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便秘でお悩みの方へ、便秘の治し方とは?便秘解消法を紹介

2024年9月16日
東海林 さおり(看護師)
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便秘とは

「便秘」というのは普段から聞き馴染みのある言葉ですが、病気として認識している方は少ないのかもしれません。「便秘」とは、便が出づらい、便が溜まってしまう。というイメージで広く認知されています。では、実際には「便秘」の医学的定義はどのようになっているのでしょう。「本来体外に排出すべき糞便を充分良かつ快適に排出できない状態」これが、医学的定義に基づく「便秘」です。つまり、「便秘」というのは症状を指すのではなく、「状態」を指しているということになります。排便回数が少ない、大腸や直腸に便が滞っている状態、快適に便を排出できていない、これらの状態が続くことを「便秘症」と呼びます。

では、便秘症で何らかの処置、治療が必要な状態というのはどのような症状があげられるのでしょう。

  • 排便回数の減少
  • 硬便
  • 便排出障害

さらに、前述した通り、「便秘」というのは状態のことを指すため、個人差があります。排便量、排便回数などによって具体的にどれくらいの量で、どれくらいの回数で便秘ということは決められません。食事量や体格などによってもそれぞれですし、快適に排出されているかというのは個人差があるからです。

便秘の原因とは

便秘には器質性便秘と機能性便秘があり、多くの方が生活習慣や運動機能による機能性便秘になります。一概に便秘と言っても、原因は何なのかは人それぞれです。まずは、自分がどのようなタイプの便秘なのかを把握する必要があり、知ることで解決に向けて対策ができます。

けいれん性便秘

機能性便秘の一つで、ストレスが原因で起こる便秘です。特徴としては腸の蠕動運動が敏感になるため、便が細かく、平べったい便が出たり、下痢や便秘を繰り返えしたりする特徴があります。

弛緩性便秘

弛緩性便秘は筋力の低下により蠕動運動が正常に働かないことが原因で起こる便秘です。腸内に便が溜まりやすいことから、蓄積した便からガスが出てお腹が張るという特徴もあります。

直腸性便秘

大腸の最終的な部分から便を溜めておく直腸の部分に便が溜まってしまう便秘です。直腸に溜まると便が溜まったという信号を脳が察知し便意を感じるのですが、我慢してしたり、タイミングを逃したりすることで反射機能が低下し直腸に便が溜まった状態になってしまいます。溜まった便からどんどん水分が抜けていくため、便自体が硬くなり、出すことが困難になるのが特徴です。

その他にも、一時的な慢性的ではなく一時的なストレスによって便秘という状態になる等、生活習慣を変えてみても変化がない場合は病気が原因で便秘になっている可能性もあります。

便秘によっておこるトラブル

便秘になると体に様々なトラブルが発生します。逆に、こんなトラブルが起きたら便秘が原因かもしれないということになります。

便秘の中でも最も多いトラブルが痔です。便秘によって便が硬くなり、座って強くいきむことで切れ痔になりやすいので注意が必要です。

イライラ

腸が健康に動いていることは精神的な健康に直結します。便が腸内に溜まっている不快感が日常の不快感にもつながり、イライラしやすくなったり、気持ちが不安定になったりします。便が出ないことで、それがまたストレスになり悪循環を引き起こします。

肌荒れ

腸内に溜まった便から悪玉菌が増殖し、ガスが溜まります。これがリンパを伝って体内に流れていくため、肌荒れや吹き出物といった症状で肌に出ることがあります。逆に肌荒れに悩んでいる人は腸内環境を整えるのが有効な手段になるかもしれません。

疲労感

腸内に便が溜まっていると、気持ち悪くついゴロゴロしたり、体を休めたりしてしまいがちです。長期間続くことで運動不足になり、便秘の悪循環に陥ることがあります。腸の状態が悪いことで疲れやすくなることも事実です。

食欲低下

腸内に便が溜まっているとそこから出たガスでお腹が張ります。腸の動きが悪くなることで胃の働きも低下し食欲も落ちてきます。

便秘解消方法・予防方法 

便秘予防や解消にはどのような手段があるのか解説していきます。ここでは機能性便秘にフォーカスしてどのような方法が良いのかをご紹介します。基本的には規則正しく健康を意識した生活をすることで解消しますので難しいことではありません。

乳酸菌・食物繊維を摂る

便秘解消には乳酸菌がいい!食物繊維豊富な野菜を摂るのがいい!といった情報は耳にしたことがあるかと思います。しかし、乳酸菌や食物繊維なら何でもいいというわけではありません。乳酸菌には動物性乳酸菌と植物性乳酸菌があり、動物性乳酸菌というのは、主に牛乳に含まれる成分を餌にして育った乳酸菌です。つまり、腸内に動物性乳酸菌がいても餌となる牛乳などを摂り続けないと死んでしまいます。また、動物性乳酸菌は胃酸に弱いため腸にたどり着くまでに死んでしまう可能性があります。それに引き換え、植物性乳酸菌は塩分が高い環境や、栄養が少ない環境でも生き残れるアスリートのような乳酸菌です。過酷な環境でも耐えられるため、腸内での生存率も高いため植物性乳酸菌を推奨されています。植物性乳酸菌を多く含む食品として漬物やキムチ、塩麴、味噌などが挙げられます。食物繊維には水溶性食物繊維と不溶性食物繊維に分けられます。それぞれの特徴を比較してみましょう。

水溶性食物繊維

  • 水に溶けると粘度が増す
  • 胃にとどまる時間が長い
  • 消化吸収スピードを遅らせる
  • 脂肪や糖分の吸収を穏やかにする
  • 血糖値の上昇を抑える
  • 腸内の善玉菌を増やす
  • 腸内環境を整える

不溶性食物繊維

  • 水分を吸着することで膨らむ
  • 腸の蠕動運動を促す
  • 有害物質を体外に排除する
  • 大腸がん予防に効果がある

どちらも便秘予防には良いのは間違いありません。それでも水溶性食物繊維がいいのは不足しがちだからです。不溶性食物繊維は多くの野菜に含まれるため比較的不足することがありません。実際には水溶性食物繊維をたくさん摂る、というより、共にバランスよく摂ることが良いでしょう。また、不溶性食物繊維は腸の蠕動運動を促すことからけいれん性便秘の方には逆効果になる可能性があるため、けいれん性便秘の方は注意が必要です。水溶性食物繊維が多く含まれる食材として、こんにゃく、海藻、熱した果物、イモなどが挙げられます。

適度な運動を行う

便秘解消のために運動を取り入れるのは大変有効な手段です。排便を促すために大切なのは腸を動かす蠕動運動と腹圧です。これらが弱いことによって排便できない便秘の方は多くいます。体を動かすことで物理的に腸を動かすことや、筋力をつけることで腹圧をしっかりかけられる体にすることでスムーズな排便を促すことができます。では、どのような運動をすればいいのかをご紹介します。

バタ足

うつ伏せで寝て、両腕は額の下に置き、足を伸ばしてゆっくりとバタ足をします。

両足上げ

仰向けに寝て、両手を首の後ろで組み、上半身を起こします。つま先を見えるようになったら30秒静止します。これを5~10回繰り返します。

腰ひねり

肩幅に足を開き、力を抜いて腰を左右にゆっくり捻ります。腰を捻る動作は腹筋に効いたり、腸を刺激したりと排便を促す効果が期待できます。

便意を我慢しない

便は肛門の手前の直腸まで到達すると便を溜めて、知覚神経が刺激されることによって便意が起こります。その便意の我慢を繰り返すことで、知覚神経の刺激に対する感受性が低下してしまいます。これを直腸性便秘といいます。しかし、どうしてもトイレに行けない時や、我慢しなくてはいけない時はあるわけです。もちろん我慢しないのが一番ですが、排便のペースをコントロールするのも一つの手段です。皆さんは朝トイレに座る習慣がありますか?便意を感じたらすぐにトイレに行っていますか?普段から便意を感じたらすぐにトイレに行くことはもちろん、骨盤底筋を緩めるというのも一つの方法なので是非試してみてください。

水分補給をしっかり行う

便秘解消に水分は必要不可欠です。便に含まれる水分量が少ないと便が硬くなりスムーズに直腸まで送られずに滞ってしまいます。では、水分はどれくらい飲むのが良いのでしょうか。1日の水分摂取量の目安は2リットルです。やや多いように感じますが、小腸から大腸に入ってくる水分が1日7リットルで、飲食分が2リットルの9リットルです。これだけ入ってきても、便と共に出ていく水分はわずか200mlです。口から入る水分が減ることで便に含まれる水分は必然的に減ってきます。その結果便が硬くなりスムーズな排便ができない状態に陥ります。

生活リズムを整える

規則正しい生活と腸の動きは直結しています。なぜなら、私たちの体の機能は自律神経で調整されているからです。日中の仕事や学校など活発に動いている時間は交感神経が優位に働きます。その逆で睡眠中などの副交感神経が活発に動いている時間に腸は働きます。睡眠中は腸の活動時間、つまり便をスムーズに排出するための準備をする時間になります。そして、翌朝の蠕動運動に備えます。睡眠中にしっかりと腸が便を作っていない状態で朝の蠕動運動を迎えると準備不足でスムーズに排便に至れないということになります。

ゆったりと過ごせる環境づくりを目指そう 

便秘は想像以上に私たちの生活に支障をきたします。大きな病気ではないからといっておろそかにしていませんか。規則正しい生活と、食習慣、運動習慣で健康的な腸活を心がけましょう。

著者プロフィール

東海林 さおり(看護師)
東海林 さおり(看護師)
看護師資格修得後、病棟勤務・透析クリニック・精神科で『患者さん一人ひとりに寄り添う看護』の実践を心掛けてきた。また看護師長の経験を活かし現在はナーススーパーバイザーとして看護師からの相談や調整などの看護管理に取り組んでいる。

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