静岡県の老人ホーム・介護施設情報サイト
老人ホームには施設によって入居金を支払う料金プランもあります。入居金の大半を占める入居一時金は償却期間があります。こちらの記事では、老人ホームの費用相場、入居金の項目、入居一時金の仕組み、料金プラン例の費用などについて説明しています。
入居一時金は、介護保険施設を除く民間事業者が運営している老人ホームの多くで入居時に請求される費用です。終身にわたる居住の権利や共有スペースの利用権、施設が独自に実施する介護サービスなどを利用するための前払い金としての意味合いがあります。また、入居一時金が設定されている施設では多額の初期費用がかかる一方で、月々の利用料が抑えられている場合もあります。その逆もまたしかりで、入居一時金がない施設の場合は毎月の利用料が高めに設定されている場合もあります。多くの施設では、想定されていた居住期間よりも早く退去した場合や、入居者が亡くなった場合には、入居一時金の一部または全額が返還されることがあります。ただし、入居一時金は入居期間によって償却される仕組みが採用されている施設が多いため、退去時に返却されるのは未償却分のみとなるのが一般的です。
施設側が入居一時金を徴収する主な理由は、以下の4つです。
入居一時金は、施設の運営費用を確保する目的で徴収するのが一般的です。安定した収入によって経営の安定化を図るだけでなく、月額費用を抑えたり、サービスの質を担保したりと入居者側にも恩恵がある仕組みです。また、高級老人ホームの場合は、顧客のターゲットを明確化してピンポイントでアピールするために、あえて高額な入居一時金を設定しているケースもあります。
施設ごとの入居一時金の有無や特徴について、簡単に表にまとめました。
施設種類 | 入居一時金の有無 | 特徴 |
特別養護老人ホーム | 不要 | 終の棲家 相対的に安価 |
介護老人保健施設 | 不要 | リハビリで在宅復帰を目指すのが目的 近年は看取りまで行っている場合もある |
介護医療院 | 不要 | 専門的かつ継続的な医療ケアに対応 看取りまで対応可 |
介護付き有料老人ホーム | 必要な場合が多い | 手厚い介護サービス |
住宅型有料老人ホーム | 不要または少額 | 介護サービスは外部利用 |
サービス付き高齢者向け住宅 | 基本不要 ただし、敷金が必要 | 介護サービスは外部利用 |
グループホーム(認知症対応型共同生活介護) | 不要または少額 | 認知症の方が対象 施設がある市町村に住民票がある方が入居対象 |
入居一時金は、どの老人ホームでも必ず発生する費用ではありません。特に特別養護老人ホームをはじめとした介護保険施設では不要とされており、民間の老人ホームの場合は支払いが必要なケースが多くなっています。ただし民間施設の場合でも運営方針によって設定されていない場合があるので、施設の担当者に問い合わせたり、契約書や重要事項説明書で確認したりしましょう。
入居一時金に関する施設ごとの相場は、以下の通りです。
施設種別 | 入居一時金の相場 |
介護付き有料老人ホーム | 0〜数千万円 |
住宅型有料老人ホーム | 0〜数百万円 |
サービス付き高齢者向け住宅 | 0〜数百万円 |
グループホーム (認知症対応型共同生活介護) | 0〜数十万円 |
介護保険サービスの一種であるグループホームは、最大で27床と小規模なことが特徴の施設なので、相対的に入居一時金の相場が安くなっています。その他の民間施設については入居一時金が0円の施設から数百万以上必要になる施設まで、その運営方針によって千差万別です。一つ一つの施設を調べるのは大変だと感じる場合は、複数の施設を比較検討して紹介してくれる専門相談員へ相談することがおすすめです。予算や必要なサービス内容に応じて、適切な施設を紹介してくれるでしょう。
この記事の初めのほうでもご紹介しましたが、入居一時金は退去時に戻ってくる場合があります。ただし入居一時金には「償却」という考え方があり、退去時に一律全額が戻るわけではありません。具体的には、施設ごとに契約書や重要事項説明書に返却に関する規定や計算方法が記載されており、退去時はその返却ルールにのっとって返還金が計算されることとなります。多くの施設が想定居住期間を設定し、それに基づいて償却期間を設定しています。詳細な計算方法は施設によって異なります。退去時に「こんなはずじゃなかった」と後悔しないよう、入居前に必ず詳細を確認しましょう。不明な点は担当者に確認するようにし、誤解がないように注意することが重要です。
入居一時金は前払い金という趣旨の費用で、入居者の居住期間によって毎月償却していきます。そのため、退去時は未償還分の入居一時金が返還されるケースが一般的です。なお、初期償却によって返ってくる入居一時金の一部が差し引かれる場合があります。基本的に、施設では独自に設定する想定居住期間を計算根拠とし、その期間を通じて入居時に徴収した入居一時金を償却していきます。これは会計上の減価償却と似たような仕組みで、期間が経過するたびに退去時に返ってくる入居一時金(前払い金)が目減りしていくもので、償却期間は施設によって異なります。また、初期償却と言って、入居した時点で支払った入居一時金の一部が償却される場合もあります。これも上記同様に、施設ごとに初期償却の有無や初期償却の額は異なります。非常に複雑な仕組みなので、つい契約書や重要事項説明書を確認するときに読み飛ばしたくなってしまうでしょう。ただ、この返還ルールは国や行政が定めているものではなく、施設が独自の基準でルール化しているものです。施設ごとに内容が大きく異なるので、トラブルの原因にならないよう、必ず入居前に確認するようにしてください。
償却期間とは、施設が入居一時金を全額償却するまでに要する期間のことをいいます。入居一時金を支払って入居した者が退去する場合は、償却期間内であれば未償却分の入居一時金の返還を受けることが出来ます。償却期間は想定居住期間に応じて設定されている場合が多く、想定居住期間は入居者の年齢や平均寿命を考慮して決められています。一般的には3~10年程度の範囲内で設定されているケースが多いですが、詳細は施設ごとに異なります。なお想定居住期間については、超えた場合でも退去を求められるものではありません。償却期間や返還方法は施設ごとに異なり、契約書や重要事項説明書に記載されています。契約の際は不明点を担当者に確認するなどして、償却期間や返金方法について確実に理解しておくことが重要です。
実際に返還金はどのように計算されるのかを確認していきましょう。以下の2つの事例で考えてみます。
Q 入居一時金:300万円、償却期間:5年、入居期間:24ヶ月の場合
A 返還金は180万円
<計算方法>
入居一時金の一カ月当たりの償却額→300万÷60ヶ月=5万円
退去時点での未償却額→300万円-(5万円×24ヶ月)=180万円
Q 入居一時金:1200万円、償却期間:5年、入居期間:65ヶ月の場合
A 返還金は0円
<計算方法>
入居一時金の一カ月当たりの償却額→1,200万円÷60ヶ月=20万円
退去時点での未償却額→1,200万円-(20万円×65ヶ月)=-100万円
このように、入居一時金はどの程度の期間入居していたかによって返還金が変わってきます。例え1,000万以上の高額な入居一時金を払っていたとしても、償却期間を超えて生活していた場合は返金はありません。返還金の計算方法を把握しておくことは、特に予期せず短期間で退去することになった場合に重要な意味を持ちます。契約時に必ず確認するようにしましょう。
入居時にまとまった金額を預ける入居一時金ですが、メリットとデメリットを知り、メリットが大きいと判断すれば利用しましょう。ここでは、入居一時金のメリット・デメリットを解説します。
入居中に必要な費用の一部を先にまとめて払い、それを毎月の月額費用の一部にするため、月額費用を安くを抑えられます。想定する入居期間を過ぎると、家賃を支払う必要がなくなります。 長期間入居する場合は、入居一時金を支払うメリットが大きいと言えるでしょう。
老人ホームに入所する際に、多額の費用が必要になることがあります。入居金を目的に貯蓄していた場合は問題ありませんが、預金を切り崩して充てる場合、預金額が大きく減る不安があります。
また、何らかの事情により、短期で退去しなければならなくなった時に費用面での不安が残ります。施設によって入居一時金の金額には差があり、初期償却率も異なります。中には、初期償却率が高く短期退去すると返還される金額が少ない可能性があるため、慎重に判断しましょう。
入居一時金が設定されている施設に入居する場合、初期費用として多額の支払いが発生します。そこで重要なのが、入居一時金の支払いによって生じる経済的負担を少しでも軽減する方法です。入居一時金は施設が独自に定める費用なので減額してもらうのは難しいですが、他の方法で代替することが可能です。そこでご紹介したい入居一時金による経済的負担を軽減する方法が、以下の3つです。
これら3つの負担軽減策について、詳しくご紹介します。
高額介護サービス費制度とは、1ヶ月に利用した介護保険サービスの自己負担額が上限額を超えた場合に、超えた分が払い戻される制度です。上限額は介護サービス利用した個人(世帯)の課税状況や収入合計額によって変動します。対象となる費用は介護保険サービスの自己負担分に限られるため、例えば以下のような費用は計算の対象外になります。
この制度の申請方法は、以下の通りです。
一度申請すれば、以降上限を超えた場合に自動的に払い戻されるようになるので便利です。なお、上記でご紹介した通り入居一時金や施設居住費や食費は対象外です。あくまで老人ホーム入居時に発生した介護保険サービスの自己負担分のみが計算対象となる点には注意しましょう。
経済的な問題で高額な入居一時金を一括払いすることが困難な場合は、入居一時金が0円の施設の中から探すとよいでしょう。まとまった貯蓄がない場合でも、月額制の施設であれば費用負担が分散されるため安心です。入居一時金0円の施設としては、介護保険施設である特別養護老人ホーム・介護老人保健施設・介護医療院があります。介護保険施設は入居一時金がかからないだけでなく、「負担限度額認定制度」によって所得や貯蓄額に応じた減免を受けられる点も魅力です。ただし施設ごとに入所要件が定められており、人気が高い施設も多いので、入居難易度は高めです。また、近年は民間の有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅の中にも入居一時金が0円の施設もみられるようになってきています。ただし、民間老人ホームで入居一時金が0円の施設の場合、前払い金がない分月額費用が高めに設定されていることがあるので注意が必要です。
持ち家や不動産がある場合は、これらの資産を活用して入居一時金や毎月の費用に充てる方法があります。具体的な方法とメリット・デメリットを下表にまとめました。
メリット | デメリット | |
自宅を売却 | まとまった資金を得られる 固定資産や維持費の負担がなくなる | 自宅を失う 販売価格変動したり、売れなかったりして計画が狂う |
自宅を賃貸に出す | 年金のような定期収入になる 将来的に自宅に帰る選択肢が残せる | 賃貸管理が手間になる 家賃滞納や借り手が見つからないなどのリスクがある |
リバースモーゲージ | 自宅を残したまま資金を借りられる 毎月の返済額が少なく済む | 契約者死亡時に自宅を失う 金利変動リスクがある |
リバースモーゲージとは自宅を担保にしてお金を借りるサービスです。担保の価値を限度額としてお金を借り入れ、毎月利息のみを支払います。借入金の元本は、死後に自宅が売却されることによって返済する仕組みです。このように、手持ちの資産を活用すると年金収入や貯金に資金を上乗せすることができるので、入居一時金の支払いによって生じた経済的負担の軽減につながります。
老人ホームの設備やサービス内容は施設によってさまざまなため、設備やサービス内容と予算が満足いくものかを検討して入居先を決めます。まとまったお金をかけずに入居したい場合は入居金0円プランのある施設から探しましょう。入居一時金を準備できる場合は、選択できる老人ホームが多くなります。今後支払っていく金額も変わってくるため、入居費用をどうするのか慎重に検討してください。
静岡老人ホーム紹介タウンYAYAは、お客様一人ひとりの状態に合った老人ホーム探しをお手伝いしています。施設選びや見学にも同行するので、より満足いただける施設選びが可能となります。相談から入居まで無料でご利用いただけます。お問い合わせはこちらからどうぞ
著者プロフィール
監修者プロフィール