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高齢者の不調を発見する|嘔吐の原因と対応方法について

2024年6月27日
増田 高茂(社会保険労務士 介護支援専門員 介護福祉士 第二種衛生管理者)
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高齢者の嘔吐について

高齢者の嘔吐といっても、ひとくくりにはできません。それは、嘔吐の程度が軽度のものから、重大な病気が隠されているような重度のものまであるからです。高齢者の嘔吐の原因を知り、適切な対応をすることが重要です。

嘔吐の原因とは

嘔吐の軽度な原因

高齢者が嘔吐する原因はさまざまで、軽度なものから多岐にわたります。風邪やアルコール摂取、精神的な要因も考えられます。特に多いのが食事中の嘔吐です。高齢になると胃や食道の機能が低下し、前傾姿勢が続くことでも嘔吐が起こりやすくなります。また、腸の働きが低下することで便秘になり、便秘が悪化することで嘔吐することもあります。

このように高齢者は頻繁に嘔吐しやすいため、介護者は常に注意を払うようにしましょう。食事中は高齢者を見守り、便秘についても注意しておいた方がよいでしょう。

嘔吐の重度な原因

高齢者の嘔吐には、重度な原因が隠されていることがあります。原因となる疾患で多いのは、胆石、急性胃腸炎、くも膜下出血、脳腫瘍、胃・十二指腸潰瘍、感染症、食中毒などがあります。特に脳の病気は突然の嘔吐を引き起こすことが多く、病状そのものが急激に進行するということもあるので、注意が必要です。胃腸の病気以外でも嘔吐する理由は、嘔吐中枢が刺激されることにより、嘔吐を引き起こすためですが、脳の病気をはじめ、あらゆる病気で嘔吐中枢を刺激するということが分かっています。

嘔吐を軽視せず、いつもと違う場合や複数回繰り返す場合は、自己判断せずに医師の診察を受けるようにしましょう。

嘔吐の対応での介護者の注意点

高齢者が嘔吐してしまうと介護者も慌ててしまいますよね。嘔吐について介護する場合、どのようなことに気を付けた方がいいのかについて見ていきましょう。また、吐物の処理から、吐物の清掃方法についても解説します。

吐くのを我慢させない

高齢者によっては、家族への気遣いで嘔吐することを我慢してしまうこともあるようです。嘔吐を我慢させることで、さらに体への負担が高くなることも考えられるため、介護者は遠慮なく嘔吐できるような配慮が必要です。ベッドの近くに、洗面器やタオルなどを準備しておき、高齢者が嘔吐したいと思ったときに、嘔吐できるようにしておくといいでしょう。すぐにでも嘔吐できる準備がされていないと、急な嘔吐がきた際に事故が起きる可能性があります。また、嘔吐したあとも胃から逆流することは珍しくないため、1時間程度は様子を見ることが必要です。嘔吐したあとは、体内が水分不足になりがちですが、明らかに嘔吐がおさまってから、水分補給をさせましょう。

市販の吐き気止めを飲ませない

高齢者の嘔吐については、市販の吐き気止めを飲ませないようにしてください。高齢者の多くは、何らかの薬を服用していることが多く、それらの薬と合わない場合、より一層症状が重くなったり、さらに体調不良となったりすることがあるからです。また、嘔吐の原因によっても、どう対応するかは変わってくるため、自己判断で市販の薬を飲ませることがないようにしてください。どうしても嘔吐がひどく、高齢者の状態が心配だということもあるでしょう。その場合は、主治医もしくは、かかりつけ薬剤師にまずは相談するようにしてください。その際に、高齢者がどのような状態にあるかということや、嘔吐の状態などをしっかり伝えるようにするといいでしょう。

顔を上に向けて寝かせない

高齢者が嘔吐の症状があるときに、顔を上に向けて寝かせるようなことがないように注意しましょう。顔を上に向けて寝かせることによって、吐物を喉に詰まらせてしまい、窒息する可能性があるからです。また、再度嘔吐したくなったときに、嘔吐しにくい体勢ということもあり、事故につながりやすいこともあげられます。嘔吐の症状があるときは、基本的に横向きに寝かせるようにし、上体をやや高めにしてあげると高齢者の体に負担が掛かりません。着ている衣服が体を締め付けていれば、緩めることも必要であり、特にベルトをしている場合はしっかり緩めるようにしてください。嘔吐の症状については、おさまったと思っていても、急に訪れることがあるため、時間をかけて様子を見るようにしましょう。

吐物の処理

高齢者が嘔吐した際に、介護者はどのように処理したらいいのでしょうか。嘔吐は急に起きることもあるので、事前に処理の方法を知っておくと安心ですよね。必要なものはすぐに取り出せるように準備し、慌てないことが大切です。

消毒液で周囲をふく

吐物を処理するときには消毒液を使って周囲をふくようにしましょう。吐物は意外と遠くまで飛び散るということが分かっており、目には見えないところにも飛び散っていることが多いと言われています。床1メートルの高さから嘔吐した場合の飛び散る範囲が、カーペットであれば半径1.8メートル、フローリングであれば2.3メートルとも言われています。(※東京都調査)この数字を参考にして、周囲を拭くと安心でしょう。また、消毒液と手袋は必ず使うようにし、消毒液は作り置きしないようにし、手袋に関しては使い捨てのものを使うようにしてください。マスクも使い捨てのものを使用しましょう。嘔吐物によって感染症をうつされるということが多いため、できる限りの対策を取ることが必要です。

ペーパータオルでふき取る

吐物の処理では、使い捨てのペーパータオルを使うことが鉄則です。まず、吐物の上にペーパータオルを数枚かぶせて、外側から内側に向かって吐物を拭き取るようにしましょう。外側から内側に向かって拭き取ることで、吐物が広がらないようにするために、拭き取る方向は大事です。吐物を拭き取ったペーパータオルは、二重にしたポリ袋に入れます。その後、再度床にペーパーを敷き、消毒液をかけますが、この際にできるだけ広い範囲にかけるようにしましょう。消毒液のかかったペーパーも、外側から内側に向かって拭きあげるようにしてください。吐物の処理で使用したペーパーは、すべて二重にしたポリ袋に入れ、最後に使い捨て手袋を入れ、手指衛生をしたあと、新しい使い捨て手袋をします。ポリ袋の封をしっかり縛って終了です。

素手でさわらない

自宅での介護の際に気を付けたいのが、自分ルールになってしまうということ。そのなかでも特に気を付けたいのが衛生面であり、介護者の身を守るために重要です。

高齢者の嘔吐は突然起きることもあるので、介護者も慌ててしまいがち。しかし、吐物から感染症をうつされるというケースは多く、家庭内介護も例外ではありません。多くの感染症が流行する現代において、衛生面についてうやむやにするのは恐ろしいこと。吐物の処理はかならず使い捨て手袋を使い、毎回破棄することが必要です。手指消毒をすれば大丈夫と自己判断をし、素手でさわることがないようにしてください。家庭内介護であっても、衛生面については念には念を入れることが必要であり、例外を作らないようにしましょう。

老人ホームでの嘔吐の対応

老人ホームで高齢者が嘔吐した場合、迅速かつ適切な対応が求められます。まず、最優先すべきは安全な体勢の確保です。高齢者を横向きに寝かせ、上体を少し高くすることで、吐物が喉に詰まることを防ぎます。この体勢は、再度嘔吐したくなった場合にも対応しやすく、事故のリスクを減らすことができます。

嘔吐が確認された際には、専門知識を持つスタッフがすぐに駆けつけ、状況を把握します。必要に応じて医師の診察を手配し、適切な医療対応を行います。嘔吐の原因が明確でない場合や頻繁に繰り返される場合は、詳細な診断が行われ、必要な治療が提供されます。

嘔吐の処理においても、衛生管理が徹底されます。嘔吐物は速やかに処理され、周囲の環境も消毒されます(次亜塩素酸ナトリウムなどを使用します)。高齢者の衣服や寝具は直ちに交換され、清潔な状態を保ちます。これにより、感染症の拡大や二次的な健康被害を防ぐことができます。

さらに、嘔吐の頻度や量は詳細に記録されます。これにより、医療スタッフは高齢者の体調の変化を正確に把握し、適切なケアを提供することが可能となります。記録は、医師や看護師との連携においても重要な役割を果たします。

嘔吐後の高齢者には、体への負担を軽減するための配慮がなされます。例えば、食事の内容や量を調整し、消化に優しい食事を提供するなど、体調の回復を支援します。また、十分な水分補給を促し、脱水症状を防ぎます。

まとめ

ご家庭で高齢者が嘔吐する場面に直面すると、どう対処すればよいか不安になるものです。しかし、介護施設では、専門的な知識と技術を持つ職員が対応するため、安心してお任せいただけます。このような環境であれば、高齢者ご本人もご家族も安心して毎日を過ごすことができます。老人ホームへの入居は、適切なケアを受けながら安心して生活を送る一つの方法です。

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著者プロフィール

増田 高茂(社会保険労務士 介護支援専門員 介護福祉士 第二種衛生管理者)
増田 高茂(社会保険労務士 介護支援専門員 介護福祉士 第二種衛生管理者)
多くの介護事業所の管理者を歴任。小規模多機能・夜間対応型訪問介護などの立ち上げに携わり、特定施設やサ高住の施設長も務めた。社会保険労務士試験にも合格し、介護保険をはじめ社会保険全般に専門知識を有する。現在は、介護保険のコンプライアンス部門の責任者として、活躍中。

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