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訪問介護の利用において、介護ヘルパーと利用者、その家族がトラブルになってしまうケースは少なくありません。さまざまな理由が考えられますが、ひとつには介護ヘルパーに頼めることと頼めないことを、正しく理解できていないことが挙げられます。本記事では、掃除や洗濯、身だしなみに関することで、介護ヘルパーに頼めること、頼めないことをまとめました。
介護ヘルパーは家政婦さんではありません。そのため、利用者がお願いすれば、どのような家事でもしてくれるわけではないのです。まずはそこをきちんと理解しておきましょう。では実際のところ、介護ヘルパーにはどのようなことを依頼でき、どのようなことがお願いできないのでしょうか。
室内の掃除やゴミ出しなどは、介護ヘルパーへ依頼できます。これらの行為は生活援助の一環とみなされるからです。ただ、家事ができる同居人がいるケースでは、頼めないため注意しましょう。また、掃除ができるのはあくまで利用者本人が使用している部屋に限ります。利用者の家族が主に使用している部屋の場合、掃除はもちろんゴミ出しもできません。
流しの排水溝にゴミが溜まってしまうと、水はけが悪くなり衛生的によくありません。最悪の場合、排水管が詰まってしまうおそれもあります。日常生活に必要なことであると判断されるため、介護ヘルパーへ掃除の依頼ができます。依頼できないのは、家事を行える同居人がいる場合です。また、「同じキッチンだから」といった理由で、換気扇の掃除を依頼することもできないため注意が必要です。
部屋の片付けや掃除ができていないと、要介護者が誤って転倒してしまうおそれがあります。また、衛生的でない部屋での生活は、健康を損ねてしまうおそれもあるため、介護ヘルパーへ掃除の手伝いを依頼できます。介護ヘルパーの役割は、利用者の自立支援です。何でも代行してあげるわけではなく、利用者本人ができることは、なるべくしてもらい自ら生活できる力を身につけてほしいと考えています。このような理由から、掃除の手伝いを介護ヘルパーへ依頼することは可能です。
トイレやお風呂は、日常生活に必要な設備です。そのため、生活援助の一環として介護ヘルパーへ掃除の依頼ができます。介護を必要とされる方で、家事のできる家族が不在となると、自身でトイレやお風呂の掃除をするのは難しいでしょう。このようなケースでは、掃除を頼めるため安心してください。もちろん、家事を行える家族が自宅にいるとき、依頼することはできません。
換気扇の掃除や床のワックスがけなどは、介護ヘルパーへお願いできません。換気扇や床の汚れを落とす緊急性は認められないからです。そのため、これらの作業を依頼したいのなら、介護ヘルパーではなくハウスクリーニング業者へ相談したほうがよいでしょう。なお、同様の理由により窓の掃除にも対応していません。
洗濯物を乾かすとき、ベランダに干す方は少なくありません。日常生活に必要な衣服を乾かすためのベランダなら、介護ヘルパーへ掃除を依頼できるのでしょうか。残念ながら、答えはノーです。たとえ洗濯物を干すためのベランダであっても、介護ヘルパーへ掃除をお願いすることはできません。やはりこれも、緊急性がなく日常生活に絶対必要とは言い切れないからです。洗濯物はわざわざベランダへ干さずとも、室内へ干すこともできます。
洗濯は自らできても、洗濯物を干せないといった要介護者も少なくないでしょう。洗濯物を干す行為は、時間と労力を要します。そのため、介護ヘルパーへ洗濯物を干す、取り込むといったことはお願いできます。なお、取り込んだ洗濯物を所定の場所へ収納してもらう、アイロンをかけてもらうといったことも可能です。ただし、あくまで利用者本人のものに限るため、そこは注意しましょう。利用者以外の方のために行うこれら一連の作業は、介護ヘルパーへ依頼できません。
コインランドリーでの洗濯は依頼できます。基本的に洗濯は生活援助に含まれているからです。サービス利用者の中には、自宅に洗濯機がないことも考えられます。このような場合、洗濯機がないからといって洗濯の依頼を断ってしまうと、利用者は不衛生な衣服のまま生活を送らなくてはなりません。ただ、コインランドリーが近くになく、遠方へ行かなくてはならないようなケースでは、断られてしまう可能性もあるため注意が必要です。
介護ヘルパーに依頼できる生活援助の中には、洗濯が含まれています。洗濯機でも手洗いでも同様であるため、オシャレ着を手洗いしてもらうことも可能です。利用者本人の衣服ではない場合には、対応してもらえません。また、家事のできる同居人がいる場合でも同様です。
洗濯して干した衣服を、そのまま畳んでしまうとシワができてしまいます。特に、衣服の素材によってはシワができやすいため、きちんとアイロンがけしたうえでの保管が望ましいでしょう。介護ヘルパーには、衣服やシーツのアイロンがけを依頼できます。洗濯から干す行為、アイロンがけと一連の流れで依頼できますが、本人が使用するものであることが大前提です。
爪切りや耳掃除は、身体介護に含まれるため介護ヘルパーへ依頼できます。基本的に介護ヘルパーは医療行為ができませんが、これらの行為は医療行為に該当しません。ただ、爪に異常が見られるときや、周辺に化膿や炎症などの症状が見られるときには、爪切りを依頼できないため注意が必要です。また、耳掃除においても、耳垢塞栓の除去は医療行為に該当するため頼めません。
歯磨きや入れ歯のケアは、医療行為ではなく身体介護に分類されるため、介護ヘルパーへ依頼できます。歯磨きは口腔ケアに含まれ、歯ブラシや綿棒を用いたケアを頼めます。重度の歯周病が確認できるようなケースでは、介護ヘルパーに頼めません。この場合には、歯科医師に相談のうえケアを行うこととなるでしょう。
自宅介護で介護ヘルパーを依頼するのも一つの手ですが、老人ホームを検討してみることもおすすめです。自宅介護の場合、介護の負担が大きくなり、心身ともに疲れている方も多いでしょう。老人ホームなら、専門スタッフが24時間体制でケアを行い、安心して生活できる環境が整っています。ご自身やご家族の負担を軽減し、大切な時間を穏やかに過ごせる選択肢として、ぜひご検討ください。
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