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訪問介護は介護保険制度により方向性や内容が決められているものの、実際に介護サービスを体験しないと分からない部分が多くあります。介護事業所から来るヘルパーだとしても、他人を家に入れる抵抗感がある人もいるでしょう。たとえインターネットで調べたとしても、具体的なケアの質まで分かりませんよね。
そこで今回は、在宅介護中の人や訪問介護を検討されている人に向けて、訪問介護の「生活援助」について解説します。訪問介護では主に、直接肌に触れて介助する「身体介護」と、日常的な身の回りの生活を支援する「生活援助」の2つのサービスに分けられます。介護保険ではヘルパーに頼める援助は決められていますので、本記事でお伝えする「訪問介護で頼める身の回りの世話」について理解を深めてください。
目次
介護サービスを利用したことがない人は「ヘルパーには常識の範囲内なら生活に必要なことを頼める」といった思い違いを持っている人がいます。しかし、訪問介護でヘルパーに頼める生活援助の内容は「掃除・料理・洗濯など利用者の自立支援の範囲」と決められていますので、要介護者の要求や願いを全て叶えられるとは限りません。場合によっては介護サービスではなく、自費のサービスやボランティアに頼る必要もあるでしょう。具体的な事例を交えて解説します。
外出後の手浴・足浴の準備はヘルパーに依頼できます。特に暑い時期には、麻痺側の手や足の指が蒸れて水虫や臭いの原因となり、不衛生になりがちです。そのため、衛生管理は非常に重要です。
ただし、生活援助の範囲では「準備」しかできません。利用者様の体に直接触れて手浴や足浴を行うことは、入浴介助の洗髪や洗身と同様に「身体介助」として区別されています。例えば、体を拭くための蒸しタオルを用意することは生活援助に含まれますが、実際に体を拭く行為は身体介護に該当します。
生活援助では手浴・足浴の準備までしか行えませんが、これによって1人では入浴が難しい方も簡単に清潔を保つことができます。快適で衛生的な生活を送るために、ぜひこれらのサポートを活用してください。
自家用車や自転車のメンテナンスは、訪問介護の範囲外となります。たとえ日常生活で使用するものであっても、これらの作業は家事の範囲を超えているためです。介護保険は私的な利用には対応していないため、自転車などのメンテナンスが必要な場合は、自治体のボランティアを利用することをお勧めします。
一方で、車椅子を日常的に使用する方は、空気圧の確認や空気入れをヘルパーに依頼することができます。車椅子は生活に欠かせないものであり、空気圧が不足するとブレーキが効きにくくなり、危険が伴います。このような理由から、車椅子の空気圧チェックや空気入れは生活援助として対応することができます。
話し相手のみの訪問介護は難しい場合があります。サービス提供中にお話しすることはできますが、誰とも関わらない状況が続くと、高齢者の方の認知症が進行したり、引きこもりの原因になることがあります。そのため、日中に家族がいない方や独居の方は、外での交流をおすすめします。
例えば、自治体が提供する高齢者向けのサロンや、日帰りで他者との交流や支援が受けられる通所介護(デイサービス)、市町村が主催している傾聴ボランティアなどがあります。訪問介護を利用されている方の中には、ヘルパーと話すことを楽しみにしている方も多いですが、滞在時間には限りがあります。もし、より多くの交流を望まれる場合は、ボランティア団体やサークルなどを検討してみてください。
お一人おひとりが心豊かに過ごせるよう、さまざまな交流の機会を活用していただければと思います。
ヘルパーはマッサージを提供することはできません。訪問介護の生活援助は自立支援を目的としているため、もしマッサージが必要であれば、訪問マッサージの利用を検討してください。訪問マッサージは、歩行が難しい方や病院に通えない方などの条件を満たし、かかりつけ医との相談(医師の同意書)が必要ですが、医療保険が適用されます。
リラクゼーションが目的だったり、医療保険の条件に当てはまらなかったりする場合でも、自費で訪問マッサージを受けることが可能です。また、介護保険を利用した訪問リハビリもあり、病気などで麻痺や拘縮がある方に対して、マッサージや日常生活に必要な体の動作訓練を受けることができます。
公的なサービスだけでなく、自費で受けられるサービスもあるため、個々の状況に合わせて最適な組み合わせを見つけてください。
利用者本人が留守中のサービスは提供できません。訪問介護は「利用者本人に直接サービスできることに限る」ため、留守番もできません。そのため、留守中の掃除は「ハウスクリーニング」や「家事代行サービス」を利用することをお勧めします。これらのサービスは自費になりますが、外出中でも清掃作業を行ってくれる業者もあります。
家の中を他人に預けることに抵抗がある方は、貴重品を持って外出するか、金庫などに保管しておくことでトラブルを防ぐことができます。介護保険はすべてのニーズに対応できるわけではないため、本人の直接援助に該当しないサービスについては、代行サービスを検討すると選択肢が広がります。
ヘルパーは利用者の預金の引き出しや、ATMの操作の代行はできません。訪問介護では、預金管理の責任が持てないため、資産管理は成年後見制度や金融機関のサービスの活用、担当のケアマネジャー・地域包括支援センターに相談したほうが安全です。一方、預金の引き出しのために銀行などへ付き添うことは可能です。とはいえ「ケアプランにないサービスは提供できない」ため、生活資金の調達を介護サービスの範囲内としておくといいでしょう。
ヘルパーは利用者に代わって宅配便や郵便物を受け取ることはできません。郵便物を受け取る行為は「利用者の資産を代わりに受け取る行為」に該当し、預金管理と同様に責任を持てないためです。
ただし、利用者が受け取った後に宅配物が重たいなどの理由がある場合には、ヘルパーが運ぶことは可能です。また、ヘルパーが手紙などをポストに投函することも「直接支援ではない」として行えませんが、書類の郵送などの目的がある場合には、ポストや郵便局への同行は可能です。
ここまで、訪問介護の生活援助の範囲についてお伝えしました。まとめると、「利用者本人の自立援助・直接支援」に該当するものは訪問介護で対応できますが、介護保険の制度上、公平なサービスしか提供できません。利用者の希望が多岐にわたる場合、民間企業のシニア向けのお手伝いや代行などの自費サービスを利用することも一つの方法です。
しかし、訪問介護や自費サービスだけでは対応が難しい場合もあります。そのような時には、老人ホームの入居を考えてみてはいかがでしょうか。老人ホームでは、より包括的な支援やサービスを受けることができ、利用者の生活の質を向上させることが可能です。訪問介護と自費サービスの組み合わせに限界を感じたら、老人ホームの入居を検討することで、安心で快適な生活を実現できるでしょう。
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