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介護保険で購入できる簡易浴槽の種類と特徴

2024年8月8日
増田 高茂(社会保険労務士 介護支援専門員 介護福祉士 第二種衛生管理者)
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介護保険が適用されるのは介護サービス費用だけではありません。自宅での生活に必要な介護福祉用品のレンタル代や購入費にも、介護保険が適用されることがあります。介護保険で購入できる介護福祉用品は全部で5種類あり、その中の一つが簡易浴槽です。以下の記事では、介護保険で購入できる簡易浴槽の種類や選び方、費用などについて紹介します。簡易浴槽を導入すると、入浴時の危険や要介護者・介護者の負担を軽減できます。

簡易浴槽はどんな状態のときに使うべきか

要介護者の介護のなかでも、入浴は介護者の身体的負担を特に必要とする作業です。介護保険で簡易浴槽を導入して作業を楽におこなえるように工夫することができますが、浴室が狭い場合は、簡易浴槽を設置することが難しいこともあります。また、滑りやすいため、介護者・要介護者双方が滑ってケガをする恐れもあるでしょう。介護保険で購入できる簡易浴槽は、浴室以外でも入浴するためのポータブルタイプの浴槽です。浴室で入浴を介助することが難しいときや、2人がかりで入浴の介助をおこなうときは、広い空間における簡易浴槽があると便利でしょう。

簡易浴槽はどんな悩みを解決することができるのか

簡易浴槽を導入することで、入浴時の危険や要介護者・介護者の負担を軽減できることがあります。

解決できる悩み①浴室で転倒しないか不安

簡易浴槽は浴室外でも使用できる介護福祉用品であり、滑りやすい浴室への不安を解消できます。また、浴室内に段差がある場合でも、つまずきや転倒を防ぐことが可能です。

解決できる悩み②二人がかりで入浴を介助したい

一般的に、浴槽は浴室の端に設置されています。そのため、要介護者を両脇から抱えて入浴介助することが難しく、姿勢を崩して要介護者・介護者両方が転倒する恐れもあるでしょう。簡易浴槽は浴室外に設置できるため、部屋の中央部に置くと、二人がかりでの介助もしやすくなります。

解決できる悩み③浅い浴槽でゆっくりとくつろいでほしい

家庭の一般的な浴槽では、手足をゆっくりと伸ばせない場合もあります。また、手足を伸ばせる広さがあるものでも、浴槽が深いと要介護者が溺れる恐れがあり、ゆっくりとくつろぐことが難しいかもしれません。簡易浴槽の中には手足を曲げずに入浴できる浅いものもあり、要介護者に安心してくつろいでいただけます。

簡易浴槽を利用するメリット

簡易浴槽を導入することには、次のようなメリットがあります。

メリット①自宅で入浴できる

家庭の浴室がせまい場合や危険な場合でも、簡易浴槽を導入することで自宅で入浴できるようになるでしょう。自宅で入浴できない場合はデイサービスを利用することもできますが、要介護度によって利用できる回数に制限があります。簡易浴槽があり、なおかつ家族でサポートが可能な場合は、回数制限なしに要介護者を入浴させることが可能です。

メリット②入浴の介助作業が楽になる

狭く滑りやすい浴室で入浴介助をするよりも、居室で簡易浴槽を使うほうが介護者も楽になります。ゆったりとした気持ちで入浴介助をしたい方、浴室での中腰を避けたい方にとってもメリットとなる介護福祉用品です。

簡易浴槽の種類と選び方

種類①折り畳み式簡易浴槽

折り畳んで片付けることができる簡易浴槽です。お風呂のお湯をくみ上げるポンプがついたものや、排水システムがついているものもあります。

種類②空気式簡易浴槽

空気で膨らませて使う簡易浴槽です。折り畳み式と同じく、お風呂のお湯をくみ上げるポンプや排水システムがついているものもあります。また、小さく畳むことができるので、保管スペースに余裕がない方でも導入しやすいでしょう。

簡易浴槽の費用感

簡易浴槽を購入する際には、年間10万円の範囲内で介護保険が適用されます。保険負担割合は1~3割で、また、要介護度によって購入できる介護福祉用品に制限がある点にもご注意ください。簡易浴槽の本体価格はメーカーや種類によっても異なりますが、排水ホース付きの空気式で60,000~80,000円です。介護保険の負担割合が1割の方なら6,000~8,000円の自己負担額となります。簡易浴槽があることで、転倒や溺れるリスクを軽減して入浴をおこなえるようになります。また、要介護者だけでなく介助者の身体的負担が軽減することもあるでしょう。

まとめ

要介護認定を受けている方は、介護保険を利用して簡易浴槽を購入できますが、年間10万円(本体価格)の制限があります。例えば、介護の負担割合が1割の方なら、本体価格が10万円の場合、自己負担額は1万円(介護保険で償還される金額が9万円)となり、これを超えると全額自己負担です。

簡易浴槽は60,000~80,000円ほどと高額なため、他の介護福祉用品も購入を予定している場合、保険適用外になる可能性があります。購入計画は慎重に立てましょう。

著者プロフィール

増田 高茂(社会保険労務士 介護支援専門員 介護福祉士 第二種衛生管理者)
増田 高茂(社会保険労務士 介護支援専門員 介護福祉士 第二種衛生管理者)
多くの介護事業所の管理者を歴任。小規模多機能・夜間対応型訪問介護などの立ち上げに携わり、特定施設やサ高住の施設長も務めた。社会保険労務士試験にも合格し、介護保険をはじめ社会保険全般に専門知識を有する。現在は、介護保険のコンプライアンス部門の責任者として、活躍中。

監修者プロフィール

花井 敦由奈(介護福祉士)
花井 敦由奈(介護福祉士)
静岡市駿河区生まれ。大学卒業後、地元の介護事業会社に就職。小規模多機能型居宅介護、デイサービス、訪問介護の現場に従事し、介護福祉士の資格を取得する。訪問介護ではサービス提供責任者として様々な在宅介護の現場を経験。お客様やご家族様とコミュニケーションを図りながらニーズを探り、ケアマネジャーと連携を取りながら様々なケースに対応してきた。

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