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夏になると暑さで体がヘトヘトになりがちですが、あまりに熱いと熱中症になってしまう場合があります。夏になると、高齢のご家族が熱中症にならないか不安になる方もいらっしゃるのではないでしょうか。本記事では、高齢者に起きやすい熱中症の原因や症状、対策方法について解説していきます。ご家族の熱中症に関して不安がある方は、本記事をお読みいただければと思います。
目次
高齢者は若年者と比較して身体の調節能力が低下しており、熱中症になりやすいです。具体的な原因としては、以下3つが挙げられます。
それぞれについて、具体的に説明していきます。
高齢者が熱中症になりやすい原因として、体内の水分が不足しやすい点が挙げられます。体温が上昇すると、汗による気化熱で体温を調節する仕組みがありますが、汗を十分にかくには体内の水分が必要です。高齢者の場合、成人と比べて体内の水分量がもともと少なく、また加齢による腎機能低下から、水分量の調節能力が低下しています。そのため、体内の水分が不足しやすく、汗による体温調節が十分に働かない場合があります。
また、高齢者は暑さや喉の渇き等の感覚機能が低下している点も原因として挙げられます。高齢になると、一般的に皮膚にある温度感覚の機能が低下して、暑さを感じにくくなります。また、脳に存在する口渇中枢という部分の機能も低下することで、喉の渇きも感じにくくなるため、成人と比べて水分摂取をする機会が減ってしまいます。暑いにも関わらず水分摂取をする機会が少なくなるため、脱水状態になりやすくなり、結果として熱中症にもなりやすくなります。
高齢者は身体の熱を外に逃がす調節機能が低下していることも原因の一つです。高齢になると汗を分泌する汗腺の量が減少するため、成人と比べて発汗時の汗の量が減少しており、これにより身体の熱を外へ逃がしにくくなります。また、暑さを感じにくくなっていることで発汗自体も起きにくくなっており、この点からも身体の熱がこもりやすくなっています。
熱中症の症状や特徴について説明します。熱中症とは、高温多湿な環境により体内に熱がこもることで、電解質バランスや体内の水分が減少したり、身体の様々な臓器に障害をきたしたりする疾患です。炎天下の夏場に起こりやすいのが特徴であり、日中の屋外のみでなく、室内や夜間帯に起きることもあります。
症状に応じてⅠ度(軽症)、Ⅱ度(中等症)、Ⅲ度(重症)に分類されます。軽症では立ちくらみや筋肉のこむらがえりが出現し、中等症では頭痛、吐き気、倦怠感などが出現します。重症化すると意識障害やけいれんが起きることもあり、大変怖い病気です。
高齢者の熱中症対策について説明します。基本的な対策としては、暑さをできるだけ避け、こまめに水分補給を行うことが挙げられます。この点を踏まえ、以下4つについて具体的に説明していきます。
熱中症対策では可能な限り、室内の温度が高くならないような工夫をしましょう。具体的には、以下のような工夫をすると良いでしょう。
窓を開けてカーテンを閉めるなど、風は入れても直接日光は入れない工夫をしましょう。
室内であっても、真夏日は温度が高くなりがちです。自宅に扇風機やエアコンがあるご家庭は、積極的に活用して室内の温度を調節するのが良いでしょう。
自宅に温度計がある方は、室内の温度を定期的に測定し、温度上昇が目立つようであれば積極的に扇風機やエアコンを利用しましょう。
屋外での熱中症対策としては、下記のものが挙げられます。
直射日光を浴びると、体温が高くなりがちです。日傘や帽子で直射日光をなるべく浴びないようにしましょう。
長時間直射日光を浴びると、体内に熱がこもって熱中症のリスクが高まります。こまめに日陰で休憩し、体温が上がりすぎないようにしましょう。
外出前に天気予報を確認し、気温が高かったり晴れていたりする日は、外出時間が短くなるように工夫しましょう。
お風呂での熱中症対策としては、下記のものが挙げられます。
熱いお風呂が好きな方もいらっしゃるかと思いますが、お風呂の温度が高いと、身体に熱がこもりやすくなり、熱中症のリスクとなります。お風呂の温度は39~40℃くらいに設定しておくと良いでしょう。
入浴時間が長いと、体温が上昇しやすくなります。入浴時間は10分程度を目安にしましょう。
入浴時には多量の汗が出るため、脱水状態で入浴すると汗が十分に出ず、熱中症のリスクが高まります。入浴前にしっかり水分補給をしておきましょう。
就寝時の熱中症対策としては、下記のものが挙げられます。
日差しのない夜間であっても、気温が高いと身体に熱がこもりやすくなります。汗を吸いやすく、また乾きやすい衣類にして汗の気化熱が活かせるようにしておきましょう。
就寝時にも発汗は起きており、脱水に近い状態で就寝すると汗が十分に出ず、熱中症のリスクが高まります。入浴前や就寝前にコップ1杯程度の水を飲んでおくと良いでしょう。
気温が高い日は、エアコンで室内の温度を調節しておくと良いでしょう。室内の温度が28℃となるように、就寝中にエアコンを使用しておくことをおすすめします。
高齢者の場合、室内や野外において、何度から熱中症の危険が高まるのでしょうか?
熱中症の危険度を表す指標として暑さ指数(WBGT)というものがありますが、これに照らし合わせると温度は28℃、湿度は75%を超えると熱中症の危険性が高まります。
一般社団法人日本熱中症協会.「暑さ指数とは、暑さ指数の見方」.https://jha.eek.jp/heatstroke/wbgt01,(参照 2023-06-08)
体温が上がっている、立ちくらみがするなど熱中症の疑いがある症状が見られるときは、どのような対応をすることができるのでしょうか。周囲の呼びかけに反応がある場合と、反応がない場合に分けて見ていきましょう。
呼びかけに反応がある場合は、すぐに涼しい部屋に移動させましょう。屋外にいる場合は、風がよく通る日陰に移動しましょう。
上昇した体温を下げ、体内の熱を放出するために、以下のことを実施しましょう。
失われた水分を補給する必要がありますが、脱水症状が起こっている場合、水分補給をすることで発汗量が増え、さらに脱水症状が深刻になることがあります。水やお茶などではなく、塩分やミネラルも補える経口補水液を摂取しましょう。吐き気が強い・嘔吐した際は、無理に口から水分やミネラルを補給することは控えます。
さらに嘔吐を誘発することもありますので、医療機関を受診し、点滴などで水分を体内に摂取するようにしましょう。また、体温を下げるための処置をしたにも関わらず症状が改善しない場合も、すぐに医療機関を受診する必要があります。
呼びかけても反応がない場合は、意識障害が起こっていると考えられます。熱中症の重症度も重度だと判断できますので、すぐに救急車を呼び、医療機関を受診するようにしましょう。
熱中症の主な後遺症としては、中枢神経障害や肝障害、腎障害が挙げられます。熱中症により体温が著しく上昇し、また脱水症状により血液の循環が悪くなることで、これらの後遺症が生じます。
中枢神経障害が起きると、記憶力の障害や体幹のふらつき、舌がもつれる、意識障害などが生じます。肝障害では、重症化すると身体が黄色くなったり(黄疸)、血が止まりにくくなったり(血液凝固異常)します。腎障害の場合、尿量の調節ができなくなったり、重症化すると血液透析が必要になったりします。
高齢者は若年者よりもエアコンをつけない傾向があります。主な理由として、「体が冷えることを好まない」「節電のため」「暑さを感じていない」ことが挙げられます。
高齢者は若年者と比較して代謝が低下しており、また血行も悪くなりがちのため、体が冷えやすくなっています。そのため、冷房で身体が冷えるのを避ける傾向にあります。電気代節約のために、冷房をつけないという方も多くいらっしゃいます。また先に述べたように、高齢者は暑さや喉の渇き等の感覚機能が低下しており、暑さを感じにくくなっています。そのため、室内の温度が高くてもエアコンをつけようという意識が芽生えにくいのです。
高齢者の熱中症は夏場だけではなく、冬にも起きることがあります。
冬になると湿度が低下して外気が乾燥気味になり、また室内の暖房等で身体の水分が失われやすい状態となっているため、汗をかきにくくなっています。そのため、高齢者は、体温が上昇しても発汗が十分にできず、熱中症になりやすいのです。
また高齢者の場合、身体の水分が失われやすい冬の環境に加え、喉の渇きの感覚も低下しているため、冬でも脱水症のリスクが十分にあります。
独居している高齢の親を心配しながら、暑い季節を迎えるのは本当に不安なことですよね。特に、熱中症のリスクが高まるこの時期、親御さんが適切なケアを受けられているかどうか、気になって仕方がないことでしょう。離れて暮らしていると、その不安は一層大きくなるものです。
どんなに注意を払っても、自宅での見守りには限界があると感じることがあるかもしれません。そんな時、親御さんのためにできる最善の選択肢を考えるのは、とても大切なことです。老人ホームは、専門スタッフが24時間体制で親御さんを見守り、安心して過ごせる環境を提供してくれます。
あなたが無理をせず、親御さんと共に過ごす時間をもっと穏やかで充実したものにするために、老人ホームという選択肢を考えてみるのはいかがでしょうか。親御さんの健康を守ると同時に、あなた自身の心の負担も軽くすることができるでしょう。あなたと親御さんの未来のために、どうか一人で悩まず、適切なサポートを受ける方法を前向きに検討してみてください。
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