静岡県の老人ホーム・介護施設情報サイト
日々、仕事や子育て、家事をしながら生活をすることは、忙しく、大変なことだと思います。そこへ同居している家族に認知症の症状があらわれて、妄想などの症状がみられた場合、どのように対応していいのかわからず、先の見えない状況に不安を抱えて過ごすことになります。
認知症と言っても、現れる症状は人それぞれで、対応もその人の状況や環境で違ってきます。認知症についてよく理解することで、本人の負担だけでなく、自分や関わる家族などの負担も軽減することが出来ます。
この記事では、そうした認知症介護の特に妄想などで悩んでいる方へ、少しでも助けになるように、基本的な知識から、具体的な対応例なども紹介します。
目次
妄想や幻覚などは、認知症になると必ず出現する「記憶障害や見当識障害など」とは異なり、認知症の行動・心理症状(BPSD)と言って、身体の不調や不快、ストレスや不安などの心理状態が原因となって現れる周辺症状です。
アルツハイマー型認知症の場合、被害妄想がよく見られ、親しい関係の人などが自分を仲間外れにしているなどを感じ、無意識に被害妄想を引き起こすことがあります。また、レビー小体型認知症の場合は、幻視が多く見られ、後頭葉の血流が悪くなることで引き起こされます。
認知症の妄想は、比較的物忘れ症状が軽い人によく見られ、見え方は人それぞれですが、時間が経ってもしっかり覚えているケースが多いのが特徴です。病気によって出て来る症状が違ったりもするので、よく理解をして正しい対応をすることが大切です。
認知症による被害妄想には、いくつかの特徴があります。被害妄想の種類について、特徴などを説明していきます。
物盗られ妄想の特徴は、被害妄想の中でも特に多く見られ、比較的女性に多いです。
財布が盗まれた、鍵を隠されたなど、「財産に関わる妄想」が多くあり、家族やヘルパー、介護によく関わる人が被害者になる事があります。また、自分の物が無くなり困っているなどの相談をケアマネージャーなどにするケースも多くあります。
原因は、記憶障害の進行や不安感などがあり、自分で置いたものなどを忘れてしまった結果、誰かにとられたと関連付けてしまいます。
被害妄想の特徴は、「周りの人から悪口を言われている」「自分にとって嫌なことをしようとしている」など、実際にはされていない被害を訴えたりします。
近所の方が親切で何かしてくれていることを疑ってしまい、素直に支援を受けられず、関係を悪くしてしまったなどという事も多くあります。
認知機能の低下により、状況の理解がうまく出来ないことが原因の1つで、認知症による苦しみや不安、不満などが影響して現れます。
被害妄想の一部で、周りの方等による暴言・暴力などを訴えるなどの対人関係にまつわる妄想があります。
実際には起きていない悪口などを事細かに話したりします。例えば「知らない人が家に上がってきた」や「パートナーが浮気をしている」などあります。
被害妄想と同様に状況を正確に認識できないことが原因となります。
「自分は家族にとって必要がない」「見捨てられた」と思い込んでしまい、自分以外の家族が何かをしている時、疎外感を感じ、家族を信用できなくなってしまう等、孤独を感じるようになります。
認知症になり、家族など周りから何も出来ないからと役割を取り上げてしまう事も原因の一つとなるので、簡単なことでも何か役割を持たせてあげて、自分の必要性を感じてもらえるようにしましょう。
実際には存在しない感覚を体験してしまうことをいい、幻視・幻聴などがこれにあたります。
実際には「知らない人が訪ねてくる」「虫がたくさんいる」「悪口を言っている」などがあげられます。
幻覚は、認知症だけが原因ではありませんが、認知症の中で幻覚と関連が高いのは、「レビー小体型認知症」で、後頭葉の神経細胞が壊されることで幻覚が起きやすいとされています。
嫉妬妄想は、根拠もなくパートナーに対して不貞を疑います。
どんなに否定をしても疑いが晴れることはなく、少しでも異性との接触があると「やっぱり」と確信を強めます。近所の人とたまたま会って世間話をしていただけで、浮気相手だと思い込んでしまうこともあり、直接パートナーに対して非難するようになります。認知機能の低下に伴い、自分に不安や焦りを感じてきます。
介護をしてくれているパートナーをより大切な存在と感じるようになり、強い執着心が出て、結果浮気をしているかもしれないと思うようになります。
被害妄想への対応は、全体的に共通して行えるものと、出ている症状によって行った方が良いものがあります。認知症の被害妄想への共通の対応として、代表的な4つを紹介します。
妄想は、周りの人からすると、事実でない為否定したくなりますが、頭ごなしに否定することは、本人にとってよくありません。否定してしまうと、お互いが感情的になりやすいですし、余計に混乱し、悪化させてしまう可能性があるからです。出来る限り優しく聞いてあげることが大切で、理解を示したりしながら聞いてあげることで本人も安心できます。
事実ではない内容の話に対しても、共感しながら受け入れてあげることが大切です。大変や不安などの本人の気持ちを理解し、わかってあげることで安心します。本人の話をよく聞きながら、妄想の背景にある隠されたメッセージに気付けるように、しっかりと耳を傾けるようにしましょう。
介護で大変なことを一人で頑張り、抱え込んでもいいことは1つもありません。ストレスなどによる精神的な負担や身体的な負担から、体調を崩したり、支援がうまくいかず、本人にあたってしまったりと、悪循環が続いてしまいます。必ず家族や親戚、友人、医師やケアマネージャーなどの専門家へ相談をして助けてもらったり、アドバイスをしてもらったりしながら、いい意味で手を抜きながら負担を減らしましょう。
心配だからといって、ずっとそばにいて介護をするのは大きな負担になります。頼れる人に一時的に介護を変わってもらったり、介護保険を使ってデイサービスやショートステイを利用したり、少しでも距離を取ることも大切です。自分の時間を作り、心も体もリフレッシュすることで、より良い支援が出来るようになります。専門家や同じような状況の人などと交流し、自分や本人にとって良い方法を見つけていきましょう。
出ている症状によっては、全て同じ対応で良いというわけではなく、その症状に合わせた対応が必要な場合もあります。ここでは、種類別の対応について詳しく説明していきます。
もし「何かが無くなった」「盗んだだろう」などと疑いをかけられたとしても、肯定も否定もせずに、困っているという本人の気持ちへ共感し、一緒に探したりしてみましょう。そして家族が先に見つけたとしても、本人の勘違いだと怒ったりはしないで、うまく本人に話し、自分で見つけてもらうなど工夫してください。
認知症の被害妄想は、本人の話す内容には大きな意味はなく、「自分の不安な気持ちを分かってほしい」「大切に扱ってほしい」など隠されたメッセージがあることが多いです。本人の状況をよく理解してあげて、メッセージを受け止めてあげることが大切です。
人との繋がりを失う恐怖があり、そうした関係が失われないことを再確認させ、感情を落ち着かせることが大切です。また、このタイプでは人から頼られることで落ち着くこともある為、本人が訴えていることは何なのかをよく聞き取り、その訴えている内容の中で何か質問してみたり、出来る範囲で頼みごとをしてみたりと、役割を持ってもらうことが効果的な対応となる場合もあります。
これまで出来ていたことが出来なくなってしまって、何の役にも立っていないといった悲しさなどが根本にありますので、自信を持てるようなことを、生活の中で入れてあげてください。昔から本人が得意としていることを頼んでみたり、簡単な家事をお願いしてみたり、無理なく出来ることを探してお願いしましょう。「手伝いを協力することで家族が助かっている」と感じてもらうことで自信を持ったり、達成感を感じてもらったりしていきましょう。
幻覚など本来はないものへの訴えがある方に対して、一番してはいけないことは、本人の話を強く否定したり、感情的になって怒ったりしてしまうことです。それをしてしまうと、本人はより混乱してしまい、症状を悪化させてしまう恐れがあります。もしそうした訴えがあった場合、まずはしっかりとお話を受け止めてあげてください。一緒に考え、確認をしてあげて、大丈夫だと安心させてあげましょう。
模様などを見間違えてしまうことも多いので、見間違えやすい物を近くに置かない等、環境にも気を付けてあげると、より安心して生活が出来るようになります。
見捨てられ妄想と同様に、自分が必要とされていないと感じ、大切な人との繋がりが無くなってしまうという恐怖心が大きくなることが原因とみられています。本人との関り方を見直しながら、意識していつもより丁寧に時間をかけて接してみましょう。パートナーに見捨てられてしまうといった不安があるケースも多いので、一緒に出掛ける時間を作るなどしてみるのも効果的です。
認知症は現在ある程度進行は遅らせることは出来ても、完全に治すことは出来ません。
特に、認知症になると必ず出現すると言われている、記憶障害などの中核症状は、病状にもよりますが、段々低下していきます。介護が長い期間続けば、先が見えずに「いったいいつまで続くのだろう」と考えてしまいます。
ただし、被害妄想などの周辺症状は、2次的に起こる症状のことをいい、本人の性格や置かれている環境や対応の仕方などで発症しない、または軽減させることが出来ます。被害妄想などは、本人の体調や環境が大きく影響しますので、大変でもしっかりと向き合い「なぜその様な行動をするのか」「なぜそんな話をするのか」など考えることが大切です。
介護をする家族は、一人で抱え込んだり、孤立しないようにすることが大切です。頼れる人に手伝いを求めたり、日々の愚痴を聞いてもらったり、同じような状況の人達と大変だったことやうまくいたことなど情報を共有することで、ヒントが得られたりもします。
自宅で介護をする場合は、医師やケアマネージャーや行政の職員等の専門家への相談をしながら、介護保険を使って自分の息抜きをすることも忘れないでください。それが本人にとっても、介護する家族にとってもより良い環境作りとなります。
さらに、介護の限界を感じる前に、専門家や専門施設に相談することも重要です。例えばグループホームは、認知症の高齢者が少人数で共同生活を送りながら、専門スタッフのケアを受けられる施設です。家庭的な雰囲気の中で、自立を支援し、認知症の進行を緩やかにします。24時間体制で安心して生活できる環境が整っています。入居条件は65歳以上で要支援2以上の認定を受けている方となります。
静岡老人ホーム紹介タウンYAYAでは、見学や相談も随時受け付けておりますので、どうぞお気軽にお問い合わせください。
大切なご家族が安心して生活できるよう、私たちのサポートをぜひご活用いただければ幸いです。
静岡市のグループホーム一覧 / 浜松市のグループホーム一覧 / 沼津市のグループホーム一覧
著者プロフィール