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加齢や疾病などで聴力が低下すると、相手の声が聞きづらくなり会話が大変だと感じるようになります。また発語が難しい人は、音が聞き取れてもコミュニケーションをうまく取れず不便を感じることもあります。
そこで今回は、会話が大変な方におすすめの、聴覚や会話を助けてくれる福祉用具や介護用品をご紹介します。
目次
最近テレビの音が聞きとりづらくなってきたり、相手の声が聞こえづらく会話が難しくなってきたりなどの不便を感じている人をサポートしてくれるものとして、集音器や拡聴器、助聴器があります。使うシーンや求める集音力によってタイプも異なりますので、種類別に使い方と合わせてご紹介します。
集音器とは、聴力が低下している人の聞こえをサポートするために、耳などに装着して音を大きくする機器です。周りの音を拾い集め、日常生活の聞こえづらさを軽減してくれます。集音器と似た聴力を補う機器として補聴器がありますが、その違いは、医療機器としての機能を兼ね備えたものか否かということです。医療機器ではない集音器は、家電量販店や通信販売などでも手軽に購入でき、聞こえづらいが補聴器を買うほどではないという人にはおすすめです。集音器は、聴力や使用目的、形状などによって、耳あな型や、耳かけ型、ポケット型の三種類あります。
耳あな型は、集音器本体を耳の穴に入れて使用します。耳穴により近い場所で集音するため、自然な音が聞こえやすいです。また小型なものが多く、外から見ても目立ちにくいことがメリットです。
耳掛け型は、集音器本体を耳のうしろにかけて使用します。耳あな型よりサイズ感は大きいものの、音量調整ができたり音質が切り替えられたりなど、多機能なものが多いです。耳の聞こえが悪くなってきた高齢者から中度の難聴者の方まで使用可能です。
ポケット型は、集音器本体をポケットに入れ、イヤホンを耳にさしこんで使用します。小型ラジオほどの薄型で軽量なものが多く、持ち運びしやすく操作もしやすいです。ノイズやハウリングをおさえながら、必要な音だけを拾い集めてくれるため、テレビの音や人の話が聞こえづらくなったという人に向いています。
拡聴器とは、音声などを大きくする機械で、必要なときだけ耳に当て使用します。携帯電話のように耳にあてると、骨伝導によって周囲の音が聞こえやすくなります。コンパクトなものが多いためバッグに入れて持ち運びも可能です。通院先の受付や医師との会話、習い事や家族の団欒など、幅広いシーンで活躍します。イヤホンが付属しているものは、手元で操作することも可能です。
助聴器とは、人の声やテレビ、電話などの音をマイクで取り込み、調整して聞こえを助ける機器です。集音マイクを搭載し、小さな音を効率的に拾い集める機能を持ちます。拡聴器のように耳にあてたり、イヤホンをはめたりして使います。音の聞こえ方は、周囲の環境によっても異なります。切り替えスイッチがついた助聴器であれば、雑音を低減したり、よりクリアにしたりと音質を変えることが可能です。
音声モニターとは、離れた部屋にいる高齢者との会話が可能になる機器です。配線の必要がなく、リビングやキッチンと高齢者の居室をインターホンで結ぶことができます。体調に異変があった際にも、すぐに状態を把握できることがメリットです。温度差によって身体に変化が起きやすいお風呂場やトイレに設置すると安心です。
また音声モニターにはカメラが搭載されたものもあり、遠方でも部屋の様子が分かるため、徘徊やベッドからの転倒が心配な際にもおすすめです。カメラは高齢者のプライバシーにも関わるため、本人の承諾を得たうえで使用することが大切です。
会話補助装置とは、発語が困難な人の会話をサポートする機器です。電子辞書のようにキーボードとディスプレイが一体化しており、文字を打つと文章を作成できます。さらに発声キーを押すと、作成した文章の読み上げが可能です。メモリーカードを使用すれば、文章を保存しパソコンで印刷することもできます。文字を打つことも難しい人には、視線や指先など身体の一部を動かすことで文字入力できる装置もあります。またベッド上からでもインターネットを介し仕事や交流活動をするなど、生活の幅を広が広げることができます。会話補助装置の代表的なものとしては、筆談器や音声認識ソフトがあります。
筆談器は、発語が困難だったり聴覚障害があったりする人の会話をサポートする機器です。液晶画面に付属のペンや爪などで書く電子メモパッドや、磁気を使ったボードにマグネットで文字や絵を書いて相手に伝える簡易筆談器などがあります。さらに、二つ折りにして持ち歩くことができ、マーカーペンで書いた文字や絵が、ティッシュペーパーや柔らかい布などで拭くだけで消せる携帯型ホワイトボードなどもあります。
聞きとる力が弱い方へ、こちらの発声を文字に起こし、視覚的に伝えられるソフトです。マウスやキーボードを使用する必要がないため、よりスムーズな会話が可能です。文字を書くよりも時間が短縮されるため、介護現場で導入されることもあります。音声認識ソフトをより効果的に使うには、認識率の高いものを選ぶことがポイントです。介護に必要な専門用語も誤りなく伝えることができます。近年ではスマートフォンのアプリとして搭載されているものもあり、在宅介護でも手軽に利用可能です。
今回は、会話が大変な方におすすめの、聴覚や会話を助けてくれる福祉用具や介護用品をご紹介しました。聴力が弱くなったり発語が困難になったりした人は、コミュニケーションの難しさから他者との交流を控えがちになってしまいます。しかし、自分の思いを伝え相手と意思疎通を図るコミュニケーションは、いくつになっても大切なことですので、自分に合った福祉用具や介護用品を上手に取り入れながら、会話の楽しさを持ち続けていきましょう。
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