静岡県の老人ホーム・介護施設情報サイト

まずはお気軽にお電話下さい!
ホーム >  介護お役立ち情報 >  介護用品 > 介護保険でレンタルできる移動用リフトの種類や選び方

介護お役立ち情報

介護保険でレンタルできる移動用リフトの種類や選び方

2024年8月10日
増田 高茂(社会保険労務士 介護支援専門員 介護福祉士 第二種衛生管理者)
カテゴリー:
介護お役立ち情報

移動用リフトは、介護保険でレンタルすることができます。こちらの記事では、介護保険でレンタルできる移動用リフトの種類や選び方、注意点について紹介します。移動用リフトを導入すれば、利用者や要介護者の安全を確保でき、スムーズな移動もサポートできます。

移動用リフトはどんな状態のときに使うべきか

移動用リフトとは、介護保険でレンタルすることができる、高齢者や要介護者などを移乗させるための福祉用具です。

たとえば、高齢者をベッドから車椅子に乗せるとき、車椅子からベッドへ移すときなどに移動用リフトは使用されます。高齢者や要介護者の中には、自分の意思で思うように体を動かせない方もいます。このような方のために、移動用リフトが用いられるのです。また、人の体を動かすときには大変な労力が必要であるため、介護者の体にも大きな負担がかかります。それを軽減する目的でも、移動用リフトが使用されます。

移動用リフトはどんな悩みを解決することができるのか

利用者の安全性を確保できる

ベッドで寝ている方や上半身を起こしている方を車椅子に移す作業は、大変な労力を要します。慣れていない方が行うと、利用者と一緒に転倒する危険性があります。また、体を無理にねじったり、膝や腰に負担をかけたりする可能性もあり、様々なリスクが伴います。しかし、移動用リフトを使用すれば、高齢者や要介護者の体を吊り上げることができるため、介護者の筋力は必要ありません。これによりスムーズな移乗が可能となり、介護者と利用者の両者にとって身体的な負担を軽減できます。その結果、利用者の安全も確保されます。

スムーズな移動をサポート

たとえば、利用者や要介護者がトイレに行きたいときは、できるだけ迅速に車椅子に移乗させる必要があります。移動用リフトを使わないと、時間がかかりすぎてトイレに間に合わない可能性があります。ベッドで寝ている方や上半身を起こしている方を車椅子に移動させるには、知識と技術が求められます。介護職の方なら対応できるかもしれませんが、そうでない方にはスムーズな移乗が難しく、利用者にストレスを与えてしまうこともあるでしょう。移動用リフトがあれば、こうした問題を避けることができます。

介護者の負担を軽減

介護者が介護中にぎっくり腰を発症した、とのケースは少なくありません。何十キロもある人の体を動かすのは、それだけ腰や膝などに負担がかかります。ぎっくり腰でなくても、足腰を傷めてしまうと、それ以降介助はもちろん、仕事や私生活にも影響をおよぼしてしまいます。介護者の負担を軽減するためにも、移動用リフトの導入は必要です。移動用リフトがあれば、介護者の身体に大きな負担がのしかかることはありません。慢性的な腰の痛みに悩まされている介護者の方にも、移動用リフトの導入はおすすめです。

移動用リフトの利用時における注意点

種類により家屋の工事が必要

詳しくは後述しますが、移動用リフトには複数の種類があります。導入する移動用リフトによっては、家屋の工事が必要となるケースがあるため注意が必要です。

工事が必要なのは、床走行式や天井走行型と呼ばれるタイプです。前者は、畳の上では使用しにくいため、床をフローリングに張り替えなくてはなりません。後者も、専用のレールを設置しなくてはならないため、大掛かりなリフォーム工事が必要です。導入する移動用リフトの種類や、設置する場所などによって、工事の有無や規模が変わります。そのため、導入前には住宅改修の専門家へ相談することをおすすめします。

吊り具は購入が必要

移動用リフトは、機械だけ導入しても使用できません。移動用リフト本体以外に、利用者の体を包み込むシート、吊り具が必要です。吊り具には、セパレートタイプや脚分離タイプ、シートタイプなどがあり、それぞれに特徴があるため、正しく理解して選ばなくてはなりません。

なお、移動用リフト本体は介護保険の貸与対象ですが、吊り具は対象外です。つまり、本体はレンタルできますが、吊り具については自費で購入しなくてはならないのです。そのため、移動用リフトを導入する際には、吊り具を別途購入しなければならないことを覚えておきましょう。

メンテナンスは必須

移動用リフトに不具合が生じてしまうと、利用者はもちろん介護者もケガをするおそれがあります。重大な事故を引き起こすおそれもあるため、異常がないか日ごろから入念にチェックするクセをつけましょう。

メンテナンスは専門業者に任せなければなりませんが、点検は介護者でもできます。まず、リフトベルトが劣化していないかをチェックしましょう。リフトベルトが劣化していると、使用中に切れてしまい利用者が転落、転倒してしまうおそれがあります。ほかにも、普段耳にしない異音が聴こえないか、揺れ方に問題はないか、といった部分もチェックしましょう。少しでも違和感を覚えたら、早めに専門業者へ連絡してください。

移動用リフトの種類と選び方

床走行式リフト

もっともポピュラーなタイプの移動用リフトです。台車にはキャスターが搭載されているため移動が容易で、複数の部屋で使用できます。設置工事も必要ありません。1人で操作できるため、介護者が1人しかいないケースや、利用者との体格差がある場合におすすめです。ただ、畳の上では本体が安定しないため、フローリングに張り替える必要があります。また、安定させるために本体の足が広く作られているため、狭い部屋では使いにくいのもデメリットです。

天井走行型リフト

天井に設置したレールを走行するタイプの移動用リフトです。介護者が高齢の場合には、電動タイプの天井走行型リフトがおすすめです。床走行式のように場所をとらないため、部屋が狭くても問題ありません。ただ、天井にレールを設置するのに工事が必要です。移動範囲に合わせてレールを設置しなければならないため、場合によってはかなり大掛かりなリフォーム工事が必要となります。当然、それなりのコストがかかります。

据置式リフト

ベッドの両横から上に向かってコの字型のやぐらを組み、上から吊り上げるタイプの移動用リフトです。移動できる範囲は限られますが、床走行式や天井走行型のように家屋の工事が必要ありません。自宅を工事したくない、コストを増やしたくない方に適しています。据置式リフトにもさまざまな製品があるため、サイズや機能を把握したうえで導入を検討しましょう。

まとめ

移動用リフトを導入すれば、利用者や要介護者の安全を確保でき、スムーズな移動もサポートできます。介護者の身体的負担も軽減し、腰痛やひざ痛などを予防できるのもメリットといえるでしょう。製品ごとの特徴を把握し、設置場所も考慮したうえで最適な移動用リフトを選んでください。

著者プロフィール

増田 高茂(社会保険労務士 介護支援専門員 介護福祉士 第二種衛生管理者)
増田 高茂(社会保険労務士 介護支援専門員 介護福祉士 第二種衛生管理者)
多くの介護事業所の管理者を歴任。小規模多機能・夜間対応型訪問介護などの立ち上げに携わり、特定施設やサ高住の施設長も務めた。社会保険労務士試験にも合格し、介護保険をはじめ社会保険全般に専門知識を有する。現在は、介護保険のコンプライアンス部門の責任者として、活躍中。

監修者プロフィール

伊藤 麻梨子(介護職員初任者研修 修了)
伊藤 麻梨子(介護職員初任者研修 修了)
静岡市葵区生まれ。11年間自宅で祖母の介護をした後、総合病院の医事課に勤務。院内の患者情報の調整等の業務に従事。その後介護の資格を取得し、介護事業所に勤務。それぞれの家庭の介護の状況や在宅介護の難しさを改めて認識。理想とする老人ホームは施設の安心感と自宅の心地よさを兼ねた施設。趣味は花を育てること、自宅菜園、DIY

関連記事