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認知症になるとトイレばかり行く?頻尿の原因や対策を解説

2024年6月26日
東海林 さおり(看護師)
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日本は今超高齢社会となっており、認知症の患者も年々増加しています。認知症の症状は、記憶障害や見当識障害がよく知られていますが、頻尿も症状の一つといわれています。排泄介護は、在宅で介護を続けるにあたって負担となる事が多く、人にも相談しづらいため、重要な課題です。この記事では、認知症の方が頻繁にトイレに行く原因と、対応方法をご紹介していきます。

高齢者に多い頻尿とは

一般的な排尿の回数は、1日4~6回、夜は0~1回です。そのため、1日8~10回、夜は2回以上となると頻尿となります。高齢者に多い頻尿の種類としては主に5つあります。

過活動膀胱

急に強い尿意が起こるのが特徴です。尿が十分に溜まっていない状態でも非常に強い尿意を催すため、我慢することが困難です。我慢できずに失禁をしてしまうこともあるので、精神的負担も大きくなります。

前立腺肥大

前立腺とは、生殖器の一部で男性特有の臓器です。膀胱の出口で尿道を囲んでいるため、何らかの原因で肥大するとによって尿道を圧迫し、尿が出にくくなってしまいます。進行すると尿が全く出なくなることもあります。

膀胱炎

膀胱の中で細菌が増殖し、炎症が起こる病気です。女性に多く、トイレを我慢したり排尿後の陰部が不衛生だったりすることで発症します。頻尿や残尿感、尿の濁りが主な症状で、排尿時痛や血尿が現れることもあります。

夜間頻尿

夜間頻尿は、他の病気を原因とする多尿症や膀胱の尿をためておく機能の減退、睡眠障害が原因といわれています。水分を取り過ぎていることが原因の場合もあります。

認知症

認知症の症状の中に頻尿もあります。脳の一部である前頭前野や大脳基低核に起こる異常が原因で頻尿を起こす場合があるからです。また、物忘れによってトイレに行ったことを忘れる、今いる場所や時間の感覚が分からなくなって起きる不安感によって尿意が誘発されてしまうこともあります。

上記原因の中には、症状に合わせて内服をすることで治療が可能なことが多くあります。対策の1つとして、医師への相談も検討しましょう。

認知症でトイレばかり行く原因

認知症になり、トイレばかり行くという行動には原因があります。また、認知症の進行にあわせて症状が出てくるわけではなく、軽度の認知症の方にも見られます。

具体的に考えられる原因が、以下の3つです。

  • 認知症の薬による影響
  • トイレに行ったことを忘れているため
  • 見当識障害により夜間眠れないため

認知症の方が頻尿になる代表的な3つの原因について、詳しくご紹介していきます。

認知症の薬による影響

一般的には認知症を発症すると、症状に応じて専門医から認知症の進行を抑える薬や、出ている症状に合わせて気持ちを落ち着かせる薬、物忘れなどを緩和する薬などが処方されます。薬の中には、尿意を促す作用があるものや、他に利尿剤なども服用している場合があります。頻尿がひどくなると、場合によっては介護者へ大きな負担となり、本人への身体的・精神的な影響も出てくるため、その場合は飲んでいる薬について早めに医師に相談しましょう。

トイレに行ったことを忘れているため

認知症の中核症状の1つとして、記憶障害(物忘れ)があります。少し前にトイレに行ったことを忘れてしまったり、トイレに行くまでやトイレでの一連の動作を忘れてしまったりと、当たり前に出来ていたことが出来なくなるということが多くあります。

認知症は物忘れとは違い、トイレに行ったという体験そのものを忘れてしまいます。新しい記憶や昔の記憶も、障害を受けることでいつトイレへ行ったのかわからず、不安で何度もトイレへ行ったりするようになります。

見当識障害により、夜間眠れなくなるため

見当識障害とは、いつ(時間)どこ(場所)がわからなくなる状態で、環境の変化などにより多く現れます。昔の記憶の中を生きているような感覚になる事もあり、今住んでいる家ではなく、昔の家に帰ると話したりすることがあったり、夜中に買い物に行くと言い出したり、季節や昼夜の区別もつかなくなることがあります。

昼夜逆転の場合は、夜間頻尿とは言わず、眠れずに目が覚めているのでトイレに行きたくなるという状態です。その場合には、決まった時間に起きるなど生活習慣の改善やマッサージ、体操など体を動かす時間を作るなど、生活のリズムを整えるようにしましょう。

認知症でトイレばかり行く人の対策方法

認知症になると、中核症状と言われる記憶障害や見当識障害が現れます。そして認知症になってトイレに頻繁に行くようになると、トイレ内を汚してしまったり、ふらついて転倒したり、場所がわからなくて放尿してしまったりと介護をする家族にとって大きな負担となります。

負担が大きくなる行動・心理症状(BPSD)の中でも、徘徊や頻尿などの排泄トラブルは、本人の身体の状態や環境で出現を抑えることが出来ます。本人だけでなく、家族の負担も軽減できるようにきちんと対策をとることが大切です。具体的にどのような対策をとればいいのか、3つの対策方法について紹介していきます。

ポータブルトイレを利用する

足腰の筋力低下などで歩行がふらつく場合、頻繁にトイレに行くと自宅環境によっては転倒の危険が高くなります。特に夜間に家族が毎回トイレまで連れていくのは介護者の負担が大きくなるので、ベッドサイドにポータブルトイレを設置する方法が有効です。

トイレまでの移動回数を減らすことで、転倒のリスクを減らすことが出来ます。慣れるまでは見守りや介助が必要になるかもしれませんが、自力で排泄が出来るようになれば家族の負担は大きく減り、介助が必要な場合でも移動によるリスクがなくなります。また、自宅のトイレでは限られたスペースで介助をしなくてはいけないのに対し、ポータブルトイレはスペースを確保しながら安全に介助することが出来ます。

注意点としては、滑って転倒しないようにすることです。床や履物に注意し、トイレを設置する場所も専門家に相談しながら、安全に移乗できる場所に設置しましょう。また、臭いやプライバシーにも配慮をしながら、定期的な掃除や水や消臭剤を使用するなど工夫しましょう。

個々に合った紙おむつを着用する

いくら工夫をして介助をしていても、移動や移乗が難しかったり、尿意や便意が感じづらかったりした場合には、負担や安全面を考えると紙おむつの使用を検討する必要があります。紙おむつは大きく分けると「パンツ型」「テープ型」「尿取りパット」があります。それぞれに特徴があり、対象となる方も異なる為、個々に合った紙おむつを着用しましょう。

パンツ型のおむつ

自分で歩いてトイレに行ける方や、軽介助があれば立ち座りができる方に適しています。薄型タイプはゴワつきによる不快感がなく歩きやすい点が特徴で、普段からよく動く方や失禁の回数が少ない方に向いています。一方、長時間タイプは歩きやすさと吸収量の両立を目指した設計なっているので、失禁の回数や1回当たりの尿量が多い人に向いています。尿量が多い人の場合や失禁時のコスト削減のため、尿取りパットを併用する場合もあります。

テープ型のおむつ

主に寝たきりの方や、立った姿勢を保つことができない方に向いています。尿取りパットと併用するのが基本で、テープを外せば簡単にパット交換ができることが特徴です。本人の睡眠を妨げないようにするため、日中はパンツ型を使用し夜間のみテープ型を使用することもあります。

尿取りパット型のおむつ

パンツ型、オムツ型両方に使用可能で、少量の失禁の場合パットのみの交換で済むため、交換も簡単でコスト面でも経済的です。日中活動の動きやすさや不快感抑制を意識した小吸収量のパットから、夜間のおむつ交換による睡眠を妨げないようにする大吸収量のパットまで様々です。昔は夜間でも2~3時間おきに交換していましたが、近年はパットの性能が向上したこともあり、夜間は大容量タイプを使用して朝までぐっすり眠れるようにする考え方が主流になってきています。

就寝前はカフェインを含む飲み物を控える

カフェインには利尿作用や覚醒作用があるため、就寝前は摂取しないようにする方がよいでしょう。カフェインを含む飲み物として、コーヒーが有名ですが、緑茶や紅茶、ウーロン茶、コーラ、エナジードリンク、栄養剤など様々な飲み物に含まれています。摂取すると頭がすっきりして、集中力が増すなどの効果がある反面、過剰に摂取すると、寝つきが悪くなる・眠りが浅くなる・利尿作用によりトイレの回数が増えるなどの悪影響を及ぼします。夕方以降はカフェインの含まれていない飲み物にするか、少量にするなど注意をしましょう。

在宅での対応が難しいと思ったら

在宅で介護を続ける中で、家族にとって負担が大きいことの一つに「排泄の問題」があります。要介護者の状態によって問題は異なりますが、家族だけで頑張らずに専門家や介護用品を活用して負担を軽減することが重要です。

とはいえ、認知症の症状の重さは、人によって様々です。どうしても家族では対応できないケースもあります。介護をする方に余裕がなくては、認知症の方に寄り添った介護はできません。介護の限界を迎える前に、専門家や専門の施設(グループホーム)などに相談をすることも考えてみてはいかがでしょうか。

グループホームは、認知症の高齢者が少人数で共同生活を送りながら、専門スタッフのケアを受ける施設です。家庭的な雰囲気の中で、自立を支援し認知症の進行を緩やかにします。24時間体制で安心して生活できる環境が整っています。入居条件は65歳以上で要支援2以上の認定を受けている方。見学や相談も随時受け付けておりますので、お気軽にお問い合わせください

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著者プロフィール

東海林 さおり(看護師)
東海林 さおり(看護師)
看護師資格修得後、病棟勤務・透析クリニック・精神科で『患者さん一人ひとりに寄り添う看護』の実践を心掛けてきた。また看護師長の経験を活かし現在はナーススーパーバイザーとして看護師からの相談や調整などの看護管理に取り組んでいる。

監修者プロフィール

増田 高茂(社会保険労務士 介護支援専門員 介護福祉士 第二種衛生管理者)
増田 高茂(社会保険労務士 介護支援専門員 介護福祉士 第二種衛生管理者)
多くの介護事業所の管理者を歴任。小規模多機能・夜間対応型訪問介護などの立ち上げに携わり、特定施設やサ高住の施設長も務めた。社会保険労務士試験にも合格し、介護保険をはじめ社会保険全般に専門知識を有する。現在は、介護保険のコンプライアンス部門の責任者として、活躍中。

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