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親の介護を私ばかりしているとお悩みの方へ、対処法を解説

2024年5月22日
櫛引 まり子(介護福祉士 介護支援専門員)
カテゴリー:
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親の介護は、兄弟達や近親者と協力しながら行うのが理想です。しかし実際には、同居している子や近くに住んでいる子1人に負担がのしかかるケースが多い現状があります。一部の家族だけに負担がかかってしまうと介護者まで心身の調子を崩してしまいます。介護生活はいつまで続くか分からないので、周囲から協力を得ながら細く長く介護を続けたいものです。

そこで、今回は1人で介護をしている方にぜひ知ってほしい情報をご紹介していきます。この記事を読めば、ワンオペ介護の改善方法がわかります。

【体験談】親の介護を私ばかりしている

介護に悩んでいる女性

親の介護に携わっている方であれば、一度は孤独や負担感を感じたことがあるのではないでしょうか。困っていても相談できる人がいないと、共倒れになってしまう心配があります。

ここからは、筆者が現役ケアマネとして実際に支援に関わった3つの事例についてご紹介していきます。(※事例は個人を特定されないよう、内容の一部を変更してご紹介しています)

体験談①

<相談内容>
72歳女性。長女、小学生の孫2人との4人暮らし。数年前から徐々に物忘れが出始めた。現在では事実と異なる話をしたり、テレビで暴力シーンが映ったときに大声で笑い出したりする症状があり、長女に対する暴言も強く特に小学生の孫が怖がっている。尿や便の感覚もなく、トイレ誘導しないと常時失禁している。閉じこもりがちで足腰も弱まり、布団からの立ち上がりができなくなった。近隣に本人の兄が2人いるが、介護について相談しても「協力できない」の一点張り。長女の夫は単身赴任で殆ど帰ってこないため、長女が本人と子供の面倒を見るワンオペのダブルケア状態となっている。

<対応結果>
長女の相談に対し、認知症の専門医(物忘れ外来)の受診を提案。同時に要介護認定の申請代行を行った。電動ベッドの必要性があったが、レンタル可能となる要介護2以上の判定がつかない可能性があったことから、自費レンタルのベッドを準備した。同時に、閉じこもりの解消・運動の機会の提供・介護者の負担軽減を目的に週1回のデイサービス利用を開始した。
その後、アルツハイマー型認知症の診断あり、投薬治療を開始。要介護1の認定がおりたため、現在はデイサービスの利用を週3回に増やして落ち着いた生活を送っている。

体験談②

<相談内容>
95歳女性、「要介護4」。長男夫婦・孫との4人暮らしで、近隣に長女が嫁いだ家がある。主に長男の妻が本人を介護。限界を感じて施設入所の申し込みをしたいと考えているが、ほとんど介護に協力しない長男と長女から反対されて困っている。

<対応結果>
支援内容確認の話し合いに長男・長女からも参加してもらった。長男妻の介護負担軽減のため、デイサービス・ショートステイ・福祉用具レンタルの利用を開始。長男妻の負担感を理解した長女が介護への協力を申し出て、長男妻が仕事の日は代わりに介護をしてもらう・受診介助は長女に依頼するなど役割分担ができるようになった。長男も態度が軟化し、長男妻の負担を考えて介護サービス利用を積極的に認めるようになった。当初は施設入所に反対していた長男・長女からも最終的に同意を得ることができた。
最終的には施設入所の待機期間中に看取り状態となり、家族から見守られながら自宅でのお看取りとなった。

体験談③

<相談内容>
79歳女性。まだ要介護認定は受けていない。長男夫婦、孫夫婦、ひ孫2人との7人暮らし。自宅は農家を営んでいる。物忘れによってご飯を食べても「食べてない」と訴えてご飯を食べすぎて嘔吐したり、自宅にいても「家に帰る」と言って外出して道に迷っているところを何度も近隣住民から助けてもらったりしている。意思決定権は長男が握っているが、長男は本人の状態を単に「年のせいだから仕方ない」と考え、専門医の受診や介護サービスを利用させたい孫や長男妻の相談を聞こうとしない。農繁期に入るため家族が面倒をみきれず、主に本人の世話をしている孫と長男妻が困っている。

<対応結果>
地域包括支援センターに相談し、要介護認定を申請した結果「要介護1」と判定された。相談をきっかけに、地域包括支援センターの主任介護支援専門員が長男夫婦と孫に対し認知症対応に当たっては専門医受診が有効であることを説明。アルツハイマー型認知症の診断を受け、服薬治療を開始した。通常時はデイサービスを週3回、特に多忙となる収穫期にはショートステイを利用。これによって家業と介護が両立でき、安定した生活を続けている。
また、万が一徘徊して所在不明となった場合の対応策として、地域包括支援センターを通じて市が実施している「認知症見守りSOSネットワーク」に登録。いざという時は顔写真や特徴が警察・消防機関に伝わり速やかに捜索に移行できるよう体制を整えたことが家族の安心材料になった。

親の介護が私ばかりになってしまうときの対処法

親の介護が私ばかりになってしまう時の対処方法
親の介護の負担が自分一人にのしかかっていると感じた時、我慢を続けてしまうとあなた自身も心身の体調を崩して共倒れになってしまう心配があります。経済的負担まで重なると、ご自身の生活もおぼつかなくなってしまうかもしれません。そうなる前に解決するためには、周囲の方や専門家に相談することが非常に重要です。

相談のポイントは、以下の4つです。

・親の経済状況や介護の意向を聞いておく
・兄弟間で親の介護についての役割分担を決める
・相談窓口に問い合わせる
・施設入居を検討する

この章では、介護の負担を分散するための4つのポイントについて、詳しくご紹介します。

親の経済状況や介護の意向を聞いておく

まず親の介護が必要になったら、経済状況や親自身の今後の生活に関する移行を確認しておきましょう。

介護サービスを利用するためにはお金がかかります。介護者自身の生活を維持しながら介護するためにも、介護の費用は親の年金や貯蓄から捻出することが原則だからです。また、「親が自宅での生活を希望しているのか」「子供たちに迷惑をかけたり弱っていく姿を見せたくなかったりして施設入所を希望しているのか」を確認しておくと、今後の介護サービスの利用方針を立てやすくなります。

兄弟間で親の介護についての役割分担を決める

親の介護の負担が一人に偏らないよう、介護負担を分散させるように努めることが非常に重要です。兄弟が複数いる場合は、兄弟間で相談して役割分担を決めましょう。

特に親と同居している兄弟がいる場合や、一人を除いて遠方に住んでいるような場合は一番近くの兄弟に負担がかかりがちです。いくら近くに住んでないとはいえ、自身の親であることに変わりはありません。任せきりにならないよう、兄弟間で出来ることをしっかり話し合いましょう。

相談窓口に問い合わせる

介護が必要になってきたと感じた時は、速やかに地域の相談窓口である「地域包括支援センター」に相談しましょう。地域包括支援センターは、主に中学校区単位で設置されている機関で、市区町村が直営している場合と社会福祉法人などの公的機関に委託している場合があります。社会福祉士・主任介護支援専門員・保健師(看護師)といった各分野の専門家が必ず配置されていて、要介護認定など公的サービスの手続き代行や状況に応じたアドバイス・専門機関への紹介などを行ってくれます。

親の住所を管轄する地域包括支援センターがどこにあるのか分からない場合は、市区町村の介護保険担当窓口で確認できます。相談時の秘密は厳守されるので、勇気を出して問い合わせてみましょう。

施設入居を検討する

「寝たきりですべて全介助の状態」「認知症がひどく、近くに家族が誰もいない」等の事情で自宅での介護が現実的でない場合は、無理せず施設入所も検討しましょう。介護施設であれば24時間切れ目のない支援を受けることができるので、本人だけでなく家族も安心して過ごすことができるでしょう。

ただ、基本的にどの施設でも体調が急変した場合は呼び出されるので、どんな状態になっても安心というわけではありません。また、心身状態によっては退去を求められる場合もあるので注意が必要です。

親の介護はいつまで続くのか

親子で考えている写真

公益財団法人生命保険文化センターの「生命保険に関する全国実態調査(2021年度) 」によると、介護を行った期間は平均で5年1ヶ月であることが分かりました。

詳しく内訳をみると、介護を行った期間の内訳は「4~10年未満」が31.5%と最も多くなっています。一方で、「10年以上」と非常に長期に渡っている人の割合が17.5%もあります。また、過去の同調査と比較すると「10年以上」の割合や平均期間は少しずつ上昇しています。

このように、介護が必要な期間は少しずつですが年々長くなる傾向があります。どのくらいの間介護しなければならないのかは、誰にも分かりません。長期化も覚悟して、“細く長く”“無理のない”介護体制を構築することが重要です。

親の介護を何もしない兄弟、どうしたらよい?

シーソーに乗る人達

自分以外にも兄弟がいるのに何の協力もしてくれず困っている場合は、詳しく理由を聞いて「それなら協力できる」という内容を見つけ出しましょう。排泄や入浴といった身体介護には抵抗感があっても、他のアプローチで協力してもらう方法があるからです。

例えば、「遠方に住んでいて介護に協力することが難しいなら、介護サービス利用料やオムツなどの介護用品にかかる費用を出してもらう」、「日々の介護は同居している兄弟に任せる代わりに、買物や受診介助などを担当してもらう」などです。「何かあったときは近くに住む姉が介護し、隣県に住んでいる弟は毎日電話して体調確認や安否確認を担当する」といった分担方法もあるでしょう。

ポイントは、介護の負担は1人で抱え込まないようにすることです。例え近くに住んでいる(同居している)からと言ってすべてを担う必要はありませんし、遠くに住んでいるからといって協力しなくていい理由にもなりません。兄弟間でよく話し合い、協力し合うことが大切です。

ひとりきりで介護の負担を抱え込まないように

家族写真

ここまでは、介護の負担が自分にばかりかかっていると感じている方に向けて事例や対応方法をご紹介してきました。

自分だけが親と同居している(近くに住んでいる)からと言って、ひとりで全て面倒を見る必要はありません。介護の負担は近親者全員でシェアすべき課題です。平均の介護期間は5年以上と長期間に渡ります。地域包括支援センターなどの専門機関に相談し、介護保険制度や公的福祉サービスを活用しましょう。遠方の兄弟からは金銭面や毎日の電話連絡などで安否確認をしてもらうなどで協力してもらうこともおすすめです。

著者プロフィール

櫛引 まり子(介護福祉士 介護支援専門員)
櫛引 まり子(介護福祉士 介護支援専門員)
専門学校にて介護福祉士取得後、介護現場にて従事。特養、ホームヘルパー、デイサービスなどで勤めると共に、現場管理業務や相談員業務にも従事する。また、介護人材の育成にも携わり、介護福祉士資格取得のための実務者研修の講師を務めるほか、外国人技能実習生の受け入れも担当してきた。趣味は旅行と食べ歩き(技能実習生から教わったアジアンフードがマイブーム)

監修者プロフィール

増田 高茂(社会保険労務士 介護支援専門員 介護福祉士 第二種衛生管理者)
増田 高茂(社会保険労務士 介護支援専門員 介護福祉士 第二種衛生管理者)
多くの介護事業所の管理者を歴任。小規模多機能・夜間対応型訪問介護などの立ち上げに携わり、特定施設やサ高住の施設長も務めた。社会保険労務士試験にも合格し、介護保険をはじめ社会保険全般に専門知識を有する。現在は、介護保険のコンプライアンス部門の責任者として、活躍中。

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