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自助具等生活支援用具とは、片麻痺などの後遺障害やリウマチによる関節拘縮などさまざまな障害により、食事や更衣などの日常生活に必要な動作に支障をきたしている人が、可能な動作で容易に行えるよう工夫や改良された道具です。利用者に合った自助具を適切に使用することで、障害によって失った食べることや着替えること、歯を磨くことや歩くことなどが自身でできるようになるとともに、身体への負担と家族の介護負担の軽減にもつながります。
自助具等生活支援用具の種類には、食事をはじめ整容や身だしなみ、更衣や排泄、入浴やコミュニケーションなどに関するものがあります。こちらでは、福祉用具をレンタルする前に知っておきたい自助具等生活支援用具の中でも、主に食事や更衣、整容や身だしなみに関する自助具をご紹介します。
食事関係の自助具には、お箸をはじめスプーンやフォーク、お皿やコップなどがあります。手を上手に動かすことができない人は、食事がストレスに感じて、食欲もなくなってしまうことがあります。食事用の自助具を使うことで、食生活が改善されることもあるので、使用する人は合った重さやサイズを確認し、使いやすい自助具を選ぶことが重要です。
自助具のお箸には、持ち手の末端にグリップが付いて、そのグリップを持ちやすい位置や角度に自由に設定できるもの、右手でも左手でも使用できるもの、力を入れず軽く握るだけで、細かいものを簡単に挟んで取ることができるものなどがあります。また、自助具のスプーンやフォークには、持ち手が長く軽量で、お箸に近い感覚で使用できるもの、グリップの部分に75℃以上のお湯で温めるとゴムのように柔らかくなる素材を使用し、使用する人の手に合わせて変形できるもの、持ち手にクッション材を使用し、握りやすく滑り止めがついたもの、グリップが波状で、鉛筆を持つように親指や人差し指、中指を使って食事ができるものなどがあります。手に麻痺が残った人をはじめリウマチや神経変性疾患、脊髄損傷などの疾患がある人にはとても便利です。その他、手指の細かい動きが困難であったり、関節が変形し力が入りにくかったりする人にもおすすめです。
自助具のお皿には、コーナーが丸く、返しのついたもの、最後まで残さずにすくうことができるよう、仕切りの一つひとつの内側に反りが付いているもの、料理をこぼさず楽にすくえるよう、器の片側が内側に丸く彎曲したものなどがあります。また、自助具のコップには、握る動作が不要で、手を差し込むだけで持ち上げができるもの、握力の弱い人でも持てるよう、コップに手がかりが付いているもの、滑りにくい形の取っ手がコップの両方に付いているもの、頭を後ろに反らすことなく楽な姿勢で飲むことができるよう、コップの内側に傾斜を付けたものなどがあります。指先の細かい動きやお皿を押さえるのが難しい人にはとても便利です。
生活便利用品の自助具には、ボタンエイドをはじめソックスエイドやリーチャーなどがあります。
ボタンエイドとは、ボタンを留めるために使用する自助具です。ボタンエイドの先端部分を、洋服に付いているボタンの穴へ差し込みボタンにかけます。あとはボタンエイドを引っ張ることで、ボタンを留めることができます。リウマチや脳性麻痺などで手指の細かい動きが難しい人指先の握り持つ力が低下している人、頻繁にTシャツを着る必要がある人にはとても便利です。
ソックスエイドとは、靴下を履くために使用する自助具です。ソックスエイドに靴下を履かせておき、身体をかがめずに足先を靴下に差し込んだ後、ソックスエイドを引き抜くだけで、靴下を履くことができます。麻痺や関節の痛みで足元へ手が届かない人をはじめ、股や膝の関節を一定以上に曲げてはいけない人、リウマチや関節炎、四肢の拘縮などで靴下を履くのが難しい人にはとても便利です。
リーチャーとは、手が届かない場所のものを取ったりカーテンの開閉に使用する自助具です。リーチャーの先端に付いているマジックハンドやフックで、物を取ったり拾ったりできます。先天性短小や上肢麻痺などで手を伸ばしにくい人、肩関節の動きが自由にならない人、車椅子を使用している人にはとても便利です。
口腔ケアの自助具とは、口の中を清潔に保ち、虫歯や歯周病、口臭の予防や誤嚥性肺炎の予防するためのものです。棒の先端に付いている小さなスポンジで、唇やあごと歯茎の間などの粘膜の汚れをこすり取る口腔ケアブラシ、拭き取ることで口の中をケアする口腔用ウェットティッシュ、握りやすい持ち手で、入れ歯の汚れを効率的に落とす入れ歯専用歯ブラシなどがあります。手首の動きに制限がある人、リウマチなどで歯ブラシを握るのが難しい人にはとても便利です。
シューズの自助具とは、屋内や屋外で安全に歩行するためのものです。つま先の形状に合わせて先端が丸くカーブしたもの、甲の高さに合わせて調整できるもの、紐を調整しておき、ファスナーで脱ぎ履きを容易にできるものなどがあり、使用する人の身体状況や場所に合わせて選べます。加齢によって身体機能が低下している人、筋力の衰えや関節のゆがみによりスムーズな歩行が難しい人、身体に麻痺がある人や装具を装着している人、傷病などでリハビリが必要な人にはとても便利です。
福祉用具をレンタルする前に知っておきたい自助具等生活支援用具をご紹介しました。今回ご紹介した食事関係や生活便利用品、口腔ケアやシューズなどは、人間が元気で毎日を過ごすために欠かすことのできないものばかりです。また、加齢や疾病により身体を自由に動かすことができなくても、できるだけ身の回りのことは自分で行いたいと思う高齢者はとても多いです。使用する人の身体状況や利便性に配慮した自助具を取り入れることで、自身でできることが広がるとともに、身体への負担と家族の介護負担も軽減できますので、自助具を上手に活用しましょう。
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