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グループホームと有料老人ホームの違いを詳しく解説!どちらが適しているかを判断するポイント

2024年9月18日
笠井直歩(介護支援専門員、介護福祉士、介護予防運動指導員)
介護お役立ち情報

「グループホームって、どんな人が入居できるの?」

「老人ホームは種類がたくさんあるけど、区別がよく分からない」

そんな風に迷われている方も多いのではないでしょうか?

介護が必要であったり、1人暮らしに不安がありホームを探さないといけない時、情報が多すぎてどこから手をつけるか分からなくなりがちです。

本記事では、以下のような疑問に対して解説しています。

  • グループホームと有料老人ホームは何が違うの?
  • サービス内容はどうなの?
  • どのくらいの費用がかかるの?
  • それぞれのメリットとデメリットは何?

施設の内容と区別を知ることで、安心して暮らせるホーム選びの参考になれば幸いです。

グループホームと有料老人ホームの違いを知る

グループホームと有料老人ホームはどこが違うのかを表で解説します。

*有料老人ホームには「健康型有料老人ホーム」もありますが、全国的には数が少ないため、ここでは施設数の多い「介護付き」と「住宅型」を挙げます。

項目グループホーム介護付き有料老人ホーム住宅型有料老人ホーム
入居条件65歳以上
(または若年性認知症、初老期認知症の診断がある)
要支援2~要介護5の
認定をうけている
65歳以上の
要介護1~5または第2号被保険者
60歳以上の
自立~軽度要介護者
入居の空き状況空きが少ない傾向比較的、空きがある
介護・看護体制要介護者3人に対して
介護スタッフ1名配置。
看護師の配置義務なし
要介護者3人に対して
介護スタッフ1名配置。
看護師、機能訓練指導員の
配置義務あり
施設長1名
介護、看護、機能訓練指導員
などは必要に応じて配置
医療体制往診または提携医療機関にて対応
基本サービス内容認知症ケア全般に関する対応と介助
家事などを一緒におこなう
レクリエーション
地域活動への参加など
身体介護 生活支援 医療行為
リハビリ レクリーション など
食事提供 生活支援
健康管理 運動
*介護サービスは
外部事業所と契約
認知症ケア専門のスキルをもった
スタッフが対応
受けられるが、
スタッフのレベルにばらつきがある
外部サービス(ヘルパー、デイなど)を使えば受けられるが
重度の認知症は不可
看取り対応施設の体制によっては対応不可基本的にあり基本的になし
自立支援・リハビリ生活リハビリ中心機能訓練指導員による
リハビリあり
外部の訪問リハビリなど
個別対応基本的に認知症に対する
個別対応  
人数の多い集団生活のため、
対応できない部分もある
施設内のスタッフに相談しながら、わりあい柔軟に対応
暮らし方のイメージ認知症ケアの専門家のサポートを受けながら、少人数で穏やかに共同生活をおくる入浴などの時間が自由にならないなど制約あり。介護・看護サービスを常に受けられる自立した暮らしの中で生活支援などが受けられ、サークル活動などが充実している
費用入居時:0~15万円
月額:8~20万円
入居時:0~数千万円
月額:20~50万円
入居時:0~数百万円
月額:10~30万円
退去要件ホームで対応できない
医療行為が必要な時など
集団生活ができない
状態になった時など
特に、介護度が重度に
なった時など

グループホームとは

グループホームは正式には「認知症対応型共同生活介護」といいます。

要支援2以上の介護認定をうけた方が少人数(1ユニットは5~9名)で共同生活をしながら、認知症状があっても穏やかに暮らすことを目的としています。

また、認知症ケアのプロのサポートのもと、日常生活行為(調理、掃除、洗濯など)をおこなったり、レクリエーションや地域活動に参加することもあります。

家庭的な「なじみの関係」のなかで今までしていた役割を思い出したり、その方がもっている能力を引き出したりすることで、認知症という病気で崩れてしまった「自分らしい生活」を再構築します。

有料老人ホームとは

有料老人ホームには「介護付き」「住宅型」「健康型」の3種類があります。

どのホームを選ぶかは「どんな生活を望むか」「どのくらいのケアが必要か」により違ってきます。

それぞれの特徴は以下のとおりです。

・介護付き有料老人ホーム

常駐する介護スタッフにより、24時間の介護が受けられるホームです。

看護師は日中のみ勤務し、夜はオンコール(何かあれば電話で対応または駆けつける)にしているところが多いですが、施設によっては24時間看護師が常駐している手厚いところもあります。

往診医が定期および臨時で来てくれるので医療体制も万全で、看取りまで対応する場合がほとんどです。

また、リハビリのプロである機能訓練指導員(理学療法士など)が個別および集団リハビリ、体の動きなどの評価をおこないます。

常に介護が必要な方、日常的に医療行為が必要な方に向いているホームです。

・住宅型有料老人ホーム

基本サービスとして「安否確認・緊急対応」「日常生活支援(洗濯、掃除など)」その他、日常の困りごとについて相談援助があります。

介護、看護スタッフもいますが人員は施設によって違うので、日々の健康管理をしてくれるというイメージです。

さらに介護や看護サービスが必要な場合は、施設とは別の外部事業者と契約を交わす必要があります。

レクリエーションやサークル活動が充実しているところが多く、楽しみや生きがいにつながるでしょう。

比較的お元気(自立~軽度要介護)な方で、自分のペースを守りながら暮らし、必要な分だけ介護・看護サービスを受けたい方に向いているホームです。

・健康型有料老人ホーム

「介護は必要ないけど一人で暮らすのは不安」「人と交流しながら楽しく暮らしたい」という方向けに、アクティビティやサークル活動が充実したホームです。

介護が必要になると退去しなければなりません。

入居条件の違い

グループホームと有料老人ホームは目的や入居対象者が異なるため、入居条件も違います。

「このホームに住みたいな」と思っても、条件を満たさなければ入居はできません。

それぞれの違いを理解することで、適切なホームを選ぶヒントになるでしょう。

グループホームの入居条件

グループホームの入居条件は以下のとおりです。

  • 医師に認知症と診断された方
  • 要支援2~要介護5の介護認定をうけている方
  • 65歳以上の方、または65歳未満の「若年性認知症」「初老期認知症」と診断をうけている方
  • グループホームがある市区町村に住民票がある方
  • 集団生活に支障がない方

グループホームは認知症に特化した「地域密着型サービス(*1)」なので、ホームがある地域に住んでいる方のみ利用できます。

地域によってグループホームの数は違うので、希望するグループホームに入居するために住民票を移す人もいます。

また、周囲に影響のある感染症がある、ホームで対応できない医療行為がある、暴言や暴力などで集団生活を送るのが難しい場合は入居を断られる可能性もあります。

ホームによっては看護師の人員を手厚くしたり、医療体制を整えているところもあります。

また、入居時は認知症状のために暴言などがあっても、慣れていくとおさまったりするケースもあるでしょう。

「うちは無理かな・・」とあきらめず、老人ホーム紹介センターなどに相談してみましょう。

*1 地域密着型サービス・・要介護や認知症になっても、住み慣れた地域で暮らせるよう提供されるサービスのこと。

有料老人ホームの入居条件

有料老人ホームの入居条件は施設の種類によって違います。

ここでは「介護付き有料老人ホーム」と「住宅型有料老人ホーム」について解説します。

入居条件項目介護付き住宅型
年齢65歳以上
(病気や障がいによっては40~64歳も可)
60歳以上
介護度要介護1以上の方自立~軽度要介護
入居者のイメージ軽度~重度の介護・看護が
日常的に必要
身の回りのことはある程度できるが、
生活支援や介護が少し必要

介護付き、住宅型に共通している一般的な入居条件については以下のとおりです。

・支払い能力

家賃や月額利用料などの支払いがきちんとできるかが問われます。

多くの施設では「3か月支払いが遅れたら退去しなければならない」などの規定があります。

・身元引受人

ホームに入居するには、身元引受人や保証人が必要です。

ケアプランの内容を相談・了承したり、医療面で治療方針などに同意する、入退院時や緊急時などに対応する役割があります。

家族がいなかったり、身元引受人をたてられない場合には後見人を立てる、ホームが紹介する保証会社に依頼する、という方法があります。

・健康状態

入居を審査する際には「健康診断書」が必要です。

他入居者やスタッフに影響のある感染症がないか、ホームでは対応できない病気や医療行為がないかが確認されます。

入居前には「事前面談」があり、入居される方の健康状態や病気、体の動きやどこに介助が必要かなど聞き取りをおこないます。

介護付きは日常的に介護・看護が必要な方が入居され、住宅型はわりあい身の回りのことができるが多少の生活支援が必要な方が入居されるイメージです。

そのため、住宅型で外部の介護・看護サービスを依頼するだけではフォローしきれない状態になると、介護付きなどの手厚いホームに転居する可能性もあります。

入居される方が「どんなサポートが必要か」を少し先を見越して検討すると良いでしょう。

わかりづらい時は見学時などにホームに直接確認したり、紹介センターに相談してみましょう。

提供されるサービスの違い

ホームにより、提供されるサービスも変わってきます。

  • グループホームは「認知症ケアに特化した施設」
  • 介護付き有料老人ホームは「常時介護、看護が必要な方をケアする施設」
  • 住宅型有料老人ホームは「自分のペースを守りつつ、必要な介護や生活支援をうける施設」

上記の違いをふまえて、それぞれのサービス内容について解説します。

介護体制

各ホームには国で定められた人員配置基準があります。

施設種別介護の人員配置基準
グループホーム要介護者3名に対して介護スタッフ1名
介護付き有料老人ホーム
住宅型有料老人ホーム管理者1名(介護、看護スタッフは必要数)

グループホームは1ユニット5~9名の少人数に対して手厚い認知症ケアをおこないます。

介護付き有料老人ホームは身体介護(食事、排せつ、入浴など)や生活支援(掃除、洗濯など)が施設内の介護スタッフにより提供されます。

住宅型有料老人ホームは安否確認や生活支援はうけられますが、介護サービス(ヘルパー、デイサービスなど)は外部の事業者との契約が必要です。

ちなみに「要介護者3名に対して介護スタッフ1名」は月のシフト上で計算されるので、24時間必ず「3:1」というわけではありません。

ケアが多く必要な日中は人員を手厚くし、夜間はスタッフを減らすのが一般的です。

医療連携

基本的にグループホームには看護師を配置する義務はありませんが、多くのグループホームでは看護師が勤務しています。

また、近隣の訪問看護事業所と連携をとり、健康管理や医療行為に手厚い体制をとっているホームもあります。

グループホーム、介護付き有料老人ホームは往診医や提携の協力医療機関があるので、往診や受診などで医療連携がはかれます。

住宅型有料老人ホームも医療機関と連携している場合もありますが特に規定はないので、自宅にいるときのように自分で病院に行く必要があります。

リハビリ

リハビリをどのくらい受けたいのかも「どのホームに入居するか」の基準となります。

グループホームでは機能訓練指導員を配置する義務は無く、運動でいえば散歩や体操をしている施設が多いようです。

家事や作業を通じて症状の進行をゆるやかにしていく、できることを継続していくことがリハビリともいえます。

介護付き有料老人ホームは機能訓練指導員の配置義務があり、PT(理学療法士)、OT(作業療法士)、ST(言語聴覚士)など専門職がリハビリにあたります。

機能訓練室や居室で個別リハビリを週1~2回おこなったり、集団体操、ラジオ体操などもおこないます。

施設によっては充実した筋力トレーニングマシンを揃えているので、しっかり運動したい方は設備面も見てみると良いでしょう。

住宅型有料老人ホームは機能訓練指導員がいる施設といない施設があるので、外部の訪問リハビリや通所リハビリを利用するのがおすすめです。

認知症ケア

グループホームは認知症ケアに特化した施設で、家事やレクリエーション、色々な作業をすることで認知症の進行を遅らせる・認知症であっても穏やかに暮らせるようアプローチをします。

少人数の共同生活であるのもメリットで、慣れた場所、顔なじみの関係が安心感を生みます。

また、地域活動も視野に入れているホームが多いので、清掃活動や地域の行事などに参加することで社会性も保たれます。

介護付き有料老人ホームも認知症ケアをおこなっていますが、スタッフが必ずしも「認知症ケアの専門家」で無い場合もあります。

認知症を患っている方、そうでない方が同じ建物に住んでいて(症状によりフロア分けしている施設もあり)、大人数の環境が本人に合っているかも検討材料です。

認知症に対してどのくらいのケアができるかはリサーチの段階で確認すると良いでしょう。

住宅型有料老人ホームは認知症に特化している施設ではなく、症状が重度化すると退去になる可能性もあります。

どのくらいの症状までなら入居が続けられるかは知っておく必要があります。

個別対応

個別対応の内容により、ホームがどこまで対応できるかは変わってきます。

たとえばケア的なことでいえば、以下のようなイメージです。

  • グループホームは個々の認知症状について対応。少人数なので個別対応しやすい
  • 介護付き有料老人ホームは身体介護(食事、排せつ、入浴など)を個々に応じて対応
  • 住宅型有料老人ホームはおもに生活の困りごとについて相談対応

ケア以外でよくある「個別対応への希望」を挙げると

  • 買い物や外出に付き添ってほしい
  • 1人で外出するのを認めてほしい
  • タバコやお酒を楽しみたい など

グループホーム、介護付き有料老人ホームは1人外出が認められない場合が多く、家族などと一緒であれば可能であるのが一般的です。

その点、住宅型有料老人ホームはやや自由度が高いかもしれません。

また、自費であれば施設内外の「外出付き添いサービス」を利用できる場合もあります。

どこまで個別対応してくれるかはホームのコンセプトや人員などによって違いますので、見学時などに相談するとトラブルが防げます。

生活の自由度

グループホームは家庭的な環境のなかで暮らすことから、生活の自由度は比較的高いといえます。

食事など1日のスケジュールをきっちり決めるよりは入居者のペースに合わせながらレクリエーションや作業の時間を決めている施設が多いでしょう。

認知症状によっては、安全を確保する意味でもスタッフのサポート量が増え、まったく自由にするという状況がつくれない場合もあります。

介護付き有料老人ホームはある程度1日のスケジュールが決まっていて、食事・入浴・レクリエーション・機能訓練などは施設で定められた時間があります。

また、危険防止のため入居者1人だけの外出を禁止しているところも多く、自由度は少し制限されているといえます。

その点、住宅型有料老人ホームは食事や外出をほぼ自分のペースですることができ、自由度は高いでしょう。

費用の違い

ホームに入居する時と、月額でかかる費用について説明します。

ホームの種類によって費用が変わってくるのは提供されるサービス内容、施設の立地や規模などによるからです。

それぞれの費用内訳を知ることで、コスト面のイメージがつきます。

グループホームの費用

グループホームの「初期費用」と「月額費用」目安については表のとおりです。

項目費用目安など
初期費用(入居金など)0~100万円
月額総費用15~30万円
生活費(家賃、食費、光熱費、共益費など)15~20万円
介護サービス費(所得により1~3割負担)2~3万円
その他実費でかかる可能性のあるものオムツ代、医療費、薬代、理美容代、消耗品、レク材料費など

初期費用については「入居一時金」または「保証金」を払うことになります。

入居一時金はホームの居室や設備を使用する権利を得るための費用で、3~10年以内で償却するものです。

施設が規定する期間内に退去した場合、返金されるシステムもあります。

保証金は「退去時のクリーニング、修繕代」や「家賃滞納分の支払い」に充てられます。

また、介護サービス費はホームのスタッフにより提供される認知症ケア、介助などにかかる費用です。

介護度により定額設定になっており、所得に応じて1~3割を負担します。

費用については地域差があるため、都心部では高く、地方では金額的に低い傾向があります。

有料老人ホームの費用

介護付き有料老人ホーム、住宅型有料老人ホームともにかかる費用としては以下のとおりです。

・入居一時金

「前払い家賃」のこと。想定する入居期間に発生する家賃を一括または一部のみ支払う。

介護付き有料老人ホームの多くは3~10年ほどで一時金を償却していくパターンであり、償却期間内に退去または死亡した場合は施設が定めた金額が返金されます。

住宅型有料老人ホームでは月額払い制もあり、通常のマンションなどと同じように家賃を毎月支払います。

・月額利用料

月々のランニングコストでかかる費用の内訳は表のとおりです。

項目内容
居住費(家賃)居住エリア、間取り、居室広さにより金額はことなる
管理費共用設備、水道光熱費、人件費など
食費入居者の食事、おやつ、飲み物など
介護サービス費介護付き:要介護度と、介護負担割合(1~3割)によって金額が決まる。
サービスの量に関係なく定額。
住宅型:外部のサービス事業者に依頼した分だけ支払う。
医療費往診、外部受診、薬代など
日用品個人で使う消耗品など
その他実費オムツ代、理美容代、レクリエーション費、サークル活動費、外食費など

費用については施設の場所、人員、サービス内容の充実度などによって変わってきます。

民間が経営していて金額設定もまちまちですが、相場は表のとおりです。

施設種別入居時費用目安月額利用料目安
介護付き有料老人ホーム0~数千万円20~50万円
住宅型有料老人ホーム0~数百万円10~40万円

介護付き有料老人ホームは介護、看護の専門スタッフを多く配置していることもあり、高額なところが多いようです。

費用を支払えなくなると退去要件になってしまうので、慎重に検討しましょう。

メリットとデメリット

施設の種類によって、メリットとデメリットがあり、それを知ることで入居したあとの暮らし方がイメージできます。

「どちらかというとメリットが大きい」施設を選ぶことが、快適な暮らしにつながるポイントです。

グループホームのメリットとデメリット

メリットデメリット
認知症ケアに特化している認知症の診断がないと入居できない
アットホームな雰囲気で暮らせる医療的ケアに対応できない場合がある
入居者、スタッフと密な交流ができる少人数制のため、空きが少ない
地域との交流が保てる施設がある地域に住んでいる必要がある

グループホームの最大のメリットは「専門的な認知症ケアを受け、穏やかに過ごすことができる」ことです。

認知症の進行をなるべく遅らせ、自尊心を失わずに過ごすための工夫をスタッフがサポートします。

ただ「認知症の診断が必要」「要支援2以上」「施設がある地域の住民票が必要」などの入居条件がネックになる場合もあります。

また、看護師の配置義務がないために重度の医療的ケアに対応できない場合があり、そのときは入院または対応可能な施設へ転居するケースもあります。

有料老人ホームのメリットとデメリット

【 介護付き有料老人ホーム 】

メリットデメリット
24時間、介護サービスが受けられる費用が高額
重度の医療的ケアや看取りに対応できる生活の自由度が下がる場合がある
専門スタッフのリハビリが受けられる社会的なつながりが減る
施設数が多く、早く入居しやすい個別の対応がしづらい

介護付き有料老人ホームは、介護、看護、リハビリなどのスタッフを配置する義務があります。

介護スタッフは24時間常駐し、身体介護や掃除、洗濯などの生活支援を受けることができます。

重度の医療的ケアに対しても往診医、協力医療機関のサポートもあり対応でき、多くの施設が看取りケアをおこなっています。

ただ、入居一時金や月額費用が高額であることはデメリットといえるでしょう。

安全面の確保から、1人で外出することができなかったり、入居者が多くいるために個別対応に応えづらい面もあります。

【 住宅型有料老人ホーム 】

メリットデメリット
自分のペースで生活できる介護、看護サービスは外部と契約
孤立感が減る認知症ケア、医療的ケアの対応に限界あり
活動プログラムが豊富費用がかさむ場合がある
プライバシーが保たれやすい介護のニーズによっては退去の可能性も

住宅型有料老人ホームは比較的お元気な方が入居され、自分のペースを守りながらも必要な生活支援(掃除、洗濯、食事など)、安否確認などを受けられます。

レクリエーションやサークル活動などのプログラムも豊富な場合が多く、他の入居者やスタッフとの交流で孤立感が減ります。

ただ、介護や看護サービスが必要なときは施設外の事業者と別途契約が必要であり、サービスの量によっては費用がかさむこともあります。

また、介護付き有料老人ホームと比べて介護・看護スタッフの人員が少ない場合があり、認知症ケアや医療的ケアに不足があるかもしれません。

介護が重度になり施設では対応できなくなると、退去する可能性も出てきます。

【まとめ】有料老人ホームとグループホームのどちらを選ぶべきか

結論として、どんなホームを選ぶのが良いのか?についてまとめていきます。

  • どんなケアが必要か
  • どんなサービスを受けたいか
  • 費用面で折り合いがつくか

大まかにいうと上記のポイントで選んでいきますが、ホームの種類によって選択肢が変わってきます。

身体状況に合わせた選択を

身体状況に合わせて、どんなホームを選ぶかも重要です。

たとえば同じ認知症でも、身体がわりあい元気であればグループホームを選び、症状が進行して身体介護(食事、排せつ、入浴、移動など)が必要であれば介護付き有料老人ホームを選ぶなど変わってきます。

(グループホームでも看取りまで対応する施設もあります)

住宅型有料老人ホームは外部の介護サービスを利用することができますが、身の回りのことが1人でできないくらいの身体状況であれば、常時介護を受けられるホームの方が適しています。

グループホーム:認知症の専門的なケアを受けたい方向け

グループホームは少人数のアットホームな環境で、認知症ケアの専門家によるサポートを受けることができます。

家事や作業、レクリエーションを通じて認知症の進行を遅らせたり、進行したとしても顔なじみの関係のなかで穏やかに過ごせるよう配慮されます。

また、地域の行事などへの参加もあるために社会性が保たれ、特に古くからその地域に住んでいる方は人間関係を継続していくことで精神的な安心感も得られます。

住宅型有料老人ホーム:必要に応じてサービスを受けたい方向け

住宅型有料老人ホームは、自立~軽度要介護の方に向いている施設です。

自分のペースで過ごすことができ、生活支援(掃除や洗濯、食事など)を受けられます。

介護、看護サービスについては施設外部の事業者と契約するスタイルで、自分に合ったサービスと頻度で組み合わせるのが特徴です。

また、レクリエーションやイベント、サークル活動が豊富に取り揃えられているホームも多く、コミュニティがつくれるので孤立感も減ります。

介護付き有料老人ホーム:手厚い介護・医療体制を求めている方向け

介護付き有料老人ホームは24時間の介護サービスが受けられます。

また、往診医、協力医療機関がホームの看護師と連携しているため、日々の医療行為をおこない、介護度が重度になっても対応することができます。

ガン末期など、看取りケアをしている施設も多く、最期まで暮らせるのもメリットです。

理学療法士などリハビリの専門家がおこなう個別・集団での訓練も受けられるので、骨折などで入院していた方がリハビリ継続のために入居するパターンもあります。

手厚い介護・医療体制を求めている方におすすめの施設です。

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著者プロフィール

笠井直歩(介護支援専門員、介護福祉士、介護予防運動指導員)
笠井直歩(介護支援専門員、介護福祉士、介護予防運動指導員)
2000年から介護の仕事を始め、訪問介護、デイサービス、有料老人ホーム、小規模多機能を経て現在は居宅介護支援事業所でケアマネジャー。 祖父母の在宅介護、海外の老人ホームボランティア、福祉系のNPO法人立ち上げ(今は代表を譲渡)を経験。

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