たなくなったりした場合にも、経済的虐待を疑い状況を判断する必要があります。
「介護放棄(ネグレクト)」とは、家族が介護を放棄し、生活環境や身体的、精神的状態を悪化させる行為を意味します。ネグレクトを受けている高齢者のサインとしてあげられるのが、伸びっぱなしの髪やひげ。身体からは異臭がし、自宅を訪れると部屋が非衛生的なケースも多々見られます。「高齢者と同居している家族が、コンビニやスーパーで頻繁に一人分の弁当を買っている」といった、地域からの声でネグレクトが発覚する場合もあります。
「高齢者虐待防止法」は、平成18年4月1日に施行された法律で、高齢者の権利と利益を守ることを目的としています。この法律は、高齢者虐待の防止と早期発見・早期対策を公的に促進するための施策を定めています。
高齢者虐待防止法で「高齢者」とは、65歳以上の方を指します。ただし、65歳未満でも要介護施設に入所または利用し、必要なサービスを受けている障がい者の方も対象となります。また、この法律における「養護者」とは、高齢者の金銭の管理、食事、介護などを行う人を意味し、同居人も含まれるため、必ずしも親族である必要はありません。
さらに、市町村には、高齢者虐待が疑われる場合に必要な援助を行う義務があります。高齢者虐待防止法では、「身体的虐待」「介護・世話の放棄・放任(ネグレクト)」「心理的虐待」「性的虐待」「経済的虐待」の5つの虐待についても詳細に定義されています。
このように、高齢者虐待防止法は、高齢者が安心して生活できる環境を整えるための重要な法律であり、社会全体で高齢者の権利を守るための取り組みが求められています。
高齢者の虐待は、誰にでも起こりうる身近な問題です。寝たきりの方や認知症の方の介護には、専門的な技術や知識が必要となることが多いでしょう。しかし、実際に介護をする家族の中には、「家族の介護は限界まで身内がしなければならない」と問題を抱え込み、ストレスがたまることがあります。その結果、暴言を吐いたり、拘束したりといった虐待行為に至るケースも少なくありません。
高齢者の虐待を予防するためには、家族だけで介護を抱え込まず、地域や医療、介護のサポートを積極的に活用することが重要です。無理をせず、家族と自分自身を守るためにも、地域の担当窓口に相談し、利用できるサービスや今後の対策について専門家のアドバイスを受けましょう。
そして、介護者が限界を感じる前に、介護施設への入居を検討することも重要です。介護施設では専門のケアと安心できる環境を提供しており、高齢者が安全に生活できる場所です。介護施設の利用を考えることで、介護者も要介護者もより良い生活を送ることができるでしょう。
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